天地橋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
カカシ先生は任務には参加せず、代わりの人が隊長として第七班に入る
その人はヤマトと名乗り、ニコニコと愛想が良い印象を受けた
そしてもう1人
「サイです、よろしく」
ヤマト隊長と、このサイは夢で見た任務のメンバーに間違いない
よく当たる夢だと、自分で笑ってしまった
『サイさんは私の監視任務も兼用って事ですか、大変ですね』
「そうかな、君は監視しやすいよ
冷静な人のようだから
自分の置かれた立場を理解している」
『理解はしてる、けど言う通りにするつもりはないです』
き、とサイを睨む
一触即発、とまではいかないが、不穏な空気を漂わせる2人に、ヤマトは大きく息を吐いた
「はいストップ、いきなり揉めないでくれるかな」
『……すみません』
ヤマト隊長の制止に従い、サイを睨む目を伏せる
顔を上げてサクラを見れば、彼女は心配そうに私を見ていた
「任務の出発は明朝だ
各自準備をして、明日に備えるように」
「「『はい』」」
凛とした声で返事をする
任務は明朝出発、そして天地橋がある草隠れまでは1日以上かかる
明日1日は移動に費やすだろう
そして明後日、大蛇丸さんと接触する
***
任務に備え、早めに解散した
私はいのの店に立ち寄り、いつものように青い花束を購入する
「トキ、出来たわよ花束」
『ありがとう、いの』
「そうそう、知ってる?トキ
トキが修行に行ってからの三年間、毎月シカマルとチョウジが交代でお花添えてたのよ」
『え』
ふわりと花の良い香りが香ってくる
あの2人が、花を添えてくれたのか
私がいない間も
あの頃と同じだ
私が行方不明になったあの頃も、私が木の葉に帰ってくるまで2人が花を添えていてくれた
『………なら、また頼まないとなぁ、お花添えるの』
「え?長期の任務でも入ったの?」
『………そんなところ』
「そう…、気を付けてね」
『うん、ありがとう』
いのに曖昧に笑い返し、店を後にする
そのまま慰霊碑に向かった
***
『…あれ、シカマル』
「!
なんだ、お前も来たのか」
『うん、お花添えに』
慰霊碑に着くと、そこには先客がいた
見慣れたその後ろ姿に声をかければ、彼は振り返ってゆるりと笑う
「いのの所に行ってたのか」
『うん、いのにお花包んでもらったの
任務の前に来ておきたくて』
カサ、と花束を添えると、花びらが風に揺れてそよそよと揺れる
その景色は何度も見た
『シカマル』
「ん?」
『明日の朝、ナルト達と任務に出る』
「………おう」
『サスケを連れ戻せるかもしれない』
「おう」
『……三年前のあの任務の、延長戦だと思ってる』
「おう」
『………この任務で、私、は』
木の葉を抜ける
なんて口が裂けても言えなくて
「……トキ?」
『……シカマル、1つ、頼んでもいいかな』
「…?何だよ」
『お花、また添えに来てくれる?』
ちらりと慰霊碑の前に置かれた花束を見てそう言えば、シカマルは呆れたように息を吐いた
「当たり前だろ
ここは俺やチョウジにも馴染みのある場所だし、トキのおっちゃんもおばちゃんも好きだったからな」
『……ありがとう』
に、と笑いかける
ゆっくりと立ち上がり、シカマルを見た
『じゃあね、シカマル』
あなたと会うのは、これで最後になるかもしれない
***
「トキ、ペインから任務が出たよ」
シカマルと別れ、人気のない森の中に入る
演習場の外れのここに、人はなかなか来ない
ズズ、と地面から現れたゼツを見て、目付きを変えた
「君が夢で見たような出来事が起こるのなら、君は大蛇丸と接触したあとに木の葉を抜け、大蛇丸を追うこと
大蛇丸から、暁の証である指輪を奪ってこい、だってさ」
『指輪、ですか
他には?』
殺しますか、そう続ければ、ゼツはふるふると首を横に振った
「君に大蛇丸は殺せない、ってリーダーが言ってた
君の任務は、木の葉を抜ける事と、大蛇丸と接触して指輪を奪うこと
奪い方に指定はないけど、一応気をつけなよ
奴は君を気に入っていたから」
『大蛇丸さんは、私を殺せないですよ
器の1人として私を求めていましたから』
私に大蛇丸さんは殺せない、確かにそうだろう
手の内を知られているし、私には殺す理由もない訳だし
当然の判断か、と空を仰いだ
「トキ」
『はい』
「リーダーから伝言だよ
”待っている”だって」
『!』
ゼツの言葉に、あの輪廻眼が思い出される
私の唯一の居場所に、もうすぐ戻れるのだろう
家族に会えるのだ
『……すぐに参ります、とお伝えください』
す、と立ち上がり、ゼツに笑いかける
それを合図に、ゼツはまた地面へと消えていった
『私の居場所は、暁』
自分に言い聞かせるようにそう呟く
だが頭の中には、次々に木の葉での出来事が流れてきた
第十班との記憶、ナルト、サクラ、他の同期との記憶
次々に浮かんでは消えていく
『………しっかりしろ』
暁からの極秘任務だ、失敗は許されない
誰にも気付かれずにナルト達の任務に同行し、木の葉を抜けなければ
『行こう』
私は歩みを止めるわけにはいかないのだ
***
そして迎えた任務当日
途中紆余曲折あったものの、1日以上をかけて天地橋の近くまで到着した
「よし、僕がサソリに変化してカブトに近付く
君たちは、合図があるまで待機だ」
橋の手前で止まり、ヤマト隊長が変化してヒルコの姿になる
声色を整え、それをサクラがチェックした
『(……全然似てない)』
サソリさんはそんなんじゃない、全然違う
そんな言葉が口から出そうになるのを必死に耐え、様子を見守った
「よし、行くよ」
サソリに扮したヤマトが橋に行き、トキたち4人は近くの草陰に待機する
少ししてカブトが現れ、ヤマトと何かやりとりを始めた
『!!』
「大蛇丸…!」
カブトが手を出し、何かを求める
そのなにかがないヤマトは、やむなく合図を出そうとした
だがその時、大蛇丸が現れた
『ナルト、!』
ちらりとナルトを見て、息を飲む
まずい、九尾のチャクラが呼応している
それにサクラやサイも気付いたのか、少し目を見開いた
「合図だ」
サイの冷静な声が耳に届く
すぐにヤマトを見れば、ハンドサインを出していた
『行こう』
トキの声を合図に、一斉に草陰を飛び出した
「……何度か見た顔ね
それに、あなたはトキね
ずいぶん大きくなって」
『………。』
蛇のような瞳がトキを捉える
懐かしさを感じるその瞳を、じっと見つめ返した
「………また君か」
カブトがナルトを見て呆れ気味に言う
ナルトのチャクラはどんどん膨れ上がり、空気を震わせた
「サスケを返せ!!!!」
『!
ナルト!』
ナルトの怒りが大蛇丸さんにぶつけられる
そしてその怒りが九尾のチャクラと呼応してしまった
「キャァ!!!」
ゴォ、と突風が巻き起こる
ナルトのチャクラがこんなにも大きく影響するとは
突風に耐えきれず、サクラが吹き飛ばされる
咄嗟に手を伸ばしたが、サクラには届かなかった
『っ、サクラ!!』
「トキ、橋を見ろ!」
ヤマト隊長の声に視線を橋に戻す
見ると、橋が崩れていた
それにナルトと大蛇丸の姿も消えている
ナルトのチャクラが橋の向こうの森に消えた事から、2人が移動したことがわかった
『!
サクラが…っ!』
崩れる橋のふちにサクラがぐったりと倒れている
さっきの突風で飛ばされて、頭を打ったのだろうか
「サイ!サクラを!」
ヤマト隊長がそう叫ぶのと同時に、サクラが橋から落ちる
だがサイはサクラを助けず、ナルトと大蛇丸の後を追った
『サクラ!!』
「っ、くそ!」
ヤマトが急いで木遁でサクラを支える
ほ、と息を吐くと同時に、サイへの疑惑が浮かんだ
『ヤマト隊長、サイを追いかけます』
「…仕方ない
こちらもサクラの意識が戻り次第追いかける
深追いはするな」
『分かりました』
タン、と橋を飛び移り、森へと走る
びりびりと肌で感じるチャクラに、嫌な予感が胸に広がった
『予知夢の通りになってる』
森の中に突如と現れた、地面がえぐられた凄惨な場所
夢の通りだ
目の前に広がる景色に、鳥肌がたった
大蛇丸と、ナルトと思しき獣の姿
ナルトの尾獣化が、進んでしまっている
ばば、と印を組み、チャクラを練る
何とかして動きを止めないと、完全に尾獣化してしまう
だがその途中で、ナルトは大蛇丸によって吹き飛ばされた
『!
しまった…!』
ナルトが吹き飛ばされた方角には、ヤマトとサクラがいる
今の2人とナルトが接触しては危険だ
『ああなったナルトは、見境なく人を襲う…!!』
かつて自分や自来也にも牙を剥いたあの姿が、頭に鮮明に映った
あの自来也ですら重傷を負ったのだから
『行かないと…!』
来た道を慌てて戻る
間に合え、と切に願って
***
ザザザ、と森を抜けて壊れた橋に戻ってくる
ヤマトとサクラのそばには土煙が上がっていた
『ヤマト隊長!』
「!
トキ、手伝ってくれ!」
土煙の中には、尾獣化が解け始めてるナルトの姿が
何が起きてる、なぜヤマトがナルトを抑えられている
疑問を抱きながらも、慌てて2人の元に向かった
その途中で目に入った、サクラが腕を押さえてうずくまる姿
『サク「トキ!時遁でナルトのチャクラを元に戻すんだ!」
っ、はい!』
ばばば、と印を結び、木遁で押さえつけられているナルトに向けて術を発動させる
彼を纏っていた黒いチャクラが、ズズズ、と腹の封印術式に戻っていった
『………とま、った?』
「………止まったな」
『サクラ…!』
ナルトの動きが止まり、彼は意識を失った
その隙にサクラのもとに駆け寄り、彼女が抑えていた腕をどかす
『……ナルトか』
自来也にも見られた傷と同じものが、サクラの腕にもあった
『すぐに元に戻すね』
時遁、と小さくつぶやき、サクラの腕に手を当てる
怪我の跡が、怪我を負う前に戻ったのを確認し、ヤマトに向き直った
『申し訳ありません、サイを見失いました』
「いや、大丈夫だ。こっちに来てくれて助かったよ
それと、サイだが……
大蛇丸達と一緒にいるようだ」
『えっ?』
ヤマトの言葉に耳を疑った
第5話
天地橋
あとがき
原作を実家に置いてきているので、細かな話の流れがあっているか怪しいです。おおまかな流れは大丈夫だと思いますが
間違いなどがありましたら、ご指摘ください
.