残されたもの
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『…自来也様、って……
あの伝説の三忍の…?』
シカ「……。」
こくり、と黙って頷くシカマルさん
特等席で会ってから数日後、彼から伝説の三忍の一人である自来也様が亡くなったことを聞いた
自来也様とはそこまで接点があったわけではない
うちはサスケ奪還任務の際、増援として来た私はナルト君の治療もした
その時に少し会話を交わした程度だ
けれど、とても優しい方だったのを覚えている
そして何より
ナルト君は自来也様をとても慕っていた
『…ナルト君は?』
シカ「今は、綱手様のところにいる
アイツも今ごろ聞いてるんだろ」
『そうですか…』
感情を押し殺すようにつぶやく瑞乃
やはりその表情は、どこか悲しげだ
『……ナルト君は、師匠の最期を見届けられなかったんですね…』
シカ「!」
『……。』
ぽそりとつぶやかれた言葉は、ずしりと俺の胸にのしかかった
瑞乃も俺も、師匠の最期を見届けている
だがナルトは、言葉で伝えられるだけ
死体すらも見れない
俺達はわりかし恵まれていたんだ
『シカマルさん、ナルト君のこと頼みましたよ』
シカ「……分かってるよ
綱手様にも頼まれてるしな
お前はどうすんだ?」
『また暁の情報が出たとなれば、私は少し忙しくなりますね
砂との情報交換が混乱しないように色々と仕事がありますし、病院もありますし』
シカ「……無理すんなよ」
『はい、ありがとうございます』
最近は相手を思いやる言葉がすんなり出るようになった
昔だったらぶっきらぼうに言っていたが、今は目を見て言える
それは俺達がこの関係に慣れたからであり、純粋にお互いのことを思っているから
『…それじゃ、私はまだ仕事があるので』
シカ「あ?
あぁ…、悪かったな
急に来て」
今さらだが、ここは木の葉病院のロビー
病院にいる瑞乃のもとにこの訃報を伝えるため、急に訪ねた
『いえ、教えてくれてありがとうございました
――…ナルト君のこと頼みましたよ、本当に』
シカ「わーってるよ
じゃあな、頑張れよ」
『また』
小さく手を振る瑞乃に軽く笑いかけ、俺は木の葉病院を後にした
今からナルトのもとへ行こうと思っていたから
―――――
シカマルさんが病院を後にし、私は自分の仕事に戻った
といっても、今は頼まれた患者さんを待っているのだが
少し前から通院してる妊婦さん
ちなみに木の葉の忍
勉強の一環として受け持つことになった
なぜ私が頼まれたのかは知らないが、婦長さんの様子から察するに、おそらく私と関わりのある人
そして、今日初めて顔を合わせる
相手の患者さんは私が担当になることを快く了承してくれたらしい
『……。(…私の知り合いなのかな…、でも年上の女性に知り合いなんてほとんどいないし…)』
少し首をひねりながら待っていると、病院に一人の女性が入ってきた
『――あ……っ!』
「こんにちは」
現われたのは、キバさん、ヒナタちゃん、シノ君の担当上忍で
アスマさんの恋人だった
『……紅さん…』
夕日紅さんだった
『―…あの…紅さんですよね?』
紅「えぇ、二人で話すのは初めてかしら?」
『そ…うですね』
かたん、と大きくなったお腹を気遣いながら椅子に座った
紅さんのことはキバさん達に聞いていたから多少は知っている
だが、こうして二人で話すのは初めてだった
『なぜ私が担当することを許可したんですか…?』
紅「え?
…あぁ……
瑞乃のことはキバ達に聞いてたし、アスマとも仲良いでしょう?
だから、あなたなら大丈夫かなって」
『……。
ありがとうございます』
本当に嬉しかった
事実、ただの研修医のような私が担当になることを拒む女性はたくさんいる
それは仕方のないことだとは分かっているが、やはり悲しい
自分が信用されていないような気がして
紅「よろしくね、瑞乃」
『――…はいっ!』
にっこりと綺麗に笑う紅さんに、私も負けないくらいの笑顔を返した
―――――
『それじゃあ、今日はこのくらいで
残りはまた後日』
紅「えぇ、ありがとう」
『病院の入り口まで送りますよ』
そう申し出ると紅さんはふわりと笑い、大丈夫よ、と言った
紅「他にもお仕事あるでしょう?
私は大丈夫だから、また今度ね」
『…はい、お大事に』
先に席を立ち、部屋の扉を開ける
紅さんが出るのを確認し、一言挨拶をしてから彼女とは逆の方向に歩き出した
―――――
『……!(アレ…?)』
紅さんが病院を出た頃だろうと病院の窓際に寄ると、シカマルさんとナルト君が紅さんと話していた
そのまま見ていたが、どうやらシカマルさんは紅さんを待っていたようだ
そして、彼の隣にいるナルト君の顔はまだ暗い
――…と、思っていたが
シカマルさんが何かを見せた後、ナルト君の顔が明るくなった
シカマルさん、上手くナルト君を慰めたようだ
その後、少し会話をし、シカマルさんが帰った
ナルト君も帰った
.