天下統一計画(仮)
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「本当に一人で大丈夫か?」
「大丈夫、作戦も問題ないってことになったから安心してくれ」
本日すでに10回目のやり取り
「っていうかさ、俺ってそんなに心配になる?俺の実力はもう認めてくれたもんだと思ってたんだけど、そんなに信用無い?」
流石にイライラしてきたぞ。
「……いや、和海の実力は十分わかっちゃいるんだが…」
何か言いたそうだが、あーとかその、なんて言い淀んでばかりでなかなか答えがない。
「とにかく、なんか心配なんだ。目の届く範囲にいないと、アンタ消えちまいそうなんだよ」
「え…俺ってそんな儚い雰囲気醸し出してた?」
「いや、まったく。ただ……漠然とした不安を感じることはある」
不思議な事を言う。まぁ確かに、俺はこの世界の存在じゃないだろうから消える可能性はある。
野生の感みたいなものだろう。
「……そんなに不安なら、これ」
「なんだ?手形ってわけじゃねえな」
「バサラ屋で見かけたんだよ。スマホだ、これで遠方でも連絡が取れる」
なんでこんなものが売っているのか本当に疑問だが、まぁ売っていたのだから買ってしまった。なかなかいい値段だったが、心配性な長曾我部にはちょうどいいだろう。
「こんなもんでどうやって連絡するんだよ」
「ここを押すと電源が入って、色々あるけど……とりあえずこの1っていうのを押せ。俺の電話番号登録しておいた」
「これを押すとどうなるんだ」
「俺のスマホに電話がつながる。ちょっと俺が離れるから、電話してみろ」
走って肉声が聞こえない程度まで距離を取る。早速電話がかかってくる。長曾我部の場合、取扱説明書渡しておけばきっとすぐに使えるようになるだろう。
「もしもし、チカ」
『うおぉ、和海か?どんな仕組みになってんだこりゃ。なかなか面白れぇカラクリじゃねえか!』
「あー…解体するなら自分でもう一台買ってね。それ解体されると、連絡付かなくなるから」
『おう、後でのんびり調べさせてもらうぜ。……こりゃいいな、声が聞こえるだけで大分安心できそうだ』
「それはよかった。それじゃそっち戻るよ」
電話を切って立ち上がると、調度竹中と鉢合わせた。
「なにか面白い道具を買ったようだね」
「ああ、遠距離でも連絡が取れる。けどものすごく高いのが問題でさ」
ポケットから新しいスマホを取り出して竹中に渡す。
「4台買うのが限界だった」
これ以上買ったら毛利の日輪に焼かれてしまう所だった。どうにか姉川の作戦を成功させて信者を増やさないと、何を言われるか…。
「そんなに買ったのかい…もしかして、これは貰ってもいいのかな?」
「ああ、持っててくれると嬉しい。一応1って所に俺の番号、2にはチカ、3には毛利の番号が入ってるから
なにか緊急の用事があれば連絡してくれ」
「今のような会話だけしかできないのかい?」
「取り扱い説明書も渡しておくよ。今みたいな会話意外に、文面を送ったり、映像や画像…って言ってもしっくりこないか。まぁなんか送ったりできるから勉強しておいて」
「初めて見たよ……ありがとう。これは戦の際に有利に働きそうだね」
この時代からしたら完全にオーバーテクノロジーだけど、まぁBASARAだからね。何でもありなんでしょう。
「これを買ったのは……元親君を不安にさせないためかい?」
「ああ、やっぱり竹中も気づいた?俺とチカはそれほど付き合いがある訳じゃないのに、妙に心配するんだよな」
「まぁ、分からなくもないかな……。理由は分からないけど、君を見ていると不安になるんだよ」
長曾我部と同じことを言ってる。
「……君は、気づいているかな?戦場にいるとき、瞳の色が変わって見えるんだよ」
「そんな馬鹿な!」
思わず声を荒げてしまった。いや、背中に紋が現れている以上、可笑しなことではないのかもしれない。
それなら戦場であれだけ戦えた理由に説明がつく。
「ふつうはあまりないだろうけど、BASARAの影響なのかな」
「…そう、何ですかね。自分の目は見ることができないので」
「そうだろうね。とにかく、無茶だけはしないように」
「分かりました」
頭を下げて、長宗我部の元へ戻ると取扱説明書を熟読していた。
「おう、ある程度使い方覚えたぜ」
「流石……じゃあlin●やろうか」
何故入っているのかわからないが、この調子だと他のSNSもありそう…。
「こいつは何を打てばいいんだ?」
「なんでもいいよ、電話するほどじゃないけど、なんか話したいかなって事でも送ってくれれば」
「おう、分かった」
……不思議だ。時々長宗我部が俺に向ける眼差しは親しい人へ向ける、愛情すら感じるときがある。
まるで以前からの知り合いのような、奇妙な感覚だ。
俺は、何か忘れているのだろうか?
――――――――
長曾我部が海へ向かい、俺も姉川へ向かう準備をしていた時だった。
「たのもー!」
前田慶次が……ザビー城に乗り込んできた。
「ちょっと、ちょっと、何の用だ!」
「ああ、俺の名前は前田慶次!島津のおっちゃんと力比べに。なんでも今はここに居るって聞いてきたんだ」
ああ…そういえば島津と前田は繋がりがあったんだった。
「そういう事か、いきなり敵襲かと思って驚いたぞ」
盛大にため息をつくと、前田はなつっこい笑顔を浮かべながら謝ってきた。
「そりゃ悪かった!で、おっちゃんと手合わせはできそうかい?」
「呼んでくるから待っててくれ……」
今は自主トレしてる頃じゃないかな。走って城の奥の方へ向かう。
「島津さんにお客さんですよー」
予想通り、屋敷の奥にある道場で剣を振るっていた。
「んん、おいに客?誰じゃ」
「前田慶次ですよ。力比べを希望しているみたいなんですけど―――ぉ?」
何故か城の入口の方が賑やかになってきた。前田が暴れているんだろうか?
なんとなく、嫌な予感がした。
「もう暴れとるんか?」
「……かも、しれないですね。すいません、先に戻って様子見てきます。後からコッチ来てくださいね」
走って戻るのも時間がかかる……紋が出て、力の一部が解放されているなら行けるか?
俺は建物の影の中へ飛び込んだ。目的地は前田慶次のいる場所。
ドプンと重く、絡みつく闇に身を沈める。次の瞬間、光に包まれ目標の少し上に移動が完了した。
嫌な予感は的中してしまった。
竹中と前田が剣を交えていたのだ。
「そこまでぇ!」
二人の間にヒーロー着地を決める。これ結構痛いな、普通に着地すればよかった…。
「和海…止めないでくれないか」
「アンタはさっきの―――」
再び武器を構えようとする竹中と俺を見て驚く前田。
「ここは俺の城だ、俺の許可なく戦闘は止めてくれ。修繕費を出す余裕はない!」
「まったく君は―――。いいだろう、今日のところは和海の顔を立ててあげよう」
「ありがとう、竹中」
完全に呆れた顔で俺を見ていたけど、まぁいい。戦闘が終わるならそれで。
「いま、この城の持ち主だって言ったのか?」
事態が飲み込めず、前田は城と俺を何度も見比べている。
「自己紹介が遅れたな、現在この城を管理している和海だ。よろしく」
前田に俺が手を差し出すと、竹中が何故か手を握った。
「和海、君は彼とよろしくする必要はない。むしろここで出会ったことも忘れてもいい」
「おい、何だよその言い草は!」
「和海は君と親しくなるような人間じゃない、豊臣と同盟中だ。この意味が分かるだろう」
「……なんで、豊臣となんか」
前田の表情が曇る。
「なんでって……強い…から?」
「どうしてそこで君は疑問を浮かべるんだい」
「いや、俺の方が強かったから。多分豊臣軍は強い?」
「うん、元親君もいないことだし、今晩はじーっくりと話をしようじゃないか。ねぇ和海?」
怖い怖い、笑顔が怖い!!
竹中の笑顔には恐怖が含まれている…。
「あ、そうだ。島津さんがこっちに向かっているんで、あなたは此処で待っていてください。
手合わせ、多分してくれると思いますよ」
話題をそらすために前田に話しかけると、にやりと悪い事を思いついたような笑顔を浮かべている。
「そんじゃ、島津のおっちゃんが来るまで相手をしてくれないかい?」
「……俺と?」
周りを見回すと、俺しかいないだろうという顔で前田と竹中に見られた。
「どうだい?いっちょ力試し」
「まぁ…でも得物持ってないな…」
前田の剣を素手で受けるのは少々骨が折れそうだ。
「僕の刀を使うといい。君はどんなものでも使えるんだろう?」
「あ、ありがとう。チカから聞いたのか?」
「まあ、そんな所だよ。さぁ、お手並み拝見と行こうかな」
ジャラリといくつもの関節を持つ独特の刀に少し困惑する。さすがに使ったことがなかったからだ。
「まぁ…なるようになるか」
「……へぇ、随分とまぶしい赤だ」
どうやら俺の目は今赤くなっているようだ。どれくらい赤いんだろう。
「そんじゃ、いくぜ!」
前田の剣は大きい分、小回りが苦手で隙が大きい。
こちらも鞭のように撓る分、戻りまでの時間が少しある。刀の軌道を覚えるまでなかなか扱いが難しいが、これはこれで面白い。
「君は楽しそうに戦うね」
「そうか?どんな顔しているかなんて、自分じゃ分からないからさ」
竹中に指摘されて苦笑いを浮かべた。この世界に来る前は意識して表情を作らないと、普段は無表情だからだ。
無意識で笑っているなんて知らなかった。
「いいね、いいね!いつか一緒に京へ行かないかい?
京には喧嘩祭りがあるんだ、賑やかだぜ!」
「それは楽しそうだ、竹中。行ってもいい?」
「姉川の件が片付いたら、考えてもいいよ」
それなら、早く事を済ませるべきだな。竹中の刀もだいぶ自由に扱えるようになってきたがこれで終わりだ。
前田の剣を弾き飛ばし、彼がバランスを崩したところを蹴り飛ばした。
「俺の勝ち、かな?」
「今の蹴り、効いたなぁ…。和海ってすごいんだな!」
負けたとしても前田は楽しそうだった。それもそうだろう。
竹中とは殺し合いでも、俺との殴り合いは技量試し。命はかかっていなのだから。
「これから島津さんと戦うんだろう?大丈夫か」
「まぁ、しばらくここに居ようと思ってるからさ。よろしく、和海」
「は?」
あっけらかんと笑っているが、俺の後ろですごい殺気立っている人がいる。
寒い、寒いよ…冷気を感じるけど、竹中の属性は闇でしたよね?氷じゃないよね?
「ま、まぁ…竹中。刀ありがとうね、ほら部屋に戻って話をしよう。なんか話あるって言ってたじゃん?」
「いいかい慶次君!くれぐれも問題を起こさないように、ここは和海の城だから、彼に従うように!
あと僕らの邪魔をするようなことは決してしないように!」
怒る竹中を抱きかかえて俺の部屋まで連れてきた。
「はぁ…はぁ…、疲れた」
「君は力もあるんだね」
「まぁ……それなりには。今は俺の目はどうなってます?」
「いつもの琥珀色だね」
道理で疲れるわけだ。
「……戦闘力が上がるのは、多分目の色が変わっているだけみたいだ」
「あまり戦が長引けば、力が使えなくなる可能性はあるね」
頷いた。その通りだ。
戦おうって自分で意識したタイミングでスイッチが入るようだが、それがいつまで続くのかは分からない。
戦以外ではこの攻撃力が上がるのは難しいようだ。
「それで…君は慶次君の滞在を許可するのかい?」
「一応許可するつもり。島津さんと話があるみたいだし、できたら手伝ってほしい事もあるんだ」
なんだか竹中の機嫌が悪くなったような気がするけど、気のせいだと思いたい。
「一体何をするつもりなのかな?」
「前田さんにはザビー教に入っていただき、全国回って布教してもらう予定です」
「……この頓智来な宗教を広めるって、本気かい?」
「本気ですよ、当然じゃないですか。信者が増えればお布施が増える。
領地侵略をせずに軍資金を増やす作戦ですよ!うっかり武将も信者になってくれたら儲けものでしょ」
はぁ~と盛大にため息をつかれた。
「そんなにうまくいくと思っているのかい?」
「でも、南の事は俺に任せてくれるんでしょう?」
「そうだね、それじゃあ君の作戦がうまくいくことを祈っているよ。
姉川の作戦が済み次第、僕らは大阪城へ戻る予定だ。君も一度、大阪城へ来てみるかい?」
大阪、たこ焼き…いやこの時代はないだろう。
「行ってみたい……あ、ちょっと実験に付き合ってほしいんだ。闇属性の竹中ならいける気がするんだよ」
「どういう事かな?」
「地図を見せてくれる。ここから大阪城までの地図」
竹中は疑問を浮かべながらも言った通り、日本地図を持ってきてくれて指をさしてこの辺だと教えてくれた。
大阪城の映像はゲーム上で見ているので、多分大丈夫だろう。
「把握した。竹中、申し訳ないんだけど俺に抱き着いてくれる?離れたら怖いから」
「……よくわからないけど、必要な事なんだね?」
「うん」
俺も竹中を落とさないように、しっかりと腕を回して抱きしめる。二人の足元には影が出来上がった。
「いざいかん!大阪城!」
言葉にすればあっという間だ。先ほど同様にドボンと闇に沈み、次の瞬間には大阪城前に無事に着地した。
「……これは」
「ここ大阪城であっているよね?」
「そうだね、ここは大阪城だ」
何が起きたかわからず驚いている竹中。俺も原理はよくわかんないから説明はできないや。でも陰に落ちるから多分闇属性用の何かじゃないかな?
「半兵衛様?いつお戻りになったのですか」
大阪城の方からハシビロコウに似た青年が走ってきた。
―――どこかで、会ったことがあるだろうか?
いや、知らないはずだ。
一瞬脳内に、何か思い出しかけた気がしたが気のせいのようだ。
「三成君、今しがた戻ってきたところだよ」
「秀吉様は…」
「まだ戻ってきていないんだ。和海……逆に、君の城へ戻ることもできるのかい?」
「大丈夫。場所さえわかれば移動できるみたいだ」
「貴様ぁ…半兵衛様に馴れ馴れしい!」
「彼はいいんだ、九州で同盟関係を結んだ和海だよ。
和海、彼は石田三成君。以後よろしくね」
「石田三成だ」
「あ、どうも。和海です、お世話になります」
俺が頭を下げると、すっと手を差し出された。握手という事だろうか?
そういうことするタイプには見えなかったんだけど。
差し出された手を握ると力づよつ捕まれ引き寄せられた。
「いいか、半兵衛様や秀吉様を裏切るような真似は決して許さない」
「……極力努力します」
「遵守しろ!できぬなら死ね!」
……こわい、このハシビロコウ怖い…。
「まぁまぁ。……すまない、秀吉をこちらに連れてきてもらえないかな?」
コクコク頷いて、俺は早々にこの場所から逃げ出した。いや、だって今すぐにも切り殺してきそうなんだもん。
ザビー城へ戻り、部屋で仕事をしてた豊臣に声をかける。
先ほど竹中を大阪城に送り届けたので、今度は豊臣を送ると話したが信じてもらえなかった。
「本当だって、今大阪いって帰ってきたんだってば!」
「そのようなことが出来るはずないだろう」
「できるんだってば。よし、こうなったら実力行使だ」
豊臣の足にしがみ付いて俺は同じように足元の影に飛び込んだ。
竹中に比べると重いからなのか、大阪城への落下速度は比ではなくかなりの勢いで、俺の足が折れるんじゃないかと痛みで震えた。
「秀吉様!」
殺気だっていたハシビロコウはなんだかすごくご機嫌になっていた。
「…それじゃあ俺帰ります。なんかあったら、竹中電話して」
「ああ、君も気を付けて」
……姉川の準備もしなきゃいけないのに、疲れた。
やっぱり出発日、1日ぐらいずらしちゃダメかな……。
「大丈夫、作戦も問題ないってことになったから安心してくれ」
本日すでに10回目のやり取り
「っていうかさ、俺ってそんなに心配になる?俺の実力はもう認めてくれたもんだと思ってたんだけど、そんなに信用無い?」
流石にイライラしてきたぞ。
「……いや、和海の実力は十分わかっちゃいるんだが…」
何か言いたそうだが、あーとかその、なんて言い淀んでばかりでなかなか答えがない。
「とにかく、なんか心配なんだ。目の届く範囲にいないと、アンタ消えちまいそうなんだよ」
「え…俺ってそんな儚い雰囲気醸し出してた?」
「いや、まったく。ただ……漠然とした不安を感じることはある」
不思議な事を言う。まぁ確かに、俺はこの世界の存在じゃないだろうから消える可能性はある。
野生の感みたいなものだろう。
「……そんなに不安なら、これ」
「なんだ?手形ってわけじゃねえな」
「バサラ屋で見かけたんだよ。スマホだ、これで遠方でも連絡が取れる」
なんでこんなものが売っているのか本当に疑問だが、まぁ売っていたのだから買ってしまった。なかなかいい値段だったが、心配性な長曾我部にはちょうどいいだろう。
「こんなもんでどうやって連絡するんだよ」
「ここを押すと電源が入って、色々あるけど……とりあえずこの1っていうのを押せ。俺の電話番号登録しておいた」
「これを押すとどうなるんだ」
「俺のスマホに電話がつながる。ちょっと俺が離れるから、電話してみろ」
走って肉声が聞こえない程度まで距離を取る。早速電話がかかってくる。長曾我部の場合、取扱説明書渡しておけばきっとすぐに使えるようになるだろう。
「もしもし、チカ」
『うおぉ、和海か?どんな仕組みになってんだこりゃ。なかなか面白れぇカラクリじゃねえか!』
「あー…解体するなら自分でもう一台買ってね。それ解体されると、連絡付かなくなるから」
『おう、後でのんびり調べさせてもらうぜ。……こりゃいいな、声が聞こえるだけで大分安心できそうだ』
「それはよかった。それじゃそっち戻るよ」
電話を切って立ち上がると、調度竹中と鉢合わせた。
「なにか面白い道具を買ったようだね」
「ああ、遠距離でも連絡が取れる。けどものすごく高いのが問題でさ」
ポケットから新しいスマホを取り出して竹中に渡す。
「4台買うのが限界だった」
これ以上買ったら毛利の日輪に焼かれてしまう所だった。どうにか姉川の作戦を成功させて信者を増やさないと、何を言われるか…。
「そんなに買ったのかい…もしかして、これは貰ってもいいのかな?」
「ああ、持っててくれると嬉しい。一応1って所に俺の番号、2にはチカ、3には毛利の番号が入ってるから
なにか緊急の用事があれば連絡してくれ」
「今のような会話だけしかできないのかい?」
「取り扱い説明書も渡しておくよ。今みたいな会話意外に、文面を送ったり、映像や画像…って言ってもしっくりこないか。まぁなんか送ったりできるから勉強しておいて」
「初めて見たよ……ありがとう。これは戦の際に有利に働きそうだね」
この時代からしたら完全にオーバーテクノロジーだけど、まぁBASARAだからね。何でもありなんでしょう。
「これを買ったのは……元親君を不安にさせないためかい?」
「ああ、やっぱり竹中も気づいた?俺とチカはそれほど付き合いがある訳じゃないのに、妙に心配するんだよな」
「まぁ、分からなくもないかな……。理由は分からないけど、君を見ていると不安になるんだよ」
長曾我部と同じことを言ってる。
「……君は、気づいているかな?戦場にいるとき、瞳の色が変わって見えるんだよ」
「そんな馬鹿な!」
思わず声を荒げてしまった。いや、背中に紋が現れている以上、可笑しなことではないのかもしれない。
それなら戦場であれだけ戦えた理由に説明がつく。
「ふつうはあまりないだろうけど、BASARAの影響なのかな」
「…そう、何ですかね。自分の目は見ることができないので」
「そうだろうね。とにかく、無茶だけはしないように」
「分かりました」
頭を下げて、長宗我部の元へ戻ると取扱説明書を熟読していた。
「おう、ある程度使い方覚えたぜ」
「流石……じゃあlin●やろうか」
何故入っているのかわからないが、この調子だと他のSNSもありそう…。
「こいつは何を打てばいいんだ?」
「なんでもいいよ、電話するほどじゃないけど、なんか話したいかなって事でも送ってくれれば」
「おう、分かった」
……不思議だ。時々長宗我部が俺に向ける眼差しは親しい人へ向ける、愛情すら感じるときがある。
まるで以前からの知り合いのような、奇妙な感覚だ。
俺は、何か忘れているのだろうか?
――――――――
長曾我部が海へ向かい、俺も姉川へ向かう準備をしていた時だった。
「たのもー!」
前田慶次が……ザビー城に乗り込んできた。
「ちょっと、ちょっと、何の用だ!」
「ああ、俺の名前は前田慶次!島津のおっちゃんと力比べに。なんでも今はここに居るって聞いてきたんだ」
ああ…そういえば島津と前田は繋がりがあったんだった。
「そういう事か、いきなり敵襲かと思って驚いたぞ」
盛大にため息をつくと、前田はなつっこい笑顔を浮かべながら謝ってきた。
「そりゃ悪かった!で、おっちゃんと手合わせはできそうかい?」
「呼んでくるから待っててくれ……」
今は自主トレしてる頃じゃないかな。走って城の奥の方へ向かう。
「島津さんにお客さんですよー」
予想通り、屋敷の奥にある道場で剣を振るっていた。
「んん、おいに客?誰じゃ」
「前田慶次ですよ。力比べを希望しているみたいなんですけど―――ぉ?」
何故か城の入口の方が賑やかになってきた。前田が暴れているんだろうか?
なんとなく、嫌な予感がした。
「もう暴れとるんか?」
「……かも、しれないですね。すいません、先に戻って様子見てきます。後からコッチ来てくださいね」
走って戻るのも時間がかかる……紋が出て、力の一部が解放されているなら行けるか?
俺は建物の影の中へ飛び込んだ。目的地は前田慶次のいる場所。
ドプンと重く、絡みつく闇に身を沈める。次の瞬間、光に包まれ目標の少し上に移動が完了した。
嫌な予感は的中してしまった。
竹中と前田が剣を交えていたのだ。
「そこまでぇ!」
二人の間にヒーロー着地を決める。これ結構痛いな、普通に着地すればよかった…。
「和海…止めないでくれないか」
「アンタはさっきの―――」
再び武器を構えようとする竹中と俺を見て驚く前田。
「ここは俺の城だ、俺の許可なく戦闘は止めてくれ。修繕費を出す余裕はない!」
「まったく君は―――。いいだろう、今日のところは和海の顔を立ててあげよう」
「ありがとう、竹中」
完全に呆れた顔で俺を見ていたけど、まぁいい。戦闘が終わるならそれで。
「いま、この城の持ち主だって言ったのか?」
事態が飲み込めず、前田は城と俺を何度も見比べている。
「自己紹介が遅れたな、現在この城を管理している和海だ。よろしく」
前田に俺が手を差し出すと、竹中が何故か手を握った。
「和海、君は彼とよろしくする必要はない。むしろここで出会ったことも忘れてもいい」
「おい、何だよその言い草は!」
「和海は君と親しくなるような人間じゃない、豊臣と同盟中だ。この意味が分かるだろう」
「……なんで、豊臣となんか」
前田の表情が曇る。
「なんでって……強い…から?」
「どうしてそこで君は疑問を浮かべるんだい」
「いや、俺の方が強かったから。多分豊臣軍は強い?」
「うん、元親君もいないことだし、今晩はじーっくりと話をしようじゃないか。ねぇ和海?」
怖い怖い、笑顔が怖い!!
竹中の笑顔には恐怖が含まれている…。
「あ、そうだ。島津さんがこっちに向かっているんで、あなたは此処で待っていてください。
手合わせ、多分してくれると思いますよ」
話題をそらすために前田に話しかけると、にやりと悪い事を思いついたような笑顔を浮かべている。
「そんじゃ、島津のおっちゃんが来るまで相手をしてくれないかい?」
「……俺と?」
周りを見回すと、俺しかいないだろうという顔で前田と竹中に見られた。
「どうだい?いっちょ力試し」
「まぁ…でも得物持ってないな…」
前田の剣を素手で受けるのは少々骨が折れそうだ。
「僕の刀を使うといい。君はどんなものでも使えるんだろう?」
「あ、ありがとう。チカから聞いたのか?」
「まあ、そんな所だよ。さぁ、お手並み拝見と行こうかな」
ジャラリといくつもの関節を持つ独特の刀に少し困惑する。さすがに使ったことがなかったからだ。
「まぁ…なるようになるか」
「……へぇ、随分とまぶしい赤だ」
どうやら俺の目は今赤くなっているようだ。どれくらい赤いんだろう。
「そんじゃ、いくぜ!」
前田の剣は大きい分、小回りが苦手で隙が大きい。
こちらも鞭のように撓る分、戻りまでの時間が少しある。刀の軌道を覚えるまでなかなか扱いが難しいが、これはこれで面白い。
「君は楽しそうに戦うね」
「そうか?どんな顔しているかなんて、自分じゃ分からないからさ」
竹中に指摘されて苦笑いを浮かべた。この世界に来る前は意識して表情を作らないと、普段は無表情だからだ。
無意識で笑っているなんて知らなかった。
「いいね、いいね!いつか一緒に京へ行かないかい?
京には喧嘩祭りがあるんだ、賑やかだぜ!」
「それは楽しそうだ、竹中。行ってもいい?」
「姉川の件が片付いたら、考えてもいいよ」
それなら、早く事を済ませるべきだな。竹中の刀もだいぶ自由に扱えるようになってきたがこれで終わりだ。
前田の剣を弾き飛ばし、彼がバランスを崩したところを蹴り飛ばした。
「俺の勝ち、かな?」
「今の蹴り、効いたなぁ…。和海ってすごいんだな!」
負けたとしても前田は楽しそうだった。それもそうだろう。
竹中とは殺し合いでも、俺との殴り合いは技量試し。命はかかっていなのだから。
「これから島津さんと戦うんだろう?大丈夫か」
「まぁ、しばらくここに居ようと思ってるからさ。よろしく、和海」
「は?」
あっけらかんと笑っているが、俺の後ろですごい殺気立っている人がいる。
寒い、寒いよ…冷気を感じるけど、竹中の属性は闇でしたよね?氷じゃないよね?
「ま、まぁ…竹中。刀ありがとうね、ほら部屋に戻って話をしよう。なんか話あるって言ってたじゃん?」
「いいかい慶次君!くれぐれも問題を起こさないように、ここは和海の城だから、彼に従うように!
あと僕らの邪魔をするようなことは決してしないように!」
怒る竹中を抱きかかえて俺の部屋まで連れてきた。
「はぁ…はぁ…、疲れた」
「君は力もあるんだね」
「まぁ……それなりには。今は俺の目はどうなってます?」
「いつもの琥珀色だね」
道理で疲れるわけだ。
「……戦闘力が上がるのは、多分目の色が変わっているだけみたいだ」
「あまり戦が長引けば、力が使えなくなる可能性はあるね」
頷いた。その通りだ。
戦おうって自分で意識したタイミングでスイッチが入るようだが、それがいつまで続くのかは分からない。
戦以外ではこの攻撃力が上がるのは難しいようだ。
「それで…君は慶次君の滞在を許可するのかい?」
「一応許可するつもり。島津さんと話があるみたいだし、できたら手伝ってほしい事もあるんだ」
なんだか竹中の機嫌が悪くなったような気がするけど、気のせいだと思いたい。
「一体何をするつもりなのかな?」
「前田さんにはザビー教に入っていただき、全国回って布教してもらう予定です」
「……この頓智来な宗教を広めるって、本気かい?」
「本気ですよ、当然じゃないですか。信者が増えればお布施が増える。
領地侵略をせずに軍資金を増やす作戦ですよ!うっかり武将も信者になってくれたら儲けものでしょ」
はぁ~と盛大にため息をつかれた。
「そんなにうまくいくと思っているのかい?」
「でも、南の事は俺に任せてくれるんでしょう?」
「そうだね、それじゃあ君の作戦がうまくいくことを祈っているよ。
姉川の作戦が済み次第、僕らは大阪城へ戻る予定だ。君も一度、大阪城へ来てみるかい?」
大阪、たこ焼き…いやこの時代はないだろう。
「行ってみたい……あ、ちょっと実験に付き合ってほしいんだ。闇属性の竹中ならいける気がするんだよ」
「どういう事かな?」
「地図を見せてくれる。ここから大阪城までの地図」
竹中は疑問を浮かべながらも言った通り、日本地図を持ってきてくれて指をさしてこの辺だと教えてくれた。
大阪城の映像はゲーム上で見ているので、多分大丈夫だろう。
「把握した。竹中、申し訳ないんだけど俺に抱き着いてくれる?離れたら怖いから」
「……よくわからないけど、必要な事なんだね?」
「うん」
俺も竹中を落とさないように、しっかりと腕を回して抱きしめる。二人の足元には影が出来上がった。
「いざいかん!大阪城!」
言葉にすればあっという間だ。先ほど同様にドボンと闇に沈み、次の瞬間には大阪城前に無事に着地した。
「……これは」
「ここ大阪城であっているよね?」
「そうだね、ここは大阪城だ」
何が起きたかわからず驚いている竹中。俺も原理はよくわかんないから説明はできないや。でも陰に落ちるから多分闇属性用の何かじゃないかな?
「半兵衛様?いつお戻りになったのですか」
大阪城の方からハシビロコウに似た青年が走ってきた。
―――どこかで、会ったことがあるだろうか?
いや、知らないはずだ。
一瞬脳内に、何か思い出しかけた気がしたが気のせいのようだ。
「三成君、今しがた戻ってきたところだよ」
「秀吉様は…」
「まだ戻ってきていないんだ。和海……逆に、君の城へ戻ることもできるのかい?」
「大丈夫。場所さえわかれば移動できるみたいだ」
「貴様ぁ…半兵衛様に馴れ馴れしい!」
「彼はいいんだ、九州で同盟関係を結んだ和海だよ。
和海、彼は石田三成君。以後よろしくね」
「石田三成だ」
「あ、どうも。和海です、お世話になります」
俺が頭を下げると、すっと手を差し出された。握手という事だろうか?
そういうことするタイプには見えなかったんだけど。
差し出された手を握ると力づよつ捕まれ引き寄せられた。
「いいか、半兵衛様や秀吉様を裏切るような真似は決して許さない」
「……極力努力します」
「遵守しろ!できぬなら死ね!」
……こわい、このハシビロコウ怖い…。
「まぁまぁ。……すまない、秀吉をこちらに連れてきてもらえないかな?」
コクコク頷いて、俺は早々にこの場所から逃げ出した。いや、だって今すぐにも切り殺してきそうなんだもん。
ザビー城へ戻り、部屋で仕事をしてた豊臣に声をかける。
先ほど竹中を大阪城に送り届けたので、今度は豊臣を送ると話したが信じてもらえなかった。
「本当だって、今大阪いって帰ってきたんだってば!」
「そのようなことが出来るはずないだろう」
「できるんだってば。よし、こうなったら実力行使だ」
豊臣の足にしがみ付いて俺は同じように足元の影に飛び込んだ。
竹中に比べると重いからなのか、大阪城への落下速度は比ではなくかなりの勢いで、俺の足が折れるんじゃないかと痛みで震えた。
「秀吉様!」
殺気だっていたハシビロコウはなんだかすごくご機嫌になっていた。
「…それじゃあ俺帰ります。なんかあったら、竹中電話して」
「ああ、君も気を付けて」
……姉川の準備もしなきゃいけないのに、疲れた。
やっぱり出発日、1日ぐらいずらしちゃダメかな……。