短文ノック
爆豪と縒 りを戻した。
縒りを戻すというのは辞書を引けば撚り合わせたものを元の状態に解くこと、と書いてあるはずで、個性・ファイバーマスターのプロヒーローであるベストジーニストこと袴田維には容易いことどころか息を吸うようにできることであるけれど、爆豪との復縁は難航した。そもそも双方ともに復縁の意思がなかったことが大きい。
お付き合いすることのメリットとそれによってインタビュアーがやたらと私生活を聞いてくることのストレスなんかを天秤にかけて、交際関係をやめておくか、と二人で相談して決めた。二人の関係は知られたところであるから、その日のうちにSNSでそんなようなことを発信しておいた。
するとどうにもSNSは阿鼻叫喚になってスポンサー企業の株価が下落した。アポ無しで紙原が二人の住む家に訪れて、どうせまた交際関係の方が楽しいからってお付き合いを始めるんだからとっとと復縁してくれないか、と言いに来た。
そうなのだ。これが初めてというわけでもない。確か三度目だ。数え方によっては四回目かもしれない。今度こそこれっきりかな、と思って交際解消したというのに、そんなことを言われても困る。毎回毎回騒がれるのもうんざりだ。
恋情とか尊敬とかそういった色味を考慮に入れなければ袴田より紙原の方が好感度が高い(ように見ていて感じる)爆豪も、この紙原の言葉には難色を示した。ジーパンと付き合ってるかどうかがそんなに問題すか? どっちでもいいだろ、というのが爆豪の言で、袴田も同感である。たかだか男二人の痴情の話だ。爆豪が成人してしばらく経ってから始まったことでもある。色々言われる筋合いもないだろう。
ただ一週間二週間と経つうちに色々な噂が流れ出した。不貞だとかだ。大変不服である。爆豪はシンプルにキレていた。スポンサー企業の株価が下がったまま上がらないのも問題だった。
「だからってなんで周りの都合に合わせて俺らが付き合わなきゃいけねえんだよとも思うんだわ」
「同感だ」
とはいえ袴田の方が周りの圧に負けた。別に嫌いになったわけではない。双方ともに。付き合っていることに煩わしさを感じる出来事があっただけだ。
なので必死で爆豪のことを口説き落とした。私のオレンジの片割れ、セットアップのジャケット、リーバイス501の赤耳セルビッチ、私にはおまえが必要で、そもそも付き合ってなくてもこう言った形でまた別のストレス源があるんだから付き合っててもいいんじゃないか? 爆豪が溜飲を下げるのには大体二ヶ月ほどかかった。
そうして縒りは戻った。元サヤである。
「どうせ付き合ってても付き合ってなくてもほとんど変わんねえのに」
まだ文句を言う。
「嬉しくないのか」
「四回目じゃあな。新鮮味もねえ」
例えば三度別れて四度お付き合いを初めても、二人の関係が決定的に損なわれたりしない。そのことに確信があるから、小競り合いはしょっちゅうだ。どちらも負けず嫌いなので。
交際をまた始めたことは今度もSNSで報告しておいた。株価は元に戻った。
再び二人の元を訪れた紙原が結婚でもしたら別れるのが面倒くさくなってお騒がせすることもなくなるんじゃないか、と呆れたように言うので、その日のうちに婚姻届を取りに行って結婚をした。証人はもちろん紙原だ。頭を抱えていた。
そう言うわけで今日も二人の縁は綻びなくつながっている。
縒りを戻すというのは辞書を引けば撚り合わせたものを元の状態に解くこと、と書いてあるはずで、個性・ファイバーマスターのプロヒーローであるベストジーニストこと袴田維には容易いことどころか息を吸うようにできることであるけれど、爆豪との復縁は難航した。そもそも双方ともに復縁の意思がなかったことが大きい。
お付き合いすることのメリットとそれによってインタビュアーがやたらと私生活を聞いてくることのストレスなんかを天秤にかけて、交際関係をやめておくか、と二人で相談して決めた。二人の関係は知られたところであるから、その日のうちにSNSでそんなようなことを発信しておいた。
するとどうにもSNSは阿鼻叫喚になってスポンサー企業の株価が下落した。アポ無しで紙原が二人の住む家に訪れて、どうせまた交際関係の方が楽しいからってお付き合いを始めるんだからとっとと復縁してくれないか、と言いに来た。
そうなのだ。これが初めてというわけでもない。確か三度目だ。数え方によっては四回目かもしれない。今度こそこれっきりかな、と思って交際解消したというのに、そんなことを言われても困る。毎回毎回騒がれるのもうんざりだ。
恋情とか尊敬とかそういった色味を考慮に入れなければ袴田より紙原の方が好感度が高い(ように見ていて感じる)爆豪も、この紙原の言葉には難色を示した。ジーパンと付き合ってるかどうかがそんなに問題すか? どっちでもいいだろ、というのが爆豪の言で、袴田も同感である。たかだか男二人の痴情の話だ。爆豪が成人してしばらく経ってから始まったことでもある。色々言われる筋合いもないだろう。
ただ一週間二週間と経つうちに色々な噂が流れ出した。不貞だとかだ。大変不服である。爆豪はシンプルにキレていた。スポンサー企業の株価が下がったまま上がらないのも問題だった。
「だからってなんで周りの都合に合わせて俺らが付き合わなきゃいけねえんだよとも思うんだわ」
「同感だ」
とはいえ袴田の方が周りの圧に負けた。別に嫌いになったわけではない。双方ともに。付き合っていることに煩わしさを感じる出来事があっただけだ。
なので必死で爆豪のことを口説き落とした。私のオレンジの片割れ、セットアップのジャケット、リーバイス501の赤耳セルビッチ、私にはおまえが必要で、そもそも付き合ってなくてもこう言った形でまた別のストレス源があるんだから付き合っててもいいんじゃないか? 爆豪が溜飲を下げるのには大体二ヶ月ほどかかった。
そうして縒りは戻った。元サヤである。
「どうせ付き合ってても付き合ってなくてもほとんど変わんねえのに」
まだ文句を言う。
「嬉しくないのか」
「四回目じゃあな。新鮮味もねえ」
例えば三度別れて四度お付き合いを初めても、二人の関係が決定的に損なわれたりしない。そのことに確信があるから、小競り合いはしょっちゅうだ。どちらも負けず嫌いなので。
交際をまた始めたことは今度もSNSで報告しておいた。株価は元に戻った。
再び二人の元を訪れた紙原が結婚でもしたら別れるのが面倒くさくなってお騒がせすることもなくなるんじゃないか、と呆れたように言うので、その日のうちに婚姻届を取りに行って結婚をした。証人はもちろん紙原だ。頭を抱えていた。
そう言うわけで今日も二人の縁は綻びなくつながっている。