合同任務
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
木の葉を出て数日、砂隠れの里の付近で、賊が根城にしてる谷の近くでテマリ達と落ち合う
そのまま作戦を伝え、二手に分かれて賊を追った
幸い、今の盗賊団が根城にしている谷の近くに村はなく、被害もほとんど出ないで一斉検挙が期待できた
「まず先に、テマリの風遁を中心に盗賊団に奇襲をかける
その前に木の葉側は盗賊団の逃げ道に待ち伏せし、逃げてきた奴らを一気に叩く」
「逃げ道の限定は出来てます
この狭い谷底なら、ほぼ一本道に逃げるしかないですしね」
「あぁ、大半はそれで捕まるだろう
だが、中には元忍びがいる
術を使って逃げることも考えられるから、谷の上で感知タイプは待機
一人も逃すなよ」
「「「はい!」」」
散、の合図で散り散りになる
俺はカンタや他の中忍を連れて谷底に降り、テマリ達の奇襲の合図を待った
配置についてすぐ、轟音が谷中に響く
ついで、突風が吹き抜けた
「テマリの術だ」
派手にやったな、と苦笑いを浮かべつつ、目の前に集中する
何人かがバタバタとこちらに走ってくる気配がした
「シカマル先輩!来ました!」
前方から走ってくる男達の風貌は、事前に聞いていた風貌と一致している
こいつらが盗賊団か、とクナイを取り出したその時
谷の上で見張りをしている感知タイプの忍から、インカムで連絡が入った
”隊長!そっちは罠です!逃げてください!!”
「?!」
その連絡が聞こえるのと同時に、上からガラガラと轟音が響いてくる
まさか、と顔を上げると、瓦礫が雨のように降り注いでくるのが見えた
「(この逃げ道は罠?!いや、盗賊団の連中も驚いてる…?!
まさか、盗賊団の首領が切り捨てたのか?!)」
谷を塞げるほどの大量の瓦礫が降り注ぐ
「逃げろ!!」
声を上げてみなを誘導する
おそらくこの谷を根城にしていたのは、追っ手を潰すためだろう
それと同時に、忍ではない盗賊団のメンバーも一緒に葬り去るつもりだったのだ
何故わざわざこんな追い詰められそうな場所に潜んでいたのか、その理由に今さら気付いて舌打ちをした
頭上から降り注ぐ瓦礫が行く手を阻む
「っ、くそ、やられた!!」
***
数分後、瓦礫の崩れが収まったのを見計らい、谷の上に待機していた忍たちが駆けつける
「シカマル隊長!カンタ!」
瓦礫の山の中から手を伸ばし、二人がなんとか出てくる
ボロボロになってはいるが、大事ないようだ
「…油断した、カンタ、大丈夫か」
「あー…、腕が折れてます、多分」
「骨折か…、それで済んだだけマシだな」
はぁとため息を吐きつつ、ぱん、と身体のホコリを払う
木の葉側のメンバーの中では、カンタが骨折してしまったが、他の隊員は大事ない
さて、と一息ついたところで、後ろの瓦礫の山を振り返った
瓦礫の山は谷を埋め尽くしている
「シカマル」
「!
テマリか、そっちは無事か」
「あぁ
すまない、フォローが遅れたせいでこんな事に…
そっちに負傷者は?」
「一人が腕を骨折したが、あとは無事だ」
「……。」
シカマルの発言に、ちらりと彼を見る
無事とは言っているものの、大量の瓦礫が降り注いだせいか、顔や腕の所々に傷があり、赤く滲んでいた
骨折したカンタに比べれば軽傷かもしれないが、シカマルも負傷者になるだろう
テ「とにかくこの瓦礫の山の下に、おそらく盗賊団の連中が埋まっているだろうな、生死は分からないが」
シ「……だろうな
切り捨てたんだろうな、術が使えないこいつらを
で、首領の方はどうなった?」
テ「谷から脱出したようだが、つい先ほど拘束した
このまま他の盗賊団のメンバーと共に砂に護送する
それと一緒に砂隠れの里に行こう。負傷者の手当ても早くしないと」
シ「……分かった」
シカマルが少しだけ表情に陰りを見せたのを、テマリは見逃さなかった
そのまま合同任務に参加した2つの里の忍たちは、護送車と共に砂隠れの里に向かった
***
身体のあちこちが痛む
瓦礫のいくつかが身体に当たったのだ
だか俺以上にカンタの腕の方が重傷だ、砂の医療忍者が応急処置をしてくれたものの、ちゃんとした治療は病院でないと、とのことだ
カンタが時折痛みに顔を歪めている
早く手当てをしてもらわなければ
「(……砂隠れに行くのは、初めてか)」
今まで砂と合同任務をしたことは何度かあったが、砂隠れ自体に行ったことはなかった
瑞乃が生まれ育った故郷だ、彼女から何度も話を聞いていたが、実際に目にするのは初めてになる
「(瑞乃は、里にいるだろうか)」
任務などで里を出ている可能性もあるが、何となく里の中にいるように思えた
会えれば、と思う反面、どんな顔をすれば良いのかが分からない
大名の息子との結婚を迫られているという彼女に、自分が会ったところで何が出来るのだろうか
***
骨折した腕を固定してもらい、痛みに耐えながらもさっさと歩く
足じゃなくてよかった、と運の良さに感謝した
「見えてきたぞ、あれか砂隠れの里だ」
砂隠れ側のリーダーで、瑞乃さんの元チームメイトだというテマリさんが指をさす
そちらに目を向け、思わず「おぉ」と声を漏らした
その名の通り風の吹き荒れる砂の大地のど真ん中に、大きくそびえ立つ壁
木の葉とは全く違った見た目だ
この中に、砂隠れの里があるのか
連絡を受けていた砂隠れの忍たちが、里の入り口で護送の役目を交代してくれた
「とにかくまずは怪我人の手当てだ、このまま病院まで案内する」
テマリさんの言葉に、里の中に足を踏み入れた
木の葉とは打って変わった土造りの家屋、色味の少ない街並み
見えるのは土の色と、真っ青な空の色だけ
砂隠れの里はこんな感じなのか、とどこか旅行気分のまま歩いていると、ふとシカマル先輩の横顔が目についた
「病院てことは、瑞乃さんがいるかもしれませんね」
軽い気持ちでそう声をかけた
だがシカマル先輩は、俺の言葉が聞こえていなかったのか、難しい顔のまま歩き続ける
どうしたんだろうと首を傾げるが、もしかしたら任務の事を考えているのかもしれないと、それ以上は声をかけなかった
そしてしばらく歩くと、大きな病院に着いた
中では、これもまた事前に連絡を受けて待機していたらしい砂の医療忍者たちが来てくれて、テキパキと負傷者の手当てをしてくれた
だがその中に、瑞乃さんの姿は無かった
***
カンタが別室で手当てを受けている間、俺も切り傷の薬を塗ってもらうなど、簡単に処置してもらった
その間テマリは俺のそばに控えていたが、特に喋ることはなく、沈黙だった
テマリの様子を見るに、彼女も瑞乃の政略結婚の事を知ってるんだろうと思った
チームメイトだし、風影の側近だし、何より瑞乃とテマリは親友とも呼べる間柄だ
知らないはずがない
だが彼女が俺に何も言わないのは、俺を気遣ってるのか、もしくは、瑞乃に口止めされているかのどちらかだろうと思った
「奈良上忍」
落ち着いた、静かなトーンの声が響く
は、と顔を上げてそこにいる人を見て、少し目を見開いた
「……お久しぶりです」
中忍試験で瑞乃が護衛を担当した、ナイと呼ばれる大名のご子息が、俺に向かって笑いかけていた
***
しばらく任務服を着ていないな
そんな事を思いながら、両親とチヨ様の墓前に花を添えた
『……合同任務…、どうなったかな』
テマリとシカマルさんが隊長ならば、まず失敗はないだろう
『……怪我、してないと良いけど』
墓前に座り、膝を抱えて花を見つめる
風に吹かれる花の花弁が、一枚空に飛んで行った
『……会いたいのに会いたくないなんて、変かな?』
シカマルさんに会いたい
でも、会うのが怖い
ナイ様の事を彼に話すのが怖い
彼がなんて言うのか、聞くのが怖い
私は、シカマルさんになんて言って欲しいんだろう
彼に何を求めているんだろう
『……もう分かんないや』
膝に顔を埋めると、涙が溢れてきた
もう毎日のように泣いている
なのに涙は枯れる気配がない
.