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わたしの砂漠の井戸
2025/03/15 16:09星は無数にある。アイドルも、たくさん居る。姉が男性アイドルグループを長いこと追ってて、それに関してはいろいろあったし現在進行形であるんだけど、別の話で、今言いたいのはアイドルって存在に馴染みと畏怖があったって話だ。アイドル。アイドルって『偶像』なんだって。生身の人間をそんなふうに見るのあんま良くないんじゃないのって思うし、同時に、そうやって自分を売り出してる相手を真っ直ぐ応援する活動の形は相思相愛のウィンウィンの両思いじゃんとも思う。だいたい強いのは前者の方で、それはたぶんわたしが依存気質だっていうのは大いに関係する。いったんそんな相手を見つけたら、もう、その姿以外許せなくなるんじゃないかって、そういう。
今のところ、そうなる予定はない。
星宮いちごちゃんっていうアイドルがいて、出会った頃わたしはたぶん高校生だった気がする。美月ちゃんって絶対的なアイドルがランキングやなんかを席巻していることはさすがに知ってたけど特に詳しくはなかった。そんな中、ふと見たテレビの中のいちごちゃんの姿に心が持ってかれちゃった。なんでだか、泣けちゃったのだ。理由を深掘りしたら疲れてたとかまあいろいろがあるんだけど、歌って踊る姿がきらきらで、楽しそうで、カメラの向こう側からのウインクはただしくテレビのこちら側のわたしに向けてのものとして受け取られた。姉がアイドルのCDとかDVDを収集したりライブに行ったりするのをすごいバイタリティだなあと他人事として眺めていたわたしは、一目でアイドルたる彼女のことがだいすきになってしまった。
それからずっと、だいすきだ。今に至るまで。
ファンに順位をつけるならわたしは全然下の方のファンだ。ライブは配信でしか見たことがないし。ライブビューイングのみんなもありがとう! って言う、その「みんな」にぎりぎりひっかかるくらい。それでも恥ずかしげもなく、彼女のことがだいすきだと思う。トップアイドル、大空あかりちゃんのことを未だになんとなく「同担」を見る目で見ている節とかもある。彼女も眩しくって、尊敬している。
けっこういろいろあって、音楽を聴くのが無理になっていた時期がある。でもなにか音がないと頭の中がぐるぐる気持ち悪くなって、歌詞がなくて物語性も特に知らないクラシック曲になんとか頼ってやり過ごしていた。その時期を過ぎてから、自暴自棄の延長みたいな感じで一人であらゆる場所に旅行したりいろいろしていた。わざわざ遠出したのに何をしたらいいかわからなくなって、でも馬鹿みたいに太陽が眩しかった。外には居られないと思ってカラオケボックスに入った。デンモクを眺めながら全然歌える曲がないなって途方に暮れていたときに、ふと、高校生のわたしのことを思い出して、ソレイユ、で検索した。直近にすてきな記憶がなくて学生時代のことを思い出すことはよくあった。
ソレイユの曲はタイトルを見て思い出せるやつもさっぱりピンとこないものもあって、とりあえず歌えそうなやつを入れた。隣室から聞こえてくるデュエットのラブソングになんかよくわからないけど耐えられなくて、適当に。『カレンダーガール』、久々に聞いた、その当時のわたしにはそぐわない溌剌として美しい日常の描かれたきらきらした曲で、昔きっと一番聞いていた。だからだろう、わたしの喉はすぐ枯れたけど歌詞は最後まで追えた。アウトロが終わってしばらく泣いて、泣くのにカラオケボックスって場所は最適だなって思った。泣き声もマイクを切ってしまえば気がつかれないだろうし、顔を見られることもない。何年ぶりだったのか、スマホでいちごちゃんのことを検索した。トレードマークだった大きな赤いリボンをつけてない写真が最新シングルのジャケットで、かわいいなって、嬉しくなって、嬉しくなったことにちょっとびっくりした。
わたしが空を見上げない日も星は輝いていて、曇って見えなくても太陽は地球を暖める。いつか好きだって思った気持ちが変わらずにわたしのなかにあることに、わたしは、自分が多少損なわれてもそれでも、失われた訳じゃないんだって思った。わたしは今も誰かが、何かが好きだと思えるんだって。アイドル。好きだって言っていい人。いちごちゃんはずっとアイドルでいてくれている。うれしい。だいすき。スキャンダルに備えて心に予防線を張っとこうって定期的に思うんだけど、もう無理だ。なんかあったらノーガードでくらうしかない。ないといいけど、でもいちごちゃんのことは、いちごちゃん自身がありたいようにあってほしい。わたしは誰かの幸せをこんなふうに祈るんだなって、思う。
今日もわたしは相変わらず人生に躓いている。希死念慮は快方にあるときに出て来やすいって聞いたことがあるから、それに照らせばいい方向に向かっているのかもしれないけど、その実感はない。世界はくすんで見えることのほうが多い。ただ、今日もどこかでいちごちゃんが笑ったり驚いたりもしかしたら落ち込みながらも前を向いているのかなって思うと、世界はちょっとだけきらきらする。再始動したソレイユの活動を全部追えてるわけでもない風上に置けないファンなんだけど、本当に大好きなのだ。
あなたの世界が、見える景色が、あなたにとって好ましいものだったらいいなって思う。今日も大好きだ。
お誕生日おめでとう。アイドルになってくれてありがとう、いちごちゃん。あなたに出会えて、本当に嬉しい。
追記
ぎりぎり日記ではない