戦いの終結
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
木の葉から離れた高い山
その頂上の木の中に隠れ、長門は構えていた
『……あなたが、長門さんですか』
小南の後を追い、その木の中に入る
長門のことは聞いていたが、会うのは初めてだった
彼からの指示はいつも、弥彦や小南が代わりに伝えていたからだ
「………空目トキ…、会うのは初めてだな」
ガリガリに痩せ細った身体と、彼の身体を貫く黒の棒
外道魔像の口寄せの代償だろう
その両目は輪廻眼で、独特の雰囲気を醸し出している
その輪廻眼と目が合った時、ざ、と視界がさらわれた
目の前の長門さんに、何かが重なった
『(………この人は…)』
もうじき、命が尽きるようだ
長門さんに重なったのは、生気を失った長門さんの姿だった
予知夢が現実とリンクしたのだ
「………その目…、空目の予知夢の力か…」
『!
はい、火影は"夢見"とも呼んでいました』
緑に変わった瞳の色が、ふっと青に戻る
それを見た長門は少しだけ、彼女の瞳を見つめた
だがすぐにゴホゴホと咳き込み、唇の端から血を流した
「長門!」
小南が駆け寄る
トキも駆け寄ろうとしたが、足を踏み出す前にまた、視界がさらわれた
ペイン六道のうち、弥彦が神羅天征で木の葉の里の大半を吹き飛ばす映像が流れてくる
まるで走馬灯のように、神羅天征に巻き込まれた色んな人間の死に様が彼女の目に写り込んできた
大破した里は更地になり、煙が立ち上がる
更地の中心に、一人の男が大蝦蟇とともに現れた
『ナルトが来た………』
ナルトではあるが、どこか違う
まるで自来也様のような隈取りに、赤い羽織
以前とは全く違うナルトの姿が、鮮明に映ったのだ
だが次の瞬間、彼は異形の姿へと変貌した
まるで本物の九尾のような、天地橋で見た時よりもはるかに九尾に近い姿へと変貌したナルトがいた
ペインとの戦いで、ナルトが尾獣化することを予知しているのだ
『(……何故?ナルトが尾獣化するなんて、よほどのキッカケがない限りは有り得ない…!
何があったのか、その間の未来を見ないと…)』
すぅ、と目を閉じて意識を集中させる
こんだけ予知夢の力が自分に影響を与えているのなら、逆も出来るはずだ
予知夢を自分で操ることも、できるはず
『………………!!
ヒナタ!!』
気配を感じて目を開ける
すると、先ほどの更地に戻ってきていた
未来を操れた、と思うのと同時に、ペインがヒナタに黒い棒を突き刺した
自来也様にとどめを刺したように
『!!!
これが、ナルトが尾獣化したキッカケ…?!』
ヒナタの身体からおびただしい量の血が流れる
地面に両手を縫い付けられたナルトはそれを見ると、一気にチャクラの質が変化した
禍々しい九尾のチャクラが溢れてきたのだ
そこからは恐ろしい光景だった
天地橋の時よりも早いペースで尾獣化が進み、尾の数が増え、見た目も獣のように変化していった
ナルトが、ナルトじゃなくなっていく
ずっと一緒に修行の旅をしていた私ですら、見たことがない姿だった
『………ダメだ…、ナルト、その力に飲み込まれてはいけない…!』
止めないと、と夢の中で足を踏み出す
だがその時、はたと気がついた
なぜ止めねばならないのだ?と
私は暁
ナルトは九尾の人柱力
"暁の"私がナルトの尾獣化を止める必要はない
『………覚悟を決めたはずなのに…!』
トビに向かって、自分は暁の空目トキだと宣言したはずなのに
心にはまだ、木の葉隠れの里の空目トキが残っていると
まだ二つの自分が混在してる
『!』
混乱する心を無視し、またざ、と視界が変わる
「外道輪廻転成の術」
長門が印を結び、そう唱えた
すると、彼が著しく消耗するのに反比例して、死んだはずの木の葉の人間が次々に息を吹き返していった
『………何が起きてるの…?』
長門の目の前にはナルトの姿がある
『………ナルトがこの未来を導く…
木の葉を救うのは、ナルト…、貴方のようね』
ナルトと小南、そしてトキの目の前で、長門が息を引き取った
彼が自分の命を糧に、死者を蘇らせたのだ
「トキ、木の葉に帰るってばよ」
ナルトはそう言うと、私に向かって手を差し伸べた
『………ナルト…』
その手を取るかどうか
彼は真っ直ぐに私を見つめていた
『………ナルト、私は__…』
そう言いかけたところで、また視界がさらわれる
「トキ!」
小南さんの声が聞こえる
だが私は、そこでぷつりと意識を途絶えてしまった
***
トキが不自然に立ち止まったかと思うと、その場に停止した
それに気づいた長門が彼女の名を呼ぶが、彼女は微動だにしない
不審に思って小南がトキに近づくと、また瞳の色が緑に変わっていた
それと同時に、彼女の様子がおかしいことに気づく
「………意識が、ない?」
目を開けたまま、どこか虚空を見つめているかのようなトキ
彼女は目を開けたまま意識を失っているようだった
「トキ!」
小南が強く呼びかけると、トキの瞳が青に変わり、は、と彼女の意識が戻る
だが、意識が戻ったかと思えば、目を閉じて倒れてしまった
「トキ!どうしたの?!」
ぐったりと倒れてしまったトキを支え、小南が必死に呼びかける
だがトキは反応しない
異常な姿に不安が募る
「小南、トキを下げろ
平和がノコノコやって来た」
「!」
バリバリ、と紙で出来た樹木が破られる
そして中に入ってきた彼は、長門を見た
「…!
トキ?!」
長門を見たあと、壁に寄りかかって倒れるトキに気づいたナルトが名前を呼び、彼女のもとに駆け寄ろうとする
だがそれを阻むように、小南がトキの前に立った
「トキは予知夢を見て気を失っただけだ
相当消耗したようだが、命に別状はない
お前が用があるのは、俺だろう?」
「………あぁ」
ちらりとトキを見つつも、ナルトは長門に視線を合わせる
これで、最後だ
***
意識を失って倒れたのは自分でも分かった
小南さんの声が聞こえたのも分かった
だが目を開けることが出来なかった
ダメだ、起きろ、起きないといけないのに
この戦いを最後まで見届けなければならない
長門の最後の戦いを、長門の選択を、ナルトの選択を
全てを、見届けなければならないんだ
「外道輪廻転成の術」
『…………………!!』
その声が耳に届くと、意識が急激に浮上した
「長門!」
小南の声が聞こえる
ぱち、と目を開けて身体を起こすと、もう"それ"は終わっていた
『………………ナルト……』
力なくうなだれる長門と、悲しげに目を伏せる小南
そして、長門を真っ直ぐに見据えるナルト
全て終わったのだ
.