紹介
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……こんなもんかな…、風の国への報告書』
パサ、と巻物を翻し、巻いていく
内容は、今回の暁襲撃で木の葉が受けた損害や情報などの報告
それを書いていた場所は、木材が重なって置いてある資材場だ
シカ「瑞乃」
『!
シカマルさん』
とん、と数メートルもの高さがある資材の上に飛び乗り、隣に座った
シカ「何やってんだ?」
『報告書です
―――口寄せの術』
ばばっ、と素早く印を結び、小さな忍鳥を呼び出した
その鳥に巻物を託し、大空へ飛び立つのを見届けてから隣のシカマルさんを見た
シカ「……あれ、我愛羅が読んだらどうすんだろな」
『さぁ…
ところで、どうしてここに?』
シカ「……なんとなく?
お前の顔が見たくなった」
『…そ、うですか』
シカ「くくっ…」
すぐに顔を赤く染め、ふいと正面をむいた瑞乃に自然と頬が緩んだ
『……足は大丈夫なんですか?』
シカ「あ?
あぁ…、もう大丈夫」
ぺしぺしと自分で足を叩いてアピールすると、瑞乃はほっとしたように穏やかに笑った
『……そろそろ行きますね、シズネさんとサクラを手伝わなきゃいけないので』
シカ「…おぅ、無理すんなよ」
『はい』
ひらりと数メートル下の地面に着地し、上を見上げた
それに続き、俺も下に降りた
『それじゃ』
シカ「ちょい待ち」
『?』
挨拶を済ませ、すぐに歩き出そうとしたらシカマルさんに止められた
そのままきゅっ、と手を握られ、シカマルさんは何食わぬ顔で歩き出した
『……え』
シカ「ついでに俺も戻る
アイツらがいるところまではいーだろ、コレ」
コレ、が手をつないでいることを示しているのが分かり
ちらりとシカマルさんの顔を見れば、彼の頬は少し赤らんでいた
『……もちろん』
シカ「……へっ
ほら、さっさと行くぞ」
ぐいっと手を引っ張られ、急いで隣に並んだ
『……。(この幸せが、)』
ずっと続けばいいのに
と、願いながら手を強く握った
シカ「…どうした?」
『………。
……なんでもないですよ!』
自分では笑っているつもりだったが、目の前の彼には通用しなかったようだ
シカ「バーカ、そんな顔で俺を騙せると思ったか
ずっと見てたんだからな」
『……。』
立ち止まって私の手を強く握るシカマルさん
その手を同じように握り返した
離れたくない
言えたらどんなに楽だろうか
シカ「……瑞乃?」
『……本当に、なんでもないです…』
シカ「嘘つくなよ、どうしたんだ?」
『………。』
ぽん、と頭に手を乗せて顔を覗き込む
それでも彼女の顔は晴れない
シカ「おい、瑞乃…「瑞乃―――!!」……サクラ?」
『……?
いのちゃんにチョウジ君も…』
遠くから聞こえてきた声に振り向けば、サクラといのとチョウジがこちらに向かって走ってきた
イノ「シカマルっ!あんた今日は休みなさい!」
シカ「はぁ?何だよいきなり」
サク「瑞乃も今日はいいわよ!
シズネさんもいるから大丈夫!」
『え?あの…』
チョ「いーから、今日くらい二人でいなよ」
シカ「……。」
『……。』
あぁ、そういうことか
みんなは気を使ってくれてるんだな
みんなの心遣いに感謝しつつ、私はシカマルさんを見た
シカ「……なんかよく分かんねーな」
イノ「じゃ!そーゆーことだから」
サク「楽しみなさ~い!」
チョ「またね」
言うだけ言って、三人はあっという間に居なくなった
シカ「……何だったんだアイツら…」
はぁ、とため息をもらしながら三人が去っていった方向を見るシカマルさん
『……シカマルさん』
シカ「あ?どした?」
三人が気遣ってくれたんだ
ちゃんと言わなきゃ
『…もう少し…、二人でいませんか?』
シカ「!」
勇気を振り絞ってつむいだ言葉
私の言葉を聞いた彼がどんなリアクションなのかが気になり、上を向こうとしたら
『わっ?!』
シカ「あのなー……」
急に腕を引っ張られ、すっぽりとシカマルさんの腕の中におさまった
シカ「………あんま可愛いこと言うなバカ」
『かっ……?!//』
ぎゅう、と力強く抱き締められ、言葉が出なかった
シカ「今絶対こっち見んな」
『え?』
シカ「顔真っ赤だから」
『!!』
シカマルさんの言葉に、今度は自分の顔が真っ赤に染まっていくのが分かった
シカ「…なぁ」
『…は、い』
とくんとくん、と心地よい心音が耳を掠める
何かを言おうとするシカマルさんの顔を見上げると、真剣な横顔が目に入った
シカ「ちょっと付き合え」
『え?どこに――って、シカマルさん!
いきなり引っ張らないで…っ!』
ぐいぐいと手を握って歩みを進めると、後ろの瑞乃が訳がわからないといったように不平をもらした
『………シカマルさん?』
シカ「……やっぱ、いきなりはまじぃか…」
『??』
手を放してぶつぶつと何か独り言を言う彼をじっと見つめていると、ふいに振り向いた
シカ「俺の両親に会ってくんねぇか?」
『………………え?』
思わぬ言葉に体が固まった
ポカンとする私を見て、ばつが悪そうに眉をよせた
シカ「やっぱいきなりはなー…」
とかぶつぶつ言ってる
『……なん、で?
なんでいきなり……』
シカ「あぁ?
そりゃあ…………」
私の疑問に答えようと口を開いたシカマルさんはたちまち顔を真っ赤に染めて、私はただ混乱することしか出来なかった
どういう意味?
『…シカマルさん?』
シカ「お前さ、たまーに鈍いところあるよな…」
『え?』
はーぁ、とため息をもらす彼の頬は相も変わらず赤くなっていて、よく分からないけれど可愛いと思ってしまった
シカ「…両親に会わす、っつーのは…その……
まぁ、アレだ
そーゆー風に俺は考えてるっつーか…その………」
『………………。
(え、それって…つまり……)』
シカ「………あ゛ーもう無理。あとは自分で考えろバカ
分かる…だろ?」
『……。』
顔に熱が集まるのを感じながらこくりと頷くと、シカマルさんはホッとしたようにゆるりと笑った
そして自然に伸びた手を握り、また二人並んで歩き出した
―――――
シカ「親父達いる?」
チョ「二人とも向こうで休んでたよ」
シカ「サンキュ
――…いいのか?瑞乃。無理しなくていいぞ?」
あちこちから聞こえる復興作業中の人の声の中、親父と母ちゃんを探しにうろうろとしていた
たまたま見つけたチョウジに二人の居場所を聞き、そのまま瑞乃の顔を見ると、少し強張っている
『……大丈夫です、ちょっと、緊張してるだけですから…』
シカ「…ま、普通はそうか……」
チョ「?」
不思議そうな顔をするチョウジに礼を言い、その場を後にした
そしてチョウジに言われた場所に行けば
シカク「お?
よぉシカマル、どした?」
ヨシノ「何してんの?」
シカ「…………おぉ、まぁ、ちょっと…」
ちらりと後ろの瑞乃を見た
少しは緊張がほぐれたのか、先ほどよりかは柔らかい表情を浮かべている
そんな俺達に気付いたのか、二人の顔が変わった
シカク「えぇーと…、瑞乃ちゃん…だったか?
この前ウチに来てたよな」
『…はい。その時はろくな挨拶もしませんですみませんでした』
ぺこりと行儀よく頭を下げる彼女を見て、親父も母ちゃんも小さく笑った
そして、俺は本題に入ろうとした
シカ「………あのさ、二人とももしかしたら知ってるかもしんねーけど…
俺、瑞乃と付き合ってるんだ」
シカク「……。
あぁ…知ってる
―――…で?
なんでいきなり紹介したんだよ、珍しいこともあるもんだ」
『……。』
ちらりとシカマルさんを見る
彼は真剣にシカクさんを見ていて、私が入り込めない親子間の空気がやけに気になった
シカ「なんで、っつーか…
瑞乃はそのうち砂に帰っちまうから、その前にと思っただけだよ
瑞乃は砂の忍だけど、俺は本気でコイツが好きだってのを知っといてほしかった」
シカク「なーるほどねぇ……」
ヨシノ「………ふふ
若いわねぇ」
ヨシノさんがふんわり笑った、かくいうシカクさんも楽しそうで
私の緊張は少しずつゆるんでいった
ヨシノ「瑞乃ちゃん」
『っ、はい!』
突然名前を呼ばれ、驚いて声が上ずった
それに気付いたシカマルさんとシカクさんが笑っていたが、ヨシノさんはじっと私を見つめていた
ヨシノ「ねぇ瑞乃ちゃん
こんな愛想のカケラもない息子だけど、本当にこんなのでいいの?」
『………………え?』
シカク「っは!、あははは!!」
シカ「なっ、おい!何言ってんだよ!!
笑うな親父!」
ギャーギャー騒ぐ中、ふと彼女は微笑んだ
『確かに愛想はないと思います
でも、
それでも私はシカマルさんがいいんです』
シカ「っ、」
にこり、と綺麗にほほ笑みながら言う瑞乃にどきんと胸が高鳴った
ヨシノ「そう?そう言ってくれて安心したわ」
シカク「シカマルぅー、やるなぁお前!
案外隅に置けねぇな!」
シカ「うっせー」
恥ずかしそうに目を背けるシカマルさんを楽しそうにシカクさんがからかった
シカク「お前、いい趣味してんな」
シカ「……瑞乃はいい女だよ」
ヨシ「あの子いい子ね!あんたもやるわねぇ!」
それからしばらく、シカマルはずっとからかわれ続けた
.