サクラの覚悟
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『(……夢で見た場所は、ここだ)』
サクラがサスケを殺そうとして失敗し、逆に殺されそうになったあの夢
その場所はここで間違いない
『(………何としても、防がなきゃ)』
仲間殺しだけは絶対にさせてはならない
それをしてしまえば、サスケは本当に戻れなくなってしまうと思ったからだ
『(……サクラがサスケを…、かつての仲間を殺す覚悟を決めたのなら
シカマルやいのやチョウジも、きっと同じように覚悟を決めたはずだ)』
第十班の仲間として、私を殺す覚悟を決めた
なら私は、その覚悟に応えなければ
『………でも、全てを終わらせるまでは、殺されるわけにはいかない』
眼下ではサスケとダンゾウが熾烈な戦いを繰り広げている
爆音が響き、地面が揺れ、空気が震える
ダンゾウの右腕には、恐らく奪い取って移植したものであろう大量の写輪眼があった
サスケはその腕に激怒する
同胞から奪われた写輪眼は、ダンゾウがイザナギを使うごとに閉じていく
「これが眼で語る戦いだ…
うちはを……なめるなよ」
その術の仕組みを解明した香燐の助言とサスケ自身の写輪眼の力により、サスケはダンゾウを倒すことが出来た
だが、それと同時にサスケは疲弊している
慌てて香燐がサスケに駆け寄ると、自分の腕を噛ませ、チャクラを与えていた
香燐の特殊な能力に、サスケが彼女を連れてきた理由を察する
だが、チャクラを失いすぎて初代火影のチャクラを操れなくなったダンゾウは、咄嗟に香燐を人質に取った
『………!』
「トキ、介入するな」
『………。』
片足を踏み出し、隙あらば香燐を助けようと構える
だがそれを、トビが止めた
仕方なく座り直すものの、いつでも飛び降りれるように気を張る
『……どうするの、サスケ』
サスケの動きを注視してると、ふいに背筋が凍るような冷たいものを感じた
それは間違いなくサスケから感じ取れたもので、思わず口を閉ざす
しかし次の瞬間、サスケは香燐ごとダンゾウを貫いた
『………そん、な……』
「………そうこなくては」
言葉を失う私とは相反して、トビさんはどこか嬉しそうにそう呟いた
目の前の景色が信じられずにいると、香燐が倒れる
もう観念したと思ったのか、トビさんがダンゾウのもとに向かい、写輪眼を回収しようとした
だが次の瞬間、ダンゾウが最後の術を発動させる
周りの空間ごと自爆しようとしたのだ
「トキ、離れるぞ!」
『!
トビさ………!!!』
時空間忍術でトキの前に現れ、トキの腕を取って逃げる
だがその瞬間、トキの目に映像が流れてきた
トビがトキの腕に触れると、避難のために視界が変わる
だがそれと同時に、トキには違う映像が見えていた
「オビト!!」
『!!
え…?』
気がつくとそこは、見知らぬ森の中だった
大きな岩があり、その岩に向かって少年が声を荒げている
そこに近寄れば、岩に半身を潰されている写輪眼の少年がいた
その彼に声をかけるのは、口元をマスクで覆う銀髪の少年
その彼は、カカシ先生にそっくりだ
『………オビト、まさか』
1つの答えにたどり着いた時、オビトと呼ばれる少年は、彼のそばにいる女の子を呼んだ
「リン、俺の写輪眼をカカシの左眼に移植してくれ」
『………………!!!』
オビトと呼ばれた男の子は、カカシに似てる少年に笑いかける
その言葉に、全てを理解した
カカシが写輪眼を持つ理由、そしてトビの正体
『トビさんは、うちはマダラじゃない
彼の本当の名前は、うちは……オビト』
そう呟くと、視界がザァッとさらわれる
そこからは映像が断片的すぎてよく分からなかったが、次に見えた時、彼はあの仮面を付けて、暁の衣を身につけていた
『………カカシ先生…』
カカシ先生のかつての仲間が、この戦いを引き起こした張本人
これをカカシ先生が知った時、あの人はどう思うのか
それを考えるだけで、胸が張り裂けそうだった
死んだはずの仲間が、自分に眼をくれた仲間が、敵になったのだ
「サスケ、用済みなら始末しておけ
そいつは知りすぎている」
『………!』
聞き慣れた声に、は、と意識が戻る
気づけば、サスケがすぐそばにいた
戦いを終えたあの橋の上で、私は棒立ちしていたのだ
そしてトビを見ると、サスケに向かって香燐を殺せと言っていた
そしてトビはトキを振り返ると、口を開く
「俺は別の用がある
お前はしばらくサスケといろ」
『………。』
トキは返事をしなかったものの、トビはそのまま時空間忍術でどこかに消えた
トキは香燐を見る
彼女にはまだ息があった
『駄目……』
サスケが彼女に歩み寄り、トドメを刺そうと手を振りかざす
待ってと呟いても、サスケの耳には届かなかった
「サスケくん!!!」
『(あぁ…、最悪だ)』
その声に、サスケの手が止まる
そしてゆっくりと振り返り、その相手を見た
同じようにトキも振り返り、懐かしいその人を見る
「………サクラか……」
『(………夢が、始まる)』
サクラがサスケを殺しに来たんだ
***
木の葉を抜け、サスケについて行くと言ったサクラ
サスケはその意思を試すため、サクラに香燐を殺せと命令した
サクラはゆっくりと香燐に近づき、クナイを取り出す
だが、それを振り下ろすことをためらっているようだ
『………!!!』
は、と気づいた時には身体が動いていた
瞬時にサクラとサスケの間に入る
『サスケ!!』
「!!!」
『これ以上、殺さないで!!』
サスケはためらうサクラを背後から殺そうとしていた
千鳥を発動し、サクラを襲おうとしているその間に割って入りサクラを庇うと、サスケがわずかに眼を見開く
だがもう、彼の手は止めることが出来なかった
私が突然現れたことにより攻撃を止めようとしたが、もう遅かった
「トキ…!!」
サクラが背後で名前を呼ぶ
だがもう、千鳥は目の前だった
ぎゅ、と目を瞑ったその時、風が走る
いつまでも来ない衝撃を不思議に思って目を開けると、サスケの姿はなかった
「大丈夫かい、トキ」
『………!!
カカシ先生…?』
目の前にいたはずのサスケの攻撃を防いだのは、駆けつけたカカシだった
カカシを見た瞬間、先ほどの映像が脳裏をよぎる
「トキ!なんで出て来たのよ…!!」
『………サクラ』
トキが身を呈して守ったサクラは、トキをきつく抱き締める
サクラの身体が震えているのに気づいた
『………サクラ、香燐をお願い』
「!
何をするつもり…?」
『………止めてくる』
サクラの腕をほどき、真っ直ぐにサクラを見つめる
緑色の瞳は、吸い込まれそうなほどに力強かった
橋から降りようと背中を向けるが、トキはくるりと振り返り、サクラを見た
『サクラ、サスケを殺すなんて考えないで』
「!!」
『………覚悟を決めてここに来たのかもしれない
でも貴方には、そんなことして欲しくない』
それだけ告げると、トキは橋から飛び降りる
ぱしゃん、と水に着地する音が聞こえた
「………トキは、何でもお見通しね」
トキは確信を持って言っていた
自分がサスケを殺すためにここに来たことを、トキは分かっているのだ
***
ぱしゃん、と水の上に降り立ち、サスケとカカシをそれぞれ見る
「………トキ、何故邪魔をした」
『……言ったでしょ、サスケを止めるって』
「………俺は、今からカカシを殺す
邪魔をするなよ」
『………サスケ、やめて
これ以上はもう』
トキがそう言っても、サスケは聞く耳を持たない
すぐに駆け出し、トキの横を通り抜け、カカシに向かっていった
『サスケ!!』
.