不死コンビ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『あなたがニ尾の人柱力
二位ユギトですね』
「………見ない顔だな、それにその衣……
暁、というやつか」
キン、とクナイを手にするユギトと、相対するトキ
一触即発の空気の中、先に動いたのはユギトだった
「はぁっ!」
『!』
一気に間合いを詰め、クナイを振り下ろす
反応が遅れたものの、なんとかそれを避け、後ろに下がる
「その頭と額当て、木の葉の空目一族の人間だな
滅んだと聞いていたが、生き残りがいたのか」
『そうです』
「可哀想に
空目一族は、今日で滅ぶぞ」
『……っはは、今まで何度もそう言われてきましたよ』
強気なユギトの言葉に、トキはくくくと笑う
笑われたことに不快感を抱いたユギトは眉を寄せた
『みんな、私を見て言うんです
空目も今日までだ、と
けどそう言った人はみんな、いなくなりました』
「………ふん、なるほど」
『バカな人たち……、空目の血継限界は時を操る力
何をしても、全てを操ることが出来る私に勝つことは出来ない』
「それは普通の忍だったから、の話だろう
だが私は違う」
『!』
チャクラが大きくなるのが分かる
肌で伝わるその力に、まずいかも知れない、と眉を寄せた
ユギトの姿が、人から大きな化け猫へと変わっていったのだ
『………はー、やっぱ1人で捕獲するのは無理そうですね
角都さん、飛段さん』
青い髪をひらりとなびかせ、後ろを振り向く
物陰に潜んでいた二人の登場に、ユギトは鼻で笑った
「さっきから隠れているのは分かっていたが…、何人で来ようと関係ない
尾獣の力の前に、普通の人間が勝つことなどあり得ないのだから」
『それは普通の人間ならば、の話ですよね?』
「!」
トキがニヤリと笑う
そしてすぐに横に並んだ2人を一瞥し、もう一度ユギトを見た
『暁に普通の人間など、いませんよ』
その声を皮切りに、角都と飛段が一気に飛び出す
その後に続き、トキも足を踏み出した
***
トキの役目は陽動
ユギトを人目につかない場所に誘導し、そこで角都と飛段が叩く
それが作戦だった
『………なるほど』
角都の能力については元から知っていたが、飛段の能力は初めて目にした
不死身、その言葉がしっくりくる
「さぁ、儀式の時間だ」
ガチャン、と大鎌を背中に担ぎ、そう声を上げる飛段
目の前には、ぐったりと動かなくなったユギトの姿があった
『儀式?』
「放っておけ」
角都はそれだけ言うと、適当な瓦礫の上に腰を下ろす
儀式とやらが気になるトキは、自分の血で描いた円の上で寝転ぶ飛段を見つめた
ずず、と飛段の身体に隈取りが現れる
まるで骸骨のようだ
『……飛段さんの能力は、多少の制限があるようですね』
「もう気付いたのか」
『少しですけどね
飛段さんが書いたあの円の中でなら、飛段さんは呪った相手に自分と同じダメージを負わせることが出来る
けど円の外にいたら、それは無効化する』
「その通りだ」
『そして飛段さんは不死身…
角都さんが飛段さんごと攻撃しても、飛段さんがダメージを食らう事はない
お互いの恐ろしい能力を利用した、最強のコンビですね』
自信を持ってそう言うトキに、角都が少し目を見開く
だがすぐに、視線を逸らした
***
儀式を終え、ユギトをアジトに連れ帰る
そしてまたアジトを出た
『次は何をしますか?』
「金稼ぎだ」
『お金…』
ぱら、と角都がファイルを取り出す
その一枚をトキに見せた
「火の国の”守護忍十二士”の首を取る」
『!!』
どき、と鼓動が大きく響く
守護忍十二士、それは今は廃止された制度ではあるが、エリート忍者の登竜門と言われる優秀な忍びで構成されている組織だ
12人の忍びがそれに選ばれ、大名の護衛に当たったと聞いている
組織が解体された今も、守護忍十二士に選ばれた忍びたちは「火」を刻んだ腰布を巻いている
そして自分の身近な人間に、その腰布を巻いている人がいる
『アスマ、先生…』
角都から渡されたファイルには、かつての守護忍十二士の名前と顔写真が記されていた
その中に見つけた、よく知っている顔
かつての、木の葉での師がそこにいた
アスマがうつったページを見てカタカタと手を振るわせるトキに、飛段が気付く
どうかしたのか、そう尋ねる飛段に、彼女はにこりと笑いかけた
『何でもありません』
心を殺せ
自分は暁だ、木の葉の裏切り者だ
裏切り者は、かつての仲間に手をかける
師匠も殺す
覚悟を決めろ
この先、暁として生きるために
「まずは火の国に入り、火ノ寺の地陸を狩る」
『はい』
「行くぞ」
ざ、と土を踏みしめて歩き出す
覚悟を決めろと自分に言い聞かせたものの、心のどこかでアスマがターゲットにならないことを願っていた
***
火の国に火ノ寺あり
そう呼ばれるほどの大きな寺には、忍僧が多数在籍している
その多数の僧侶たちのトップに君臨するのが、元守護忍十二士の地陸だ
その首にかけられている賞金は莫大である
角「トキ、戦闘になったら俺たちの戦線には混ざるな
お前が死ぬぞ」
『分かっています』
飛「おーおー、徳の高そうな顔ばっかいやがる
どいつもこいつも、ジャシン教に改心してくれそうにないな」
大きな門の前に3人で立つ
中からはバタバタと多数の僧侶たちが現れた
「その衣、暁か!」
「帰られよ!」
僧侶たちが警戒を強める中、1人の男が前に出る
その顔には見覚えがある
『……元守護忍十二士の地陸…
この方ですね』
ぱら、とファイルを見返し、目の前の男と写真を見比べる
ターゲットにした男、地陸に間違いなかった
「……空目の生き残りの少女が里を抜けたという情報は聞いている」
『!』
「なぜそのような選択をしてしまったのだ
かつて、木の葉最強の一族と謳われたその力を、なぜ木の葉のために使わない」
『………。』
「君にも木の葉の仲間がいるはずだ
友が、師が、愛する人がいるはずだ
今ならまだ戻れる」
地陸の言葉を黙って聞くトキ
だが彼女の前に、飛段が立った
「ごちゃごちゃうるせぇぞ!
こいつは元から暁の人間だったんだ、こいつは望んでこっちに来たんだ
外野が口挟むんじゃねえ!」
『!
飛段さん』
「その通り
トキは10年前から暁の一員として働いていた
今さら木の葉に戻る義理も理由も、こいつには無い」
2人が前に立つ
それを皮切りに、一気に戦闘が始まった
***
「火ノ寺が襲われた」
所変わって、木の葉隠れの里
いくつものチームが並ぶその前で、綱手が声を張り上げた
その知らせに騒つく木の葉の忍たち、その中で1人、声を上げた者がいた
「火ノ寺には元守護忍十二士の地陸がいたはずです
彼はどこに?」
そう問いかけるのはアスマだ
アスマの問いかけに綱手は少し黙った後、そばに控えていた火ノ寺の僧侶に視線を向けた
その僧侶は、暁が襲撃してきた際、たまたま寺にはいなかったのだという
「……地陸様は暁に殺され、どこかへ連れて行かれました」
「!」
僧侶の言葉にアスマの顔が曇る
綱手は忍びたちを見回し、また声を張り上げた
「今回、火ノ寺を襲った暁は三人組
うち一人は、空目トキだそうだ」
「「!!」」
トキ、その名に何人かが反応した
「だがトキは戦闘には加わらず、遠くから見ているだけだったらしい
トキの目的も、暁の目的も未だに分からない
だからこそ、奴らを捕らえよ」
凛とした強い言葉が響く
誰もが綱手を見ていた
「ではこれより、暁の掃討作戦を決行する!
暁は見つけ次第捕縛、やむを得ない場合は抹殺しろ!!
だが空目トキは例外とし、必ず木の葉に連れ戻すこと!
散!!」
綱手が大きく手を振りかざすと同時に、全員がその場から消えた
***
「いけるか?シカマル」
「!」
里の中のある建物の屋上で、アスマとシカマル、コテツとイズモが集まる
諸々の連絡の後、アスマが静かにシカマルに問いかけた
「………いけるか、ってどういう意味スか」
「………トキは、第十班の仲間だ
だがお前にとっては、それだけではないだろ」
「………。」
「トキはシカマルとチョウジの幼馴染で、とりわけお前と仲が良かった
そしてお前はトキの事を特別に思ってる節がある
違うか?」
「…………。」
アスマの声は、楽しげな気持ちを含んでいる反面、悲しさも含んでいた
自分の教え子が里を抜けたのだ、当然と言えば当然のこと
アスマの問いかけにシカマルはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた
「アイツの事を誰よりも理解してるのは俺だと思ってた」
「……。」
「トキはいつも1人で抱えこむクセがある
それに、誰かのために自分を犠牲にする事をいとわない
アイツはそういう、仲間思いな奴だ
サスケ奪還任務の時だって、自分の命を投げ打ってでも俺たちを助けようとした」
「………そうだな、トキは、とても優しい子だ」
「だから心配なんスよ」
「え?」
ぱ、とアスマがシカマルを見る
イズモとコテツも、気付けばシカマルを見ていた
イズモとコテツは、最初にトキを保護した二人だ
二人にも、彼女について思うところはある
「アイツが暁になったところで、木の葉は暁殲滅をやめない
けど暁も木の葉も、アイツにとってはどちらも自分の仲間だ
トキはこれから、自分の仲間がお互いに潰し合うのを見ることになる」
「………。」
「そうなりゃ、アイツは誰よりも心を病む
どちらも助けようとするが、助けられない
ただ見てるだけ
それが重なれば、アイツの心が壊れる」
確信を持つその言葉に、アスマたちは口を閉ざす
長年一緒にいたからこそのその言葉は、シカマルが言うからこそ、重みがあるのだ
す、とシカマルが立ち上がり、空を仰ぐ
トキの髪の色と同じ、真っ青な空を
「暁が何のためにトキを攫ったのかは分かんねえけど、恐らくは時遁の力が目的だ
それに今はまだ、トキは罪を犯していない
アイツが手を汚す前に、必ず連れ戻す」
三白眼を細め、シカマルがアスマに視線を戻す
その視線を受けたアスマは、ふ、とゆるく笑った
「よし、行こう」
足を揃え、飛び出す
仲間を救うために
***
地陸の遺体を回収し、適当な洞窟に入る
もう日も暮れた
今日はここで野宿だ
「トキ、こいつに時遁を使え
遺体の腐敗を止めろ」
『……時遁、時空縛』
ふわりと淡い緑色の光が地陸の身体を包む
まだ死後間もない彼だが、その顔に温かみはなかった
「今日はここで寝る
日が明けたら、換金場所へ向かうぞ」
角都の声に「はい」と返事をする
飛段はすでに横になっていた
洞窟の奥に行き、目を閉じる
気を張っていたせいか、すぐに眠気が襲ってきた
第10話
不死コンビと
.