敵になる覚悟
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
サスケがカカシに襲いかかる
カカシは「自分の役目だ」と、サクラがサスケを殺そうとした覚悟を気遣った
サスケはスサノオを出して勝負を仕掛けるが、ダンゾウとの戦いで消耗していたことと、写輪眼を酷使していたことによって、サスケの身体がぐらりと揺れた
眼が霞むのか、ゴシゴシと目をこすっている
『(写輪眼の使いすぎだ
もうほとんど見えてないのに…!)』
サスケのもとに駆け寄ろうとしたその時、カカシの視線がサスケから外れたのに気づく
嫌な胸騒ぎがしてカカシの視線を追うと、サクラがサスケに迫っていた
『!!』
その姿が、夢と重なった
サクラがサスケを殺そうとして失敗し、逆にサスケに殺されそうになるあの予知夢
この時のことを予知していたんだ
『(間に合え………!!!)』
すぐに手をかざし、時遁の印を組む
その間にもサクラはサスケに迫ったが、あえなく失敗した
サスケがサクラからクナイを奪い、サクラに向けてふりかざそうとする
『時遁__…』
術を発動させようとチャクラを練り上げる
だが技名を言い終わる前に、風が通り過ぎていった
『え………』
サァっと風が通りぬき、髪がなびく
自分の空色の髪の間から、鮮やかなオレンジが見えた
『ナルト』
ナルトが駆け抜け、サクラを抱き上げて攻撃を避けた
サスケはナルトの存在を認めると、ギロリと睨みつける
トキはサクラが助かったことに、心の底から安堵した
だが手を出せる空気でもないし、自分の力ではナルトとサスケの戦いを止めるのは不可能だと悟り、黙って様子を見守ることにした
その時、ナルトの頬に真新しい傷ができているのに気づいた
ナルトに向かい、サスケが「他人は黙ってろ」と声を荒げる
復讐に取り憑かれた彼の変わり果てた姿に、サクラが悲しそうに顔を歪めるのが見えた
そんな中、ナルトとサスケがそれぞれ螺旋丸と千鳥を繰り出してぶつかり合う
吹き飛ばされそうなほどの爆風が起こった
『サスケ!』
サスケが吹き飛んだ先は壁だった
咄嗟に時遁を発動しようとしたが、その前にサスケの身体から白ゼツが現れ、クッション代わりとなった
白ゼツはどうやらトビの指示で、サスケの身体について監視していたらしい
だがあまりの状況に、思わず出てきたようだ
そしてその後に、トビが現れた
「ナルトと戦う場はきちんと用意してやる
だからここは一度退け」
サスケにそう言い聞かせるも、サスケは疲弊しきっており返事をしない
それを見たゼツが
「僕がやろうか」
と、トビとサスケの前に立った
「お前では無理だ、鬼鮫の方に行け」
「んー、うん、わかったよ」
「サスケ、ここは退くぞ」
トビがサスケにそう言い、時空間忍術を使おうとする
だがその前に、ナルトがサスケを呼び止めた
「お前の憎しみ背負って、一緒に死んでやる」
そうはっきりと宣言したのだ
「なぜ俺にこだわる?」
サスケは不快そうに、でもどこか不思議そうにナルトに問いかける
ナルトはその問いに、に、と笑った
「友達だからだ」
その声が響く
だがサスケには、届いていないようだった
「トキ」
トビがトキの名前を呼ぶ
退くから来い、という意味なのだろうが、トキは真っ直ぐにナルトを見つめたまま動かなかった
その背中を見てトビはひとつ溜息を吐くと、後から来い、とだけ言い残して時空間忍術で消えて行った
トビがサスケを連れて消え、ゼツもどこかに消えていった
完全に気配がなくなったのを確認し、またナルトを見つめる
『ありがとうナルト、サクラを助けてくれて』
「当然だってばよ
それにお前だって、時遁の術でサスケを止めようとしてただろ」
『………、気のせいよ』
ナルトが答えるのを聞きながら、ぱしゃぱしゃと水面を歩いてナルトに近づく
カカシが少しだけ警戒する素振りを見せるが、何もしてくる様子はない
『その傷は……、サクラの毒付きクナイね
今解毒する』
すっと手を伸ばし、ナルトの頬に触れる
傷に指先を触れさせると、時遁、と呟いた
ナルトの頬の傷が時間を遡り、傷がつく前に戻る
毒を抜いた後、トキはその毒が生まれる前まで時間を戻し、消失させた
「サンキュートキ!身体が軽くなったってばよ」
に、と笑顔を見せるナルトに対し、トキは暗い表情のままだ
彼の傷が消えたのを確認すると、すぐに距離を取った
『カカシ先生、香燐さんは木の葉で保護してください
彼女はサスケに利用されていただけで、罪を犯すことはしていません。いわば被害者です』
「分かったよ」
『………それと、サクラ』
「……!」
『サクラじゃサスケを殺せない、もう分かったでしょう
あとは、私に任せて』
「任せて……って、どうするの?」
サクラがトキを見つめ、不安げに尋ねる
その視線を受け、トキは3人を見た
『私が全部、終わらせるから』
トキの凛とした声は、あたりに響く
その意味は、その一言だけでは汲み取れなかった
最初に口を開いたのはカカシだった
「自分が終わらせる……、それはどういう意味だ?」
『そのままです
私が全て終わらせる
だから、任せてください
悪いようにはしない』
「………それは、自分の命と引き換えに、終わらせるということか?」
『………。』
カカシの言葉に、サクラとナルトが目を見開く
「どういう事だってばよトキ!死ぬつもりなのか?!」
飛び出そうとするナルトをカカシが捕まえ、いさめる
ナルトは不服そうな顔をしながらも、大人しくカカシの後ろに下がった
「シズネから聞いた
トキ、君は先日の木の葉襲撃の際に、自分はもうすぐ死ぬと言ったそうだね
その理由は、空目一族の夢見の力…
そうだろう?」
『………。
シカマルは、そのことを知っていますか?』
「!
いや、詳しい事情は知らないと思う
ただいのからは、ある程度は聞いてると思うよ。君の発言の内容はね」
『じゃあ第十班は、私の夢見の呪いについてはまだ知らないんですね』
「多分ね」
「おい!カカシ先生もトキも何の話だってばよ!」
「そうですよ!呪いって何のことなんですか…!
それにトキがもうすぐ死ぬって、どういうことですか!」
ナルトとサクラが2人の会話に割って入る
どれも、2人が初めて聞く話だった
『私はもうすぐ夢に飲み込まれて死ぬの
だからその前に、全てを終わらせる
今さら命なんて惜しくないわ
もともとはあの時、死んでいたはずだもの』
「え…?」
『空目が滅んだあの日、本来なら私は死んでいるはずだった
なのに私に夢見の力が宿ってしまったから、私は生きた
生きた代わりに、この戦いが生まれた
私がいなければ、誰も悲しむことなんてなかったはずなのよ』
「何馬鹿なこと言ってんだってばよ!!」
『本気よ
私はあの時死ぬべきだった
なのに生きてしまった
だから、私が終わらせるの』
ギン、と青の瞳が緑に変わる
カカシはトキの本気を理解し、それ以上は追求しなかった
トキを見つめていたナルトは、弱々しい声で彼女に尋ねる
「……お前のやらなきゃいけない事が、終わらせることなのか…?
自分の命を犠牲にしてまでやることが、それなのか…?」
『………そうよ
私がやらなきゃいけないことは、終わらせること
全ての終止符を打つことさえ出来れば、私はどうなっても構わない』
ザァ、と風が吹き抜ける
空色の美しい髪は、風になびいた
パシャン、と音がして、サクラが一歩前に踏み出す
「第十班は、覚悟を決めた」
『!』
「ここに来る前に、シカマル達と話したの
トキを止めるのは自分たちだと、覚悟を決めなきゃいけないと言ってた」
『………そう
なら、私を殺しに来るといいわ』
「!!
アンタ…!シカマルがどんな思いで決めたと思ってるの…!!アイツはずっと、トキのことを想って…『分かってるからこそ』
!」
『………みんなが覚悟を決めたのなら、私はそれに応える
殺しに来るなら、私は逃げも隠れもしない
暁の一人として、受けて立つわ
それが、覚悟を決めたシカマルに対して出来る、同じ第十班だった私の精一杯の返事よ』
いずれその時は来ると思ってた
サクラがサスケを殺す覚悟を決めたように、シカマルも私を殺す覚悟を決めるだろうと
分かっていたことだ
『私は暁、全ての敵となる人間
来るなら来い、受けて立つ』
目的はなんであれ、私は暁にいる
だから私は最後まで、悪役でいなければならないのだ
誰も許さない、狡猾な悪にならなければ
それが、暁に身を落とした私の宿命なのだから
みんなに恨まれなければいけないのだから
『私は敵となり、この空目の力を振るう
もう、迷わない
………………全てを終わらせる』
短刀を取り出し、刃の先をナルト達に向ける
『シカマルに伝えて
早く殺しに来るといい、と
その時は、私も容赦はしない』
に、と強気な笑みを浮かべる
そしてそのまま、瞬身の術で消えてしまった
カ「………トキが戦う理由は、終わらせるため
他の誰かが終わらせるのではなく、自分自身で終止符を打つため……
そのために、あの子は自分の命を犠牲にしようとしている」
ナ「………トキは、死ぬつもりのか」
サ「………ナルト……」
顔を伏せていたナルトが、顔を上げる
その先にトキはもういなかったが、水に空色が反射していた
「俺はトキを止める!
アイツ1人に全てを背負わせるわけにはいかねえってばよ!!
誰も死なせねえ!!」
トキが、仲間が死のうとしている
それを止めるのは自分たちだ
.