近づく時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シカ「絶対寝てろ」
サク「動くの禁止ね」
イノ「後は私たちに任せなさい」
ヒナ「ムリしゃダメだよ?」
キバ「後で見舞いに行ってやるよ!」
『………はい
ご迷惑おかけしてすみません…』
ペイン襲撃がナルト君によって無事に解決した後
里の復興に従事する皆さんを手伝おうとしたら、ほぼ全員から「安静にしていろ」と言われた
シカ「…だから、なんで謝るんだよ
お前、仮にも一度死んでる身だぞ?
それに怪我が完全に治ったワケじゃないんだし、しばらくは大人しくしてろ」
『……はい』
シカ「ん」
よし、と言って頭をポンと叩き、シカマルさんはいのちゃんとチョウジ君と合流した
サク「……なーんか、シカマルのキャラちがくない?」
『え?』
ちなみに、ここは臨時で設置された医療テントの中
サクラに寝かされていた私のお見舞いに来てくれたシカマルさんがテントの外に消えると、サクラがすぐに言った
『……そうですか?』
サク「そうよ!!
シカマルの奴、本当に瑞乃が好きなのね~!
――…って、こんな話してる場合じゃなかった
さっさとやることやりましょ
おしゃべりはその後!」
『はーい』
てきぱきと私の怪我の具合を診てくれるサクラ
その顔は真剣そのもので、同じ医療忍者なのに感心してしまった
サク「――…うん
怪我は大丈夫そうね。でも、しばらくは大人しくしてなさいよ?
じゃないとシカマル怒るだろうし」
『……大人しく、ですか
…………できるかなぁ…』
ぼそりと呟くと、サクラにでこぴんを食らった
びしぃっ!
と、かなり強烈なやつ
サク「大人しくしてなさい、ナルトじゃないんだから!」
『…はい』
全く、と大げさにため息をもらすサクラ。確かに、ナルト君は大人しく出来ないタイプ
サクラも苦労しているのだろう
なんてサクラに少し同情していたら、彼女が手を叩いてこちらを向いた
サク「ねぇ!
さっきの話の続きしましょ?」
『……へ?続き?』
何の話だと首を傾げていると、またもサクラはため息をもらした
サク「なーによ、もう忘れたの~?
瑞乃はシカマルに愛されてるわね~って話に決まってるじゃない!」
『え、それですか
いいですよそんな話、やめましょ』
サク「照れちゃって~」
『……。』
かぁぁぁ、と一気に顔に熱が集まってくる
それを見たサクラの口角が上がったのは、言うまでもなかったか
サク「何から話そうかしら~♪」
『(そんなにあるのか…?)』
二人きりの医療テントの中、隣のサクラは鼻歌まじりに考え込む
その間に脱いでいたパーカーを手に取り、とりあえず羽織った
さすがにタンクトップは寒い
サク「やっぱ、瑞乃をシカマルのところに運んだ時から話そうかしら?」
『??』
運んだ、っていつ?私の記憶にはそんなものない
サク「アンタがヒナタを庇って刺された直後のことよ」
そんな私の心情を察したのか分からないが、サクラが付け足してくれた
あの時からもちろん私の記憶はないワケで、その間のシカマルさんの様子は少し気になる
サク「……気になってきた?」
『…少、し?』
私が曖昧な笑顔を浮かべると、サクラはくすりと笑った
―――――
イノ「――…ねぇ、シカマル」
シカ「あ?
なんだよ」
里の復興作業中
休憩になってしばらくしたら、いのが口を開いた
イノ「……もしかして、瑞乃って砂隠れの里に帰っちゃうのかしら?」
チョ「?」
シカ「……………え?」
―――――
サク「――…で、そん時のシカマルといったら…」
『…ちょ、すみません
もうやめましょ、本当に…』
サク「っはは!
瑞乃顔真っ赤~!!」
サクラが語ること数分、てか語り出して一分くらいでもうギブアップだったけど
『……恥ずかしいです…』
サク「………ふーん?
まだあるわよ?
瑞乃のこと話し終えたら
「自慢の彼女だよ」ってキスしてたの
見ちゃったわ」
『え?!
私、その時「亡くなってたわよ」
………本当ですか?その話』
サク「本当よ!」
『…………。』
ただただ驚いていた
死体になった私にキスしたなんて
何気なく触れた自分の唇はもちろん温かくて
彼は、シカマルさんは冷たい私の唇にキスしたのか
サク「ほんと、愛されてるわね
このままずーっとお幸せに、ね?
側にいてあげなさいよ」
『……。』
側に
サクラの言葉がちくりと胸に刺さった
『……それは、ちょっと無理ですね…』
サク「え?」
―――――
『……それは、ちょっと無理ですね…』
サク「え?」
シカ「……?」
瑞乃がいるテントの前に来ると、中からサクラと話す彼女の声が聞こえた
なんとなく、胸騒ぎがした
『私、多分
いなくなっちゃいますから』
サク「…な…に、言って……」
さっきまで笑顔だったサクラの顔はみるみる曇って、悲しそうな顔にさせてしまった
『……ごめんなさい
木の葉がこうなった今、同盟国である砂隠れの使者として
私は帰らなきゃならなくなると思う
木の葉への支援のためにもね』
自分の中では精一杯笑った
笑えてるかはわからないけど
サク「………。」
『…ごめんね』
そんな顔しないで
いつかはこうなるって分かってたでしょう?
だから、そんな泣きそうな顔しないで
シカ「――瑞乃…」
『!』
は、と顔を上げる
『…お疲れ様でした』
シカ「……おぅ」
サク「…私、シズネさんのところに行って来るわね!
シカマル!あと頼んだわよ!
くれぐれも無茶させないように!」
ぱっと顔を上げたサクラは、少しだけ暗い笑顔を浮かべて
テントを後にした
『私ならもう大丈夫ですよ』
シカ「…そっか、良かったな」
『はい』
瑞乃の隣に腰を下ろし、彼女を見た
相変わらずいつもの穏やかな笑顔を浮かべている
「なぁ」
『はい』
「帰るのか?」
『……聞こえてました?』
「………悪ィ」
『いえ、お気になさらず』
苦笑いを浮かべる彼女をただ見つめることしか出来なかった
だって、瑞乃は否定していない
それはつまり
「帰るんだな…、砂隠れに」
『………多分、ですよ
まだ風影様に何も連絡していませんから、あっちのみんなはまだ何も知らないと思います』
「知らせたら」
『……。』
「……お前は絶対帰らなきゃなんねぇだろ」
『…そうですね、私は砂の使者ですし』
淡々と繰り返される会話
先ほどから瑞乃の顔色は何一つ変わらない
手をのばし、彼女の体を引き寄せる
そしてそのまま腕の中に閉じ込めれば、彼女は小さく笑った
「………なに笑ってんだよ」
『…ふふ
愛されてるなぁって思って』
「………。
恥ずかしいこと言ってんなバーカ」
ぎゅう、と強く抱き締めれば、彼女もそれに応えるように腕を背中に回してきた
そう、分かっていた
いつか彼女が帰ることを
受け入れたくはない
出来ることなら
このまま側にいてほしい
「愛してるよ、めんどくせーくらいに」
『私もです』
抱き締めていた腕をほどいて顔を見つめれば、自然と近付く顔の距離
何度目だろうか、こうして唇を合わせるのは
あの時から思うのは、やはり彼女の唇はあたたかい方がいい
『……やっぱ、あたたかい方がいいですよね』
「?
なにが」
『冷たいキスは嫌です』
「…………おい、まさか」
『そのまさかですね
サクラが教えてくれました』
ふふっ、といつもより子供っぽく笑う彼女
それとは対照的に、俺の顔にはどんどん熱が集まる
「……忘れろ」
『無理です』
「…………。」
するりと腕をほどき、あ゛ー、と言いながらシカマルさんがうなだれた
横から見える耳は真っ赤だ
「………ガラじゃねーことするんじゃなかった…」
『私は嬉しいですよ?』
「……は?」
慌てて顔を上げると、瑞乃も俺に負けないくらい顔を赤く染めていた
『……なんですか』
「…いや、別に………」
ふいと横を向いた彼女
空色の髪の毛の間から見える耳は真っ赤だ
『~~~~っ!!
私、サクラ達のところに「逃がすかよ」――ちょ、きゃっ……!』
立ち上がってすぐにシカマルさんに腕を引っ張られ、バランスを崩した
どさり
と倒れこんでしまった
『――…!!』
はたと気付くと、私はシカマルさんの胸に倒れこんでいた
とくんとくん、と規則正しく鳴るシカマルさんの心音に、自分の心臓はバクバクと騒ぎ出す
「なに今さら緊張してんの?」
『なっ…、ちが―――…!!』
余裕綽々といった態度のシカマルさんに何か言おうと上を向くと、思いの外近かった顔の距離にどくんと胸が騒ぐ
目の前で顔を染める瑞乃に、胸がきゅうと締め付けられる
たまらずもう一度キスを落とした
『……。』
「!」
とん、と肩に寄りかかり、かすかに震えている腕で俺に抱きついてきた
『……もっと、して欲しいです』
「!!」
あぁ…
なんでこうも愛しいんだろう
自分が好きな空色を撫でながら、目の前にある幸せを噛み締めていた
いずれ訪れるわかれの前に、お互いの愛を確かめるように寄り添っていた
『……大好きです』
「…知ってる」
少し意地悪に言えばくすりと小さく笑って
ささいなことでも笑顔を見せてくれる瑞乃に溺れた
きっと、中忍試験のあの時に一目惚れしたんだ
ずっと思い続けていた
国は違えど、思いは通じた
いくつもの壁を乗り越えて、やっと結ばれた
空を見上げて、雲を眺める
こんなささいな幸せに加わった瑞乃の存在
空よりも大好きな空色の髪の毛は
アイツと俺を結んでくれた赤い糸といったところか
「愛してる…」
『…私もです』
.