帰還
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
村を出て歩き続ける
何度か夜を明かし、ようやく見えてきた大きな門
思えば任務に出てから、だいぶ時間が経っている
思っていたよりも長い旅となったな、と木の葉の大門を遠くに見つめる
ふと彼女の横顔を見ると、少しだけ顔に緊張が浮かんでいる
当然だろう
彼女が木の葉に足を踏み入れるのは数年ぶり
しかも最後に里に来た理由は、襲撃だったのだ
何も思わずに堂々と門をくぐれるほど、無神経では無い
次第にトキの足運びは遅くなり、やがて止まる
「……トキ?」
『………………。』
門は少しずつ大きくなる
もう目と鼻の先に、里はあるのだ
「大丈夫だ」
『!』
「ほら、一緒に帰ろう」
シカマルは優しく笑うと、私に手を差し伸べる
その手を取り、足を踏み出した
遠くに見える門が次第に大きくなる
私の足は重くなるが、シカマルも私に合わせてゆっくり歩いてくれていた
「!
あれ、人がいる」
『!』
シカマルがふと門を見て、何かに気付いた
私も顔を上げて門を見る
そして門の下にある人だかりに、見覚えのあるシルエットをいくつも見つけた
「「トキ!!!」」
その人だかりのうちの2人は、トキの姿を見つけると一目散に走ってくる
思わず後退りしそうになるトキの手を引っ張って、無理やり前に押し出した
『シカ、「大丈夫だ、行ってこい」』
シカマルの手が離れると、そのまま彼に背中を押される
私は意を決して顔を上げ、私に駆け寄る2人の姿を見た
『いの、チョウジ
ただいま』
トキがはっきりそう言うと、いのとチョウジはそのままトキに抱き付く
押し倒すんじゃないかという勢いで抱き付くので、背中を押さえた
「バカトキ!!
今までどこで何してたのよ!!」
「ずっと心配してたんだよ!!
みんな…!みんなトキのこと待ってたんだ!!」
いのもチョウジも、大粒の涙を流してトキに抱き付く
やっと、第十班が揃ったんだ
門の下には他にも同期たちが勢揃いしていて、みんながトキに駆け寄ってきた
そして全員が、「おかえり」と口を揃えて彼女に笑いかけた
『……みんな、ただいま
それと、今までごめん』
仲間たちに囲まれて、トキも涙を流す
ごめん
その一言が言えずに、何年も経っていた
これが彼女の、リスタートになるのだ
*
いつまでも泣き止まないいのとチョウジに、トキも少し困り始めている
だが抱き付く二人を無碍にできないのも分かっていた
結局、いのはサクラが、チョウジはナルトとキバで引き剥がし、やっとみんなで顔を合わせることができた
ヒナタやテンテンも号泣しているし、リーもボロボロと泣いている
大門の前で大勢で泣いているその様子に、イヅモとコテツも驚きながらも見守っていた
この2人もまた、彼女とは縁のある2人だ
*
「あらら、予想以上に大荒れだね」
同期たちが泣いているところに、ふらりと現れたのはカカシ先生だった
隣には綱手様とシズネさんもいる
綱「………空目トキ
よく帰ってきた」
『!
……寛大なお言葉、痛み入ります』
綱「うむ
せっかくの再会に水を差すようで忍びないが…
トキ、これからの話をしよう
火影室に来い
シカマルも一緒にだ」
シ「!
……わかりました」
綱「カカシも、行くぞ」
カ「分かりました
…君たちも、一度解散だ」
い「え、でも…」
トキの処遇がどうなるのか、詳しい話を知っているのは同期だとシカマルだけ
他の同期たちは、もしや何らかの罰が与えられたり、処刑されたりするのではと、それを危惧していた
咄嗟に引き止めようとするいのに、トキは小さく笑いかける
『私は大丈夫だから
また後で』
「「!」」
また後で
その言葉がどれだけの重みを持つのか、同期たちは知っていた
い「……分かった
あとで必ず会いに行くからね、トキ」
チ「シカマル、トキのこと頼んだよ」
シ「あぁ…、分かってる」
そう言うと、綱手たちは一瞬で姿を消す
残された同期たちは、しばらくその場から動くことができなかった
*
場所を火影室に移し、綱手が口を開く
「改めて、よくぞ戻ってきてくれたトキ」
『……はい、ありがとうございます』
「あの病室で話したこと…、その後、考えてもらえたか?」
『………。』
綱手様は真っ直ぐにトキを見つめ、そう切り出した
話というのは、彼女の呪いを封印する代わりに、次期火影となるカカシ先生の専属の暗部となることだ
綱「もちろん、その条件を飲まないなら里から追い出す、なんてことはしないつもりだ
この案はあくまで、お前の体面上の処罰だ
……言い方は悪いが、お前が暁に属していた事実は消えない。そのお前に対して何も罰を与えず、里を歩かせることに難色を示す奴らがいるのも事実…
これは、私がお前にしてやれる譲歩であり、防衛線だ」
カ「……要は、トキが里に害を与えるものでは無いことを示す口実を作りたい
そのために、悪いけど俺の下で働いて欲しい
そうすれば火影直属の部下という肩書きと、俺が君を直接見張っているという防衛線が引ける」
シ「(…なるほど)」
トキが本当は里に危害を加えるつもりが無かったこと。大戦を止めようと裏で動いていたことは、知る人ぞ知る情報であって、この世界の全員の共通認識では無い
もちろん俺たち同期や先生方、そして綱手様たちもそれを理解しているが、理解をしない人間もまだ多い
そんな状況でトキを呼び戻すことで、里の中に混乱が起こる可能性もある
それを防ぐための防衛線が、トキが火影直属の暗部になるということ
トキの手綱を里が握っていると示し、余計な不安を与えないため
「(それが、カカシ先生たちがトキを暗部に勧誘する理由…)」
綱手様たちはこうなることを見越して、トキを守るためにあれこれ動いていたようだ
カ「……どう?
悪い話では無いと思うよ、君にとっても、シカマルたちにとっても」
シ「!
俺たちにとっても?」
綱「………。」
『…?
どういう意味ですか?』
カカシ先生の言葉が引っかかって、聞き返す
それに綱手様やシズネさんの表情も、引っかかった
カ「"里の裏切り者に執心する忍びがいる"…ってね」
『!
………私のせいで、シカマルたちの評判が悪くなってるんですね』
シ「!
そんなの、俺たちは全然気にしてませんよ!
アイツらだって…!」
カ「分かってるよ
でもそれは、事情を知ってるからだ
知らない人間からしたら、トキは大戦の発端となった組織の一員…
ましてや忍びじゃない人間にとって、彼女は恐れるべき相手だ
……根も歯もない噂や評判が立つのは、無理もないだろう」
『………。』
カカシ先生の言葉は事実だし、反論の余地はない
俺たちはトキのことをよく知っていたから平気だったが、他の奴らは違う
その"違い"に、気付かないふりをしてきた
ぐ、と押し黙るシカマルの横顔を見る
その表情が苦しげで、それで全て悟る
『(……私のせい、か)』
私のせいで仲間は嫌な思いをしてきたのだろう
それも含め、自分のできる贖罪は決まっている
『綱手様、カカシ先生
先日のお話、受けます』
「「!」」
シ「…いいのか?トキ」
『うん
それで私の罪が償えるなら…、それに、シカマルたちの誤解も晴れるなら
喜んで引き受けます』
毅然とした態度で彼女は言い切った
そしてその言葉を受けて、綱手様は一瞬だけ申し訳なさそうな表情を浮かべるもすぐに凛々しい顔つきに戻し、小さく笑った
「……分かった
では空目トキ
お前はこれから里の暗部として、里のためにその力を使え」
『はい』
こうしてトキは里への帰還を果たし、また里で生きていくことを許された
昔のように、彼女は自分が生まれ育った里に戻ってきたのだ
.
ついに里に帰還
といってもオールオッケーとはならないので、まだまだ太陽の下を歩くには壁があります
それも少しずつ解決させていきます
そしてハッピーエンドに向かうように、舞台を木の葉に変えて、連載を進めていきます
.