告白
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ヤマト隊長がサイに仕込んだ発信器と、隊長の分身が今、サイと大蛇丸とカブトの居場所を追いかけているらしい
『……裏切り、はないですよね
サイは根の者ですし』
「恐らくは、何らかの任務だろう
極秘任務、と言ったところか」
『………私の監視すらも伏線だったというわけですか』
サイの極秘任務は恐らくダンゾウからの指示だろう
奴が大蛇丸さんとの接触を求めたということだ
「とにかく、今はサイ達を追うよ
今、僕の分身が3人がアジトのような建物の中に入っていったと報告してきた」
『!
アジトですか』
意識を失ったままのナルトをちらりと見つめる
アジトは、おそらく予知夢に出てきたあの場所だ
そのアジトに、恐らくサスケも居る
『………先に様子を見てきます
ナルトが意識を取り戻したら、3人も来てください』
「何を言ってるんだ、君1人で行かせるわけないだろう?!」
『ここでナルトが気付くのを待つのは時間の無駄です
それにサクラだって、傷は元に戻したけれど万全ではない
一番戦えるのは私です
それに…』
「それに…?」
サクラが身体を起こし、私を見る
サクラを安心させるようににこりと笑いかけ、ヤマトに視線を戻した
『大蛇丸は、私を自分の器に求めています
私なら、見つかっても殺される事はない』
「!!」
淡々と告げれば、ヤマトを目を見開いた
「………君の実力は、自来也様のお墨付きだ。信頼できる
だが、危険な真似をさせる訳にはいかない」
『サスケがそのアジトにいる、と言ってもですか』
「え?!」
サクラが声を上げた
だがそれに構わず、ヤマトの目を見つめ続けた
『綱手様にも言いましたが、私は任務の前に予知夢を見ました
その事はヤマト隊長の耳にも入ってると思います』
「………あぁ、聞いてるよ
ナルトが大蛇丸との接触によって尾獣化する夢を見た、とね
だから僕がカカシ先輩の代わりを任されたんだ」
『予知夢の中で、サスケが出てきたんです
ある建物の中にいました
この辺りにある建物は、おそらくヤマト隊長が見つけたアジトだけでしょう
そこに、サスケがいる』
「………サクラ、念のため聞いておこう
トキの予知夢が外れたことはあるかい?」
「………無いです、一度も」
「……そうか」
はぁ、と大きく息を吐くヤマト
だがすぐに、懐から何かを取り出した
『? 種、ですか?』
「発信器だ、サイとナルトの服には仕込んであったんだが、君とサクラには仕込んでいない」
『……あの宿で仕込んでたんですね』
「これがあれば、居場所がすぐに分かる」
『!』
ぱ、と顔を上げる
ヤマトは口元を緩め、仕方ない、と笑った
「大蛇丸とサイを追いかけろ」
『……了解です』
種をポケットにしまい、一気に走り出す
ナルトの意識が戻れば、3人も後から着いてくるだろう
その前に、大蛇丸さんと接触しなければ
『極秘任務、スタートだ』
***
森を駆け抜け、ヤマトの指示通りの方角に真っ直ぐ進む
誰かの気配を感じて立ち止まると、近くの木からヤマトの分身が現れ、細かな座標を教えてくれた
その場所に向かえば、砂地にでた
『アレか……』
建物の近くまで行き、入り口を探す
もちろんそんなものは無かった
『カブトさん、いるんでしょう
中に入れてくれます?』
声をあげれば、どこからかカブトが現れる
やはりな、とにこりと笑えば、カブトは眉を寄せた
カブトはトキが1人なのを見ると、ふ、と笑った
「君の度胸はすごいな、敵陣に丸腰で来るなんて普通はしないよ」
『私が敵ではないからですよ』
「………ほう、君は僕らの敵ではない、と?」
『だってそうでしょう
あなた方は私を殺せないし、私にあなた方を殺す理由はない
命の駆け引きをする理由がない相手は、敵ではない』
「………なるほどね
自分が大蛇丸様のお気に入りだと分かっているからこその、この行動か」
『中、入れてくれますよね』
確信を持ってそう言えば、カブトはやれやれと肩をすくめた
「本当ならここで丁重に追い返すんだけどね、君は特別だ
大蛇丸様に、君が1人で来たら中に入れろと言われている」
『………やはり、あの方は分かっていたか』
「?」
ふふ、と笑いをこぼせばカブトは顔をしかめる
やがて、訝しむようにトキに尋ねた
「………君は木の葉の忍だろう
それに君の一族は、大蛇丸様の手によって滅ぼされたはずだ
普通なら大蛇丸様を恨むはず
けど橋で会った時から、君には違和感を感じていたよ」
『違和感、ですか』
「あぁ
君の目には敵意が感じられなかった、もちろん殺気も無かった
ナルトくんが敵意を剥き出しにしていたのに、君はまるで、楽しんでいるようだった
恨みなんて感情とは、真逆だ」
『なるほど』
「………君は誰だ?
君は一体、何なんだ?」
カブトの目付きが鋭くなる
だがそれすらも楽しいと言わんばかりに、トキは笑顔を浮かべた
『私は空目トキですよ、それだけ』
にっこりと微笑みかけると、カブトは拍子抜けしたように目を見開く
だがやがて、に、と笑った
「君も訳ありなんだね」
『ご想像にお任せしますよ』
「良いだろう
入り口はこっちだよ」
カブトが背を向けて歩き出す
その後をおとなしく歩いて着いて行った
***
アジトの中に入ると、中は薄暗かった
いくつも部屋がある
「このまま真っ直ぐ進めば、大蛇丸様がいる」
『カブトさんは?』
「少し、野暮用が出来た」
に、と笑い、カブトがその場から消える
おそらく、ナルト達がアジトに侵入したのだろう
『………よし』
廊下を真っ直ぐ進む
途中の部屋には、まったく人の気配がなかった
『!』
周りに注意しながら歩いていると、ゴゴゴ、と大きな地響きが起こり、身体が傾いた
そして、どこからか感じるチャクラ
ナルト達だ
タッとその場から走り出し、音が聞こえてきた方へ向かった
***
音がした方に走っていると、どこからか光が差し込んできている
廊下を曲がれば、そこにはナルト達がいた
「サスケ…くん」
サクラの口から発せられたその名に、ナルトが飛び出す
そして、壁が崩れて外の光が差し込んでいるその場所に出ると、ナルトは上を向いて目を見開いた
「サクラ、それにナルト……
あとはカカシか?」
懐かしい声がする
物陰からヤマトが出て行き、サスケを一瞥した
「カカシ先輩じゃなくて悪いね、僕は代理だ」
「ふん…」
サイ、サクラ、ナルト、ヤマトを順番に見た後に、もう1人の気配を感じてそちらを睨む
ざ、と足音を慣らして現れたその人物に、サスケは目を見開いた
***
『サスケ』
凛とした声は、するりと耳に届いた
影から出てきたそいつは、眩しすぎるほどに鮮やかな青をなびかせている
「………トキ」
三年前と変わらない青い瞳と青い髪は、やはり俺の目には毒のようだ
俺が名前を呼べば、トキはふ、と口元を緩めた
『久しぶりだね』
まるで何ともないように、あの頃のように軽い口調で声をかけるトキ
飄々としたその態度は、この空間ではひどく浮いている
太陽の光を受けて輝く空色の髪は、闇なんて知らないように、美しく輝いていた
***
ナルトとサスケが睨み合う
三年前の、終末の谷と同じだ
『!』
目を離したつもりはなかった
だが、いつの間にか視界から消えたサスケは、ナルトの懐に入っていた
『(早い)』
キン、と短刀を取り出し、構える
だがナルトは、動かなかった
「お前は、今度は俺の気まぐれで命を落とすんだぜ」
その言葉と共に、サスケがゆっくりと刀を抜く
まずい、と思った時にはサイが動いていた
「ぐぁっ!」
「うわっ!」
サスケの攻撃を防いだものの、サスケは千鳥を流してナルトとサイの動きを封じる
『(……強い)』
一瞬の判断で、迷いなく敵の動きを封殺
そしてこのチャクラ
雷切を全身にまとわせるのは、かなり高度な技術を要するはずだ
刀を構えたまま、サスケの出方を見る
だがその時、視界の隅でピンクが揺れた
『!
サクラ!』
サクラがサスケに向かって走り出す
サスケの目は、以前のサスケとは別人だった
『時遁、時空縛!』
サクラの動きを止めると、サスケとの間にヤマト隊長が入ってサスケの攻撃を受けた
強烈な千鳥をまとった刀が隊長の肩を貫いている
サクラにかけた術と同じものをサスケに向けて発動させる
それを察知したのか、サスケは素早く刀を引き抜いて距離を取るために飛び上がり、また崩れた壁の上へと戻った
『………変わったね、サスケ』
「お前は相変わらずだな」
ちら、とナルトとサイを見ると、2人は何とか身体を起こしていた
『仲間を本気で殺すの』
「仲間じゃない」
短い言葉のやり取りは、ただトキの胸を締め付けた
「残念だったな、トキ
お前もここまでだ」
『生きろと私に言っておきながら、殺すの?』
「お前も俺の気まぐれで命を落とすんだよ」
『サスケに私は殺せない』
「やってみれば分かる」
すっとサスケが手を天にかざす
全員の顔が強張った
「やめなさい」
突如聞こえてきた声に、全員が目を見開いた
全く気配はなかったのに
「大蛇丸…!!」
ナルトの声に怒りが含まれる
ぱ、とナルトを見れば、またチャクラが荒ぶっていた
『ダメだよナルト』
「!」
『その力に頼ったら、全てが無駄になる
これまでの努力も、時間も、全部』
それはナルトの力じゃないでしょう
そう続けると、かすかにナルトのチャクラは弱まった
そんなトキの様子を見て、大蛇丸はくつくつと笑った
「任務は十分に果たせているようね、トキ」
大蛇丸の言葉に、ナルトやサクラはおろか、サスケもトキを見た
大蛇丸がなぜ彼女に固執するのか、そして任務とは、一体何の話をしているんだと
『………おかげさまで
もう1つ、任務が増えました』
「ちょっと、トキ?!」
サクラがトキの肩に触れようと手を伸ばす
だが彼女は、その手を弾いた
『触らないで』
「……トキ…?」
訳がわからない、とサクラは眉を寄せる
どうしたんだとヤマトも声を発した
ナルト、サクラ、サイ、ヤマトの顔を順番に見て、彼女はふっと口元を緩める
その笑顔は、今までに見たことがないほどに綺麗で、そして不気味だった
『私は、私に課された任務を果たしに来た』
感情をなくしたかのように冷たく響くその声に、サクラはびくりと肩を揺らす
だが大蛇丸は、ニヤリと笑った
「橋で会った時から思ってたわ
あなたはもう、”思い出してる”ってね」
「おい、何の話だ」
話が読めなくなり、サスケが大蛇丸を睨む
それと同時に、ふっとカブトも姿を現した
『思い出したんだよ、空目一族が滅ぼされてから木の葉に戻ってくるまでの三年間
私はどこで何をしていたのかを』
サスケの目を見てそう言えば、サスケは眉をひそめる
あまりの展開に、サイはただただじっと様子を見ているだけだ
『記憶を失っていた三年間
私は、暁にいた』
淡々と紡がれたその言葉は、いやに響いた
第6話
告白
.