天下統一計画(仮)
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日帰りをするために、陰の中を通っていく事にした。お市の影が浅井の事をつかんでくれたおかげで俺が触れ無くても移動することが出来た。
これはやりようによっては軍隊を移動させることもできるのか?
ザビー城の厩付近に浮上する。多分、見られていないよな?
「あれ……?姉川に行くんじゃなかったのか?」
声を掛けられて驚いたが、前田とは距離があったから、多分見えていないだろう。
「あー、いやまぁ…その予定だったけど、ちょっとね」
俺の後ろにいる浅井夫婦を見て前田は驚いた顔をしてる。
「…こんにちは」
「やぁお市さん。それに浅井さんも。なんだい、なんだい?二人で旅行かな」
前田とお市が会話するのが気に入らないのか少々苛ついている浅井。なんだ、奥さん大好きか…いいね。仲良し夫婦。
「そうなの…長政様と旅行…」
「ふ、ふん、そこのパシリなるものがどうしてもというのでな」
ちょっとうれしそうなお市と照れている浅井。素直じゃないだけでいい人なのでは?
「お市さんに旅行に行きたいって言われて、ここに来てくれたわけだよ。奥さんの為なら折れてくれるいい人だったよ」
「貴様、無駄口を叩くとは……よほど削除されたいようだな」
優しさはお市に向けてのみなので、俺は余計なことは言わないようにしようと心に誓った。
「ま、まぁ…今日はとりあえず時間が許す限りのんびりしてください。南蛮から取り寄せた珍しいものとかもあるので。こちらへどうぞ」
浅井夫婦に城への道を伝え、ザビー教信者たちにいい感じに勧誘するように指示を出す。
「……なんか面白そうだな!」
そんな様子を見ていた前田はザビー教信者とともに浅井夫婦を追いかけていった。面白がらないで。ここで、二人のうちどちらかを入信させないと、毛利に首とられるかもしれないんだよ?
「ん?」
何か足元が揺れるような気がする。地震…とは違うか。どちらかといえば工事で穴を掘っている感じに近い。
「貴様も気づいたか」
「あ、毛利……。これ、いつから?」
ザビーとのお散歩中だった毛利と鉢合わせた。いや、俺の見張りか?
「数日前より違和感はあったが、ここまではっきりと地を揺らすのは今日が初めてよ」
「なるほど……まさか、モグラ?」
「貴様は馬鹿か。これほど振動を与えるとなれば、どれほどの大きさのモグラだというのだ」
冷たーい視線を投げつけられていることに気づかないふりをして地面を見つめる。
「だよな……」
なら一体何なのか。正体が分からず気味が悪い。
「和海よ、ここに拳を打ち込め」
「え……ここに?」
振動する地面を指さす毛利。
「全力で打ち込め。さすれば正体がわかるやもしれぬ」
「了解」
万が一戦になった時に対応できるように、グローブをしていってよかった。
砂鉄入りグローブは殴る際の威力が上がるだけでなく、防刃性能も搭載した。これで刃物も受け止められる。
ただ、手首までしかないので、他の場所が攻撃されたら普通に致命傷になる。うん、何か防具も考えよう。毛利が鎧貸してくれたけどキツイ。サイズが合わなかった。
毛利…細いんだね…。
「それじゃあ、少し離れて―――はやっ!」
拳を構えたときには毛利はザビーとともに何メートルも離れていた。
まぁこれで気兼ねなく地面に拳を打ち込める。
思いっきり拳を地面に叩きつける。固い地面を想像していたが、思ったより柔らかく、地面が崩れて俺は落ちてしまった。
「うわああああ!」
「なんじゃー!」
それなりに深い穴だったが、崩れ落ちた砂のおかげで足場が出来た。
「だれか、そこにいるのか?」
まさかザビー城を地下から狙ってきたとでもいうのか?
「おお、地上だ!……お前さん、だれだ?」
「それはこっちのセリフだって。なんで穴なんか掘っているんだ?ここ俺の領地なんだけど」
穴を掘っていたのはかなり体格のいい男だった。囚人なのだろうか?
手枷をされて、大きな鉄球を引きずっている。
「三成と刑部の所為だ……。小生を穴倉に閉じ込めたんだ」
「そこにおるのは凶運の黒田ではないか」
「毛利の知り合い?」
穴の上からのぞき込んでくる毛利。しっかり自分の安全は確保している。
「このような者と知り合いとは思われたくないわ」
「辛辣……まあ知り合いではなくても、知ってはいるんだろ」
「豊臣軍の元軍師、黒田官兵衛だ」
豊臣にそんな奴居たか?記憶にないな…三成って名前は、竹中から紹介されたハシビロコウか。殺されそうな殺気を放っていたな。
「なんか悪さしたのか?」
「天下を狙っておったのよ。その野心を見抜かれた結果……」
「ああ……」
「なんだ、その憐れんだ眼は!」
なんだろう、若干この人にシンパシーを感じる。
「あれ、元とはいえ軍師なの?なぁ、元ってことは俺が貰ったらダメか?」
「おいおい、小生を抜きに随分好き勝手言ってくれるじゃないか」
「いやぁ俺の軍に軍師がいないからさ、軍師探してたんだよね、イテェ!」
黒田を勧誘しようとしたら毛利に石を投げつけられた。
「ここに知将毛利元就がいるではないか!」
「いや、だってサンデー毛利はいま神聖ザビー教教祖代理として忙しいじゃん。それにさ俺に考えがある訳よ。
豊臣が捨てた軍師が功績をあげたってなったらさ、あいつら人を見る目がないって事だろ?」
「なんだ、お前さんは豊臣と敵対してるのか?」
「いや、同盟中。でもね、南に関しては俺が自由にしていいってことだから、ここに居る以上俺がどう扱っても怒られないでしょ。
それにね、黒田さん。運が悪いみたいだけど、俺に付いたらいい事があるんですよ。
何せここは愛のザビー教!ザビー教に入ったおかげで彼女が出来たり、腰痛が治ったり、宝くじが当たるんだよ。
運気が上昇!どうですか!だまされたと思って、1か月くらい過ごしてみませんか?
運気が上がらない、いい事がないと感じれば出ていってもらって構いませんから!俺を助けると思って入信しませんか!ジョシ―黒田!」
「だぁ!勝手に洗礼名を決めるな!……しかし、そうか。これは小生に運が向いてきたんじゃないか!」
「軍師として招くのは気に入らぬが、信者なら致し方あるまい。ザビー教は来るものは拒まぬ」
よし、軍師兼信者を獲得できたぞ!
「とりあえず和海、その男を連れてまいれ。泥を落とすまで、我に近づけさせる出ないぞ」
「はいはい。それじゃあ、行きましょうか」
「おう。ところでお前さんの名前は。南の大将みたいだが、どんな洗礼名を貰ったんだ」
「……パシリ和海」
おいやめろ、前髪でよくわかんないけど憐れんだ眼で見てるんだろう。
なんか嫌な感じの眼差しを感じるんだよ。
「まぁ、なんだ。小生ほどじゃないがお前さんも苦労しているようだな」
「ジョシー黒田に比べたらなんてことはないさ。じゃあ風呂に案内するから。その間に部屋も用意しておくからゆっくりしてくれ。
……その手枷があると着替えられないか」
「なに、問題ない。どうとでもなるさ」
なんだろうな、俺が知らないだけでこんな奴らがいたんだな。
黒田を風呂へ送り届け、信者の一人に部屋の手配を頼む。城の外へ出ると浅井夫婦と前田がいて何か盛り上がっているようだった。
「お!やっと戻ってきたか。何かあったのか?」
「あー、入信希望者がいて相手をしてて。すみません、こちらに来るように誘ったのに全くお相手できず…」
頭を下げるが、浅井夫婦はあまり気にしていないようだった。それより、なんとなく雰囲気が丸くなったというか……前田のお陰か?
「聞いてくれよ、二人とも仮だけど入信するってさ」
やっぱり前田は人を丸め込む…ちがう、諭したりするのがうまいんだな!
「ありがとうございます!よかった…戦したくなかったんだぁ」
「貴様、入信を断ったら脅す気でいたのか」
「め、めっそうもゴザイマセン!」
浅井は俺を見たら抜刀しなきゃいけないとでも思っているのか?
「ただ、戦の予定があったのは事実なので……一時休戦ってことにしてきましょう。
同盟にしてしまうと、その…お立場上困りますよね」
織田軍に裏切り者として襲撃される可能性がある。
「しかし、兄者がそれを信じてくれるか」
「なら、俺が貴方に恐れおののき逃げかえったことにでもして下さい。
そうだな……浅井さん、その刀を借りてもいいですか」
「何をする気だ」
「ちょっとした小細工ですよ。それじゃあ、そろそろお二方は姉川へ戻る準備をしましょう。
前田…色々ありがとう。あのさ、新しい信者が今風呂にいるんだよ。不自由そうな人だからさ、ちょっと様子見てもらえないか?
結構体格はいい方でさ、俺じゃ相手にならなそうなんだよね」
「和海って忙しいな。分かった、そっちは俺に任せておきな」
前田にはここから離れてもらう。これからする小細工についても怒られそうだからだ。
「それじゃあ姉川に戻った際に、消えていた時間は俺のBASARA技の所為という事にしておいてください。
浅井さんの攻撃で、戻ってきたように見せますから。なんかいい感じに演技してくださいよ」
浅井から刀をむき身の状態で預かり、来た時のように闇に飲み込まれる。
俺は移動する間に左腕に刀を突きさし貫通させる。よし、神経系にはあまり影響がない感じで刺せたぞ!
姉川に戻った時、いきなり腕に刀が刺さっている俺を見てお市が悲鳴を上げた。うん、いい感じだ。
「貴様…何をした!」
普通に驚いている浅井。いい顔だね、演技だとは思われないよ。
「くぅ……まさか、浅井がここまで手ごわいとは……。次こそは、この地を貰うぞ!」
腕に刺した刀を抜いて浅井に投げ返し、俺は走って姉川の戦場から逃げ出した。何人か追いかけてくる様子もあったが、何とか森の中で巻いてやった。
それにしても、さすがにちょっと痛いな。
人の気配がなくなってから、腕に止血をする。これですぐに南に帰ると怪しまれるよな……。どうするかな、大阪城に顔を出すか。
戦略的撤退をしたって事も竹中に伝えないと怒られそうだし、豊臣軍が姉川攻めたら困るし。
「いや、こういう時こそ電話すればいいんじゃん」
竹中に連絡を入れる。しかし、連絡がつかない。通話中のようだ。
誰かと電話してる最中か、もしかしたら毛利あたりが黒田の事を告げ口しているかもしれないな。
「はぁ……なんか疲れた」
一体どのくらいの距離を一日で移動したんだ。疲れても仕方ないよな。時期に夕刻か……森にクマとかが出ないことを祈りつつ、俺は仮眠をとることにした。
夜になったら城に帰ろう。城は広いんだ、前田に会わずに済むだろう。
これはやりようによっては軍隊を移動させることもできるのか?
ザビー城の厩付近に浮上する。多分、見られていないよな?
「あれ……?姉川に行くんじゃなかったのか?」
声を掛けられて驚いたが、前田とは距離があったから、多分見えていないだろう。
「あー、いやまぁ…その予定だったけど、ちょっとね」
俺の後ろにいる浅井夫婦を見て前田は驚いた顔をしてる。
「…こんにちは」
「やぁお市さん。それに浅井さんも。なんだい、なんだい?二人で旅行かな」
前田とお市が会話するのが気に入らないのか少々苛ついている浅井。なんだ、奥さん大好きか…いいね。仲良し夫婦。
「そうなの…長政様と旅行…」
「ふ、ふん、そこのパシリなるものがどうしてもというのでな」
ちょっとうれしそうなお市と照れている浅井。素直じゃないだけでいい人なのでは?
「お市さんに旅行に行きたいって言われて、ここに来てくれたわけだよ。奥さんの為なら折れてくれるいい人だったよ」
「貴様、無駄口を叩くとは……よほど削除されたいようだな」
優しさはお市に向けてのみなので、俺は余計なことは言わないようにしようと心に誓った。
「ま、まぁ…今日はとりあえず時間が許す限りのんびりしてください。南蛮から取り寄せた珍しいものとかもあるので。こちらへどうぞ」
浅井夫婦に城への道を伝え、ザビー教信者たちにいい感じに勧誘するように指示を出す。
「……なんか面白そうだな!」
そんな様子を見ていた前田はザビー教信者とともに浅井夫婦を追いかけていった。面白がらないで。ここで、二人のうちどちらかを入信させないと、毛利に首とられるかもしれないんだよ?
「ん?」
何か足元が揺れるような気がする。地震…とは違うか。どちらかといえば工事で穴を掘っている感じに近い。
「貴様も気づいたか」
「あ、毛利……。これ、いつから?」
ザビーとのお散歩中だった毛利と鉢合わせた。いや、俺の見張りか?
「数日前より違和感はあったが、ここまではっきりと地を揺らすのは今日が初めてよ」
「なるほど……まさか、モグラ?」
「貴様は馬鹿か。これほど振動を与えるとなれば、どれほどの大きさのモグラだというのだ」
冷たーい視線を投げつけられていることに気づかないふりをして地面を見つめる。
「だよな……」
なら一体何なのか。正体が分からず気味が悪い。
「和海よ、ここに拳を打ち込め」
「え……ここに?」
振動する地面を指さす毛利。
「全力で打ち込め。さすれば正体がわかるやもしれぬ」
「了解」
万が一戦になった時に対応できるように、グローブをしていってよかった。
砂鉄入りグローブは殴る際の威力が上がるだけでなく、防刃性能も搭載した。これで刃物も受け止められる。
ただ、手首までしかないので、他の場所が攻撃されたら普通に致命傷になる。うん、何か防具も考えよう。毛利が鎧貸してくれたけどキツイ。サイズが合わなかった。
毛利…細いんだね…。
「それじゃあ、少し離れて―――はやっ!」
拳を構えたときには毛利はザビーとともに何メートルも離れていた。
まぁこれで気兼ねなく地面に拳を打ち込める。
思いっきり拳を地面に叩きつける。固い地面を想像していたが、思ったより柔らかく、地面が崩れて俺は落ちてしまった。
「うわああああ!」
「なんじゃー!」
それなりに深い穴だったが、崩れ落ちた砂のおかげで足場が出来た。
「だれか、そこにいるのか?」
まさかザビー城を地下から狙ってきたとでもいうのか?
「おお、地上だ!……お前さん、だれだ?」
「それはこっちのセリフだって。なんで穴なんか掘っているんだ?ここ俺の領地なんだけど」
穴を掘っていたのはかなり体格のいい男だった。囚人なのだろうか?
手枷をされて、大きな鉄球を引きずっている。
「三成と刑部の所為だ……。小生を穴倉に閉じ込めたんだ」
「そこにおるのは凶運の黒田ではないか」
「毛利の知り合い?」
穴の上からのぞき込んでくる毛利。しっかり自分の安全は確保している。
「このような者と知り合いとは思われたくないわ」
「辛辣……まあ知り合いではなくても、知ってはいるんだろ」
「豊臣軍の元軍師、黒田官兵衛だ」
豊臣にそんな奴居たか?記憶にないな…三成って名前は、竹中から紹介されたハシビロコウか。殺されそうな殺気を放っていたな。
「なんか悪さしたのか?」
「天下を狙っておったのよ。その野心を見抜かれた結果……」
「ああ……」
「なんだ、その憐れんだ眼は!」
なんだろう、若干この人にシンパシーを感じる。
「あれ、元とはいえ軍師なの?なぁ、元ってことは俺が貰ったらダメか?」
「おいおい、小生を抜きに随分好き勝手言ってくれるじゃないか」
「いやぁ俺の軍に軍師がいないからさ、軍師探してたんだよね、イテェ!」
黒田を勧誘しようとしたら毛利に石を投げつけられた。
「ここに知将毛利元就がいるではないか!」
「いや、だってサンデー毛利はいま神聖ザビー教教祖代理として忙しいじゃん。それにさ俺に考えがある訳よ。
豊臣が捨てた軍師が功績をあげたってなったらさ、あいつら人を見る目がないって事だろ?」
「なんだ、お前さんは豊臣と敵対してるのか?」
「いや、同盟中。でもね、南に関しては俺が自由にしていいってことだから、ここに居る以上俺がどう扱っても怒られないでしょ。
それにね、黒田さん。運が悪いみたいだけど、俺に付いたらいい事があるんですよ。
何せここは愛のザビー教!ザビー教に入ったおかげで彼女が出来たり、腰痛が治ったり、宝くじが当たるんだよ。
運気が上昇!どうですか!だまされたと思って、1か月くらい過ごしてみませんか?
運気が上がらない、いい事がないと感じれば出ていってもらって構いませんから!俺を助けると思って入信しませんか!ジョシ―黒田!」
「だぁ!勝手に洗礼名を決めるな!……しかし、そうか。これは小生に運が向いてきたんじゃないか!」
「軍師として招くのは気に入らぬが、信者なら致し方あるまい。ザビー教は来るものは拒まぬ」
よし、軍師兼信者を獲得できたぞ!
「とりあえず和海、その男を連れてまいれ。泥を落とすまで、我に近づけさせる出ないぞ」
「はいはい。それじゃあ、行きましょうか」
「おう。ところでお前さんの名前は。南の大将みたいだが、どんな洗礼名を貰ったんだ」
「……パシリ和海」
おいやめろ、前髪でよくわかんないけど憐れんだ眼で見てるんだろう。
なんか嫌な感じの眼差しを感じるんだよ。
「まぁ、なんだ。小生ほどじゃないがお前さんも苦労しているようだな」
「ジョシー黒田に比べたらなんてことはないさ。じゃあ風呂に案内するから。その間に部屋も用意しておくからゆっくりしてくれ。
……その手枷があると着替えられないか」
「なに、問題ない。どうとでもなるさ」
なんだろうな、俺が知らないだけでこんな奴らがいたんだな。
黒田を風呂へ送り届け、信者の一人に部屋の手配を頼む。城の外へ出ると浅井夫婦と前田がいて何か盛り上がっているようだった。
「お!やっと戻ってきたか。何かあったのか?」
「あー、入信希望者がいて相手をしてて。すみません、こちらに来るように誘ったのに全くお相手できず…」
頭を下げるが、浅井夫婦はあまり気にしていないようだった。それより、なんとなく雰囲気が丸くなったというか……前田のお陰か?
「聞いてくれよ、二人とも仮だけど入信するってさ」
やっぱり前田は人を丸め込む…ちがう、諭したりするのがうまいんだな!
「ありがとうございます!よかった…戦したくなかったんだぁ」
「貴様、入信を断ったら脅す気でいたのか」
「め、めっそうもゴザイマセン!」
浅井は俺を見たら抜刀しなきゃいけないとでも思っているのか?
「ただ、戦の予定があったのは事実なので……一時休戦ってことにしてきましょう。
同盟にしてしまうと、その…お立場上困りますよね」
織田軍に裏切り者として襲撃される可能性がある。
「しかし、兄者がそれを信じてくれるか」
「なら、俺が貴方に恐れおののき逃げかえったことにでもして下さい。
そうだな……浅井さん、その刀を借りてもいいですか」
「何をする気だ」
「ちょっとした小細工ですよ。それじゃあ、そろそろお二方は姉川へ戻る準備をしましょう。
前田…色々ありがとう。あのさ、新しい信者が今風呂にいるんだよ。不自由そうな人だからさ、ちょっと様子見てもらえないか?
結構体格はいい方でさ、俺じゃ相手にならなそうなんだよね」
「和海って忙しいな。分かった、そっちは俺に任せておきな」
前田にはここから離れてもらう。これからする小細工についても怒られそうだからだ。
「それじゃあ姉川に戻った際に、消えていた時間は俺のBASARA技の所為という事にしておいてください。
浅井さんの攻撃で、戻ってきたように見せますから。なんかいい感じに演技してくださいよ」
浅井から刀をむき身の状態で預かり、来た時のように闇に飲み込まれる。
俺は移動する間に左腕に刀を突きさし貫通させる。よし、神経系にはあまり影響がない感じで刺せたぞ!
姉川に戻った時、いきなり腕に刀が刺さっている俺を見てお市が悲鳴を上げた。うん、いい感じだ。
「貴様…何をした!」
普通に驚いている浅井。いい顔だね、演技だとは思われないよ。
「くぅ……まさか、浅井がここまで手ごわいとは……。次こそは、この地を貰うぞ!」
腕に刺した刀を抜いて浅井に投げ返し、俺は走って姉川の戦場から逃げ出した。何人か追いかけてくる様子もあったが、何とか森の中で巻いてやった。
それにしても、さすがにちょっと痛いな。
人の気配がなくなってから、腕に止血をする。これですぐに南に帰ると怪しまれるよな……。どうするかな、大阪城に顔を出すか。
戦略的撤退をしたって事も竹中に伝えないと怒られそうだし、豊臣軍が姉川攻めたら困るし。
「いや、こういう時こそ電話すればいいんじゃん」
竹中に連絡を入れる。しかし、連絡がつかない。通話中のようだ。
誰かと電話してる最中か、もしかしたら毛利あたりが黒田の事を告げ口しているかもしれないな。
「はぁ……なんか疲れた」
一体どのくらいの距離を一日で移動したんだ。疲れても仕方ないよな。時期に夕刻か……森にクマとかが出ないことを祈りつつ、俺は仮眠をとることにした。
夜になったら城に帰ろう。城は広いんだ、前田に会わずに済むだろう。