青空の下の再会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
さく、さく、と土を踏みしめてゆっくり歩く
前を行く鮮やかなオレンジ色は、何度も後ろを振り返ってはこう言った
「トキ!エロ仙人!!
早く行くってばよ!!」
「そう騒ぐな、木の葉の里は逃げたりせん」
『そうだよ』
風に舞う青い髪を耳にかけ、隣を歩く自来也を見上げる
彼も彼女を見て、やれやれと呆れ気味に笑った
サスケ奪還任務から3年、木の葉を出て修行に励んだトキとナルトは、今日、里に戻るために歩いていた
「お前は楽しみじゃねーのかよ!三年ぶりだぞ?!」
『楽しみだよ、みんなに会えるの』
「なら早く行くってばよ!」
「少し落ち着け、ったく変わらないのぅお前は
少しはトキを見習ったらどうじゃ」
「うぐっ」
ナルトが自来也様に指摘され、ぶつくさとふて腐れる
相変わらずだなぁ、と苦笑いを浮かべていると、視界に懐かしい大門が現れた
『あ……!ナルト、見てっ!』
「お?
………おーっ!!大門だー!!」
目に見えたものが嬉しくて、ナルトの腕を引っ張ってそちらに目を向けさせる
2人して目を輝かせる様に、自来也もふっと微笑んだ
「よっしゃー!ラストスパート、走るってばよ!」
『えっ、ちょ、私も?!』
「エロ仙人も早く行くってばよ!」
「まったく…」
ナルトがトキの腕を引っ張り、ダッと駈け出す
つられて走る彼女も、楽しげに笑った
***
門番と言葉を交わし、「おかえり」と言われた
「ただいま」と2人で返し、後から来た自来也様と合流して中に入る
あの頃と変わらず、賑やかな里のままだった
「おーっ!綱手のばぁちゃんの顔岩があるってばよ!」
『わ、本当だ、すごい』
「あっちにも行くってば「こら、先に火影室じゃ」
えー!!」
キョロキョロと落ち着きのないナルトの襟首を自来也様が掴む
火影室にいる綱手様に帰還の旨を報告しに行くのが先なのだが、ナルトはそれよりも里を見たいと言う
「トキだって見たいところあるだろ?!三年ぶりなんだぞ?!」
「ったく……、ならワシは先に綱手のところへ行くから、お前らは後から来い
いいな?」
「オッス!分かったってばよ!
さーて、俺はとりあえず高いところから見ようかなー!
トキはどうする?」
ナルトと自来也様の視線を受け、ふむ、と少し考える
三年ぶりの木の葉の里だ、見たいところもたくさんあるけれど、まずは
『………空目のみんなに、会いに行きたい』
「!」
「………ならトキは、空目の慰霊碑に行ってから綱手のとこに来い
ワシは火影室にいるからの」
『……はい、ありがとうございます』
「んじゃまた後でな、トキ!」
タン、とナルトが大きく飛躍し、建物の上に飛び乗る
そこから里を眺め、感嘆の声をこぼしていた
「全くガキだのぅアイツは…
さて、ワシは綱手のもとへ行く
お前も、挨拶してきたら来るんだぞ」
『はい
行ってきます』
にこ、と笑ってから、私はナルトとは反対の方向に走り出した
一族の集落跡地に向かって
***
今年の中忍試験を目前に控え、砂から使者として来たテマリと共に仕事の都合で一緒に歩いている
いつもと変わらない里を眺めつつぼんやり歩いていると、道の先に見慣れたピンク色が見えた
そして近くにいる、鮮やかなオレンジとド派手な金髪
「………!
シカマル!テマリさん!
ねぇねぇ、誰だと思う?!」
「おっ?
おー!シカマルー!!」
そのピンク、もといサクラがこっちに気づき、少し興奮気味に声を上げる
サクラと一緒にいる男は、間違うことなくアイツだった
「ナルトじゃねぇか!」
三年前、修行のために里を出た旧友だった
ナルトとサクラのもとにテマリと駆け寄り、懐かしい顔だと笑う
「それよりナルト!トキは?トキは一緒じゃないの?」
「!」
サクラの口から出た名前に、どき、と胸が騒ぐ
そうだ、ナルトがここにいるという事は、アイツも帰ってきたのか
「おう、一緒だったってばよ!
けど、どっかに行ってから綱手のばあちゃんのとこに行くって…
どこだったっけかなー…」
「もう!なんで知らないのよ頼りないわね!
トキはどこ行ったの?!」
「えー……と、確か「空目一族の慰霊碑」
え、あ、そう!そうだってばよ!
みんなに挨拶してくるって、そこに向かったんだ!
さっすがシカマル!」
ばし、とナルトが背中を叩く
分かるに決まってる、アイツなら必ず、里に戻ったらまず慰霊碑に行く
そして一族の仲間や両親に報告しに行く
アイツは今、一族の集落跡地にいるんだ
「行ってくれば良い」
「!」
「テマリさん!」
一緒にいたテマリが、それまで黙っていたのに口を開いた
「空目トキだろう、話は聞いている
サスケ奪還任務の際に、自分の命をかけてお前たちを守った、肝の座ったくのいちだと
会いに行けばいい」
「けど俺はアンタの」
「私の仕事は私がやる、それに道だって分かっている
だから私のことは気にするな」
に、と笑うテマリに驚きつつも、サクラとナルトをちらりと見る
2人も笑っていた
「トキは第十班の仲間でしょ、シカマル
アンタが迎えに行ってあげないと!」
「そうだってばよ!
俺は先にばぁちゃんとエロ仙人のとこに行くって伝えてくれ!」
に、と笑って親指を立てるナルトに、ふ、と自分の口元が緩む
「ありがとな」
そう言い残し、走り出した
アイツがいる、あの場所へ
***
木の葉の里の中心街を抜け、木々の間を抜け、静かな場所に出る
一族の集落までの道は、3年前と変わりなくて、少しほっとした
木々の間を抜け、道を進むと開けた場所に出る
そしてその中心に立つ大きな石碑は、3年前と変わらず、自分の事を迎えてくれた
『ただいま、みんな
帰ってきたよ』
真っ直ぐ石碑まで歩き、そっと手のひらで撫でる
石碑に刻まれた名前を1つ1つ見つめた
『………強くなったよ、私
これからは里のために、みんなと一緒に頑張るから』
心からの言葉をつぶやくと、ザァッと風が吹いた
その風が返事のように思えて、知らず知らずのうちに口元を緩めていた
「トキ……?」
『……!』
木々のざわめきの中から、懐かしい声がした
弾かれたように振り向き、そこにいる人を視界に捉える
『シ、カマル……?』
三年前よりも背が高くなった
けれど鋭い目つきや気だるげな雰囲気に変わりはない
懐かしい人がそこにはいた
***
賑やかな街を抜け、静かな森を抜ければ、そこに空目一族の集落がある
今はもう跡地になり、慰霊碑が建てられているだけだ
トキが住んでいた頃はよく遊びに行ったが、それも今は、面影をなくしている
「………!」
今では見慣れてしまった跡地と、その中心に建つ慰霊碑
その慰霊碑の前に、誰かが立っていた
今頭上に広がる空と同じような、鮮やかな青色の髪
三年前よりもずいぶん伸びたそれは、彼女の背中を隠していた
「……トキ?」
『!』
恐る恐る声をかける
この場所に来る人間なんて限られているし、ましてや空色の髪の人間なんて、俺の知る限り1人しかいない
間違えるはずないのに、尋ねる声は緊張で震えた
『シ、カマル…?』
「!」
ぱっと振り返ると、空色の髪がはらりと風に舞う
そして交わった視線
青空を思わせる青い瞳に、自分の姿が映った
『…久しぶり』
「………おう、久しぶり」
『背、伸びたね』
「そっちこそ
髪も伸びてる」
『シカマルよりも長いかもね』
ふわりと微笑む彼女の笑顔は3年前と変わらない
だがやはり、少し大人びていた
『シカマル』
「あ?」
『帰ってきたよ、ちゃんと
何も言ってくれないの?』
「!」
ふ、と笑うトキに、三年前の事が思い出される
幼い頃、それこそ空目一族が滅ぶ直前まで一緒にいたあの草原
「………おかえり、トキ」
『うん、ただいま、シカマル』
青空の下で交わした約束を果たし、2人で笑いあう
また、彼女が隣にいる日々が始まると
そう思っていた
第1話
青空の下の再会
あとがき
第二章、始まりました
まだまだ続きます、今後ともよろしくお願いいたします
2016 6/19
.
1/1ページ