好きな人の好きな人

 私の好きな人には好きな人がいる。
 私の好きな人の好きな人にも、好きな人がいる。
 好きな人がゲシュタルト崩壊しているけど、つまり不毛な恋をしている者が少なくとも二人はいる。
 私と、私の好きな人だ。

 私の好きな人、芦花の好きな人、彩葉にはかぐやちゃんって好きな人がいて、彩葉とかぐやちゃんはきっと想い合っていると思う。
 彩葉とかぐやちゃんは、私たちがかぐやちゃんと初めて会った時から……二人が出逢った時から多分惹かれ合ってたんだよね。

 でも、芦花は、それよりも前から彩葉が好きだった。
 それよりも前から、私は芦花が好きだった。

 こんなんになるなら、早く「好き」って言えばよかったなぁ。

 芦花は中学のころから綺麗でお洒落で、皆の人気者で。
 そんな芦花の『親友』ポジションに私なんかが立ってしまって。
 色々あったけど、いつも堂々としてる芦花が私は大好きだった。

 私が芦花をずっと見ていたから、ある時、彼女の異変に気付いてしまった。
 高校入学式、新入生代表の酒寄彩葉に目を奪われる芦花を見つけた瞬間、私の恋は終わったと気づいた。

 でも、彩葉はいい子で頑張り屋で可愛くて、芦花に負けないくらい人気者。

 二人の『親友』には不釣り合いって、言われたこともあった。
 でも、そのたび、芦花と彩葉は「真実は可愛くていい子だよ」って言ってくれる。
 『親友』でいてくれ、って言ってくれる。
 芦花とは『親友』じゃ物足りないのにね。
 でも、告白して『親友以下』にはなりたくなかった。

 八方ふさがり。
 そんな時、かぐやちゃんが現れたんだ。
 急に消えてしまいそうだった彩葉が生き生きして実体を持っていくのを感じていたけど、それと同時に、芦花は元気がなくなっていった。それこそ、ふっ、と突然消えてしまいそうな、危うさ。
 といっても、それは私しか気づいていないと思う。
 芦花はそういうのを隠すのが上手かった。

「芦花さぁ」
「ん~?」
「彩葉にいつ告白すんの~?」
「は、はぁ?!」

 彩葉はかぐやちゃんと行動を共にすることが増えてて、たまたま芦花と二人でツクヨミで遊んでた時、私はとうとう溢してしまった。

 ふふ、焦ってる。可愛いな~。
 全部全部、芦花の全部を独占したいよ。

「私じゃ、ダメなの?」
「は? ま、真実?」
「なんで、なんで私じゃダメなの? 芦花……」

 こんなにも好きなのに。
 そんな困った顔、しないで……。


―end―
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