天下統一計画(仮)
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「そうか…なら、卿からは過去を貰おう」
過去?そんなものどうやって?
答えは分らぬまま私は爆炎に包まれた。
――――――――――
さっきまでのは夢か……。過去に何か松永とやったんだろうな。だから松永って存在が異様に怖いんだ。
「……っこ…は」
上手く声が出せない。
それに体中も痛い。
「和海!意識が戻ったのか」
長曾我部…?が俺の顔を覗き込んでいる。少し視界が霞んでいる。靄がかかったようだ。
だめだ、返事をしたいが声が出ない。喉がおかしいようだ。
指でスマホを持ってくるように指示を出して、メモに文章を打ち込む。
【どのくらい寝てた?】
「……二日だ」
松永に吹き飛ばされて、俺は川に流されたそうだ。あっちこっち負傷して、ひどい状態だったらしい。
今なんか、目が青いらしい。赤い目の時は戦闘力が上がったから、今は自己治癒とかそんな感じが上がっているんじゃないだろうか。
じゃなきゃ二日程度で復活してくるわけがない。
【誰か俺に連絡してきたやつはいるか?今回の怪我の事、毛利には連絡したか?】
「そういや、黒田ってやつから連絡があった。今は迎えに行くことは難しいって伝えたら、しばらくは小田原でのんびりするとか言ってたな。
毛利には……まだ何も言ってねぇ」
ふむ、うまい事北条を引き入れることに成功したってことか。
急いで迎えに来いって言われなくてよかった。
毛利には四国に行くって約束したから……あと二日で復活しないとな。
「声が、出ないのか?」
【喉が腫れている。そのうち声が出ると思う】
体を起こして、今の状態を把握しようとすると、長曾我部に止められた。
「和海はおとなしくしてろ!お前は怪我人なんだぞ」
「Yes、そいつの言うとおりだ。まだ寝てろ」
見計らったかのようにふすまの向こうから伊達が姿を現した。
【政宗、部下は無事?】
「ああ、松永の野郎はあのまま姿を消したからな」
見る限り、伊達も大けがを負った様子はない。
【伊達軍が無事でよかった】
「Ha、人の心配するより自分の心配してろ。大体どうやって、あの場所に来たんだ?」
【そういう能力】
そういえば、今は体を治癒している状態だけど、移動はできるのだろうか?
複数同時に能力使えたら便利だよな。
【チカ、少し離れた場所に移動してくれ】
長曾我部が今度は廊下に出て障子を閉める。
すっと影の中に体を沈める。同時に使うことは一応はできるようだ。
そして、そのまま廊下で待機している長曾我部の元に出現した。俺が出てくるとわかっていて、抱きかかえてくれた。
「おい、和海が消えて……いや、移動したのか」
「そうだ。こうやってあの晩移動したんだよ」
俺の代わりに長宗我部が答えてくれた。
「♪~、ずいぶん便利な能力じゃねーか」
「ったく、怪我が治るまで布団から出るんじゃねえ」
再び長曾我部に布団に寝かしつけられてしまった。……少しだが動いてみたが、四肢に関しては問題はなさそうだ。
あとは目と喉を直せば問題無さそうだ。
「怪我が治るまで、置いてやるから安心して寝てろ」
伊達にも寝かしつけられてしまう。なんというか、体は元気なので、寝ていろと言われるのがつらい。
【散歩くらい許して。寝てるだけだと背中が痛い】
「まぁそうだろうな。後で小十郎を呼んでやるから、それまでは寝てろ」
【わかった】
「元親、お前は話があるからちょっと来い」
「絶対に無理するなよ」
【はいはい】
二人が居なくなり、暇になったので一応毛利に連絡を入れる。
【毛利へ
予定日までには帰ります。
ただしばらく、通話はできないので文章のみとなります】
そういえば毛利にもLI●E入れておいたけど使い方わかるんだろうか?
不安になったが、すぐに既読がついた。
【和海が帰ってくるのを心待ちにしておる。
しっかりと武器の手入れは済んでおる。
貴様が未提出だった領収書についてじっくり話し合おうではないか】
うーわ、やっぱり帰るのやめようかな……。
「あ゛ぁ…」
うーん、掠れるけれど起きたばかりの時よりは大分ましになった気がする。
のど飴が欲しいな。
しかし、片倉はいつ頃来るのだろうか?
そっと起き上がり、廊下に出る。すぐに庭のような広めの場所につながっていたので、ストレッチの心算で軽く体を動かした。
本当に喉と目以外は問題がないな。
その、目がよく見えていないせいで遠くにいた人物を見逃していた。
「いやぁ、素晴らしい舞だ」
体格のいい青年に声をかけられて飛び上がった。
「すまない、驚かせるつもりはなかったんだ!ただの舞というより、武術に通じるものを感じるな」
うすら寒い場所で腹を出しているなんて…いや筋肉質だから温かいのか?
それにしても…あの家紋は徳川のものだった気がする。どこか面影、いやないな。親戚か?
「ワシは徳川家康。お前の名を聞いてもいいか?」
徳川…家康……?
いや、知らないぞ。こんな徳川記憶にない…忘れてしまっているだけなのか?
かなり衝撃的だ…本当に?あの小さかった徳川がこんなに大きく?
え、伊達より背が高いんじゃないのか?
驚きで口をパクパクさせていると、気の毒そうな顔で俺を見てくる。
「……すまない。その、口がきけぬのか?」
実際、今は声が出せないので素直に頷いておく。
ここは自己紹介をしておくべきなのだろうか?一応スマホを取り出して【和海と申します】と名乗っておいた。
「おおそうか!お前が元親の言っていた和海だったのか!成程、これがすまほなのか。なかなか面白いカラクリじゃないか。
いかん、いかん。話がそれてしまった。
政宗に頼まれて薬を用意したんだ。喉に効果があるものだ」
優しいな、伊達。っていうか、喉がヤバいということは今日話したばかりなのにどうして徳川が知っているんだ?
本田忠勝か?彼に乗ってきたのか?
【ありがとうございます】
礼を伝え、渡された薬を飲む。
すぅっと清涼感が喉をいやしてくれる。龍角●ダイレクト飲んだときみたいだ。
熱っぽさも、腫れも引いたような感じがする。
「……これは元親も心配になるわけだ」
なんでだ?こちらが首を傾げると、徳川が苦笑いを浮かべた。
「お前は、ワシが毒を盛るとは思わなかったのか?」
たしかにその可能性はあるし、現在豊臣と同盟の俺は徳川やこの辺の武将たちからしたら邪魔な存在だろう。
【チカの知り合いだから信じた】
「チカ…?ああ、元親の事か。ずいぶんと信頼しているんだな」
なんとなくだけど、長曾我部はよほどのことがない限りは敵対することはなさそうだし、裏切られたらそれだけのことだ。
「いい絆を持っているんだな。どうだ?良ければ今度手合わせでも―――」
「和海!なんで出歩いてるんだよ!」
怒鳴り声をあげているのは長曾我部。咄嗟に徳川に【話を合わせてくれ】と文章を見せる。
【人の気配がして、チカだと思って廊下に出たら彼に会った】
「ああ、それで薬を先ほど渡してな。声が戻ったかどうか発声練習をしてみるつもりだったんだ」
ありがとう徳川。長宗我部はものすごく不信そうな目で俺を見ているけど、まぁ大体あっているからそんな目で見ないでくれ。
「あ、あ…あー。何とか、ここまで回復したぞ、チカ」
「……確かに。ただ、まだ安静にしておけよ。今日一日喋るな」
【チカのけち】
「ケチじゃねーよ。悪かったな、家康。大変だっただろう」
なんでも今日は徳川は伊達と話があり、もともとここに来る予定だったそうだ。それでさっき伊達と長曾我部が部屋を出て行ったそうだ。
そして、薬について詳しい徳川に喉によさそうなものがないか長曾我部が尋ねてくれた結果、本田に乗ってあっという間に薬をもって帰って来たらしい。
ホンダムなんて言われていたけど、ほんと素晴らしいな。あの人……人、だよね?
「和海殿はまだ暫く滞在されると聞いたが、明日でも手合わせ願えないか?」
頷くと長曾我部はひどい顔で睨んでくる。いや、だって暇なんだもん。
「なに、無理をさせるつもりはない」
「何が無理をさせるつもりはないだ。素手で岩盤割る奴の台詞じゃねーよ」
……何があった、徳川家康!
槍は何処へ?素手ってなに?本田に次いで人間をやめるのか?いやBASARAメンバー人間やめてる人しかいないや……。
「体調がすぐれぬようなら手合わせはしない。それでいいだろう?」
「当たり前だろう。ほら和海もさっさと部屋に戻れ」
促されて仕方なく部屋に戻る。布団の上で正座させられて説教が始まってしまった。
「大体、いくらお前のための薬だからって疑いもせずに飲むか!」
移動したこと、薬を飲んだこと、手合わせの約束をしたこと…なんだろう、お母さんに怒られている時を思い出す。
矢継ぎ早に怒られて。いや息が上がるほど慌ててしゃべらなくていいよ……。
「……喉はもう痛くないのか」
「全然、前と同じ状態だと思うけど」
「声が少し低くなったな…あと、若干枯れてる」
まぁ、いいんじゃないだろうか?体形の事もあり、初見では大体男かなと思われているし、声も低ければなお男だと思うだろう。
大将としては威厳がありそうじゃないか。
「まぁ…いいじゃん。声も外見も違えば、過去の俺とはもう別物だろう?」
「……まぁな。和海はいいのか、完全に男と間違われるぞ」
「チカは俺が女だって気づいてた?」
そーっと視線を逸らす長曾我部。まぁ気づいていないよな。
「気づいてたのにお風呂一緒に入ろうとしたのか?」
「いや、あの時は本当に男だと思ってて……。悪かった、女だと分かったのは前世を見てからだよ」
「だと思ったよ。まぁ、その辺はどうでもいい。戦場で女だと狙われるよりマシだろう。
なぁ、まだ俺の目は青いか?」
そっぽを向いている長曾我部の顔をつかんで、俺の目を見てもらう。
「あ、ああ…、まだ青い」
やはりまだ完全回復はしていないようだ。さっきよりは見えるようになってきたとは思うけど、まだ少し霞む。
でもこの回復スピードなら明日の手合わせは間に合いそうだ。
過去?そんなものどうやって?
答えは分らぬまま私は爆炎に包まれた。
――――――――――
さっきまでのは夢か……。過去に何か松永とやったんだろうな。だから松永って存在が異様に怖いんだ。
「……っこ…は」
上手く声が出せない。
それに体中も痛い。
「和海!意識が戻ったのか」
長曾我部…?が俺の顔を覗き込んでいる。少し視界が霞んでいる。靄がかかったようだ。
だめだ、返事をしたいが声が出ない。喉がおかしいようだ。
指でスマホを持ってくるように指示を出して、メモに文章を打ち込む。
【どのくらい寝てた?】
「……二日だ」
松永に吹き飛ばされて、俺は川に流されたそうだ。あっちこっち負傷して、ひどい状態だったらしい。
今なんか、目が青いらしい。赤い目の時は戦闘力が上がったから、今は自己治癒とかそんな感じが上がっているんじゃないだろうか。
じゃなきゃ二日程度で復活してくるわけがない。
【誰か俺に連絡してきたやつはいるか?今回の怪我の事、毛利には連絡したか?】
「そういや、黒田ってやつから連絡があった。今は迎えに行くことは難しいって伝えたら、しばらくは小田原でのんびりするとか言ってたな。
毛利には……まだ何も言ってねぇ」
ふむ、うまい事北条を引き入れることに成功したってことか。
急いで迎えに来いって言われなくてよかった。
毛利には四国に行くって約束したから……あと二日で復活しないとな。
「声が、出ないのか?」
【喉が腫れている。そのうち声が出ると思う】
体を起こして、今の状態を把握しようとすると、長曾我部に止められた。
「和海はおとなしくしてろ!お前は怪我人なんだぞ」
「Yes、そいつの言うとおりだ。まだ寝てろ」
見計らったかのようにふすまの向こうから伊達が姿を現した。
【政宗、部下は無事?】
「ああ、松永の野郎はあのまま姿を消したからな」
見る限り、伊達も大けがを負った様子はない。
【伊達軍が無事でよかった】
「Ha、人の心配するより自分の心配してろ。大体どうやって、あの場所に来たんだ?」
【そういう能力】
そういえば、今は体を治癒している状態だけど、移動はできるのだろうか?
複数同時に能力使えたら便利だよな。
【チカ、少し離れた場所に移動してくれ】
長曾我部が今度は廊下に出て障子を閉める。
すっと影の中に体を沈める。同時に使うことは一応はできるようだ。
そして、そのまま廊下で待機している長曾我部の元に出現した。俺が出てくるとわかっていて、抱きかかえてくれた。
「おい、和海が消えて……いや、移動したのか」
「そうだ。こうやってあの晩移動したんだよ」
俺の代わりに長宗我部が答えてくれた。
「♪~、ずいぶん便利な能力じゃねーか」
「ったく、怪我が治るまで布団から出るんじゃねえ」
再び長曾我部に布団に寝かしつけられてしまった。……少しだが動いてみたが、四肢に関しては問題はなさそうだ。
あとは目と喉を直せば問題無さそうだ。
「怪我が治るまで、置いてやるから安心して寝てろ」
伊達にも寝かしつけられてしまう。なんというか、体は元気なので、寝ていろと言われるのがつらい。
【散歩くらい許して。寝てるだけだと背中が痛い】
「まぁそうだろうな。後で小十郎を呼んでやるから、それまでは寝てろ」
【わかった】
「元親、お前は話があるからちょっと来い」
「絶対に無理するなよ」
【はいはい】
二人が居なくなり、暇になったので一応毛利に連絡を入れる。
【毛利へ
予定日までには帰ります。
ただしばらく、通話はできないので文章のみとなります】
そういえば毛利にもLI●E入れておいたけど使い方わかるんだろうか?
不安になったが、すぐに既読がついた。
【和海が帰ってくるのを心待ちにしておる。
しっかりと武器の手入れは済んでおる。
貴様が未提出だった領収書についてじっくり話し合おうではないか】
うーわ、やっぱり帰るのやめようかな……。
「あ゛ぁ…」
うーん、掠れるけれど起きたばかりの時よりは大分ましになった気がする。
のど飴が欲しいな。
しかし、片倉はいつ頃来るのだろうか?
そっと起き上がり、廊下に出る。すぐに庭のような広めの場所につながっていたので、ストレッチの心算で軽く体を動かした。
本当に喉と目以外は問題がないな。
その、目がよく見えていないせいで遠くにいた人物を見逃していた。
「いやぁ、素晴らしい舞だ」
体格のいい青年に声をかけられて飛び上がった。
「すまない、驚かせるつもりはなかったんだ!ただの舞というより、武術に通じるものを感じるな」
うすら寒い場所で腹を出しているなんて…いや筋肉質だから温かいのか?
それにしても…あの家紋は徳川のものだった気がする。どこか面影、いやないな。親戚か?
「ワシは徳川家康。お前の名を聞いてもいいか?」
徳川…家康……?
いや、知らないぞ。こんな徳川記憶にない…忘れてしまっているだけなのか?
かなり衝撃的だ…本当に?あの小さかった徳川がこんなに大きく?
え、伊達より背が高いんじゃないのか?
驚きで口をパクパクさせていると、気の毒そうな顔で俺を見てくる。
「……すまない。その、口がきけぬのか?」
実際、今は声が出せないので素直に頷いておく。
ここは自己紹介をしておくべきなのだろうか?一応スマホを取り出して【和海と申します】と名乗っておいた。
「おおそうか!お前が元親の言っていた和海だったのか!成程、これがすまほなのか。なかなか面白いカラクリじゃないか。
いかん、いかん。話がそれてしまった。
政宗に頼まれて薬を用意したんだ。喉に効果があるものだ」
優しいな、伊達。っていうか、喉がヤバいということは今日話したばかりなのにどうして徳川が知っているんだ?
本田忠勝か?彼に乗ってきたのか?
【ありがとうございます】
礼を伝え、渡された薬を飲む。
すぅっと清涼感が喉をいやしてくれる。龍角●ダイレクト飲んだときみたいだ。
熱っぽさも、腫れも引いたような感じがする。
「……これは元親も心配になるわけだ」
なんでだ?こちらが首を傾げると、徳川が苦笑いを浮かべた。
「お前は、ワシが毒を盛るとは思わなかったのか?」
たしかにその可能性はあるし、現在豊臣と同盟の俺は徳川やこの辺の武将たちからしたら邪魔な存在だろう。
【チカの知り合いだから信じた】
「チカ…?ああ、元親の事か。ずいぶんと信頼しているんだな」
なんとなくだけど、長曾我部はよほどのことがない限りは敵対することはなさそうだし、裏切られたらそれだけのことだ。
「いい絆を持っているんだな。どうだ?良ければ今度手合わせでも―――」
「和海!なんで出歩いてるんだよ!」
怒鳴り声をあげているのは長曾我部。咄嗟に徳川に【話を合わせてくれ】と文章を見せる。
【人の気配がして、チカだと思って廊下に出たら彼に会った】
「ああ、それで薬を先ほど渡してな。声が戻ったかどうか発声練習をしてみるつもりだったんだ」
ありがとう徳川。長宗我部はものすごく不信そうな目で俺を見ているけど、まぁ大体あっているからそんな目で見ないでくれ。
「あ、あ…あー。何とか、ここまで回復したぞ、チカ」
「……確かに。ただ、まだ安静にしておけよ。今日一日喋るな」
【チカのけち】
「ケチじゃねーよ。悪かったな、家康。大変だっただろう」
なんでも今日は徳川は伊達と話があり、もともとここに来る予定だったそうだ。それでさっき伊達と長曾我部が部屋を出て行ったそうだ。
そして、薬について詳しい徳川に喉によさそうなものがないか長曾我部が尋ねてくれた結果、本田に乗ってあっという間に薬をもって帰って来たらしい。
ホンダムなんて言われていたけど、ほんと素晴らしいな。あの人……人、だよね?
「和海殿はまだ暫く滞在されると聞いたが、明日でも手合わせ願えないか?」
頷くと長曾我部はひどい顔で睨んでくる。いや、だって暇なんだもん。
「なに、無理をさせるつもりはない」
「何が無理をさせるつもりはないだ。素手で岩盤割る奴の台詞じゃねーよ」
……何があった、徳川家康!
槍は何処へ?素手ってなに?本田に次いで人間をやめるのか?いやBASARAメンバー人間やめてる人しかいないや……。
「体調がすぐれぬようなら手合わせはしない。それでいいだろう?」
「当たり前だろう。ほら和海もさっさと部屋に戻れ」
促されて仕方なく部屋に戻る。布団の上で正座させられて説教が始まってしまった。
「大体、いくらお前のための薬だからって疑いもせずに飲むか!」
移動したこと、薬を飲んだこと、手合わせの約束をしたこと…なんだろう、お母さんに怒られている時を思い出す。
矢継ぎ早に怒られて。いや息が上がるほど慌ててしゃべらなくていいよ……。
「……喉はもう痛くないのか」
「全然、前と同じ状態だと思うけど」
「声が少し低くなったな…あと、若干枯れてる」
まぁ、いいんじゃないだろうか?体形の事もあり、初見では大体男かなと思われているし、声も低ければなお男だと思うだろう。
大将としては威厳がありそうじゃないか。
「まぁ…いいじゃん。声も外見も違えば、過去の俺とはもう別物だろう?」
「……まぁな。和海はいいのか、完全に男と間違われるぞ」
「チカは俺が女だって気づいてた?」
そーっと視線を逸らす長曾我部。まぁ気づいていないよな。
「気づいてたのにお風呂一緒に入ろうとしたのか?」
「いや、あの時は本当に男だと思ってて……。悪かった、女だと分かったのは前世を見てからだよ」
「だと思ったよ。まぁ、その辺はどうでもいい。戦場で女だと狙われるよりマシだろう。
なぁ、まだ俺の目は青いか?」
そっぽを向いている長曾我部の顔をつかんで、俺の目を見てもらう。
「あ、ああ…、まだ青い」
やはりまだ完全回復はしていないようだ。さっきよりは見えるようになってきたとは思うけど、まだ少し霞む。
でもこの回復スピードなら明日の手合わせは間に合いそうだ。