短編
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バイト先にあこがれの先輩がいる。
先輩は気さくで、よく周りを見ていて的確に指示を出してくれる。
いたずらっぽいところもあるけど、そんなところも好きだ。
声もすごくいい。どんな事したらあんないい声出せるようになるんだろう。
それだけじゃない、一見細身だけど着やせして見えるだけで、しっかりと筋肉がついているのも知っている。
(のぞきじゃない、断じてのぞこうと思ったわけじゃなくうっかり着替えを見てしまっただけなので許してほしい)
学校が違うので、会えるのはバイトの数時間だけ。
だけど、先輩には彼女がいるようだ。
金髪のきれいな人で、とても仲がいい。
それに、旦那さんもいるらしい。
年下らしいんだけど、まって…学生結婚しているの?
気になることは多いけれど、聞いてしまったらバイト先で先輩と顔を合わせるのが非常に気まずくなる。
だから私はいまだに「バイト先の先輩と後輩」の関係以上にはなっていない。
なりようがない。
「ちょっと、ちょっと。バイト中なんだからしっかりしなよ」
「は!すいません猿飛先輩!」
「先輩なんて堅苦しいなー。佐助でいいって言ってるのに」
「それこそ、バイト中なんですから上下関係はしっかりしないと!」
上の空になっていた私はミスこそしていないが、作業の手が止まっていたようだ。
個人経営の小さな飲食店の調理場兼洗い場のバイトをしている。
本当はホールだったんだけど、途中で先輩が私はホールに向いていないからキッチンの方を手伝うようにと回されたのだ。
くぅ!確かに接客は苦手だったけど、先輩のそばに居られるから本当はホールが良かったなんてわがまま言えない。
実際配置換えで裏方になってからのほうが仕事は楽しかったりする。
それに、ホールにいるときは当然ながら先輩と雑談なんかできるわけもない。
こっちにいると、オーダーを通すために顔を出したときに一言、二言話をするタイミングもあったりする。
眺めているだけより、声もかけてもらえるからこう…頑張ったご褒美をもらえてる感じがすごく強い。
「バイト中だからねぇ……。そういえばさ、和海って帰りの方向途中まで一緒だよね?
今日よかったら一緒に帰ろうよ。忙しくて延長頼まれてたでしょ?女の子一人で返すの心配だからさ」
こういう気遣いありがたい。実は夜道が怖いので、バイトの延長受けたはいいけど、帰りどうしようかと思っていたところだった。
「是非お願いします!」
「そんじゃ、バイト終わりまで頑張っていきましょ」
すっと拳を差し出すので、私もコツンと拳を合わせた。
運動部にいるらしいので、ちょっと体育会系なノリなのかな?それもまた良し!
バイトも無事終え、疲労感に襲われていたが先輩と一緒に帰れると思うと元気が湧いてくる気がする。
「おつかれ~」
「……私服の先輩って初めてかもしれない」
大体平日は学校が終わってからなので制服姿。休日のバイトの時は私のほうが上りが早いので先輩の私腹を見る機会は無かった。
「そっか、俺様のほうが早く来てるもんねー」
「うう…いつもぎりぎりですみません」
「冗談だよ、和海だって早めに来てるじゃない。今のままで大丈夫だよ」
ポンポンと肩をたたいて慰めてくれた。
こんなやり取りも、先輩が卒業したらなくなってしまうのかな。
「ところでさ、今日はどうしたの。バイト中にあんな風にぼーっとするの珍しいよね。
誰か好きな子の事でも考えてた?」
先輩はくすくす笑うが、私は顔が真っ赤だった。
そんな風に見える顔だったのだろうか。
「……え、嘘だろ?冗談だったんだけど……」
なぜか先輩がおろおろし始める。
「そんなにあからさまな顔していましたかね……恥ずかしい」
穴があったら入りたい。
「その…さ、和海の好きな子ってどんなタイプなの?」
「どんなタイプって―――」
好きな人にそういうこと聞かれたらなんて答えたらいいんですかね。あなたですって言っていいのかな!
「あー、他意はないよ。ほらバイト中ってそういう話とかする機会ないからさ。雑談だよ、雑談」
雑談なら……変な空気になったら、冗談っていえば許されるかな。
「それなら……」
私は意を決して先輩に思いを伝えた。
「猿飛先輩がタイプです」
「うっそだろ…そんな素振り見せてなかったよね?割と俺と話すとき無表情だったし」
「表情筋を殺してました。油断すると…その、今みたいに赤くなるし、だらしない顔になるので」
本当に気付かなかったと驚いた顔をされてしまった。
「それじゃあこの間迎えに来てた奴とか、ホールにいたときよく話してた奴は?」
迎えに来てくれていたのは従兄の元親兄さんだし、バイト中に様子を見に来ていたのはその友人の家康さんだ。
私がバイトを始めると言ったら二人ともすごく心配して、時々様子を見に来ていたからその時のことを先輩は言っているんだと思う。
そのことを伝えると、先輩は座り込んでしまった。
「どうしたんですか…疲れましたか?」
「あー…いや。大丈夫、俺が勝手に勘違いしていただけだからさ。
てっきり和海にはもう彼氏がいると思ってたんだよね」
「なんで?私は誰かと付き合ったことなんてないですよ!」
私の答えがうれしかったのか、先輩は優しい笑顔を見せてくれた。
「そっか、そっか。それじゃあ、俺にもチャンスはあるんだね」
「でも……先輩こそ、彼女や旦那さんがいるんですよね?」
真面目に言ったのに思いっきり笑われた。
「ごめん、ごめん。かすがは俺の妹。そんで、旦那って呼んでるのは俺と昔っから付き合いがある…親友みたいなもんかな。
家柄的にね、あっちがお坊ちゃまでさ冗談で旦那様~って呼んでたら定着しちゃってさ。いまだに旦那って呼んじゃうんだよね」
つまり、私も勘違いをしていたということで……やっぱり穴があったら入りたい。
顔から湯気が出そうなほど熱い。こんなことならもっと早く、伝えてみればよかった―――。
「せんぱ「バイト中じゃないんだから、佐助ってよんでよ」
「さ、佐助……さん」
「んー、まあ最初のうちはしょうがないか。そのうち名前で呼んでほしいな和海」
その笑顔は反則です!なんてかっこいいんだろう…。
「ひゃ、ひゃい…」
もうこれは夢じゃないのかと思っています。だめだ普通に返事もできない。
「これからはバイトの先輩としてじゃなくて、個人的に親しくしたいと思っているからよろしくね?」
「す、末永くよろしくお願いいたします!」
先輩は気さくで、よく周りを見ていて的確に指示を出してくれる。
いたずらっぽいところもあるけど、そんなところも好きだ。
声もすごくいい。どんな事したらあんないい声出せるようになるんだろう。
それだけじゃない、一見細身だけど着やせして見えるだけで、しっかりと筋肉がついているのも知っている。
(のぞきじゃない、断じてのぞこうと思ったわけじゃなくうっかり着替えを見てしまっただけなので許してほしい)
学校が違うので、会えるのはバイトの数時間だけ。
だけど、先輩には彼女がいるようだ。
金髪のきれいな人で、とても仲がいい。
それに、旦那さんもいるらしい。
年下らしいんだけど、まって…学生結婚しているの?
気になることは多いけれど、聞いてしまったらバイト先で先輩と顔を合わせるのが非常に気まずくなる。
だから私はいまだに「バイト先の先輩と後輩」の関係以上にはなっていない。
なりようがない。
「ちょっと、ちょっと。バイト中なんだからしっかりしなよ」
「は!すいません猿飛先輩!」
「先輩なんて堅苦しいなー。佐助でいいって言ってるのに」
「それこそ、バイト中なんですから上下関係はしっかりしないと!」
上の空になっていた私はミスこそしていないが、作業の手が止まっていたようだ。
個人経営の小さな飲食店の調理場兼洗い場のバイトをしている。
本当はホールだったんだけど、途中で先輩が私はホールに向いていないからキッチンの方を手伝うようにと回されたのだ。
くぅ!確かに接客は苦手だったけど、先輩のそばに居られるから本当はホールが良かったなんてわがまま言えない。
実際配置換えで裏方になってからのほうが仕事は楽しかったりする。
それに、ホールにいるときは当然ながら先輩と雑談なんかできるわけもない。
こっちにいると、オーダーを通すために顔を出したときに一言、二言話をするタイミングもあったりする。
眺めているだけより、声もかけてもらえるからこう…頑張ったご褒美をもらえてる感じがすごく強い。
「バイト中だからねぇ……。そういえばさ、和海って帰りの方向途中まで一緒だよね?
今日よかったら一緒に帰ろうよ。忙しくて延長頼まれてたでしょ?女の子一人で返すの心配だからさ」
こういう気遣いありがたい。実は夜道が怖いので、バイトの延長受けたはいいけど、帰りどうしようかと思っていたところだった。
「是非お願いします!」
「そんじゃ、バイト終わりまで頑張っていきましょ」
すっと拳を差し出すので、私もコツンと拳を合わせた。
運動部にいるらしいので、ちょっと体育会系なノリなのかな?それもまた良し!
バイトも無事終え、疲労感に襲われていたが先輩と一緒に帰れると思うと元気が湧いてくる気がする。
「おつかれ~」
「……私服の先輩って初めてかもしれない」
大体平日は学校が終わってからなので制服姿。休日のバイトの時は私のほうが上りが早いので先輩の私腹を見る機会は無かった。
「そっか、俺様のほうが早く来てるもんねー」
「うう…いつもぎりぎりですみません」
「冗談だよ、和海だって早めに来てるじゃない。今のままで大丈夫だよ」
ポンポンと肩をたたいて慰めてくれた。
こんなやり取りも、先輩が卒業したらなくなってしまうのかな。
「ところでさ、今日はどうしたの。バイト中にあんな風にぼーっとするの珍しいよね。
誰か好きな子の事でも考えてた?」
先輩はくすくす笑うが、私は顔が真っ赤だった。
そんな風に見える顔だったのだろうか。
「……え、嘘だろ?冗談だったんだけど……」
なぜか先輩がおろおろし始める。
「そんなにあからさまな顔していましたかね……恥ずかしい」
穴があったら入りたい。
「その…さ、和海の好きな子ってどんなタイプなの?」
「どんなタイプって―――」
好きな人にそういうこと聞かれたらなんて答えたらいいんですかね。あなたですって言っていいのかな!
「あー、他意はないよ。ほらバイト中ってそういう話とかする機会ないからさ。雑談だよ、雑談」
雑談なら……変な空気になったら、冗談っていえば許されるかな。
「それなら……」
私は意を決して先輩に思いを伝えた。
「猿飛先輩がタイプです」
「うっそだろ…そんな素振り見せてなかったよね?割と俺と話すとき無表情だったし」
「表情筋を殺してました。油断すると…その、今みたいに赤くなるし、だらしない顔になるので」
本当に気付かなかったと驚いた顔をされてしまった。
「それじゃあこの間迎えに来てた奴とか、ホールにいたときよく話してた奴は?」
迎えに来てくれていたのは従兄の元親兄さんだし、バイト中に様子を見に来ていたのはその友人の家康さんだ。
私がバイトを始めると言ったら二人ともすごく心配して、時々様子を見に来ていたからその時のことを先輩は言っているんだと思う。
そのことを伝えると、先輩は座り込んでしまった。
「どうしたんですか…疲れましたか?」
「あー…いや。大丈夫、俺が勝手に勘違いしていただけだからさ。
てっきり和海にはもう彼氏がいると思ってたんだよね」
「なんで?私は誰かと付き合ったことなんてないですよ!」
私の答えがうれしかったのか、先輩は優しい笑顔を見せてくれた。
「そっか、そっか。それじゃあ、俺にもチャンスはあるんだね」
「でも……先輩こそ、彼女や旦那さんがいるんですよね?」
真面目に言ったのに思いっきり笑われた。
「ごめん、ごめん。かすがは俺の妹。そんで、旦那って呼んでるのは俺と昔っから付き合いがある…親友みたいなもんかな。
家柄的にね、あっちがお坊ちゃまでさ冗談で旦那様~って呼んでたら定着しちゃってさ。いまだに旦那って呼んじゃうんだよね」
つまり、私も勘違いをしていたということで……やっぱり穴があったら入りたい。
顔から湯気が出そうなほど熱い。こんなことならもっと早く、伝えてみればよかった―――。
「せんぱ「バイト中じゃないんだから、佐助ってよんでよ」
「さ、佐助……さん」
「んー、まあ最初のうちはしょうがないか。そのうち名前で呼んでほしいな和海」
その笑顔は反則です!なんてかっこいいんだろう…。
「ひゃ、ひゃい…」
もうこれは夢じゃないのかと思っています。だめだ普通に返事もできない。
「これからはバイトの先輩としてじゃなくて、個人的に親しくしたいと思っているからよろしくね?」
「す、末永くよろしくお願いいたします!」