天下統一計画(仮)
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『なんで大阪に帰ってんだよ!和海の事はどうしたんだ』
「……君は僕に電話するんじゃなくて、和海に電話するべきじゃないのかな」
大阪城に予定よりも早く戻れたお陰で、こちらでたまっていた書類仕事をこなしていた。
スマホというものがなっており、てっきり姉川に向かう予定だった和海からだと思い、確認せずに通話したのが間違いだった。
「君のためにわざわざ、スマホを買ってくれたんだ。ちゃんと使ってあげるべきじゃないのかい?」
『そんなこと言ったってよぉ…』
はぁ……とため息が漏れる。
「それより、君の方は片付いたのかい?」
『あ、ああ。何でも釣りがしたくて船を貸してほしいって話だったんだよ。
釣りが済んだら、ザビー城にある伝説の野菜とやらを分けてもらいたいって話でな。
そのまま城に戻っていいかを確認しようと思ってたんだよ』
「それこそ、和海に確認するべきことじゃないのかな。もしくは元就君に確認したほうがいい」
『ああー、毛利はなぁ……分かった、確認してみるわ』
まったく、変なところで照れていて……面倒くさいな。
「半兵衛様、そちらは何でしょうか?」
「ああ、これかい」
三成君がすごく興味深そうにスマホを見ていた。
「これで遠くにいる仲間と連絡が取れるんだよ。とはいえ、戦場で使用する余裕はないから、兵へ支給するほどではないかな。
まだ価格も高いからね」
「そうなのですか…」
もう少し価格が低ければ皆に供給してもいいが、そのころには他の軍も使用しているだろう。
……予算編成してみる価値はあるかな。
「それで、なにか僕に話があるのかな?」
「その…昨日の事なのですが」
和海について気になるようだ。
「あの者は信用できるのでしょうか。私にはどうにも―――」
「胡散臭いだろう。でもね、なかなか使い勝手がいい兵なんだよ」
何故か三成君は和海と握手した手を不安そうに見ていた。
「あの者は間違いなく裏切ります。半兵衛様、どうか私に惨殺の許可を」
あの短時間で和海は三成君に何かしたのだろうか?
「その根拠は?」
少し言いにくそうだったが、彼は和海と握手を交わした際に彼女を殺した瞬間を見たという。
あのたった一瞬で、あまりにも鮮明な映像が一瞬だったが見えたのだという。
これは未来の姿だと、三成君の中では刷り込まれてしまったようだ。
握手一つでそんな事、あるのだろうか?
僕が彼女の手を取った時見えたのか……いや、やめておこう。
あまり気分のいいものではなかった。
あれが未来だというのなら、和海は僕を延命させようとして死ぬ。そうするように僕が命じたからだ。
けれど、今の和海がそんな命令をしても聞くとは思えないし、そう命じる気もない。
あくまで彼女とは同盟関係だ。
「……君が和海に対してあまり良い感情を抱いていないことはよくわかった。
同盟中とはいえ、四六時中一緒に行動するわけじゃないし、あちらはあちらで動くだろうから
本当にこちらの不利となるような行動をとるようだったら、その時考えよう」
「はっ」
三成君はまっすぐでいい子なんだけど、少し融通が利かない所がある。
豊臣の為に頑張ってくれていることはとてもよくわかるから、重宝している。
けど……和海と相性が悪いとは思わなかった。
「……おや、ほかにも着信が来ていたのか」
部屋に一人になり、もう一度スマホを確認すると和海からの着信があったようだ。
どうやら元親君と話をしている際に、掛かってきていたようだ。
こちらから折り返してみるが、なかなか繋がらない。
持ち歩いていないのか、それとも何かあったのだろうか―――。
『……ふぁ~い、和海ですぅ…』
不安だったが、どうやら彼女は寝ていたようだ。……姉川の戦に向けて準備はどうなっているのだろうか?
「寝ていたようだね、今日は何をしていたんだい?」
『えっとぉ…姉川で浅井夫婦とお話して、そのあとザビー城に連れて行って勧誘しました。
仮ですけどザビー教の信者になったんですけど……信者と戦う訳にもいかないので一芝居打ったんです。
そう、そのこと電話しようと思ったんだけど、繋がんなくってさ…疲れて寝てた』
「……どこで寝ているのかな」
和海の背後でオオカミの遠吠えのようなものが聞こえる。
『うぅーん分かんない。どこか森の中』
「今すぐ大阪城へ、仮眠をとったなら移動できるだろう」
『うぃ~』
通話が切れるとすぐに和海は僕の陰から姿を現した。
眠いようで目をこすっている。
「その腕はどうしたんだい」
「芝居の為に傷をつけたんだ。ふぁぁ…多分失血が原因の眠気だと思う。
今回の戦は俺が負けて、逃げかえったって形。ただ浅井夫婦とは友好関係を築いたのでできたら豊臣軍が攻めるのはやめてほしい」
手当はしてあるが、巻かれた布からは血が滲んで真っ赤に染まっている。
顔色も悪く、青白い。
「君は自分の怪我は治せないのかい」
「怪我……そんな便利な能力ある訳ないじゃないですか。あったら戦楽勝でしょ」
確かに、自分で治せるのであれば体中に傷跡が残る訳がない。
「大丈夫、寝れば治るんで。ただ…ここから城に戻る体力ないんで、今日は泊めてください」
「そのつもりで呼んだから大丈夫だよ。すぐに布団を用意しよう。
手当てもし直した方がよさそうだね」
「血は止まっているんで大丈夫。それに……俺の血は汚いから触らない方がいい。
布団も結構、部屋の角貸してくれれば寄りかかって寝るから。朝市には帰るから気にしないで」
「……部屋の門でも視界に入ると気になるんだよ。布団がいらないなら、座布団を枕にして横になって。手当は勝手にさせてもらうよ」
「竹中って……意外と優しいんだな。それとも、使える兵として認めてもらえた?」
くすくす笑う和海。
「君が使える人材だってことはとっくにわかっているよ。こんな事なら君が志願したときに受け入れておくべきだったよ」
「それは嬉しいね……。俺にも多少は存在価値があるってわかってさ」
「……君は自分に自信があるように見せるのがとてもうまいんだね」
眠いのか、疲れたのか、表情を作る余裕がなくなってきたようだった。
「虚勢を張るのは慣れているんだ。そうでもしなきゃ、立ってらんないからね」
青白い肌になった和海は、まるで人形のようで、手当てで触れていなければ生きていると感じられない無機質さがあった。
「一応君には仲間がいるんだから、せめて背を預けられるくらい仲良くなったらどうかな」
「……なれたら、いいんだけどな。あ、ダメだ。寝る…」
宣言通りに本当に眠ってしまった。
ゆすっても反応はなく、起きる気配はない。
血と泥で汚れている服を着替えさせてあげたいところだが、彼女は素肌を見られるのを嫌っている。
仕方がなく、そのまま寝かせ布団だけかけてあげることにした。
「本当に、同盟じゃなくて部下だったらよかったのにね」
あの時の自分の選択に後悔しつつつも、断片的に見た未来のような出来事を考えれば今の関係で丁度よかったのかもしれないと自分を納得させることにした。
―――――――
「おはようございます……布団、ありがとうございました」
寝起きすぐに城に帰ると言っていたが、結局僕が起こしに行くまで寝ていた。
「おはよう、昨日より顔色は良さそうだね」
「もうすっかり元気だから大丈夫!」
「ならザビー城へ戻った方がいい。昨日元親君と話をしたんだけど、客人を連れて向かっているようだよ」
「あー、竹中が昨日電話してたのチカだったのか。分かった。それじゃ、向こう戻るけど何かあったらまた電話して」
何故かほっとしたような顔をしていた。僕の話し相手が元就君だと思っていたのかな?
「無理はしないようにね」
「それは、竹中も。俺が言うのもなんだけど、顔色が悪いぞ。ちゃんと休んでくれよ」
顔色と体温の確認の為だろうか、和海は僕の頬に触れる。
和海は無意識に力を使ったのだろう。黒い髪はあっという間に白一色に変わる。
ほっと落ち着いた気持ちになり、起きたばかりだというのに睡魔に襲われる。
「おやすみ」
僕の瞼が重そうに見えたようで、和海はそっと手を放して陰に飛び込み、あっという間に姿を消した。
「……もう少し、そばにいてほしかったな」
不覚にも寂しさを感じてしまった―――。
「……君は僕に電話するんじゃなくて、和海に電話するべきじゃないのかな」
大阪城に予定よりも早く戻れたお陰で、こちらでたまっていた書類仕事をこなしていた。
スマホというものがなっており、てっきり姉川に向かう予定だった和海からだと思い、確認せずに通話したのが間違いだった。
「君のためにわざわざ、スマホを買ってくれたんだ。ちゃんと使ってあげるべきじゃないのかい?」
『そんなこと言ったってよぉ…』
はぁ……とため息が漏れる。
「それより、君の方は片付いたのかい?」
『あ、ああ。何でも釣りがしたくて船を貸してほしいって話だったんだよ。
釣りが済んだら、ザビー城にある伝説の野菜とやらを分けてもらいたいって話でな。
そのまま城に戻っていいかを確認しようと思ってたんだよ』
「それこそ、和海に確認するべきことじゃないのかな。もしくは元就君に確認したほうがいい」
『ああー、毛利はなぁ……分かった、確認してみるわ』
まったく、変なところで照れていて……面倒くさいな。
「半兵衛様、そちらは何でしょうか?」
「ああ、これかい」
三成君がすごく興味深そうにスマホを見ていた。
「これで遠くにいる仲間と連絡が取れるんだよ。とはいえ、戦場で使用する余裕はないから、兵へ支給するほどではないかな。
まだ価格も高いからね」
「そうなのですか…」
もう少し価格が低ければ皆に供給してもいいが、そのころには他の軍も使用しているだろう。
……予算編成してみる価値はあるかな。
「それで、なにか僕に話があるのかな?」
「その…昨日の事なのですが」
和海について気になるようだ。
「あの者は信用できるのでしょうか。私にはどうにも―――」
「胡散臭いだろう。でもね、なかなか使い勝手がいい兵なんだよ」
何故か三成君は和海と握手した手を不安そうに見ていた。
「あの者は間違いなく裏切ります。半兵衛様、どうか私に惨殺の許可を」
あの短時間で和海は三成君に何かしたのだろうか?
「その根拠は?」
少し言いにくそうだったが、彼は和海と握手を交わした際に彼女を殺した瞬間を見たという。
あのたった一瞬で、あまりにも鮮明な映像が一瞬だったが見えたのだという。
これは未来の姿だと、三成君の中では刷り込まれてしまったようだ。
握手一つでそんな事、あるのだろうか?
僕が彼女の手を取った時見えたのか……いや、やめておこう。
あまり気分のいいものではなかった。
あれが未来だというのなら、和海は僕を延命させようとして死ぬ。そうするように僕が命じたからだ。
けれど、今の和海がそんな命令をしても聞くとは思えないし、そう命じる気もない。
あくまで彼女とは同盟関係だ。
「……君が和海に対してあまり良い感情を抱いていないことはよくわかった。
同盟中とはいえ、四六時中一緒に行動するわけじゃないし、あちらはあちらで動くだろうから
本当にこちらの不利となるような行動をとるようだったら、その時考えよう」
「はっ」
三成君はまっすぐでいい子なんだけど、少し融通が利かない所がある。
豊臣の為に頑張ってくれていることはとてもよくわかるから、重宝している。
けど……和海と相性が悪いとは思わなかった。
「……おや、ほかにも着信が来ていたのか」
部屋に一人になり、もう一度スマホを確認すると和海からの着信があったようだ。
どうやら元親君と話をしている際に、掛かってきていたようだ。
こちらから折り返してみるが、なかなか繋がらない。
持ち歩いていないのか、それとも何かあったのだろうか―――。
『……ふぁ~い、和海ですぅ…』
不安だったが、どうやら彼女は寝ていたようだ。……姉川の戦に向けて準備はどうなっているのだろうか?
「寝ていたようだね、今日は何をしていたんだい?」
『えっとぉ…姉川で浅井夫婦とお話して、そのあとザビー城に連れて行って勧誘しました。
仮ですけどザビー教の信者になったんですけど……信者と戦う訳にもいかないので一芝居打ったんです。
そう、そのこと電話しようと思ったんだけど、繋がんなくってさ…疲れて寝てた』
「……どこで寝ているのかな」
和海の背後でオオカミの遠吠えのようなものが聞こえる。
『うぅーん分かんない。どこか森の中』
「今すぐ大阪城へ、仮眠をとったなら移動できるだろう」
『うぃ~』
通話が切れるとすぐに和海は僕の陰から姿を現した。
眠いようで目をこすっている。
「その腕はどうしたんだい」
「芝居の為に傷をつけたんだ。ふぁぁ…多分失血が原因の眠気だと思う。
今回の戦は俺が負けて、逃げかえったって形。ただ浅井夫婦とは友好関係を築いたのでできたら豊臣軍が攻めるのはやめてほしい」
手当はしてあるが、巻かれた布からは血が滲んで真っ赤に染まっている。
顔色も悪く、青白い。
「君は自分の怪我は治せないのかい」
「怪我……そんな便利な能力ある訳ないじゃないですか。あったら戦楽勝でしょ」
確かに、自分で治せるのであれば体中に傷跡が残る訳がない。
「大丈夫、寝れば治るんで。ただ…ここから城に戻る体力ないんで、今日は泊めてください」
「そのつもりで呼んだから大丈夫だよ。すぐに布団を用意しよう。
手当てもし直した方がよさそうだね」
「血は止まっているんで大丈夫。それに……俺の血は汚いから触らない方がいい。
布団も結構、部屋の角貸してくれれば寄りかかって寝るから。朝市には帰るから気にしないで」
「……部屋の門でも視界に入ると気になるんだよ。布団がいらないなら、座布団を枕にして横になって。手当は勝手にさせてもらうよ」
「竹中って……意外と優しいんだな。それとも、使える兵として認めてもらえた?」
くすくす笑う和海。
「君が使える人材だってことはとっくにわかっているよ。こんな事なら君が志願したときに受け入れておくべきだったよ」
「それは嬉しいね……。俺にも多少は存在価値があるってわかってさ」
「……君は自分に自信があるように見せるのがとてもうまいんだね」
眠いのか、疲れたのか、表情を作る余裕がなくなってきたようだった。
「虚勢を張るのは慣れているんだ。そうでもしなきゃ、立ってらんないからね」
青白い肌になった和海は、まるで人形のようで、手当てで触れていなければ生きていると感じられない無機質さがあった。
「一応君には仲間がいるんだから、せめて背を預けられるくらい仲良くなったらどうかな」
「……なれたら、いいんだけどな。あ、ダメだ。寝る…」
宣言通りに本当に眠ってしまった。
ゆすっても反応はなく、起きる気配はない。
血と泥で汚れている服を着替えさせてあげたいところだが、彼女は素肌を見られるのを嫌っている。
仕方がなく、そのまま寝かせ布団だけかけてあげることにした。
「本当に、同盟じゃなくて部下だったらよかったのにね」
あの時の自分の選択に後悔しつつつも、断片的に見た未来のような出来事を考えれば今の関係で丁度よかったのかもしれないと自分を納得させることにした。
―――――――
「おはようございます……布団、ありがとうございました」
寝起きすぐに城に帰ると言っていたが、結局僕が起こしに行くまで寝ていた。
「おはよう、昨日より顔色は良さそうだね」
「もうすっかり元気だから大丈夫!」
「ならザビー城へ戻った方がいい。昨日元親君と話をしたんだけど、客人を連れて向かっているようだよ」
「あー、竹中が昨日電話してたのチカだったのか。分かった。それじゃ、向こう戻るけど何かあったらまた電話して」
何故かほっとしたような顔をしていた。僕の話し相手が元就君だと思っていたのかな?
「無理はしないようにね」
「それは、竹中も。俺が言うのもなんだけど、顔色が悪いぞ。ちゃんと休んでくれよ」
顔色と体温の確認の為だろうか、和海は僕の頬に触れる。
和海は無意識に力を使ったのだろう。黒い髪はあっという間に白一色に変わる。
ほっと落ち着いた気持ちになり、起きたばかりだというのに睡魔に襲われる。
「おやすみ」
僕の瞼が重そうに見えたようで、和海はそっと手を放して陰に飛び込み、あっという間に姿を消した。
「……もう少し、そばにいてほしかったな」
不覚にも寂しさを感じてしまった―――。