懐かしい部屋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
トキが正式に暗部に所属することを受諾し、方針が固まった
綱手様は火影の座を降り、カカシ先生がその後に座る
それを里の上層部に納得させる必要があるとのこと
綱「それと、正式にお前の呪いを封じる準備を進める
準備が整い次第、呼び出すからそのつもりでいろ
…数日時間をもらうが、体調は大丈夫か」
『大丈夫です、ありがとうございます』
綱「ならば良い
今日はこの辺りにしておこう、シカマル、あとは頼んだ」
シ「了解っす」
話を終え、火影室を後にする
もう里を自由に歩けると思うと、なぜか心が落ち着かない
『(……これから、どうしよう)』
シカマルの後を追って火影室を出て、ひとまず外に出ようと歩く
住む場所を決めて、生活の拠点を決めないといけない
ぐるぐると考えながら歩いていると、足を止めたシカマルの背中にぶつかった
「いて」
『あ、ごめん』
ぱっと顔を上げてシカマルを見上げると、彼は少し呆れた顔をしていた
そしてその呆れ顔を違う方へ向けるので、私も同じようにそちらを向く
い「あっ、トキ!」
チ「大丈夫だった?!」
建物のすぐ外には、また同期たちが集まっていた
たぶんトキを心配してここまで来たのだろう
サ「トキ、綱手様はなんて…?」
ナ「罰とか、なんか、そういうのは平気なんだよな?!
綱手のばーちゃん、そういうのはしないって言ってたし!」
キ「これでもう里で暮らせるんだろ?!そうだよな?!」
シ「落ち着けって」
ぎゃーぎゃーと騒がしくなる同期たちに、ため息を吐く
里の立派な忍びとなった仲間たちではあるが、根底は変わらない
それが、トキにとって救いでもあるのだろう
『……これからは、里で生きるよ』
小さく微笑みながら話すトキに、同期たちはわっと湧き上がる
みんなに囲まれて笑う彼女の姿は、昔のアカデミーの頃を思い起こさせる
あの頃に戻れたんだ
*
一通り同期たちで話したあと、いのがトキの腕を引っ張った
い「ね、見せたいものがあるの
一緒に来てちょうだい!」
『え?』
チ「シカマルも!」
シ「は?おい聞いてねーぞ」
い「言ってないもの!
アンタが里から出ている間に、みんなで準備したのよ」
サ「そうよ、シカマルがトキを連れ戻してくれると信じて、先に準備しておいたの」
ヒ「提案してくれたのは、綱手様とシズネさんだったんだけどね…」
何の話だと戸惑うトキとシカマルを無視し、同期たちは2人の腕をずるずると引きずり始める
そしてそのまま、街に向かった
*
ずるずるといの達に引きずられるがままに歩いていると、見覚えのある道順だと気付く
この道は、私がよく知る道のひとつだ
『まさか…』
ふと気付いて顔を上げると、そこには見覚えのあるアパート
記憶の中にある建物より古くなっているが、あの頃の面影ははっきり残っている
『私が住んでた…』
い「驚くのはまだよ」
チ「はいはい部屋はこっちだよ!」
そのままアパートの階段を登る
そして連れられたのは、私が木の葉にいた頃に住んでいた部屋の前
嘘でしょ、と呟く私に、いの達は笑った
『私の、部屋』
扉を開けて広がる景色に、言葉を失った
そこにはかつて私が住んでいた頃の部屋が、そっくりそのまま残っていたのだから
『……私の部屋をそのまま残してたって言うの?
あれから何年経ってると…』
い「綱手様のご厚意よ、部屋もたまに私とサクラで掃除しに来てた」
チ「トキが戻ってくるって思ったから、みんなで改めて準備しておいたんだ
どう?あの頃のまんまでしょ?」
部屋の中に足を踏み入れる
全て、自分の記憶の通りだ
そして机上に見つけた、空の写真立て
それを手に取った
い「あ、それ気になってたのよ
何も入ってない写真立てなんて、変だなーって」
『………………………中身なら、あるよ』
シ「!」
トキは写真立てを置き、懐から一枚の写真を取り出して写真立ての中に入れる
それは、第十班で撮った思い出の写真だ
い「!
………そっか、それが入ってたんだ」
チ「トキ、その写真ずっと持ってたんだね」
シ「………。」
『………………これだけは、手放したくなかったから』
コト、と写真を入れ直した写真立てを置き直す
それを嬉しそうに見つめるトキの横顔を、3人で見つめた
下忍の頃、任務終わりにみんながたまに遊びに来る事があった
いのやサクラ、ヒナタが泊まりに来て、女子会だなんだと騒いだこともあった
一人暮らしをしていた私が寂しがらないように、みんながよく集まってくれた
思い出の部屋だ
それをあの頃のまま残してくれていたことに感謝した
シ「……今日はこの辺で解散するか
トキもゆっくり休みてえだろうし」
い「ええ?でもまだまだ話したいことが…」
チ「……ま、それはこれからいつでも出来るようになったんだし、良いんじゃない?」
チョウジの言葉にいのは不満げにしつつも、分かったわよ、と了承した
みんなは部屋を出ていく
い「良い?トキ
何かあったらすぐ呼んでよね
それにまだまだアンタとは話し足りないんだから!」
チ「僕もいのも、数日はお休みもらってるんだ
だからまた来るよ」
『うん、ありがとう』
シ「………。
綱手様からまた連絡が来る
今日はしっかり休めよ」
『うん、シカマルも2人も、色々とありがとう』
ふわりと優しく微笑むトキに、別れを告げる
パタン、と締まった扉を確認して、3人でアパートを離れた
*
トキのアパートを出て、3人で歩く
沈黙が続いた
チ「…なんか、夢みたいだよ
まだ信じられない」
い「私もよ…
ほんとに、トキなのよね?」
シ「当たり前だろ」
二人の言葉に小さく笑いながら返事をする
長年追いかけてきた仲間をようやく取り戻した。それが嬉しい反面、衝撃でもある
シ「トキは、木の葉に戻ってきたんだ」
*
「トキは、木の葉に戻ってきたんだ」
シカマルの言葉は憑き物が落ちたような清々しさがあった
チョウジといのは、シカマルの横顔を見つめる
この男は、里の誰よりもトキを想い、トキを追いかけてきた
シカマルにとってトキは、アカデミーに入る前から家族ぐるみで仲が良い幼馴染
付き合いだけならチョウジよりも長かったりする
そしてシカマルが想いを寄せる相手でもあった
いのやチョウジに比べても、彼の想いは格段に違う
い「……良かったわね、シカマル」
チ「そうだよ、シカマルがトキを見つけてくれて良かった」
シ「……あぁ、ありがとな」
ゆるりと笑うチームメイトに、いのとチョウジも笑いかけた
.