お昼寝
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ナルトの修行に付き合ったから
という綱手様のご厚意で、私もシカマルさん達と同様にここ数日はお休みをいただいていた
だが
休みが開け、私を待ち構えていたのは
目が回るほどの忙しさだった
カカシさんが持ち帰った角都という暁の死体の解析
今回分かった暁の情報を砂に伝え、そのまま忍鳥を使っての報告に連絡
それを全て一人で
プラス普段通りの病院勤務、今はナルト君とカカシさんが入院中だ
ナルト君はもう退院するけど
とにかく忙しい
カカ「――…瑞乃さ、最近寝てる?」
『……人並み程度には』
カカ「絶対嘘、どうせ家に帰っても勉強してるんでしょ?」
『はい』
カカ「あのねぇ、女の子なんだから睡眠はきちんと取らないと
そのうち倒れるよ?」
『……善処します…』
よしと軽く笑い、またカカシさんはベッドで愛読書を読み始めた
ちなみにここは木の葉病院
今は検診の時間
ことあるごとに気遣ってくれるカカシさんに挨拶をし、彼の病室を後にした
だが、カカシさんに指摘されたのにも関わらず、私は相変わらず多忙な日々を送っていた
外では仕事をせっせとこなし、残業もしたり
家に帰れば家事に勉強
寝るのはいつも日が変わってから数時間後
さすがにこれでは体調を崩しかねないと思い、今日は少しだけ早く切り上げさせてもらった
シズネさんは快くオーケーしてくれた
―――――
『……特等席、行ってみようかな』
ふと思い付き、家路についていた足でそのまま特等席に向かった
まだまだ日は高い、久しぶりにゆっくり読書でもしよう
『…シカマルさんいるかな』
少しだけ足取りが軽くなった
―――――
『――…まだ任務中かな』
屋上にある特等席に着いたが、シカマルさんの姿は無かった
たまにチョウジ君もいるが、彼もいない
二人とも中忍だし、任務があって当然
仕方なく少し大きいベンチの隅っこに座り、持っていた本を開いた
日中だからか、とても温かく
目蓋が少し重かった
―――――
シカ「ふぁーあ…
ねむ」
イノ「アンタが眠いのはいつものことでしょー?」
チョ「まぁまぁ
それじゃ二人とも、またね
お疲れ様」
イノ「私も店番あるから帰るわね」
シカ「お疲れ」
チョウジといのがいなくなり、一人になった
今日の任務はわりかし簡単ですぐに終わったので、まだまだ日は高い
これからどうしようかと思案する
シカ「…雲でも眺めるか」
そうと決まれば特等席に行こう、と足を踏み出した
―――――
シカ「――…!」
カンカンと階段を登りきり、屋上を見ると、見慣れた空色が揺れているのが見えた
シカ「………瑞乃?」
『………。』
声を掛けてみたが、瑞乃は深く頭を下げたまま動かない
髪の毛が横顔にかかり表情もよく見えない
もしかして
シカ「…寝てんのか……?」
ベンチに近寄り彼女の顔をのぞき見ると、目を閉じて寝ていた
手とベンチの隅っこには数冊の本、読書中に寝てしまったのか
とりあえず今にも手から落ちそうな本を、瑞乃が起きないようにゆっくり手にとる
そしてそのまま隣に腰かけた
シカ「……(やっぱ勉強してたのか…)」
ぱらぱらと本をめくる
表紙を見ても分かるが、中身はもちろん医学に関することだった
所々書き込みがしてある
自分には何について書いてあるのか全く分からない
シカ「ふーん……」
本をぱたんと閉じ、積み重なっている数冊の本の一つに手を伸ばした
その時
シカ「――…っ!?
えっ…」
ふいに肩に重みを感じた
ぱっと隣を見れば、視界の大半を占める空色
シカ「………えーと…」
どうすれば
俺の肩に寄りかかり、穏やかな顔で眠っている瑞乃
思わぬことに体が固まり、顔に熱が集まる
すぐそばで規則正しい寝息を立てる彼女
どうすることも出来ず、なんとなく姿勢を正す
心臓はばくばくと騒ぎ、一瞬頭が真っ白になる
どくんどくんと脈打つ心臓
肩に感じる彼女の温もり
全てが自分の感覚を麻痺させているようだ
『……ん』
シカ「…っ!」
瑞乃が小さく声を出すだけで体がびくりと揺れる
この揺れで起きるんじゃないかと思うほど
『………シカマル…』
シカ「!!」
寝言で呼び捨てにされた
もしかして俺の夢でも見てるのか?
と思うと、なんか恥ずかしくなる
それ以上に
シカマル
と呼び捨てで呼ばれて、ものすごく心臓がばくばく鳴っている
愛しい
すごく
シカ「瑞乃……」
瑞乃を起こさないように、そっと髪の毛に触れた
サラサラと風になびく綺麗な髪
髪を梳いて、そのまま頬に手を添える
少し上から見ているから、長い睫毛や頬、唇が見える
シカ「――…。」
少し体をずらして、彼女の顔に自分の唇を近付けた
額にキスを落とした
『――…ん……?』
シカ「!」
***
シカ「やっと起きたのか?」
『…………?』
やけに近くで聞こえる好きな声
若干斜めになっている視界
そして
感じる温もり
『―――…!!
えっ…?!』
ガバッと姿勢を正し、すぐに隣を見た
『シっ、カマルさん?!』
シカ「よぉ、こんなとこで寝てると風邪引くぞ?」
隣に座っていたのは、少しだけ頬を赤くしているシカマルさんだった
……ちょっと待って
私、もしかして
『……もしかして、シカマルさんに寄りかかってました?』
シカ「おぅ、そんで寝てたぞ」
『……あぁー!嘘ー!!』
わーっと一瞬騒いで、すぐに顔を両手で覆った
髪の毛の間から見える耳は真っ赤だ
シカ「……そんなに気にするか?」
『気にします!!
あぁぁぁ、もう最悪です…
寝ている間に私なにかしました?
迷惑かけませんでしたか?』
シカ「えっ」
なにかしたのはどちらかと言うと自分
思い出して急に顔を染めた俺を見て、瑞乃が尋ねてきた
『ちょっ、私なにしました?!』
シカ「あっ?
別に何もねーよ…」
『そんなの嘘です!
何か変なこと言ったかしたか、どっちですか?!』
シカ「………、…反則技出したな」
『…?
反則技?』
少し首をかしげる瑞乃と少し目を合わせ、すぐ逸らした
『…本当に私なにしました?』
シカ「だから、反則技」
『意味分かりません…』
シカ「どっちかと言うと、俺がした」
『……………はっ?!』
一気に顔を染める瑞乃を見て、口元が上がった
表情がコロコロ変わって面白い
『……シカマルさん、いったい何を…』
真っ赤な顔で聞いてくるコイツが可愛くて、少しからかいたくなった
シカ「――…じゃあ、もう一回してやるよ」
『えっ?
ちょっ…?!』
ぐっと腕を引っ張って、先ほどと同じように額にキスを落とした
『……な、えっ、え?』
シカ「ぷっ」
あたふたする瑞乃はやっぱ可愛くて、あぁ…自分は相当惚れてるんだな、なんて思った
『……~~~っ、帰りましょう!』
シカ「――…ククッ…、慌て過ぎ」
両手で頬を押さえながら立ち上がり、本を持って階段を逃げるように下りていった
クスクス笑いながら階段を下りれば下で瑞乃が待っていて、それにまた笑みがこぼれた
『………笑い過ぎです』
シカ「面白いからだよ」
『私はなにも面白くないです…』
自然と隣にならび、歩幅を合わせて通りを歩く
以前もよくこうして歩いたが、以前と今とでは全く違うものだ
シカ「ほら、その本貸せよ
持つから」
『大丈夫です』
シカ「いーから。男が手ぶらなのに女が何か持ってるなんておかしいだろ」
『……。』
ちらりと俺を見る瑞乃、その隙に本を奪った
『あ!』
シカ「いーだろこれくらい
彼氏の特権なんだからよ」
彼氏
という言葉を聞くとすぐに頬を染める
うぶな仕草が可愛い
『……お願いします』
シカ「最初から持つっての
いのなんか有無を言わさずに持たせるからな…」
『…ふふ、さすがいのちゃんですね』
幸せな時間を過ごしていたその時
火影邸には
悲しい報せが入った
シズ「自来也様が……、暁との戦闘中、お亡くなりになりました」
綱「…………。そうか……」
シズ「あの……、ナルト君には…?」
シズネがおずおずと尋ねると、綱手はふーと息を吐き
俯いた
綱「明日、フカサク様から直々に話していただこう」
シズ「……分かりました」
そう返事をすると、シズネは部屋を後にした
一人になった火影室で
綱手は静かに涙を流した
.