通達
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……!
あった!!』
建物が見るも無残に崩れている里の中心部
自分がかつて住んでいたアパートの残骸の中から、我愛羅達やチヨばあ様との写真を捜し出していた
かなり汚れてしまったが、コレは砂隠れから持ってきた唯一の品とも言っていい
だからなんとしても見付けたかった
『良かった
ちゃんと顔の判別も出来る…』
ホッ、と胸を撫で下ろし、サクラがいるところへ戻ろうと振り返った
すると、瓦礫の山の向こうから、見慣れた白い動物が走り寄ってくるのが見えた
キバ「っ、瑞乃ー!!」
『キバさん!
どうしたん「風影から手紙が来たらしい!!とにかく早く来い!!」
―我愛羅から?!
分かりました、すぐ戻ります!』
急いで戻ろうとすると、行く手を阻まれた
何かと思いキバさんを見ると
キバ「乗れ!」
『!
ありがとうございます!』
キバさんの手を借りて赤丸君の背中に飛び乗り、すぐに駆け出した
風影から手紙
キバさんの口振りからして、おそらく私個人に宛てたものだろう
きっと私のこれからについてや木の葉について書いてあるはず
早く目を通しておきたい
はやる気持ちを抑え、キバさんの背中を掴んで揺られていた
――――
シズ「――…!
瑞乃さん!」
サク「瑞乃!」
『ただいま戻りました
手紙は?』
ばさりと少し雑にテントをくぐり、中にいたシズネさんとサクラ、そしてまだ眠っている綱手様を見回した
私の問い掛けにシズネさんがすぐに手紙を差し出した
瑞乃へ
我愛羅の字で書かれたそれを受け取り、開いた
少し手が震えている
サクラ達の不安げな顔が視界に入った
―――――
サク「――ル!、シカマルーっ!!」
イノ「あら?サクラじゃない」
シカ「どうしたんだよ、そんなに慌てて」
里内で作業をしていた俺達三人のもとへ、サクラが血相を変えて走ってきた
何かあったらしいと感じ取った俺達はすぐにサクラに駆け寄る
サク「っ、はあ!
瑞乃っ、瑞乃に手紙が来たの!
風影から!」
「「「!!」」」
どくん、と胸が騒ついた
―――――
シズ「――…手紙には何と?」
サク「……。」
『………。』
ふぅ、と一息ついて
手紙を閉じた
大方予想通りだ
『……木の葉での任務を、
白紙に戻すと』
サク「!」
シズ「それは、つまり…」
『風影様から私に命令が下りました
本日をもって、私の任務は終了
速やかに砂隠れへ戻れとのことです』
サク「速やかに……、って」
シズ「そう……
仕方ないわね」
サク「……っ!」
私の言葉を聞いたサクラがテントを飛び出した
きっとシカマルさんやナルト君のところに行ったんだろう
シズ「他には?」
『同盟国として、木の葉への支援は惜しみなく行うと書かれています
きっと、今ごろは風影様が支援物資を木の葉に届けようと部隊を作っていらっしやるでしょう
数日で支援物資が届くと思います』
シズ「そう、助かるわ
それで、瑞乃さんはどうする?」
『………。』
どうする、か
そんなの決まっている
私は砂隠れの特別上忍、立場はわきまえているつもりだ
『……すぐにでも砂に戻りたいと思っています
今の木の葉の正確な状況を知っているのは私くらいですし、砂に戻って風影様に報告すれば、もっと良い対策を練ってくださるでしょう
何より
今回の一件で世界がどう動いているのかを確認しておきたいです
これから大変でしょうから』
シズ「……分かりました
ありがとね瑞乃さん、あなたは砂忍なのにこんな風に巻き込んでしまって」
そう言って申し訳なさそうに笑うシズネさんに、私はなるべく明るい笑顔を返した
『巻き込んだのはシズネさんでも木の葉でもないです
だから、そんなこと言わないでください
私は木の葉の皆さんのお役に立てて嬉しいです』
シズ「………ありがとう
綱手様の代わりに、私から伝えます」
―――――
シカ「我愛羅から……」
チョ「何て書いてあったの?」
サク「瑞乃の任務を白紙に戻すって……
それから
速やかに砂隠れに戻れ、って命令が下ったそうよ」
イノ「え…っ、それじゃあ瑞乃は砂隠れに戻るの?
すぐに?」
いのが悲しそうにサクラに尋ねた
俺やチョウジも気になっていることだ
サク「………ごめん、瑞乃に聞く前に飛び出してきちゃった
早くシカマルに伝えなきゃと思って…」
シカ「…そ、か」
イノ「どーすんのよシカマル!!
瑞乃帰っちゃうわよ?!」
チョ「そりゃいつかは帰っちゃうよ、瑞乃は砂の忍なんだから」
シカ「なに今更慌ててんだよ」
イノ「だって…!!
だってアンタ達やっとくっついたのに!!」
サク「仕方ないわよ」
はぁ、とどこか重たいため息をもらすサクラ
悔しそうに手を握り締めるいの
悲しそうに眉を下げるチョウジ
瑞乃はこんなに好かれてるんだな、と改めて実感した
『あ、サクラここにいたんですね』
「「「!」」」
シカ「――…瑞乃…」
手紙を握っている瑞乃が現れた
―――――
「…………。」
『…………。
あの、シカマルさん?』
「あ?なんだよ」
『あ、いや…
……何か不機嫌ですか?』
「……ったりめーだろ…」
『………。』
えー……、と隣で顔を引きつらせている瑞乃
瑞乃の話を聞いた俺はすぐに不機嫌になった
というのも、俺達のもとへ現れた彼女は
『明日帰ります』
普段と変わらない優しい笑顔で、きっぱりと言い切ったのだ
正直、多少は俺に相談してくると思っていた
一応彼氏なんだし
なのに、瑞乃は一人で勝手に決めやがった
何の相談もなしで
それに、ガキっぽいと思いつつも腹を立てた
そんな俺に気付いたのか、チョウジが俺達を二人きりにさせた
その間、サクラ達はナルト達にこのことを伝えに行くとのこと
『……シカマルさ~ん?』
「………。」
俺が不機嫌になった理由を知らない彼女は困ったように俺の名前を呼ぶだけだ
ずっと口を閉ざす俺にこれ以上は無駄だと判断したのか、やがて瑞乃も口を閉ざした
普段ならつながれている手は離れていて、彼女としては気まずいだろう
『……。』
「……!」
ぴたり、と彼女が足を止めた
クセになってしまったのか、俺も自然と足を止めて瑞乃を見た
『………黙ってちゃ何も分かりません』
「!」
久しぶりに見た彼女の怒気
といっても本気で怒っているわけではなくて、どちらかといったらスネているように見える
『ちゃんと、言ってください』
「………っ」
じっと見てくる瑞乃に、バカみたいに心拍数が上がった
勝手に腹をたてたのは俺なのに、瑞乃に見つめられたら恥ずかしくなって目を背けた
『シカマ「わーったよ、ちゃんと言うよ」………じゃあ、何で不機嫌なんですか』
「………あー…
その、なんつーか…」
『?』
ぼそぼそと話すシカマルさんの声を聞き取ろうと近寄ると、彼がかすかに頬を染めているのに気付いた
「……明日帰ること、なんで俺には何の相談もねーのかなって…
……それだけ」
『あ……』
ちらりとこちらを見て言った言葉と、どこかまだ不機嫌そうな顔に
どきりと胸が高鳴った
『………相談したら、何か…
…帰りたくなくなる気がして』
「!」
『これでも
寂しい、んですよ
ただ、あからさまに言動に表したら、迷惑に、なる、から…』
「……っ、」
語尾が少しずつ小さくなる瑞乃を夢中で抱き寄せた
まわりに誰かいるかもしれない
なんて気にしてられない
とにかく愛しさが増した
「……悪ぃ」
『嫌です許しません』
ふん、と胸の中でそっぽを向く彼女
そんな仕草すらも愛しくて、強く抱き締めた
まるで、それに応えるように胸に顔を埋めてきたもんだから
少し腕の力をゆるめて顔を上げさせた
「悪かったって
勝手に腹立てて」
『………ずるいよ、その顔』
「!」
何がずるいだよ、お前の方がずるいっつの
このタイミングで敬語じゃないとか
わざとかっつの
ちゅ
「っ、な」
『これでチャラです』
ふわりと微笑んで、また胸に顔を埋めてきた瑞乃
上から見ても分かるくらい耳が真っ赤に染まっていた
そして翌日
瑞乃は俺達に見送られ、忍鳥で砂隠れへと帰っていった
次会えるのはいつか、なんて分からないけど
お互いの気持ちが同じなら、心配する必要はない
ヒナタは少し涙ぐんでいたけれど、俺は普通に見送ることができた
.