天下統一計画(閑話)
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黄色の衣に身を包み、旋棍という武器を手にともに戦場を駆け抜ける相棒。
彼がどこの出身なのか、何も知らない。
ただまっすぐな目で「あんたが作る、平和な世の中を見てみたい」そう言って、徳川軍へ志願してきた。
細身ではあるが、筋肉質でほとんど防具を身に着けずに旋棍という武器で接近戦を得意としていた。
無数の切り傷があるが、生き抜いてきた証だと笑っていた。
彼は和海と名乗っていた。
戦い方が似ているところもあり、良く手合わせの相手にもなってくれた。
部下というよりも、友人のような気やすさをも持ち合わせていた。
「なぁ、和海。もしワシが平和な世を作ることができなかったらどうする?」
「それは、家康が戦に負けるってこと?そうならないために俺がいるんだろ」
忠勝だっているだろ?と不思議そうに首をかしげる。
「たしかに忠勝も和海もいる。兵の数も他の軍に負けることは無いだろう。
心配しているのは、いつか自分の力に飲まれてしまうのではないかと。
秀吉公のように、力だけに―――」
言いかけたところで、いきなり頬を殴り飛ばされた。
「痛いか?」
「当たり前だろう!」
「じゃあ、大丈夫。豊臣軍は今や冷静に痛みを感じない。
豊臣秀吉という旗のもと、狂気にも満ちた興奮で負けることが無いと恐怖心が無い。
死ぬことが怖くないんだ。死ぬとも思っていないかもしれない。
織田の場合は死ぬのが怖すぎるという狂気に駆られて戦場を走っている。
徳川軍は違う、人の痛みを理解して、これ以上痛みを背負わなくていいようにするために戦に出ているんだろう。
力は傷つけ傷つく。それがわかっている家康なら平気だよ。
ダメだったら、今みたいに殴ってやるから安心しろ」
そもそも熱に犯されたように戦をする者たちが増えていた。
人々の為ではない、己が天下を手にするという「欲望」だけに駆られているようにも見える。
戦後の事など考えていない、今さえ生きられればいい。
この瞬間だけしか考えていないように感じることがある。
この瞬間だけを何度も繰り返しているような、はっきりとは分からないおぞ気を感じる。
「大丈夫、きっとうまくいく」
いつも笑って励ましてくれる和海に、何度も救われた。
だから、初めて会った時、唯一望んでくれた願いを叶えるために天下統一を目指した。
そして―――結果だけ言えば天下を取ったのは徳川だった。
天下を統一し、和海が見たいと言っていた平和な世の中をつくることはできただろう。
ただ、これで正解だったのかは分からない。
平和を願っていた和海は大谷からの攻撃を受け……いや、ワシを庇って死んだ。
結局、天下統一後の世界を見せることは叶わなかった。
小高い丘の上に小さな墓を作った。
ワシが作った町を見下ろせる場所、どうかこの場所からワシを今までのように見守っていてほしい。
「がんばれ」
そう声を掛けられた気がした。背を押すように、優しい風が吹き抜けた。
彼がどこの出身なのか、何も知らない。
ただまっすぐな目で「あんたが作る、平和な世の中を見てみたい」そう言って、徳川軍へ志願してきた。
細身ではあるが、筋肉質でほとんど防具を身に着けずに旋棍という武器で接近戦を得意としていた。
無数の切り傷があるが、生き抜いてきた証だと笑っていた。
彼は和海と名乗っていた。
戦い方が似ているところもあり、良く手合わせの相手にもなってくれた。
部下というよりも、友人のような気やすさをも持ち合わせていた。
「なぁ、和海。もしワシが平和な世を作ることができなかったらどうする?」
「それは、家康が戦に負けるってこと?そうならないために俺がいるんだろ」
忠勝だっているだろ?と不思議そうに首をかしげる。
「たしかに忠勝も和海もいる。兵の数も他の軍に負けることは無いだろう。
心配しているのは、いつか自分の力に飲まれてしまうのではないかと。
秀吉公のように、力だけに―――」
言いかけたところで、いきなり頬を殴り飛ばされた。
「痛いか?」
「当たり前だろう!」
「じゃあ、大丈夫。豊臣軍は今や冷静に痛みを感じない。
豊臣秀吉という旗のもと、狂気にも満ちた興奮で負けることが無いと恐怖心が無い。
死ぬことが怖くないんだ。死ぬとも思っていないかもしれない。
織田の場合は死ぬのが怖すぎるという狂気に駆られて戦場を走っている。
徳川軍は違う、人の痛みを理解して、これ以上痛みを背負わなくていいようにするために戦に出ているんだろう。
力は傷つけ傷つく。それがわかっている家康なら平気だよ。
ダメだったら、今みたいに殴ってやるから安心しろ」
そもそも熱に犯されたように戦をする者たちが増えていた。
人々の為ではない、己が天下を手にするという「欲望」だけに駆られているようにも見える。
戦後の事など考えていない、今さえ生きられればいい。
この瞬間だけしか考えていないように感じることがある。
この瞬間だけを何度も繰り返しているような、はっきりとは分からないおぞ気を感じる。
「大丈夫、きっとうまくいく」
いつも笑って励ましてくれる和海に、何度も救われた。
だから、初めて会った時、唯一望んでくれた願いを叶えるために天下統一を目指した。
そして―――結果だけ言えば天下を取ったのは徳川だった。
天下を統一し、和海が見たいと言っていた平和な世の中をつくることはできただろう。
ただ、これで正解だったのかは分からない。
平和を願っていた和海は大谷からの攻撃を受け……いや、ワシを庇って死んだ。
結局、天下統一後の世界を見せることは叶わなかった。
小高い丘の上に小さな墓を作った。
ワシが作った町を見下ろせる場所、どうかこの場所からワシを今までのように見守っていてほしい。
「がんばれ」
そう声を掛けられた気がした。背を押すように、優しい風が吹き抜けた。
