開戦
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
戦争が始まった
私達医療班はいくつかの部隊に分散し、それぞれ隊長をたてて治療に当たった
シズ「瑞乃さんには第三部隊に合流し、そこで指揮を執っていただきます」
『分かりました』
シズネさんから指示を受けた私は、医療忍者を引きつれて海辺にいるダルイ隊長のもとへ来た
『――…今から医療忍者は三人一組になっていただきます!
一人が治療中、他の二人は護衛
いいですね?
では
―――…散!!』
腕を大きく横に振ると、目の前にいた医療忍者が勢いよく散っていった
「瑞乃隊長、行きましょう」
『はい』
ざっと走り出した
まさか自分が戦争に身を投じるとは、昔なら考えもしなかった
しかも医療班の副隊長という、重要な役回り
正直
こわい
でも、怖いのはきっとみんな同じ
それに、医療忍者は絶対に死ねない
『絶対、死ぬな』
シカマルさん
絶対死なないでください
―――――
やっと到着した戦場は、予想よりも荒れていた
次から次へと白ゼツが海から現れ、あたりには叫び声が響く
ざっと見渡し、後ろについてきている医療忍者達に指示を出した
三人一組で行動し、出発前に指示した通りに治療を開始
戦闘への参加は例外以外認めない
それを強く申し付け、散り散りになった
『―――…行きましょう』
「「はい!」」
―――――
「う……っ、く…!!」
『しっかり!
大丈夫、私が治しますから!』
戦場の真ん中で倒れる多くの忍達
もはや安全な場所に運ぶことさえ困難だ
本当は避けたかったが、仕方ない
このまま治療を続けなければ、死ぬ
「……!!
瑞乃隊長、来ました!!!」
『!!』
土煙から現れた白ゼツ
それは真っ直ぐ瑞乃に向かって襲い掛かってきた
それを、一緒に行動している残りの二人が押さえ込む
その間、ただひたすら怪我を治療していった
「ぐあっ!!」
『!!』
また、違う場所で誰かがやられた
次いで聞こえてきたのは、炎が燃える音
そして、
懐かしい声だった
「火遁、灰積焼!!」
独特なチャクラ刀を使い、得意な火遁忍術を繰り出すのは
『アスマ…さん………』
運命は、なんて残酷なんだろう
時が止まったように感じた
まわりの叫び声は聞こえない
目の前の事実が信じられない
ただ、見つめていた
シカマルさん達の恩師で、暁に殺されたはずの
アスマさんを
敵の術で甦らされ、操られ、望んでもいないのに
かつての味方を殺している
悲しすぎる
酷すぎる
『……っ、アスマさん!!』
アス「……!!
瑞乃…?!」
彼女の声に気付き、動きを止めたアスマ
まだ完全に縛られているわけでは無さそうだ
「瑞乃隊長!ここは危険です!
一旦引いて――…『待って』
……………隊長…?」
危険を知らせに来た部下の言葉を遮り、アスマに近寄る
彼はその場から微動だにしなかった
アス「瑞乃隊長、か…
ずいぶん出世したな」
『私はこの部隊にいる医療忍者を束ねてるだけです
本当の隊長はシズネさんですよ
私は副隊長です』
場違いなほど落ち着いた会話
まるで、二人がいる場所だけが
切り取られたように静かだ
アス「瑞乃
ひとつ、聞いてもいいか?」
『はい』
術のせいで濁ったような目をしているアスマ
その目を細め、ゆるりと微笑んだ
アス「シカマルとは、どうなった?」
『!』
思わぬ質問に、少し目を見開いてアスマさんを見る
それに対しておおらかに笑っている姿は、生前となんら変わりなく
嬉しいような、悲しいような
複雑な気持ちになった
はは、と少し寂しそうに笑うのは、やはり自分も見届けたかったからなのだろうか
この人は優しい
むしろ優しすぎると思う
この人とずっと一緒にいたシカマルさん達だってとても優しい
だからこそ
あの三人がこの人と対峙するようなことは、絶対に起きてほしくない
と、心のそこから願った
『……お付き合い、させてもらっています』
アス「!
そうか!
やっと言ったんだなシカマルの奴!
いやー、良かった良かった!」
うんうん、と嬉しそうに何度も頷くアスマさん
彼は武器を下ろしているが、自分と行動を共にしている他の二人は警戒をゆるめない
それが申し訳なかった
アス「アイツはめんどくさい奴だけど、末永くよろしく頼むぜ瑞乃
傍にいてやってくれ
―――――…俺の分まで、な」
『…………はい
…ていうか、私、元から離れるつもりありませんよ?
だからご心配なく!』
こんな時だからこそ、笑顔でいよう
あなたの分まで、私が皆さんを支えますから
.