天下統一計画(仮)

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主人公の名前

家康と手を組み、俺は和海が治める北条の地を目指した。
本当ならそんなつもりはなかった。だが、あの和海に対して抱いていた感情が急に覚めるような不思議な感覚に襲われた。
過去に引きずられているって事なのだと、何となく理解した。
それが寂しい事で、同時に天下を目指すうえで和海と対立する覚悟が決まった。

「伊達政宗殿とお見受けいたす!」

小田原城を目前に、予想しなかった人物が立ちはだかった。
「真田幸村…?どうしてアンタが!」
意気揚々と武器を構え俺達を待ち構えていたのだ。
和海殿からの願い故。武田軍は和海殿軍門へ下った。
今は領地を守るため、こうして貴殿を待っていたのでござる!」
俺と戦う大義名分を得た真田は嬉しそうだった。
「……まだ武田と戦っていると思ったんだがな、和海の行動の速さは相変わらず規格外だな」
「それは理解できる。だからこそ、共にいて面白いのでござる」
幾つかの思い出せる前世で真田と和海が親しかった世界もあった。
互いに触れ、その記憶も戻っているはずだが真田が和海に対して向ける感情は過去からのものではなかった。
戦い知り合い感じた今の和海に対する感情だった。
「ここは落とさせぬ!某を信じて送り出してくださったお館様の為、任せてくださった和海殿の為にも!」
炎を纏い、鮮やかに赤く燃え上がる。
真田の言っている事は分かる。この時代の和海は面白い奴だ。
だからこそ、真正面から総大将同士ぶつかってみたいと思ったのだ。
「アンタとの勝負はいつも楽しいぜ。だがな、和海を本気にさせる為にもここは俺が落とさせてもらうぜ!」


「あーあ、始まっちゃったよ。しっかしずいぶん遠くで始めたねぇ」
「まぁ、和海がな。この桜を大事にしてるからできる限り城へ近づけさせたくなかったのさ」
栄光門の下には黒田。猿飛は門の上に上り真田を眺めていた。
勿論猿飛は真田と共に戦場に出るつもりでいた。しかし、それを真田が遮ったのだ。
「まぁ、どうせ真田の旦那と独眼竜の旦那がおっぱじめたら周りは手の出しようがないからね。
俺様はその他の相手でもしますかね」
伊達は確かに真田と戦っているが、その副将である片倉小十郎は兵を連れてこちらへの進軍を進めていた。
「小生の所まで攻め込まれない様に戦ってくれよ、フライングモンキー佐助」
「やめて、何そのだっさい名前」
「違うのか?毛利がお前さんの洗礼名って言ってたぞ」
「俺様はザビー教入った覚えないから!」
「そうなのか…じゃあ、こいつは後で和海に返しておくか」
黒田が手にしていたのはスマホという、この時代にはなかったカラクリだ。
確かに和海が持っていて便利そうだとは思っていたが、価格の都合上武田軍に導入される予定はなかった。
「ちょーっと待った!それ俺様に?」
「ああ、和海から武田軍と友好的な縁を結んだからって差し入れだ。
真田や武田の総大将じゃ扱い切れんだろうってことで、お前さんに渡してほしいと頼まれたぞ」
いいのか、これを受け取ってしまっていいのか?猿飛は必死で考える。
和海の言い分では、おそらく武田軍と今後連絡を取るうえで利便性を考えて俺に用意してくれたんだろう。
だが、このスマホは高いからザビー教幹部にしか渡っていないはずだ。
ちなみに和海は知らないが、彼女からスマホを受け取った武将は毛利の手により勝手に入信した扱いにされており、洗礼名が付けられていたりする。
猿飛は偵察時にそのやり取りを眺めていたので、毛利も絡んでいるとなるとスマホを素直に受け取るわけにはいかない。
なので竹中も長曾我部も実はすでにザビー教の幹部として信者たちには一方的に慕われていたりする。
「はぁ……受け取りたくないけど、もう勝手に名前が付いているって事は」
「まぁ信者たちにはお前さんの事は紹介済みだろうな」
まさか戦以外の所で頭を抱える事になるとはだれが思うだろうか。
「どうする、受け取る前なら最悪そんな話は聞いてないと断れるぞ」
「……本心は断りたいんだけどね。でも、その便利なモノをタダで手に入るなら仕方ない。だっさい洗礼名、受け取るよ」
「そうそう、受け取ったならこの手紙も渡してほしいって頼まれてたんだった」
黒田が取り出した手紙の内容は和海からで、スマホの使い方とかすがの連絡先だった。
忍び同士連絡することもあるでしょう?という事だったが、あいにく敵同士なのでそんな仲良く連絡することは無い。
だが、かすがと連絡取れるというのはありがたい。
『追伸:かすがさんが返事くれるかどうかまでは分からないから頑張れ』
猿飛は、がんばるかぁ…と遠い目で空を見上げた。
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