避けられぬ死
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『お二人はここにいてください
私は他に怪我人がいないか見てきます
シホさん、シカマルさんを頼みます』
シホ「えっ?
あ、はい!」
それじゃ、と背中を向けた時
手を掴まれた
『……シカマルさん?』
シカ「……行くな…」
『!』
ギュッ、と強く握られ
驚いた
それ以上に驚いたのは、シカマルさんの表情だ
いつもは凛々しい表情なのに、今は少しだけ不安そうなのだ
『……私は大丈夫ですよ、これでも結構強いですから』
シカ「違う、そうじゃない」
ずきずきと足が痛む、だがそんなの気にしていられない
今、彼女が視界からいなくなるのが嫌なんだ
シカ「……不安なんだよ…、心配なんだよ!
お前がどっかに消えちまうような気がして…!」
『……。』
シカマルさんの言葉は、胸に重くのしかかった
その彼の前に跪き、手を握り返した
『私は大丈夫
あなたの前からいなくなったりしない』
シカ「……!」
『後で会いましょう
それと』
口寄せの印を結び、鳩くらいの大きさの忍鳥を口寄せした
『何かあったらこの子に
私の忍鳥です』
シホ「……気をつけてください…!」
『分かってます』
シホさんに力強く頷き、もう一度シカマルさんを見た
先ほどと変わらない不安そうな顔だ
『………。』
シカ「――!!」
そっと頬に手を添えて、彼の唇に自分のを重ねた
シホさんからは死角になっていて、彼女には分からない
ゆっくりと唇を離せば、驚いたように目を見開くシカマルさん
そしてそのまま
シカマルさんに握られている手を解いた
『行ってきます』
シカ「!
瑞乃っ…!」
最後に笑うと、彼女は走り去った
この時強く止めていたら、と後悔しても
もう遅い
―――――
ヒナ「――…瑞乃ちゃん!!」
『!!
ヒナタちゃんっ!大丈夫?!』
シカマルさんとシホさんと分かれ、瓦礫の山に変わり果てた里を走っていた
しばらく走っていたら、ヒナタちゃんと一人の男性に会った
ヒナ「よかった!無事だったんだね!」
『はい!
それより、お二人とも怪我は?』
ヒナ「コウを診てあげて…!」
おろおろしているヒナタちゃんの後ろにはコウと呼ばれた先ほどの男性がいて、苦痛に顔を歪めていた
『大丈夫ですか?!』
―――――
ヒナタちゃんとコウさんの様子を気に掛けながらまわりを見回していたが、何も変化はなく
敵はおろか、味方の姿も見えない
不気味な静寂
それを際立たせているのは
里の真ん中にぽっかり空いた大穴だろう
ペインの術だ
『――…何も聞こえない』
コウ「不気味ですね…」
ヒナ「…。(ナルト君…)」
ヒナタちゃんが胸の前で手を強く握り締めた時
大穴の方から何やら大きな音がし、煙が起きた
『……?(口寄せ…?)』
ヒナ「何が起きてるの?」
コウ「………!!
ナルトだ……!!」
『「!!」』
大穴に現れたのは巨大な3匹のガマ
その真ん中にいるガマの上には
ナルト君がいた
ヒナ「ナルト君……っ!!」
『待ってくださいヒナタちゃん!
今私たちが入っても邪魔になるだけです!』
ヒナ「でも…っ!!」
『彼は強いでしょう?
信じましょう』
コウ「そうですよヒナタ様、今は信じて待ちましょう」
ヒナ「……、はい…」
一人助けに行こうとしたヒナタちゃんを二人で止め、三人で黙って見つめた
遠目からは何が起きているのか分からない
だが白眼を持つ二人は見えている
時折状況を教えてくれた
仙術と呼ばれるものを身に付けたナルト君は、ペイン六道と相対しても臆することなく挑んでいた
優勢
そう思っていた
ヒナ「ナルト君!!!」
『?!
どうしたんですか?!』
ヒナタちゃんがらしくないほどの大声を上げた
コウさんを振り返り、状況を尋ねた
コウ「ナルトが暁に捕まった!!」
『?!
そんな…!!』
コウさんに気を取られていた私は、後ろでヒナタちゃんが走り出したのに気付けなかった
『―――!!
ヒナ「お待ちくださいヒナタ様!!!」
コウさんは動かないで!
まだ完治したわけじゃない!!』
コウ「しかし…っ!!」
歯痒そうに顔を歪めるコウさんを止め、後ろを振り返った
ヒナタちゃんはすでに大穴へ飛び降りていた
『…私が行きます!』
コウ「?!
そんなこと――
―瑞乃さん!!」
コウさんの制止を無視し、私はヒナタちゃんを追い掛けて走り出した
ヒナ「――私はナルト君のことが
大好きだから……」
『!!』
ヒナタちゃんを追って大穴に飛び降りた直後に聞こえた彼女の告白
しかしその直後、ヒナタちゃんの決死の攻撃を軽くかわしたペインが彼女を地面に叩きつけた
ナルト君が叫ぶ
しかしペインは、袖から黒い物体を出した
これから何をするつもりなのか
すぐに分かった
『(させるか……!!)』
足を早め、ヒナタちゃんに近付くペインより一瞬速く前に出た
そして
地面に横たわっているヒナタちゃんの上に覆いかぶさった
ナル「やめろ瑞乃ちゃん!!」
ナルト君の叫び声と同時に
心臓のすぐ近くを貫かれた
ヒナ「―――……!!
瑞乃ちゃ……」
ヒナタちゃんが目を見開き、気を失った
その直後に
私も意識を手放した
ナル「瑞乃ちゃんっ!!!!」
―――――
シカ「どうなってる…?」
シホ「全く分かりませんね…」
ナルトが暁と戦ってる間、足が動かない俺はシホと連絡を待っていた
俺の隣には瑞乃が口寄せした忍鳥
シホ「ナルト君……ですよね?」
シカ「あぁ…」
大穴にガマとナルトが現れた
しかし、そこからは何が起こったのか分からない
情報が少なすぎる
シホ「瑞乃さん…、大丈夫ですかね?」
シカ「……、大丈夫だろ
アイツは特別上忍だぞ
それに……」
シホ「?」
首をかしげるシホ
その時、俺は彼女の言葉を思い出していた
シカ「…アイツ言ってただろ?
俺の前からいなくなったりしないって
だから…、だから待つことにした」
女々しいな、と苦笑いを浮かべるシカマルさんを見て、心が暖かくなった
早く彼のもとへ帰ってあげてほしい、と
瑞乃さんの顔を思い浮かべた
その時
ぼん!!
シホ「………え…?」
瑞乃さんの口寄せ忍鳥が
煙を上げて消えた
シカ「………!!」
ざわ
と心臓が嫌な音を立てながら騒ぎ出した
どくんどくん
鼓動は早まり、嫌な汗が頬を流れた
瑞乃
シホ「…どうして術が……」
シカ「……分からねぇ…
アイツが何の連絡もなしに術を解くなんて有り得ねーし…
チャクラ切れか
あるいは……」
シホ「――…!!」
この先は、口に出来なかった
声が出なかった
瑞乃が死んだ
なんて、考えられなかった
―――――
サク「――ヒナタ!瑞乃!!」
リー「サクラさん!!」
二人が倒れた後、暴走したナルトがペインを引きつれて里から離れた
その隙に、たまたま任務で里を離れていたガイ班とサクラが二人のもとへ駆け寄った
サク「――…!!!」
はっと息を呑んだ
仰向けに寝かされているヒナタと瑞乃をそれぞれ見て、サクラが手のひらを強く握り締めた
力強く握った手のひらをほどき、サクラはヒナタの体の上に手をあてた
リー「なっ…!
サクラさん!
どう見ても瑞乃さんの方が出血が激しいじゃないですか!!
どうして「やめろリー!」…ガイ先生……!」
ネジ「……。」
テン「リー…
よく見て……」
テンテンの言葉を聞き、リーは二人の顔を見比べた
その後サクラの顔を見た
リー「……!!」
サク「……瑞乃はもう…
助からない……」
ヒナタを治療しているサクラの目からは、涙が溢れ出ていた
テン「………っ、瑞乃…っ!!」
テンテンがその場に泣き崩れ、ネジはうつむいた
リーやガイの目からも涙が流れ、その場にいた全員が彼女の死を確認した
.