天下統一計画(仮)
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俺はいるだけで問題を巻き起こすのだろうか?
それとも問題が俺を追いかけてくるのだろうか?
「どうした、喜びたまえ。こうして卿に会いに来たのだから」
爆炎と共に大阪城に乗り込んできたのは松永だった。
今日は大阪城で一泊という事で、夕食までの間城下を見て回ることにした。
そういえばこうして戦場以外の場所を歩き回るのは初めてなのではないだろうか。
竹中は誰か護衛を付けろと言ったが、石田は失神中だし刑部はその看病。
豊臣軍の総対象である豊臣連れて行くわけにもいかないし、当然竹中だって駄目だ。
結局一人でふらふらしている。
すれ違う人たちは俺をチラチラ見ながら何かささやいている。
なんだよ、色物なら豊臣軍で見慣れているだろうが。少々やさぐれた心持ちのまま見慣れない街中を眺めていた。
「……あれ?」
ふと視界の端に映った男。確証はないが……あれは風魔じゃないのか?
気になり俺は男の後を追いかけた。小道に逃げ込まれ、ついていった先は人気のない袋小路。
「やっぱり」
特徴のない一般人のような装いだったが、逃げられないと思ったのか
隠す気が無くなったのか、いつもの装いに姿を変えた。
「仕事?それとも、観光?」
懐に手を伸ばすので、思わず身構えるが風魔が取り出したのは手紙だった。
北条からの手紙を渡すために来たという。一応同盟関係成立に関する書類だ。
うん、そういう手続きとか一切何もしてなかったからな。そっか、こういうもの必要なんだな。
後で竹中にも共有しておこう。
「しかし、俺がここに居るってよく分かりましたね」
ジェスチャーでスマホを元に居場所を割り出したと伝えてくれた。
なんか黒田のスマホ使ってGPSで場所分かるらしい。なんだろう…この世界はもう衛星が飛んでるのか。
って事は今、風魔が黒田のスマホ持っているのか?
なんでも俺が大阪城にいることが分かった時点で、それはもう全速力でここまで走ってきたそうです。
伝説の忍びってすごいね。
「とりあえず、書類は受け取りました。ありがとうございます」
礼を述べると、あっという間に風魔は姿を消した。
とりあえずこんな重要なものをもっていつまでもふらふらしているのはまずい。
観光はここまで。城に戻って竹中へ同盟締結の書類を見せていた。
そして吹き飛ばされる城門。
「どうやって俺の場所が?」
「私には優秀な忍びがいてね」
―――風魔か。そうか、たしか傭兵だから松永の仕事を受けることもあったんだよな。
「どうした、喜びたまえ。こうして卿に会いに来たのだから。
私の行方を追っていたのだろう?」
「いや、まぁ…そうなんだけどさ。探す手間は省けたけど、城門壊さないでほしかったなぁ……」
後で怒られるの多分俺だもん。
兵たちを傍に控えさせてはいるが、松永には近づかない様に指示を出している。
俺みたいに花火にされたら困るからね。
「今更ながら私に付こうという気になってくれたかね?」
「その辺含めて聞きたいんだよね。アンタ俺を知っているようだけど、俺はアンタとの関係性が分からない。
かすかに、アンタに過去を盗まれたような感じの事を言われたのだけは覚えている」
そう伝えると松永は顔を片手で覆って笑っていた。
「それは失礼した。なら竜の宝をもらいに行った際になぜ吹き飛ばされたか分からない訳か」
「そうだよ、いきなり吹き飛ばされて驚いたんだからな!見ろよこの髪色!焦げたの原因だからな!」
いや、本当に焦げたのが原因かは分からないけど、理由の可能性としてはあるだろう。
俺が話をしたがっていたのを知っているから豊臣軍は誰も出てこない。いや実にありがたい。
内容的にはあまり聞いてほしくないことも言うかもしれないからな。
「卿には何度か私に付くように勧誘していてね、ほとんどが断られていたよ。
忠義を尽くすに値しないとね……。だから卿からは忠義を奪ってみたが……あまり変わらなかったよ」
「だから今度は過去を奪ったのか?」
「あれは君の希望だ、自由を望む、過去の柵を捨てたいとね。そうしたら私のもとへ付くと言ったのは君だ」
なるほど。まぁ血筋とか面倒なもんから逃げたいってのはある。
「その結果、あの世界で君は何をしたか―――今の卿は覚えていないのではなく、思い出したくないだけだろう」
「ちょっとやめて、そういうなんか意味深な引っ張り方しないでくれよ。
なんだよ、俺が何したって言うんだよ」
「見事なまでの蹂躙だ。暴力の嵐、北から南まで……卿が歩く場所には死しか残らなかった」
「んな大げさな。アンタの下についてそこらへんで花火上げてただけじゃないのか?」
松永はよく爆発させるイメージあるもん。
「私などかわいいものだ、卿に比べれば児戯に等しい。よほどこの世に怨みでもあったのだろう。
日ノ本は死の地へと変わった。誰一人残らなかったのだよ、私を含め……ね」
大げさですってば、一人も残らないなんてことある?
その言い回しだと、俺全国民殺して歩いたって事じゃない?魔王信長よりヤバい人じゃないかよ。
「気を付けたまえ。私がここに来たのは親切心からの警告だ。
鳳凰寺和海は決して卿が殺してはいけない。なに、繰り返し生きてきた年寄りのたわごとだ」
「いや、アンタが親切心見せるなんて絶対おかしいって」
「簡単な話だ。私は私の死に時を決めている。卿には過去に何度か邪魔をされているんでね」
では、と指パッチンと共にまた爆発。城門周辺に火柱が上がったがまぁ、松永は無事なんでしょうね。
おじさん、マジシャンになったらいいのに。
炎の中から決死の大脱出とか受けそうじゃない?あ、炎のBASARA持ちは別に炎の中でも平気か。
とりあえず、松永の爆発で火傷しそうになっていた兵が何人かいたので見舞いに行ってやろう。
「話は終わったかい?」
「……うーん、終わったような終わらないような。鳳凰寺が結局なんなのかわかんなかったし、
とりあえずあれを殺しちゃいけないって警告だけされた。まぁ俺が殺しちゃダメなだけだから
他の武将が討ちとる分には問題ないんじゃない?」
傍らに来た竹中は呆れた顔をしていた。
「疲れただろう?夕餉の支度は済んでいるよ」
労わる様にポンポンと頭を撫でてくれた。なんだかんだこういうときは優しいなぁ。
「やったー!ありがとうございます!」
竹中と豊臣と夕餉を囲みながら松永の話とか徳川の話なんかをしていた。
途中で先ほどの襲撃での被害状況が伝えられたが、なんかけが人いなかったらしい。火傷とかもなかったんだって。
意外と丈夫だな一般兵。
鍛え方が違うのか?さすが豊臣軍。
「―――じゃあとりあえず武田軍捕ったら、次に徳川って事ですね」
「まぁ半年以上先に事になるとは思うよ」
通常戦は移動日数のほかに、戦は一日で終わらずに後日持越しとかもあるらしい。
一日かからず片を付けるのは普通は無理らしいが、ゲームだとものの数分だ。
数日と数分、この間を取って俺の戦時間は数時間程度な体感だ。
実際移動に関しても一瞬で事が済むし、トップさえ落として周りに周知すれば戦は終わる。
今回の北条しかり事態がまとまるのは異例の早さなのだという。
「半年も先なら、しばらくのんびりできそうだね」
いや、豊臣が徳川と当たるのが半年先なだけで、俺は俺で南の方安定させなきゃいけないから
そんな暇ではないのか?
浅井とか織田とか前田とかその辺俺の管轄になるのか?
「とりあえず、今日は色々あったからゆっくりお休み。
部屋の方用意してあるからね」
はぁ…なんだろう。今日はすごい竹中が優しいお母さんに見える。
そんだけ俺が疲れているんだろうな、うん。そういう事にしておこう。
食事を終えて、湯を借り部屋に戻った。一人部屋なのに広いなぁ……。
ごろりと布団に横たわるが、寝る気にはなれなかった。
松永の言っていた、皆殺しについてもう少し情報が欲しい。
当時の事を知っていそうな人物……どちらに聞くべきか。俺は悩んでいた。
口が軽そうなのは伊達だな。
長曾我部が電話を渡しておいてくれて助かったぜ。
数回コールの後、すっごい嬉しそうな声で伊達が出た。まぁ、伊達に電話する奴は俺か長曾我部しかいないもんな。
電話使う機会が訪れて嬉しかったんだろう。
「ちょーっと聞きたいことがあるんだ」
『なんだ?俺で分かる事なら答えるが……』
「俺が伊達に仕えたのは2回、その時の俺はおそらく鳳凰寺の時だろう。
……どうして、この外見の俺で俺だと分かったんだ」
『……それは』
「この外見の俺とも会ったことがあるんだろう。今回は覚えていないって…俺がお前の事覚えていないのは
初めてじゃないんだろう」
少しの沈黙。これは肯定しているも等しい。
『お前が俺を覚えていなかったのは、確かに初めてじゃない。
その時は、俺もお前が和海だとすら気づかなかった』
「だよな、その……諸々違うからな」
ぼんっと目立つ胸部。邪魔くさい程の髪、あと若干あっちの方がまつげ長くない?
なんかこう、女の子って感じの…そう香油でも使ってるのか戦場でも良い匂いだったんだよ畜生。
『…もし気になるなら直接話す。周囲で誰が聞いているか分からないだろ』
「……わかった。そうだな、いつなら都合がいい?」
『会いにくるってなら予定を合わす。そっちの予定はどうなってんだ』
「明日浅井に会いに行く予定。なんかしている一揆軍と当たる可能性があるからさ」
『……あのバカ!もうそんな所まで。明日、朝いちばんにこっちに来い』
あー…一揆衆止めるのね。了解。
「わかった、朝飯食ったらそっち行くから」
電話を切って竹中の部屋に向かう。ほうれん草大事。
後で起こられたら困るので一応話をつけておかないとな。
「竹中ー……大丈夫か!」
部屋に飛び込むと畳が赤い。
「ああ…君か。すまないね、ちょっと疲れが出たみたいだ」
疲れると吐血するとか怖いこと言わないでほしい。
薬を飲んだから落ち着くというが、俺が落ち着かない。だけど背をさする位しかできなかった。
「なにかできる事ない?」
「少し肌寒くてね」
使いの者に声をかけ竹中は自分で部屋を暖める道具を用意するよう指示を出していた。
俺は竹中に肩掛けを羽織らせて後ろから抱きしめた。
俺体温は高いからね。湯たんぽ変わりだ。
「……和海?」
「部屋が温まるまで……暖房替わり。忙しいんだろうけど、少し竹中もゆっくりしてくれよ。
竹中の代わりになる人はいないんだからさ」
「……そうだね。ところで用事があってきたんじゃないのかい?」
「ああ、そうだった。明日朝一でここを発つよ。それで奥州にちょっと貸しを作ってくる。
豊臣に迷惑はかけないから、そこは心配しないでいいよ」
本当かな?なんて言われたり、俺はいまいち信用は無いけど、止めたりはしなかった。
「気を付けて行ってくるんだよ。連絡忘れないようにね」
「もちろん、それじゃあ部屋もそろそろ温まったし、行くわ。おやすみ」
部屋が暖かくなったおかげか少し竹中の顔色はよくなった気がする。
……竹中の命、後どの位なんだろう。不安で仕方がないが、どうにもできない。
とにかく自分にできる事をするしかない。明日に向けて俺は寝ることにした。
それとも問題が俺を追いかけてくるのだろうか?
「どうした、喜びたまえ。こうして卿に会いに来たのだから」
爆炎と共に大阪城に乗り込んできたのは松永だった。
今日は大阪城で一泊という事で、夕食までの間城下を見て回ることにした。
そういえばこうして戦場以外の場所を歩き回るのは初めてなのではないだろうか。
竹中は誰か護衛を付けろと言ったが、石田は失神中だし刑部はその看病。
豊臣軍の総対象である豊臣連れて行くわけにもいかないし、当然竹中だって駄目だ。
結局一人でふらふらしている。
すれ違う人たちは俺をチラチラ見ながら何かささやいている。
なんだよ、色物なら豊臣軍で見慣れているだろうが。少々やさぐれた心持ちのまま見慣れない街中を眺めていた。
「……あれ?」
ふと視界の端に映った男。確証はないが……あれは風魔じゃないのか?
気になり俺は男の後を追いかけた。小道に逃げ込まれ、ついていった先は人気のない袋小路。
「やっぱり」
特徴のない一般人のような装いだったが、逃げられないと思ったのか
隠す気が無くなったのか、いつもの装いに姿を変えた。
「仕事?それとも、観光?」
懐に手を伸ばすので、思わず身構えるが風魔が取り出したのは手紙だった。
北条からの手紙を渡すために来たという。一応同盟関係成立に関する書類だ。
うん、そういう手続きとか一切何もしてなかったからな。そっか、こういうもの必要なんだな。
後で竹中にも共有しておこう。
「しかし、俺がここに居るってよく分かりましたね」
ジェスチャーでスマホを元に居場所を割り出したと伝えてくれた。
なんか黒田のスマホ使ってGPSで場所分かるらしい。なんだろう…この世界はもう衛星が飛んでるのか。
って事は今、風魔が黒田のスマホ持っているのか?
なんでも俺が大阪城にいることが分かった時点で、それはもう全速力でここまで走ってきたそうです。
伝説の忍びってすごいね。
「とりあえず、書類は受け取りました。ありがとうございます」
礼を述べると、あっという間に風魔は姿を消した。
とりあえずこんな重要なものをもっていつまでもふらふらしているのはまずい。
観光はここまで。城に戻って竹中へ同盟締結の書類を見せていた。
そして吹き飛ばされる城門。
「どうやって俺の場所が?」
「私には優秀な忍びがいてね」
―――風魔か。そうか、たしか傭兵だから松永の仕事を受けることもあったんだよな。
「どうした、喜びたまえ。こうして卿に会いに来たのだから。
私の行方を追っていたのだろう?」
「いや、まぁ…そうなんだけどさ。探す手間は省けたけど、城門壊さないでほしかったなぁ……」
後で怒られるの多分俺だもん。
兵たちを傍に控えさせてはいるが、松永には近づかない様に指示を出している。
俺みたいに花火にされたら困るからね。
「今更ながら私に付こうという気になってくれたかね?」
「その辺含めて聞きたいんだよね。アンタ俺を知っているようだけど、俺はアンタとの関係性が分からない。
かすかに、アンタに過去を盗まれたような感じの事を言われたのだけは覚えている」
そう伝えると松永は顔を片手で覆って笑っていた。
「それは失礼した。なら竜の宝をもらいに行った際になぜ吹き飛ばされたか分からない訳か」
「そうだよ、いきなり吹き飛ばされて驚いたんだからな!見ろよこの髪色!焦げたの原因だからな!」
いや、本当に焦げたのが原因かは分からないけど、理由の可能性としてはあるだろう。
俺が話をしたがっていたのを知っているから豊臣軍は誰も出てこない。いや実にありがたい。
内容的にはあまり聞いてほしくないことも言うかもしれないからな。
「卿には何度か私に付くように勧誘していてね、ほとんどが断られていたよ。
忠義を尽くすに値しないとね……。だから卿からは忠義を奪ってみたが……あまり変わらなかったよ」
「だから今度は過去を奪ったのか?」
「あれは君の希望だ、自由を望む、過去の柵を捨てたいとね。そうしたら私のもとへ付くと言ったのは君だ」
なるほど。まぁ血筋とか面倒なもんから逃げたいってのはある。
「その結果、あの世界で君は何をしたか―――今の卿は覚えていないのではなく、思い出したくないだけだろう」
「ちょっとやめて、そういうなんか意味深な引っ張り方しないでくれよ。
なんだよ、俺が何したって言うんだよ」
「見事なまでの蹂躙だ。暴力の嵐、北から南まで……卿が歩く場所には死しか残らなかった」
「んな大げさな。アンタの下についてそこらへんで花火上げてただけじゃないのか?」
松永はよく爆発させるイメージあるもん。
「私などかわいいものだ、卿に比べれば児戯に等しい。よほどこの世に怨みでもあったのだろう。
日ノ本は死の地へと変わった。誰一人残らなかったのだよ、私を含め……ね」
大げさですってば、一人も残らないなんてことある?
その言い回しだと、俺全国民殺して歩いたって事じゃない?魔王信長よりヤバい人じゃないかよ。
「気を付けたまえ。私がここに来たのは親切心からの警告だ。
鳳凰寺和海は決して卿が殺してはいけない。なに、繰り返し生きてきた年寄りのたわごとだ」
「いや、アンタが親切心見せるなんて絶対おかしいって」
「簡単な話だ。私は私の死に時を決めている。卿には過去に何度か邪魔をされているんでね」
では、と指パッチンと共にまた爆発。城門周辺に火柱が上がったがまぁ、松永は無事なんでしょうね。
おじさん、マジシャンになったらいいのに。
炎の中から決死の大脱出とか受けそうじゃない?あ、炎のBASARA持ちは別に炎の中でも平気か。
とりあえず、松永の爆発で火傷しそうになっていた兵が何人かいたので見舞いに行ってやろう。
「話は終わったかい?」
「……うーん、終わったような終わらないような。鳳凰寺が結局なんなのかわかんなかったし、
とりあえずあれを殺しちゃいけないって警告だけされた。まぁ俺が殺しちゃダメなだけだから
他の武将が討ちとる分には問題ないんじゃない?」
傍らに来た竹中は呆れた顔をしていた。
「疲れただろう?夕餉の支度は済んでいるよ」
労わる様にポンポンと頭を撫でてくれた。なんだかんだこういうときは優しいなぁ。
「やったー!ありがとうございます!」
竹中と豊臣と夕餉を囲みながら松永の話とか徳川の話なんかをしていた。
途中で先ほどの襲撃での被害状況が伝えられたが、なんかけが人いなかったらしい。火傷とかもなかったんだって。
意外と丈夫だな一般兵。
鍛え方が違うのか?さすが豊臣軍。
「―――じゃあとりあえず武田軍捕ったら、次に徳川って事ですね」
「まぁ半年以上先に事になるとは思うよ」
通常戦は移動日数のほかに、戦は一日で終わらずに後日持越しとかもあるらしい。
一日かからず片を付けるのは普通は無理らしいが、ゲームだとものの数分だ。
数日と数分、この間を取って俺の戦時間は数時間程度な体感だ。
実際移動に関しても一瞬で事が済むし、トップさえ落として周りに周知すれば戦は終わる。
今回の北条しかり事態がまとまるのは異例の早さなのだという。
「半年も先なら、しばらくのんびりできそうだね」
いや、豊臣が徳川と当たるのが半年先なだけで、俺は俺で南の方安定させなきゃいけないから
そんな暇ではないのか?
浅井とか織田とか前田とかその辺俺の管轄になるのか?
「とりあえず、今日は色々あったからゆっくりお休み。
部屋の方用意してあるからね」
はぁ…なんだろう。今日はすごい竹中が優しいお母さんに見える。
そんだけ俺が疲れているんだろうな、うん。そういう事にしておこう。
食事を終えて、湯を借り部屋に戻った。一人部屋なのに広いなぁ……。
ごろりと布団に横たわるが、寝る気にはなれなかった。
松永の言っていた、皆殺しについてもう少し情報が欲しい。
当時の事を知っていそうな人物……どちらに聞くべきか。俺は悩んでいた。
口が軽そうなのは伊達だな。
長曾我部が電話を渡しておいてくれて助かったぜ。
数回コールの後、すっごい嬉しそうな声で伊達が出た。まぁ、伊達に電話する奴は俺か長曾我部しかいないもんな。
電話使う機会が訪れて嬉しかったんだろう。
「ちょーっと聞きたいことがあるんだ」
『なんだ?俺で分かる事なら答えるが……』
「俺が伊達に仕えたのは2回、その時の俺はおそらく鳳凰寺の時だろう。
……どうして、この外見の俺で俺だと分かったんだ」
『……それは』
「この外見の俺とも会ったことがあるんだろう。今回は覚えていないって…俺がお前の事覚えていないのは
初めてじゃないんだろう」
少しの沈黙。これは肯定しているも等しい。
『お前が俺を覚えていなかったのは、確かに初めてじゃない。
その時は、俺もお前が和海だとすら気づかなかった』
「だよな、その……諸々違うからな」
ぼんっと目立つ胸部。邪魔くさい程の髪、あと若干あっちの方がまつげ長くない?
なんかこう、女の子って感じの…そう香油でも使ってるのか戦場でも良い匂いだったんだよ畜生。
『…もし気になるなら直接話す。周囲で誰が聞いているか分からないだろ』
「……わかった。そうだな、いつなら都合がいい?」
『会いにくるってなら予定を合わす。そっちの予定はどうなってんだ』
「明日浅井に会いに行く予定。なんかしている一揆軍と当たる可能性があるからさ」
『……あのバカ!もうそんな所まで。明日、朝いちばんにこっちに来い』
あー…一揆衆止めるのね。了解。
「わかった、朝飯食ったらそっち行くから」
電話を切って竹中の部屋に向かう。ほうれん草大事。
後で起こられたら困るので一応話をつけておかないとな。
「竹中ー……大丈夫か!」
部屋に飛び込むと畳が赤い。
「ああ…君か。すまないね、ちょっと疲れが出たみたいだ」
疲れると吐血するとか怖いこと言わないでほしい。
薬を飲んだから落ち着くというが、俺が落ち着かない。だけど背をさする位しかできなかった。
「なにかできる事ない?」
「少し肌寒くてね」
使いの者に声をかけ竹中は自分で部屋を暖める道具を用意するよう指示を出していた。
俺は竹中に肩掛けを羽織らせて後ろから抱きしめた。
俺体温は高いからね。湯たんぽ変わりだ。
「……和海?」
「部屋が温まるまで……暖房替わり。忙しいんだろうけど、少し竹中もゆっくりしてくれよ。
竹中の代わりになる人はいないんだからさ」
「……そうだね。ところで用事があってきたんじゃないのかい?」
「ああ、そうだった。明日朝一でここを発つよ。それで奥州にちょっと貸しを作ってくる。
豊臣に迷惑はかけないから、そこは心配しないでいいよ」
本当かな?なんて言われたり、俺はいまいち信用は無いけど、止めたりはしなかった。
「気を付けて行ってくるんだよ。連絡忘れないようにね」
「もちろん、それじゃあ部屋もそろそろ温まったし、行くわ。おやすみ」
部屋が暖かくなったおかげか少し竹中の顔色はよくなった気がする。
……竹中の命、後どの位なんだろう。不安で仕方がないが、どうにもできない。
とにかく自分にできる事をするしかない。明日に向けて俺は寝ることにした。