NEVER MEET YOUR HERO



 手紙を書きます。あなたのことが好きなので。
 ラブレターみたいなもの、初めて書くので不作法があったらすみません。投函するかどうか、まだ決めていません。見せられるような文章になる気もしませんし、投函したらファンレターの山の一部になると思うと、なにやら惜しい気もするし、逆に、そうなったらホッとするような気もします。
 あなたのことを初めて見たのは、液晶の中でした。雄英体育祭の中継を実家のリビングで眺めていました。わたしは正直競技の設備もそれぞれの試合展開も怖くて、隣にいた兄のようには盛り上がりはしていませんでした。その中でも、あなたは一際怖かった。極めつけが表彰台でした。本当に同じ年頃の人だとは思えませんでした。
 次にあなたのことを見たのは、あの、世界がぐちゃぐちゃになった後の、大きな戦いの時でした。避難した先で皆が覗き込む画面の中に、あなたはいました。あの状況の中でも鮮明に写ったあなたは、ずいぶん眩しくて、大きな光のようでした。怖くて瞑った目を、思わず開かせてしまうような光でした。あなたがオールマイトを救いだした瞬間にわたしも、周囲も、血の気が戻って、ぐっと踏ん張れるような感じがしました。ありがとう。わたしが言うことではないのかも知れませんが、本当に、わたしも感謝しているのです。わたしたちのヒーローを、たすけてくれてありがとう。
 ヒーローネームを知ったのはあなたがインターンで活躍していた頃です。いい名前だと思います。呼ぶ度に、すこし勇気が貰えます。わたしにとって、あなたはそういうヒーローです。
 粗暴な振る舞いと言われているところをさんざ見聞きしてやっぱりちょっと怖いなと思いました。初めて見たときと同じようにあなたは怖いです。それと同時に、感動するような気持ちにもなるようになりました。あなたはすごい人です。すごいヒーローです。
 胸がスカッとなるような速さであなたはいつも飛んでいて、わたしは度々それを見上げます。わたしが目で追えるより早いから、時々見逃して、いなくなっちゃったななんて思います。空を見上げると眩しいです。その眩しさに突っ込んでいって、わたしの視界からは見えなくなります。わたしのスピードじゃあなたに着いてはいけないのです。ただ会うのにしたって、あなたはいつも忙しく一つ一つの事件にあたっていて、隙なんかはなく見えます。わたしにわかるような隙があっちゃ困るのはそりゃそうですね。
 でも、そうだったら一生好きって伝えることはないのかと思うと、何だか惜しくて、手紙を書きました。あなたのことが好きです。自分のことばかり書いてしまいましたがこれはそういう手紙です。投函はやっぱりしないかなと思います。
 あなたのことが好きです。
 ご健勝を祈ります。あなたにいい風が吹きますように。

大・爆・殺・神ダイナマイト様
 
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