守りたい相手
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「大丈夫か?」
『………。』
ドッドッと激しい鼓動を抑えようと、大きく息を吐く
まさか、こんな事が起きるなんて
ぐるぐるとパニックになりそうな心を落ち着けるように、すっと目を閉じた
『………よし、もう大丈夫です
落ち着きました』
「……なら良いけどよ
にしても、白ゼツが本部に直接乗り込んでくるとはな…」
変身能力がある白ゼツが本部を攻めに来たということは、本部にかなりの混乱が起こっていると予想される
ち、と舌打ち混じりで考え込むシカマルさんを見上げ、私はもう一度深呼吸をした
『とりあえず、私とシカマルさんは本物だというのが分かっていますし、あまり離れない方が良さそうですね』
「そうだな…
とりあえずいの達のもとに戻るぞ、俺の後ろにいろ」
『!
…はい』
難しい顔をしたシカマルさんの後を追い、さっきの場所へと戻った
***
い「!
シカマル、瑞乃、とりあえずこいつは捕まえといたけど…」
チ「本部に何人も入り込んでるみたい、他にもやられてる」
『!
なら治療に…「駄目だ」
っ!
けど!』
シ「今もっとも狙われてるのはお前たち医療忍者だ、だからお前を行かせる訳にはいかない」
『っ…』
ぐ、と言葉を詰まらせる
確かに彼の言うことは的を得ており、今私が出しゃばったところで我々にはデメリットしかない
い「………確かに、この部隊でなら瑞乃を狙うのが最も効率がいいわ
だから、アンタだけは何としてでも守る」
チ「瑞乃はシカマルから離れないでね、僕たちが使ってるテントなら安全だと思うから」
シ「とりあえずそこに避難するか
テントに入る時の暗号を決めておこう」
「「うん!」」
『………。』
四人で話し合い、暗号を決め、私とシカマルさんは一度人目を盗んで避難した
遠くても分かるほどの混乱が起きているのに、私はただ守られるだけだ
『(何の…、役にも立ててない)』
自分が不甲斐なく思えた
「………………。」
数歩後ろを歩く瑞乃を見る
難しい顔をしてうつむく彼女に、少し息を吐く
彼女が何を考えているかなんて、すぐに分かる
***
本部の中心から少し離れたテントに二人で入り、とりあえず座る
沈黙が逆に落ち着かなかった
「瑞乃」
『!
はい』
「お前、また余計なこと考えてるだろ」
『………。』
シカマルさんの言葉は図星だ
沈黙が肯定を示すのは、もう二人の間で決まりごとのようになっている
「言っただろ」
『…?』
「お前を守るって
優秀な医療忍者として、忍連合として守らなきゃなんねーのもそうだけど
それ以外にも、俺がお前を守りたい理由がある事くらい、分かるだろ」
『………シカマルさん…』
「……頼むから、んな顔すんな」
くしゃ、と彼女の空色の髪を撫でるが、瑞乃は複雑そうな表情をしたままだ
ザ、ザ、ザ、とテントの前で誰かが地面を蹴る音がする
それを確認したシカマルさんは、誰だ、と尋ねた
「僕だよ、チョウジ」
「……よし、入っていいぞ」
「ありがとう」
ぱさ、と中に入ってきたチョウジくんは私達を確認し、ほ、と息を吐いた
「白ゼツだけど、本部にいるのはほとんど討伐できたと思う
けど、まだ姿を変えたままで何も行動していない白ゼツもいるかもしれないから、まだ安心は出来ない」
「………そうか」
「シカマルと瑞乃は、今夜はここにいて
二人がここにいるって知ってるのは数人しかいないから、多少は安心できると思う」
『……はい』
「ゆっくり休んでね」
最後ににこ、と微笑み、チョウジくんがテントをあとにする
外にはいのちゃんがいたらしく、少し会話を交わしてから離れていった
「………明日はもっと荒れるな」
『………。』
「瑞乃、今のうちに少しでも寝ておけ
俺が見張っとく」
『でも、シカマルさんだって』
「いいから」
優しく肩を抱き寄せられる
そのまま距離が近くなった
「寝てろ、な?」
『………すいません、お言葉に甘えさせてもらいます』
「謝んなって」
苦笑いしたシカマルさんに笑い、そのまま目を閉じる
誰よりも、どこよりも安心できるこの場所で、彼といれることはきっと奇跡なんだ
何千人といるこの戦場でシカマルさんと会えた事に感謝しつつ、いつ何が起こるか分からない不安は、彼の体温に包まれていると何も怖くなくなった
***
「………!」
小さな寝息が聞こえてきたのに気付き、そっと顔を覗き込む
瑞乃は寝たようだ
自分の肩に置いてある頭を膝の上にうつし、そっと髪を撫でる
少し顔色が悪い
ザ、ザ、ザ
「!」
先ほど決めておいた合図が聞こえ、誰だと声をかける
「私、いの」
「……入っていいぞ」
「!
寝たのね、瑞乃
良かった」
声のトーンを下げ、彼女が起きないよう配慮してくれたいの
そのまま話の内容を聞いた
「私たちは今後、瑞乃のフォローにまわりつつ戦う事になった
そして、第三部隊の敵を一掃したら、ナルトのもとへ向かう」
「…分かった」
「またチョウジか私が迎えに来るから、気を付けてね
……あら」
「?
どした」
必要事項を告げたいのが瑞乃を見てぽつりとこぼす
どうかしたのかと尋ねると、少し気まずそうに答えた
「あ、いや…
瑞乃、顔色が悪いみたい
大丈夫かしら」
「あぁ……、まぁ当然だろ
夜になってから色々ありすぎたんだし、疲れてるだろうし」
「……ご両親の事、聞いたわ
そうよね、訃報を聞いた後すぐに自分が狙われて…、疲れないわけないわよね
ま、シカマルがそばにいるから安心してるみたいだけど」
「……なら、良いけどよ」
さら、と髪を撫でる
確かに顔色は悪いが、彼女は安心しきった表情をしていた
「……シカマル、瑞乃のこと頼んだわよ」
「分かってる、医療忍者は貴重な人材だしな」
「それもあるけど!
……また、ペインが木の葉を襲った時みたいなことは、起きて欲しくないから」
「!」
いのの言葉がわずかに震える
ペイン襲撃の際、彼女は一度この世からいなくなった
あの時は奇跡的にペインの術で自分たちのもとに戻ってきてくれたが、今回はそうはいかない
「……絶対、守ってみせる」
いのがテントから出て行った
再び静寂が訪れる中、ふと瑞乃を見つめる
アスマにも約束した
お前にも告げた
必ず、俺が守ると
『……私は、守られるばかりのヤワな人間じゃありませんよ』
「!」
よいしょ、と身体を起こした瑞乃に驚く
「……お前なぁ…」
はぁ、とため息をつき、頭をガシガシとかく
髪の毛を軽く直している彼女をジト目で見ていると、視線に気付いた瑞乃は苦笑いを浮かべた
『起きるタイミングが分からなかったんです、すみません』
「んな怒ってねーよ」
『なら良かった』
ふわりと微笑んだ彼女に、はぁ、とまたため息をつく
空色の髪の毛を耳にかけるその仕草を見ていると、自然と手が伸びていた
『?
シカマルさん?』
「……やっぱ、お前の髪って綺麗だよな」
『………。』
カァ、と顔を赤く染める瑞乃を見て頬が緩む
髪を撫でる手は、彼女に掴まれて止まった
『……私も、一人の上忍です
何度もあなたに助けてもらう訳にはいきません』
「?」
『……自分の身を自分で守れないようではダメなんです、あなたにこれ以上迷惑をかけたくありません
守られるばかりじゃ、ダメなんです』
きゅ、と俺の手を握りしめ、真剣な顔で言う瑞乃
驚いて固まっていると、彼女はさらに続けた
『今度は私が、あなたを守ります』
吸い込まれそうなほどに青い瞳に、自分の間抜けヅラが映り込む
あぁ、自分は彼女のこういう強いところが好きだなあ
手を伸ばして、その身体を自分の腕の中に閉じ込める
目を閉じて、彼女だけを感じたくて
お前を好きになって良かった
だから、絶対に失いたくない
.