おかえり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
地面の独特な匂いが鼻をかすめた
徐々に覚醒していく意識を手繰り寄せ、重い瞼をゆっくり開いた
視界いっぱいに広がるのは、土煙でくすんだ青空
『………!!』
がばっ!と勢いよく起き上がったら、胸に痛みを感じた
その直後
体が揺れて、ぬくもりに包まれた
『……シ、カマルさん…?』
視界の端にうつる見慣れた髪型に、私を抱き締めているのが彼だと分かった
シカ「…っ」
『!』
ぎゅう、と抱き締める力が強くなった
『…泣いてるんですか?』
シカ「……うっせー…、バカ」
低く擦れた声は私の耳にするりと入り
この世界に戻ってきたと、強く実感した
サク「瑞乃―――!!!」
『!』
遠くから聞こえてきた声に気付き、シカマルさんの腕の中からその方向に目を向けた
ヒナ「瑞乃ちゃんっ!」
サク「良かった!!」
『……ヒナタ…ちゃん?』
駆け寄ってくるヒナタちゃんの姿を見て、胸が熱くなった
私、ちゃんと守れたんだ
シカ「立てるか?」
『…多分』
立とうとする瑞乃の腕を引っ張ると、彼女はいつものようにふわりと笑いかけた
それがどうしようもなく嬉しくて、また目頭が熱くなってしまった
サク「瑞乃っ!!」
テン「このバカ!!」
『ぅわっ!』
がばっ!と飛び付いてきたサクラとテンテンさん
すぐ後ろにいるヒナタちゃんはネジさんに支えられていて、彼女の瞳からは涙が流れていた
そして、今私に抱きついている二人も泣いている
サク「バカ瑞乃!!
何死んでんのよ!!」
テン「心配したわよ!!」
ヒナ「瑞乃ちゃん、ごめんね…
私なんかを庇って……」
リー「他のみんなみたいに生き返ったんですね!」
ネジ「体調はどうだ?」
シホ「大丈夫ですか?」
『……えぇと…』
シカ「そんなに一気に言ったら困るだろーが」
後ろでやれやれとため息をもらすシカマルさんに、泣いているサクラとテンテンさんが同時に口を開いた
サク・テン「「さっき抱き締めてたくせに」」
ネジ「何、一人で余裕ぶってるんだ」
シカ「なっ…!
おまっ、見てたのか?!」
「「「「「当然」」」」」
『……ふふ』
その後、恥ずかしさからネジさんに突っ掛かるシカマルさんと、それを宥めるリーさんを横目に
サクラに怪我を診てもらった
サク「……にしても、あの時傷塞いどいて良かったわ
じゃなきゃ、今ごろもう一度死んでたわよ」
『……うわー…』
ヒナ「本当にごめんね…
私のせいで……」
そう言って涙ぐむヒナタちゃん
自分を庇ったせいで私が一度死んだことを、かなり気にしている
『……謝らないでください
私もヒナタちゃんも、こうして一緒に話してるんだから
もういいじゃないですか』
と言ってにこりと笑うと、ヒナタちゃんも小さく笑ってくれた
サク「とにかく!
瑞乃が生き返って良かったわ!
シカマルー!!
自慢の彼女さん返すわよー!!!」
『?!
なっ、サクラ!!いきなり何を…「おぅ、さっさと返せ」――っ、シカマルさん?!』
サクラの爆弾発言とシカマルさんの返事に驚き、一気に顔が熱くなる
そんな私を無視し、シカマルさんが私の腕を引っ張った
まわりを見れば、あからさまにニヤニヤしているサクラとテンテンさん
ネジさんまでもが微笑んでいる
シカ「…手、貸せ」
『へ?』
唐突にいわれ、すぐに手を出した
かと思えば
『――…っ?!』
ぐいと引っ張られ、唇が重なった
キャー!と騒ぐサクラ達を尻目に、ただただ驚いて固まっていた
シカ「――…おかえり、瑞乃」
そう言って穏やかに笑うシカマルさんの顔を見たら、急に何かがこみあげてきて
彼の胸に寄りかかって、ぼろぼろと泣いた
チヨばあ様
私、この人と生きていきたい
そう強く思ったの
私が泣いている間、気を利かせたサクラ達はどこかに消えて
シカマルさんは黙って私を抱き締めてくれた
.