朝起きたら武将が部屋に居たんだがどうしたらいい
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「一人を特別扱いするとこうなる事くらい想像つかないのか?」
「―――まさか、ここまで問題になるとは思わないじゃないですか」
勝ち誇る毛利と佐助。ほかのメンバーを騒ぐ声。
正座させられた私は遠い目で床を眺めた。
「…こうなったら夕食はどこかに食べに行きませんか、代金は私が出しますから」
「そういう問題じゃない……。この時代に来たばかりに奴らがまともに店で飲食できると思うか?」
政宗様は除くぞ、と主である伊達は特別扱いする景綱兄ちゃんに苦笑してしまった。
「出かけるのは明日にする。今晩はキッチリと常識を叩きこんでおく。
悪いが、和海がいると話が脱線するから自室へ戻っていてもらえるか?」
「うん、そうだね。私がまた叫びだしても困るもんね」
夕食を私は一人で食べる事になりそうだ。
昼が賑やかだっただけに、部屋に戻るとひどく寂しさを感じる。
そんなんじゃ困るよ、いずれみんなは元の世界に帰るはずだし、そうしたらまたこの部屋で私は一人なんだから。
「うん、パーっと一人焼肉でも行こうかな!」
カバンを手に取って家を出ると、ちょうど風間さんが帰ってきたところだった。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様です。あれ…どこかに出かけるのかな?」
これから夕食を食べに行くと伝えると、少し考えた後に風間さんも夕食がまだなので、一緒に行かないかと誘ってくれた。
「その…仕事場の人間との食事とか、気が進まないよね」
提案したが不安になったのか、だんだん声が小さくなる風間さんに笑ってしまった。なんだか可愛い姿に、ちょっときゅんとしてしまったのは内緒だ。
「いいえ、行きましょう。できたら先輩のおすすめのお店教えてください」
こうして私は風間さんと食事に行くことになったのだが、これがまた後で騒ぎの元になるなんて誰が思うでしょうか。
風間さんは家から割と近い場所にある、オシャレなバルを教えてくれた。値段も高すぎず、味の良さと訪れやすさを加味したらなんかすごいお得な気がしてくる。
家の傍にこんないいお店があったなんて知らなかったな。それよりも先輩の私服初めて見たかもしれない。
モノクロカラーでまとめたシンプルなファッションなのに、なんだろう、モデルさんみたい。
あれだ、どんなブランドものだろうと着る人が悪いとダサく見えて、かっこいい人が着ればし●むらファッションもすごくかっこよくなるってあれだ。
でも、しま●らも結構いいデザインあるよね…?
「先輩って、こういうお店に来ることあるんですね」
「…以外だった?」
うん、仕事中も感じていたけど、先輩ってちょっと子犬っぽい動きすることあるよね。時々かわいさを見せてくる……。だけどあざとくない、すごい!
「あ、はい。もうちょっと高めのお店で、静かにウイスキーとか飲んでるイメージでした」
「ウイスキーより日本酒の方が好きだから、同僚と居酒屋とかも行くよ」
お酒を飲んでいるからなのか、今日は少し先輩の口数が多い気がする。それとも、私に気を使って沢山お話してくれているのかな。
「居酒屋もいいですよね。あ、それじゃあ今度は私がおすすめの居酒屋紹介しますね!」
「…それは……、うん。ありがとう。楽しみにしているよ」
あれ……あれ?私ってば、何気なく次のお出かけのお誘いをしてしまった?
風間さんも驚いちゃっている。だよね、今まで仕事でしか付き合い無いお隣さんがぐいぐい行き過ぎたかな!?
気恥ずかしさを隠すように私はお酒を飲むペースが上がってしまった……。
* * * * *
「和海さん、歩けますか?」
「らいじょーぶれーす」
いつもより早いペースで酒を飲んだ和海はすっかり酔っぱらい、自力で歩くことは出来なくなっていた。
風間は彼女に肩を貸し、店を後にした。
タクシーを呼ぶほどの距離ではないが、足に力の入っていない彼女を歩かせる訳にもいかず、和海を背負って帰ることにした。
「ふぁぁ!しぇんぱーいってちからもちでしゅねー!」
おんぶされて、和海はご機嫌だった。
「ふふふ…むかしはよく、こたにぃにって人におぶってもらったんですよ。こんな私の事をおひいさまって大事にしてくれて……会いたいなぁ」
過去を語る和海に風間は思わず笑みがこぼれた。
「和海さんの御兄さんですか?」
「うーうん。違うよぉ、でもそんな感じの人。それよりも素敵な人だったなぁ……きっとすごく素敵な男性になってるんだろうなぁ…ぐぅ…」
風間の背に安心感を覚え、和海はすっかり眠ってしまった。
安心されることに嬉しさを覚えつつも、自分は男として全く意識されていないんだなと少しもの悲しさも覚えつつ和海の家に向かった。
女性の部屋に勝手に入る事はよくないが、起きないからと言って自分の部屋に連れ込む方がまずいような気がして、風間は一応寝ている和海に声を掛けて入室の許可を取った。
「おっけぇ~でーす」
恐らく分かっていないだろうが、一応家主が許可をしたのだからと部屋に入りベッドの上に彼女を寝かせた。
「う、ううーん?つべたい?」
先ほどまで人肌で暖を取っていた和海にとって、ベッドは冷たく感じたようだ。
「和海さん、ここは貴方の部屋です。酔っていたので、貴方のベッドに寝かせました」
「りょうかいれす!」
のそのそと体を起こし、近くに居た風間に抱き着いて、頬にキスをした。
「いつもありがとね、こたにぃに。今度は、いきなりいなくならないでね」
ふにゃりと笑うと、そのまま和海はベッドに倒れて本格的に寝入ってしまった。
「こたにぃになんて呼び方……久しぶりですね、お姫様」
小さいころの和海は親愛の証として、よく親しい人の頬にキスをしていた。海外ドラマの影響だろう。
風間もそっと、彼女の頬に―――そう思った時、首筋に冷たいものが触れた。
現代日本ではそう経験することのない感触だが、風間はいたって冷静だった。すっと身をひるがえし、相手のクナイを奪い、逆に首筋に突き付けた。
「ハハッ、やっぱり風魔の旦那か」
おどけた態度を見せるのは、今朝突然和海の部屋から現れた猿飛佐助。
風間…いや風魔は猿飛を睨みつけた。
「いつからこの時代に?つい最近って感じじゃないだろ、随分と彼女に好かれているようで」
話す気が無いという意味で、クナイを握る手に力が籠る。
「おいおい、流石にここで俺様を殺すのはまずくない?今日一日だけど、この時代で生きてみてわかったよ、死体の処理は骨が折れるでしょ?」
「―――何の用だ」
「おお、旦那の声って初めて聴いたかも。まぁ、俺様は頼まれて和海を呼びに来ただけだよ。
寝ちゃっているから、このまま帰るつもりだけどね。それにしても、こうなってくるとちょっと怖いなぁ」
佐助は大げさに肩をすくめる。
「和海ちゃんが気づいていない、もしくは出会っていないだけで居るんじゃないの?俺らの生まれ変わりがさ―――」
そんな事は知らないとでも言いたげに風魔は首を振って、手にしていたクナイを佐助に返した。
「あれ、返してくれるの?」
それ以上会話をする気が無い風魔は部屋を出て行った。
「お姫様ねぇ……まさか、風魔の旦那にも人間らしい所があったんだねぇ」
転生したからなのか、それにしては武器の扱いに慣れていたよな……と。知識だけでどうにかなる動きではないと思うが、転生経験があるわけではないので佐助には分からない。
「ちょっと片倉の旦那に聞いてみようかね」
佐助は和海の部屋の戸締りをして、部屋を後にした。
翌朝、和海は風間の頬にキスしたことを思い出して声にならない悲鳴を上げていた。
「―――まさか、ここまで問題になるとは思わないじゃないですか」
勝ち誇る毛利と佐助。ほかのメンバーを騒ぐ声。
正座させられた私は遠い目で床を眺めた。
「…こうなったら夕食はどこかに食べに行きませんか、代金は私が出しますから」
「そういう問題じゃない……。この時代に来たばかりに奴らがまともに店で飲食できると思うか?」
政宗様は除くぞ、と主である伊達は特別扱いする景綱兄ちゃんに苦笑してしまった。
「出かけるのは明日にする。今晩はキッチリと常識を叩きこんでおく。
悪いが、和海がいると話が脱線するから自室へ戻っていてもらえるか?」
「うん、そうだね。私がまた叫びだしても困るもんね」
夕食を私は一人で食べる事になりそうだ。
昼が賑やかだっただけに、部屋に戻るとひどく寂しさを感じる。
そんなんじゃ困るよ、いずれみんなは元の世界に帰るはずだし、そうしたらまたこの部屋で私は一人なんだから。
「うん、パーっと一人焼肉でも行こうかな!」
カバンを手に取って家を出ると、ちょうど風間さんが帰ってきたところだった。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様です。あれ…どこかに出かけるのかな?」
これから夕食を食べに行くと伝えると、少し考えた後に風間さんも夕食がまだなので、一緒に行かないかと誘ってくれた。
「その…仕事場の人間との食事とか、気が進まないよね」
提案したが不安になったのか、だんだん声が小さくなる風間さんに笑ってしまった。なんだか可愛い姿に、ちょっときゅんとしてしまったのは内緒だ。
「いいえ、行きましょう。できたら先輩のおすすめのお店教えてください」
こうして私は風間さんと食事に行くことになったのだが、これがまた後で騒ぎの元になるなんて誰が思うでしょうか。
風間さんは家から割と近い場所にある、オシャレなバルを教えてくれた。値段も高すぎず、味の良さと訪れやすさを加味したらなんかすごいお得な気がしてくる。
家の傍にこんないいお店があったなんて知らなかったな。それよりも先輩の私服初めて見たかもしれない。
モノクロカラーでまとめたシンプルなファッションなのに、なんだろう、モデルさんみたい。
あれだ、どんなブランドものだろうと着る人が悪いとダサく見えて、かっこいい人が着ればし●むらファッションもすごくかっこよくなるってあれだ。
でも、しま●らも結構いいデザインあるよね…?
「先輩って、こういうお店に来ることあるんですね」
「…以外だった?」
うん、仕事中も感じていたけど、先輩ってちょっと子犬っぽい動きすることあるよね。時々かわいさを見せてくる……。だけどあざとくない、すごい!
「あ、はい。もうちょっと高めのお店で、静かにウイスキーとか飲んでるイメージでした」
「ウイスキーより日本酒の方が好きだから、同僚と居酒屋とかも行くよ」
お酒を飲んでいるからなのか、今日は少し先輩の口数が多い気がする。それとも、私に気を使って沢山お話してくれているのかな。
「居酒屋もいいですよね。あ、それじゃあ今度は私がおすすめの居酒屋紹介しますね!」
「…それは……、うん。ありがとう。楽しみにしているよ」
あれ……あれ?私ってば、何気なく次のお出かけのお誘いをしてしまった?
風間さんも驚いちゃっている。だよね、今まで仕事でしか付き合い無いお隣さんがぐいぐい行き過ぎたかな!?
気恥ずかしさを隠すように私はお酒を飲むペースが上がってしまった……。
* * * * *
「和海さん、歩けますか?」
「らいじょーぶれーす」
いつもより早いペースで酒を飲んだ和海はすっかり酔っぱらい、自力で歩くことは出来なくなっていた。
風間は彼女に肩を貸し、店を後にした。
タクシーを呼ぶほどの距離ではないが、足に力の入っていない彼女を歩かせる訳にもいかず、和海を背負って帰ることにした。
「ふぁぁ!しぇんぱーいってちからもちでしゅねー!」
おんぶされて、和海はご機嫌だった。
「ふふふ…むかしはよく、こたにぃにって人におぶってもらったんですよ。こんな私の事をおひいさまって大事にしてくれて……会いたいなぁ」
過去を語る和海に風間は思わず笑みがこぼれた。
「和海さんの御兄さんですか?」
「うーうん。違うよぉ、でもそんな感じの人。それよりも素敵な人だったなぁ……きっとすごく素敵な男性になってるんだろうなぁ…ぐぅ…」
風間の背に安心感を覚え、和海はすっかり眠ってしまった。
安心されることに嬉しさを覚えつつも、自分は男として全く意識されていないんだなと少しもの悲しさも覚えつつ和海の家に向かった。
女性の部屋に勝手に入る事はよくないが、起きないからと言って自分の部屋に連れ込む方がまずいような気がして、風間は一応寝ている和海に声を掛けて入室の許可を取った。
「おっけぇ~でーす」
恐らく分かっていないだろうが、一応家主が許可をしたのだからと部屋に入りベッドの上に彼女を寝かせた。
「う、ううーん?つべたい?」
先ほどまで人肌で暖を取っていた和海にとって、ベッドは冷たく感じたようだ。
「和海さん、ここは貴方の部屋です。酔っていたので、貴方のベッドに寝かせました」
「りょうかいれす!」
のそのそと体を起こし、近くに居た風間に抱き着いて、頬にキスをした。
「いつもありがとね、こたにぃに。今度は、いきなりいなくならないでね」
ふにゃりと笑うと、そのまま和海はベッドに倒れて本格的に寝入ってしまった。
「こたにぃになんて呼び方……久しぶりですね、お姫様」
小さいころの和海は親愛の証として、よく親しい人の頬にキスをしていた。海外ドラマの影響だろう。
風間もそっと、彼女の頬に―――そう思った時、首筋に冷たいものが触れた。
現代日本ではそう経験することのない感触だが、風間はいたって冷静だった。すっと身をひるがえし、相手のクナイを奪い、逆に首筋に突き付けた。
「ハハッ、やっぱり風魔の旦那か」
おどけた態度を見せるのは、今朝突然和海の部屋から現れた猿飛佐助。
風間…いや風魔は猿飛を睨みつけた。
「いつからこの時代に?つい最近って感じじゃないだろ、随分と彼女に好かれているようで」
話す気が無いという意味で、クナイを握る手に力が籠る。
「おいおい、流石にここで俺様を殺すのはまずくない?今日一日だけど、この時代で生きてみてわかったよ、死体の処理は骨が折れるでしょ?」
「―――何の用だ」
「おお、旦那の声って初めて聴いたかも。まぁ、俺様は頼まれて和海を呼びに来ただけだよ。
寝ちゃっているから、このまま帰るつもりだけどね。それにしても、こうなってくるとちょっと怖いなぁ」
佐助は大げさに肩をすくめる。
「和海ちゃんが気づいていない、もしくは出会っていないだけで居るんじゃないの?俺らの生まれ変わりがさ―――」
そんな事は知らないとでも言いたげに風魔は首を振って、手にしていたクナイを佐助に返した。
「あれ、返してくれるの?」
それ以上会話をする気が無い風魔は部屋を出て行った。
「お姫様ねぇ……まさか、風魔の旦那にも人間らしい所があったんだねぇ」
転生したからなのか、それにしては武器の扱いに慣れていたよな……と。知識だけでどうにかなる動きではないと思うが、転生経験があるわけではないので佐助には分からない。
「ちょっと片倉の旦那に聞いてみようかね」
佐助は和海の部屋の戸締りをして、部屋を後にした。
翌朝、和海は風間の頬にキスしたことを思い出して声にならない悲鳴を上げていた。