先輩の意外な姿
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お、アカリ」
「カンタ、ねぇシカマル先輩知らない?」
「シカマル先輩なら会議室にいたけどー……
…行かない方が………」
中忍試験の係の代理、という任を解かれ、しばらく暇になった俺は適当にぶらぶらしていた
すると、チームメイトで中忍試験の係のアカリが書類の束を持って現れた
彼女はシカマル先輩のことが好きだ、だからこの係も立候補した
まぁ、他人の恋愛事情に興味はないのだが…、シカマル先輩に彼女がいることを知った今、アカリに言うべきか否かを迷う
「?
何よ」
「お前さ、シカマル先輩のこと好きだろ」
「えぇ」
「……あー、そっか」
「?
私、行くわよ。会議室だったよね、ありがとカンタ」
「………おー」
急ぎ足で会議室に向かうアカリに、内心申し訳なく思う
シカマル先輩なら会議室にいるが、きっと瑞乃さんも一緒にいるだろう
それを見たアカリはどうするだろうか
***
「──…あ、シカマル先輩!やっと見つけまし……た………」
「あぁ、アカリか。何か用か?」
「いや、あの…、そちらの方は確か砂の……」
会議室に足を踏み入れれば、お目当てのシカマル先輩がデスクワークをしていた
その少し離れた場所には、最初の会議で見た砂隠れの方がいた
名前は確か……瑞乃さん。少し言葉を交わしたけれど、物腰の柔らかい静かな女性
サクラ先輩やいの先輩達と仲がいいと聞いた
その瑞乃さんがなぜここに?
たまたま会議室に用事があったのだろうか?
「ん?
…あぁ、瑞乃か。知ってるのか?」
「えぇ…、まぁ。砂隠れの医療班長で、今回の医療班のリーダーだと……」
「そうそう、そいつ」
ふ、とシカマル先輩が笑う
私が渡した書類に軽く目を通しながら、ちらりと瑞乃さんを見た
その目を見て、私は胸が騒ついた
その“目”を、私は知ってるから
「あー……、コレは俺よりアイツの方が分かるな
瑞乃ー」
『!
はい、何ですか?』
離れた場所で何か作業をしていた瑞乃さんが顔を上げる
私がいたことに気付いていなかったのか、少し驚いた顔を見せた
だがすぐに優しい笑顔を浮かべ、ぺこりと会釈した
『アカリさん、でしたよね
どうかされましたか?』
「あ…、その、ここに書いてあることの確認をしたいんです」
『……あぁ、コレなら私が持ってる資料で確認出来ますよ
今持ってきますから、ここで待っていてください』
「ありがとうございます…」
ぱたん、と扉を閉めて資料を取りに行った瑞乃さん
なんとなくモヤモヤした気持ちを残したまま、シカマル先輩の隣に座った
「シカマル先輩って瑞乃さんと仲がいいんですか?」
「はぁ?」
「いや、シカマル先輩は女性が苦手だと思っていたので
何て言うか、あの人と2人きりでいたのが意外でした」
「瑞乃はな、俺達が中忍の頃に任務として木の葉に滞在してたんだ
その頃からの付き合いだし、中忍試験の係もやってるから毎年顔を合わせてる
仲はいい方だろ」
「そう………ですか」
私の返事を聞くと、シカマル先輩はそのまま仕事の続きをし始めた
瑞乃さんを見る“目”が違ったように思えた
いの先輩達を見る目とは違い、もっとずっと優しい
まさか、と思った
『すみません、お待たせしました
コレを見れば分かると思いますよ。しばらくお貸ししますね』
「あ、ありがとうございます
お借りします」
「うし、とりあえずコレは片付いた
瑞乃、飯行こうぜ飯、疲れた」
『はい』
「じゃ、またな、アカリ」
「あ……、はい」
シカマル先輩が瑞乃さんと会議室から出ていく
昔からの知り合い、なのは本当らしいが、やはり他の女と扱いが違う
「………負けないもんね」
私は下忍の時からずっとシカマル先輩を追い掛けてきた
やっと中忍になって、一緒に任務にも行けるようになった
やっと隣に立てるようになれたと思ったのに、負けたくない
どんな人かは知らないが、私は絶対負けない
***
カン「サクラ先輩、いの先輩」
サク「あら、カンタ」
イノ「どうかした?」
カン「いや、たまたまぶらついてたら見かけたので
今お暇ですか?」
木の葉病院の外のベンチで、サクラ先輩といの先輩が2人で仲良く昼食をとっている
たまたま遭遇した俺は、その輪に混ざり、聞きたかったことを聞いてみた
カン「………あの、シカマル先輩と瑞乃さんって、お付き合いしてるんですよね?」
イノ「あら、シカマル話したのね」
サク「そうよ」
カン「いつ頃からッスか?2年くらい?」
瑞乃さんが中忍試験の係を始めたのは2、3年ほど前からだと聞いた
ならばその頃から交際しているのだろうか
サク「は?2年?」
イノ「バカじゃないの?」
カン「え」
サク「もう5年以上付き合ってるわよ」
カン「………はぁぁぁぁ?!」
思わず出た声に、先輩らは心底呆れた顔をした
カン「5年?!
5年ってマジすか?!
俺が下忍の頃からずっと2人は付き合ってた?!」
「「えぇ」」
カン「マジすか………」
あまりの事実に、俺は驚きを隠せないでいる
サク「シカマルに詳しく聞かなかったの?」
カン「聞いたところで教えてくれませんよ、シカマル先輩は」
イノ「じゃー、私達が教えてあげるわよ
どうせバレることだしね」
カン「え」
サク「ま、いーじゃない」
ほら、と向かいのベンチをすすめられ、そこに腰かける
すぐにいの先輩は嬉々として口を開いた
イノ「そうね~、まずは馴れ初めから話しましょうか
──私達が瑞乃と出会ったのは、中忍試験の第3の試験の時だったわ
彼女は砂隠れから参加していたの」
サク「そうそう。確か、チョウジが相手だったのよね」
カン「へぇ……。それで、どっちが勝ったんですか?」
イノ「え、そりゃあ瑞乃に決まってるわよ
チョウジなんかフルボッコよ」
カン「……うわ…」
サク「でも、あの子は倒したチョウジの治療をしたのよ」
イノ「そうそう!わざわざ敵である木の葉側に来てね
────で、シカマルはその時瑞乃に恋をした」
ふ、と楽しげに笑ういの先輩に、俺はまた驚愕した
カン「………なんで?」
イノ「一目惚れ、よ
チョウジの治療に来たあの子に一目惚れしたの」
カン「………マジすか」
イノ「でも、ま。その時はそれきりだったのよね
……その後いろいろあったし」
いろいろ、とは木の葉崩しのことだろう。いの先輩もサクラ先輩も、どこか気まずそうに顔をしかめた
カン「そんで、どうなったんすか?」
サク「数年経った後、瑞乃は砂からの使者として木の葉に任務に来た
それからしばらく木の葉に滞在していたの」
イノ「シカマルが頑張ったのよ、あの子鈍かったから」
カン「それで落とした、と」
サク「ま、そーゆーことね
今じゃ熟年夫婦みたいよ、アイツら
………ほら、噂をすれば」
クスクス笑う先輩達が指差す方を見ると、そこには2人で並んで歩いているシカマル先輩と瑞乃さんがいた
シカ「───…あ?」
『いの、サクラ、それにカンタさんも』
イノ「なになに?仲良くデート?」
サク「相変わらずねー」
シカ「飯食いに行くだけだっつの、めんどくせぇ」
『まだ仕事も残ってますしね』
イノ「なんだ、つまんないの
──あ、そうそうシカマル。アンタの恋愛事情、全部カンタに話したわよー」
シカ「はぁ?!何話したんだよ?!」
イノ「何って、そりゃあ決まってるでしょー
アンタのベタ惚れっぷりよ」
『?!』
シカ「おまっ…!マジふざけんな!!」
いの先輩がけたけた笑うと、シカマル先輩は心底呆れたようにめんどくせぇとぼやき、瑞乃さんは顔を真っ赤にさせた
シカマル先輩はそんな瑞乃さんの頭をこづくと、俺を見た
シカ「カンタ、いのの言うことは大抵嘘だから信じるなよ」
カン「え、いや、マジっぽいッスよ」
シカ「何がだよ?」
カン「シカマル先輩、本当に瑞乃さんのこと好きなんだなーって」
シカ「ふざけんなバカ」
イノ「あら、違うのー?」
ニヤニヤといの先輩とサクラ先輩が笑う
シカマル先輩はう、と言葉をつまらせた
「っ、違わねーよ!
おら行くぞ瑞乃っ!」
『えっ、あ、はい!』
顔を赤くさせたシカマル先輩は瑞乃さんの手を取ると、そのままズカズカと俺達のもとを後にした
先輩の意外な姿に、俺はとても驚いた
.