発動・無限月読
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日、予想通り戦場は混乱に包まれた
味方だと思っていた人間が白ゼツに化けて自分に襲い掛かる
仲間同士で疑心暗鬼になる事が目的だろう
我々はシカマルさんの指示のもと、自分の周りに円を描いて立ち入り禁止とし、こう着状態に陥っていた
い「ねぇ!やっぱお互いに知ってる事を確認するしかないよ!」
シ「ダメだ!万が一でも当たる可能性がある」
チ「けどこれじゃあ、また大きな敵が現れた時に対処できないよ!」
『………。』
チョウジくんの危惧することは確かに危険だ
だがシカマルさんの言い分も正しい
今は打開策を練るため、敵も味方も動けなくしてしまうのが一番だろう
い「瑞乃!あんたも言ってやってよ!
このままじゃ誰かがあんたを狙っても何も出来ないわ!
それに医療班だって何も出来ない!」
『……けど、シカマルさんのこの作戦が一番安全ではあります
味方に化けている白ゼツも、このままでは攻撃のリスクが高すぎて動けません
それに私は、簡単にはやられませんよ』
ふ、と笑う瑞乃にいのは呆れ返る
チョウジも彼女の言い分に納得したのか、表情を和らげた
シ「………!
瑞乃!!」
い「!!」
チ「!! 後ろ!!」
ほんの一瞬、緩んだだけでも見逃す訳が無かった
油断していたのだろう、今の状態なら襲ってはこないと
瑞乃も狙われないだろうと
『っ、この…!』
一人の忍が円を越えて瑞乃に襲い掛かる
医療忍者を狙っていた白ゼツだろう
シ「瑞乃!」
『来ないで!私なら大丈夫です!』
円を出て助けに行こうとする俺や他の忍者にそう言うと、彼女は自分の円の中でゼツを倒そうとした
『っ、きゃ…!』
「「「!!!」」」
医療忍術を使い過ぎたせいか、彼女はひどく疲弊している
いつものようなキレはなく、苦戦しているようだった
完全に白ゼツの姿になった相手がクナイを持って瑞乃の腕を切る
鮮血が舞った
『っ、雷遁…避雷針!』
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
バチバチとゼツに雷が落ちる
そのまま白ゼツは力無く地面に倒れた
い「瑞乃!大丈夫?!」
『…は、あ
大丈夫……
…っ!』
シ「!!」
ぐらりと彼女の身体が崩れる
彼女の身体が地面に倒れるのが、スローモーションで見えた
「瑞乃ちゃん!」
瑞乃の身体が地面に叩きつけられる直前、アイツが突然現れたのだ
シ「ナルト…?!」
ナ「シカマル!ここは俺に任せろってばよ!
瑞乃ちゃんを!」
横抱きにされた瑞乃を託され、すぐに顔色を見る
チャクラの消費が激しかったのか、弱っていた
『…う……』
「瑞乃…!」
『……すみません、シカマルさん』
「無茶するからだろバカ!
少し休んでおけ」
そう言えば、彼女はバツが悪そうに苦笑いをした
すぐに現れた医療班に一時彼女を任せ、自分は戦線に復帰する
目の前で彼女が敵にやられそうになるところをただ見ているだけなんて、耐えられるものではない
守れないのはもうごめんだ
***
自分の部隊を一掃し、それぞれの部隊がナルトのもとに向けて走り出す
隊列を編成し直し、指揮をとる
『私たちは医療班長のシズネさんのもとに合流します』
「あぁ、途中まで第四部隊でフォローする
気を付けろよ」
『はい!』
幾分か回復した瑞乃はテキパキと自分の隊に指示を出し、第四部隊の後を追うように走り出した
彼女の横はテマリが並走し、他の戦場の負傷した忍者の事について話を聞いていた
「……ウチの隊の戦況はこんな感じだ、お前のとこの医療忍者がよく働いてくれたよ」
『ありがとう
それにしても、テマリが無事で良かった』
「私も、お前が無事でいてくれて良かった
シカマルがいる手前、無茶したんじゃないのか?」
『少し、ね
けど大丈夫だよ、シカマルさんが守ってくれたから』
大粒の雨が降り注ぐ
はるか前方で、先陣を切って走っているシカマルさんの背中を見つめて笑った
戦争はもう佳境を迎えている
この先、さらに大きな力と戦うだろう
正直怖い
けどあの背中を見ると、そんな不安も消えていくのだ
『守られてばかりは嫌、私だって、シカマルさんを守れる』
みんなを守る力なら、私にだってあるんだから
『後方支援部隊、到着しました!』
守りたい人はたくさんいる
けど私の一番は、シカマルさん
あなたです
い「瑞乃!シカマルが!!」
『!!』
***
十尾が連合を襲い掛かる
後方支援医療部隊の我々は、連合の中でも後ろの方に散り散りになっていた
その中でまだ機動力がある、攻撃力の高い医療忍者が前線に向かっていた
巨大なバケモノが連合の忍達を次々に襲い掛かり、何人かがチャクラを著しく奪われたのだ
恐らく敵の術、あの木の根のようなものに触れたら最後、チャクラを奪われるのだろう
掠るだけでも致命傷だ、だが医療忍者は回避能力に優れた者が多く、幸いにも誰も被害にあわなかった
「瑞乃!シカマルが!!」
『!!』
前線まで走ってきたところで、いのちゃんが私の名を呼んだ
慌ててそちらに向かえば、チョウジくんに支えられているシカマルさんの姿が目に入った
『っ!!』
どくん、と心臓が嫌な音をたてる
嫌だ、こんなの
『…っ!いのちゃん、補助をお願いします!!』
「分かったわ!」
『チョウジくんは身体を支えてください!』
「オーケー!」
『シカマルさんっ…!!』
ぐったりと力無く横たわるシカマルさん、恐らくさっきのバケモノにチャクラを奪われたのだろう
急いで医療忍術を施すが、自分のチャクラも残り少ない
チ「シカマル!」
い「!
瑞乃待って!これ以上無理したら今度はあんたが!
私が代わ『ダメです!』
!!」
『いのちゃんは連合全体に連絡を伝えられる貴重な人間です
あなたの術とシカマルさんの頭脳は、この戦場では必要不可欠です
だから絶対、死なせません』
ブゥゥゥン、医療忍術独特の音が響く
だがシカマルさんの顔色は戻らない
駆けつけたキバさんやヒナタちゃん達も心配そうに見つめている
『シカマルさん!絶対に死なせませんから…!!』
そうは言っても、彼の顔色は戻らない
目を開けずぐったりとしている
嫌だ、目の前で失うのはもう嫌なんだ
大切な人だから
大好きだから
これからもずっと一緒にいたいから
『私だって、あなたを守りたいんです…!!』
チャクラがどんどん無くなっていくのが分かる
自分の限界も近い
あきらめたくない
手につよく力を込めた時、目の前がオレンジ色のあたたかな光に包まれた
『ナルトくんのチャクラ…』
シカマルさんに目をやれば、彼の顔に生気が戻ってくる
ナルトくんがシカマルさんを助けたい一心で、こんな力を出したんだ
「っ、う……」
『!
シカマルさんっ…』
ナルトくんがくれたチャクラで、彼の身体に手をかざして癒していく
ふ、と目を開けた彼を見て、涙が溢れた
「………!」
ふ、と目を開けたら、くすんだ空とは違う空色が見えた
俺の好きな色
『シカマルさんっ…!』
「うわっ!
………瑞乃?」
『…っ、良かった…!』
いきなり抱きついてきて、そのまま俺の服を握りしめるのは、愛しい人だった
ふと、自分の身体に残る他人のチャクラを感じる
それは彼女のものだった
「………お前に守られたな」
『!
そんな事…!』
「助かった、ナルトもありがとな
……ったく、んな泣くなよ、俺は死んでねえぞ」
よ、と立ち上がり、瑞乃の頭をなでる
涙を零す彼女を見て、ふ、と笑った
「……あの時と逆だな」
『! 木の葉襲撃の時…』
「そう
ま、死んでやるつもりもねーけどな
瑞乃、まだいけるか?」
『!
……はい!』
涙をぬぐい、顔を引き締めてきっぱりと返事をする瑞乃
その強さにもう一度笑いかけ、指示を出した
ナルトと、突然のサスケの登場
そして第七班の復活で、戦局は優勢だと思われた
けど、そう簡単にいくものでもなかったのだ
『……?!
月、が…』
無限月読が発動したのだ
.