木の葉の忍びとして
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
慰霊碑に手を合わせ、よし、と立ち上がる
後ろにいたシカマルを振り返り、ふっと笑った
『同じだ』
「? 何が」
『中忍試験の本戦の前、サスケと一緒に修行してたでしょ?私
その時に、私がここに行きたいって言ったらついて来て、今のシカマルみたいに、私と一緒に手を合わせてくれた』
「………サスケが」
さらさらとなびく青い髪を耳にかけ、懐かしさに目を細めるトキ
その横顔を見つめ、少し複雑な思いを抱く
「………そうだ、ナルトから伝言があるぜ
先に五代目のところに行ってるって」
『そう、なら私も急がないと
シカマルは?この後何かあるの?』
「いや、今日はもう終わりだ
途中まで一緒に行く」
『分かった』
ゆるりと微笑んで、トキが歩き出す
その横に並んで歩けば、彼女はまた嬉しそうに笑った
『早く他のみんなにも会いたいな』
「いのとチョウジは今任務中だ、しばらくは帰ってこないな
アスマならいるけど」
『じゃあ、綱手様に会ったらそのあとアスマ先生のとこに行かなきゃ』
「……アスマはこの後俺と将棋指す予定だから、うち来れば会えるさ」
『うん、じゃあお邪魔させてもらう
ヨシノさんやシカクさんにも会いたい』
「忙しいな」
くく、と笑うシカマルに、確かに、と笑い返す
数年ぶりに会ったのに、すぐにあの頃の空気感が流れる
この距離感が心地良かった
***
『空目トキです
うずまきナルトと同じく、先ほど木の葉に帰還しました』
ぴし、と姿勢を正してそう言えば、顔の前で手を組んでいた綱手様はにこりと笑った
「うむ、よく帰ってきた
これから、また木の葉のためにビシバシ働いてもらうぞ!」
『はい』
「了解だってばよ!」
息巻くナルトに苦笑いを浮かべると、それをサクラが叱りつけた
この2人の上下関係はやはり健在か、と笑っていると、窓の外にカカシ先生が現れ、ナルトとサクラと共に出て行った
「……ナルトは、三年前と変わりないようだな」
『………まぁ、見たまんま、と言いますか
少しは大人になっていますよ、彼も
それに強くもなった』
「……ま、そうでなくては困るがな
………さて、ナルトも出て行ったことだし、トキ、お前に話がある」
『?』
ガタ、と綱手様が椅子に座り直し、私を見つめる
話があるとは何だろうか、任務だろうか
「里の上層部が、お前を暗部に推薦したいと言ってる」
『………は?』
綱手から放たれた言葉に呆気にとられるトキ
無理もない、と綱手は続けた
「お前は一応は中忍だ、だが実戦経験は皆無に等しい
中忍として任務を行ったのは、サスケ奪還任務のみだろう?」
『そ、うです
なぜ私が』
ぱ、と部屋に控えていた自来也を見る
だが彼は、渋い顔をしたままだ
「……トキ、お前の実力は同期の連中の中でもずば抜けている
そして唯一無二の、空目の時遁の力」
『………。』
「時遁を操ることができ、そして忍びの才もある
さらにお前は自来也の弟子
実力に申し分はない
………と、表向きはそう言っている」
『……表向き、ですか』
「そうだ、表向きだ
アイツらの考えには裏がある」
はぁ、と綱手が深い息をこぼす
その表情には、少しの怒りの感情が見て取れた
そしてトキも、薄っすらではあるが、本当の理由に心当たりがあった
こほん、と咳払いを一つして綱手が口を開く
そしてそこから告げられた言葉に、トキは眉をひそめた
「里の上層部は、お前を暗部に置くことでお前を監視したいのさ」
『………監視、ですか、私を』
「あぁ
その理由は分かるか?」
『………私が、サスケ同様に木の葉の脅威になるとでも?
木の葉を恨んでいるとでも、お思いなんじゃありませんか』
「………おそらくは、そうだろう
お前とサスケは親しかったんだろう?
似た者同士として、何かと一緒にいたと聞いている」
『………………確かに、サスケと私は似ています
互いに一族の生き残りだったから
私もサスケも、お互いの似てる部分に惹かれてたのは認めます
けど私は、復讐は考えていません』
「……木の葉に恨みは?
お前の一族が滅ぼされた直後、行方不明になったお前の捜査は早々に打ち切られたと聞いた
それに関しては、何も思っていないのか」
『思うも何も、私はその頃の記憶がないので何も
今こうして木の葉にいれて、恨むどころか幸せです』
「……そうか、それを聞いて安心したよ」
ふ、と笑う綱手をしっかりと見つめ、トキは口を開いた
『私は暗部に身を置く気はありません、他の人と同様に木の葉のために、表の世界でこの身を捧げます』
「うむ、よくぞ言った
上には私から言っておこう、お前に害のないように進言しておく」
『ありがとうございます』
下がって良いぞ、と笑いかける綱手に、少し引きつったままの笑顔を見せて部屋を出る
ぱたん、と廊下に出て、大きく息を吐いた
私を監視する
その言葉は、かなりの衝撃があった
なるほど、私はサスケ同様にマークされているのか
木の葉を抜ける可能性、それか木の葉に仇なす可能性を秘めた忍として
とんだ信頼だと、自分で笑ってしまった
『………シカマル、』
何となく、彼に会いたくなった
さっき再会したばかりの彼に
『………早く「トキ?」
!』
火影室を出て、すぐにシカマルのもとに行こうと思った
だがその時、後ろから声をかけられたのだ
聞き覚えのある声に慌てて振り向けば、会いに行こうと思っていたその人がそこにいた
『アスマ先生!』
「おぉ!やっぱりトキか!
大きくなったなー!」
『アスマ先生はお変わりないようで、良かったです』
声をかけてきたのは担当上忍のアスマだった
彼はトキの姿を見て嬉しそうに笑った
「いやー、三年ぶりか、久し振りだなぁ!
背もこんなに伸びて…、髪も伸ばしてるのか?
昔は肩につくぐらいしかなかったのに」
『修行の間に切る機会がなくて、しばらくはこのままです!』
「そーかそーか、そっちの方が似合ってるぞ!」
わしゃわしゃと頭を撫でる大きな手は3年前と変わりなく、それがとても嬉しかった
第2話
木の葉の忍びとして
.