ボトルメール
どうせ俺の知らんところで大層ご立派な自己犠牲精神を発揮して勝手に死ぬんだろうなと思っていたし散々そう口に出しもした出久が案の定俺の知らないところで死んだ。五年前のことだ。
遺体も骨もこの眼で確認したしなんなら弔辞だって読んでやったというのに、未だに振り返っては不在を確認している。さんざん折っては治してを繰り返された骨は随分小さな骨壺に納められていた。あいつの人生の集約があんな小さい入れ物に収まるなんてどうにも納得しがたかった。世界救ったんだぞ。
どれだけ振り切ろうとしてもべったり張り付いてきやがったくせに気づいたら追い抜かれていて、そっから先は追いすがっていたようなものだ。個性がなくなって、物わかりよく後進育成に励んでいたけどそれに俺は納得できなくって、みんなの力を借りてまたヒーローの世界に引っ張り出した。エゴと言えばその通りだった。それでもあいつだってヒーローが天職だったんじゃねえの。死にやがって。
俺がなにもしなければあいつは死ななかった……とは思わない。一匙も思わない。何の力がなくても誰かを助けるためなら最前線に飛び込んで行くやつだ。どうせどっかで飛び出していた。だからガジェットに関わったやつ総員一致の意見で安全装置は嫌というほど着けてやったというのに。あの野郎。いくらかかったと思ってたんだよ。聞いたらたぶん引いたぞ。マジで。
腐っていても縁だったわけだが、繋がる先がなくなったならもう朽ちていくだけだ。だってのにふとした瞬間には振り返って居なくなったんだなって思っていた。まったく、未練がましい。
ずっとヒーローになりたがってたくせに、なったら満足みたいな顔をして、その上勝手に皆を置いていった。そうだ。そういうやつだった。あいつは。
デクがいたら、という言葉を市民に言わせないように、ヒーローとして全霊を尽くしている。あいつが気にしただろうからとかじゃなくて、俺が本当に気にくわないから。
でもあいつがいたらこの労力のうちのどれくらいかは省けた。ああ嫌だな。文句ばっかり出てくる。それだけ死んでほしくなかったということだろうか。なんだか自分に呆れてしまって、脱力する。
そうだよ。死ぬなよバカ。
俺はもしかして一生あいつがいたらって考えながら生きていくんだろうか。そうだとしたら……嫌だ。死ぬほど嫌だ。死ぬほどっていうのは死ぬほどって意味だ。嫌すぎ。無理。断固拒否。
俺は生きていていつだって掲げるのは完全勝利だ。勝利条件に無理が一個含まれてしまったとしても。草葉の陰で指咥えてノートでも作ってろ。
テメーが死んだせいでこんなこと考えている。最高のヒーローが一人いなくなったら回りは苦労するんだぞ。オールマイトのことで散々わかってただろ。最高、なんて……、いや、どうせ死んでいるのだからこのくらいのリップサービスはしてやってもいいかもしれない。あいつを喜ばせるためにこんな言葉を使おうと思ったことは金輪際ないが、死んだのだ。聞こえやしない。言い返したかったら生き返れ馬鹿。バーカ。