彼女の能力
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜、三年ぶりに入った奈良家の家
そこで待っていたシカマルと、シカク、ヨシノ
そしてチョウジとチョウザもいた
ヨシノはトキを見るなり、涙を流して彼女を抱き締めた
「トキ、全部話せよ
あの日の事、その後の事、全部だ」
『分かってるよ』
じと目で見てくるシカマルに小さく笑いかけ、姿勢を正した
『……三年前のあの日、シカマルとチョウジと遊んでる途中で寝ちゃったの、覚えてる?
あの時、私は夢を見た
空目一族が滅ぶ夢を』
夢の内容、その夢の中で大きな蛇に両親を殺されたこと
そして夜、不安に駆られて家を抜け出し、集落に行くと、夢と全く同じことが起こっていた
『あの夜一族に起こったことは、私が夢で見たものと全く同じだった
お父さんとお母さんが死んだ後のことは……、思い出せない
気づいたら、木の葉病院で保護されていた』
「思い出せない?三年間の事全部か?」
シカクがトキに尋ねる、それにコクンと頷いた
『この三年間の事を思い出そうとすると、激しい頭痛に襲われるんです
頭が割れそうになるくらいの、激しい頭痛
それのせいで何も思い出せなくて、この三年間、私がどこで何をしていたのか、本当に分からない』
「………記憶喪失か、何らかの術なのか
どっちかだろうな」
『…三代目様は、私はこの三年間、空目一族を滅ぼした犯人に囚われていたんじゃないかって考えてるみたいです
それで、何かを理由に私を手放した、と』
「記憶を無くせば、その犯人達の情報が木の葉に漏れないから、か
くっそ、頭良い事しやがって」
ガシガシとシカクが忌々しそうに頭を掻く
幼い子どもの三年間を奪い、そして何よりも、大事な家族を奪ったその犯人に、誰もが怒りを感じていた
『……それと、私が攫われた理由に、予知夢の力も関係あるかも知れないって』
「!
……話を聞いててまさかとは思ったが、お前、本当に」
「何だよ予知夢の能力って、トキが夢を見たのはたまたまなんじゃねぇのか?」
シカマルがシカクに尋ねると、シカクは渋い顔でシカマルを見た
「………空目一族には、ごく稀に予知夢を見る能力を持った人間が生まれる
元来時を操れる奇異な一族だからなのかも知れないがな
予知夢があれば、未来を知れる
未来を変えられる
運命を変える事さえ出来る」
「……はぁ」
「普通の人間は未来を知ることは出来ない、未来が分かるのは神だけだ
だからその能力を持った人間は、神と同等の力がある、なんて言われる事もある
それがトキ、お前のことだ」
「…トキが、神と同じ…」
「極端に言えばな
だがその力は大き過ぎる
その力を求めて、お前を狙ってくる奴も現れるだろう
だからその力は隠すんだ、良いな」
『……分かった』
シカクの言葉が信じられず、シカマルとチョウジは戸惑いを隠せない
生まれた時からずっと一緒にいた幼馴染が、誰かに狙われるような存在であったこと
そんな力を秘めていたこと
知らなかった事実を淡々と突き付けられ、どう反応すれば良いのか分からないのだ
「シカマルが三年前に言ってた事も本当だったな
トキの眼が緑色に見えたって」
「!
そうだ、あの時のトキの眼は確かに緑色になってた!」
「それが予知夢の能力者の特徴だ
眼が緑色になる時、未来が見える」
「……トキって、すごい子だったんだね」
チョウジの言葉に覇気がなくなる
色んなことが入ってきて、キャパオーバーを起こしたのだろう
『私は普通の人間だよ
シカマルやチョウジと、同じ』
ふ、と笑うその笑顔は、同い年とは思えないほどに大人びていた
彼女はいつから、こんな風に笑うようになってしまったんだろう
花のような笑顔は、面影がなくなったように見えた
***
夜、泊まっていけば良いのにと言うヨシノ達の言葉を遠慮し、トキが外に出る
お邪魔しました、と言おうとすると、シカマルも靴を履いて外に出てきた
『……シカマル?』
「送っていけってよ
ほら、行くぞ」
『ありがとう』
「また明日ね、トキ!」
『うん、また明日』
反対側に帰っていくチョウジ達に手を振り、シカマルと共に歩き出す
夜の木の葉は昼間とは異なり、どこか寂しげだ
『懐かしいね、こうして二人で歩くの』
「そうだな、いつも三人で歩いてたし」
『…また、こうして歩けて嬉しい』
「………。
本当に、三年間のことは覚えてないのか?」
『………疑うよね、普通は
けどね、本当に思い出せないの
頭が痛くなって、まるで思い出すなって』
「………。」
気まずそうな顔をするシカマルに、トキはごめんねと謝った
「謝んな
そりゃ色々驚いたけど、お前が戻ってきてくれただけ良かった
これからは、木の葉にいるんだろ?」
『うん』
「なら昔のことなんて良い
新しく始めれば良いだろ」
『………うん』
ぶっきらぼうの中にある優しさに、トキは笑顔を浮かべる
新しく始めれば良い、昔のことを塗り替えられるような、たくさんの思い出を作れば良いんだ
***
アカデミーに通い始め、クラスとも馴染んできたある日
外の演習場で組手の授業を行う事となった
実技の授業は初めてだ
サ「トキって強いの?」
『えっ……、うーん、どうだろ
人と戦った記憶が無い』
い「えっ、なら怪我とか気を付けなさいよ!?」
ヒ「無理しないでイルカ先生に言った方が良いんじゃ…」
『でもアカデミーの卒業も近いし、頑張るよ』
外に集まると、イルカが二人の生徒を指名し、模擬戦闘をさせた
蹴りやパンチを繰り出す二人の様子を見て、生徒たちが騒めく
すごい、という言葉が飛び交うという事は、この二人はそこそこの腕前なのだろう
『(……遅く、見える)』
二人の動きがトキの目には遅く映った
自分ならこう動く、ここで相手を蹴る、ここで間合いを詰める、などと考えていると、ふと視線を感じて横を向いた
『………。』
「………。」
サスケがじっとトキを見ていた
観察されるような視線にたじろぐと、模擬戦闘が終わった
イ「じゃあ次はサスケ、いこうか
相手は誰にしようかな」
生徒たちを見回し、イルカが考える
その間に準備を始めたサスケが、おもむろに口を開いた
「トキ、来い」
『!』
サスケがトキを指名し、こっちに来いと呼ぶ
その途端、生徒たちが騒めいた
サ「トキがいきなりサスケくんの相手なんて…」
い「トキ、止めておいた方が良いって
サスケくん、うちらの中で一番強いのよ」
『やるだけやってみるよ』
ヒ「む、無理しないでね…!」
ぐるぐると肩を回し、サスケの前に立つ
イルカにも「大丈夫か?」と心配されるが、大丈夫です、と軽く答えた
『……何で私?』
「………無駄口叩いてると舌噛むぞ」
『………。』
す、と構えを取るサスケに習い、トキも構えを取る
イルカの合図とともに、同時に地面を蹴った
「(! コイツ…)」
パンチを繰り出してもパシン、と軽くかわされる
どの攻撃も全てかわされ、苛立ちがつのった
「(何だコイツ、動きも考えも全部、アイツらとは違う
圧倒的な”慣れ”を感じる
場慣れしてるような、手練れのような、そんな感じだ)」
『はぁっ!』
「!
っ、くそ…!」
ガッ、と大きな音を立て、蹴りがサスケに命中する
身体を吹っ飛ばされ、サスケはよろめいた
『(………どうして私)』
戦い方を知ってるんだ
サスケが次にどんな攻撃をしてくるか、予想ができた
かわし方が分かった
相手の動きがよく見えた
考えるより先に、身体は反応していた
まるで当然のように、身体は動く
戦いに慣れているかのように
「オラァッ!」
『!』
蹴りが飛んでくる
それをかわそうと体勢を崩した瞬間、足を払われ地面に尻餅をついた
「そこまで!」
しん、と演習場が静まり返る
だがすぐに喝采が湧いた
「立てるか」
『大丈夫』
「………さっき、何考えてた」
『………気を抜いただけだよ』
よいしょ、と腰を上げ、トキが笑いかける
だがサスケは険しい顔をしたままだ
「(……コイツはさっき、明らかに手を止めた
………それに、異常に戦いに慣れてる
空気が違った
けど、それ自体に戸惑うような、困ってるような感じがした
何なんだ、コイツ)」
じっとトキを見る視線に、彼女は少し戸惑った
だが何も言わず、生徒たちの元へと向かう
次はナルトとキバの番だった
サ「ちょっとトキ!アンタむちゃくちゃ強いじゃない!」
い「さすがにサスケくんには負けるけど、女子の中じゃぶっちぎりの一番よアンタ!」
ヒ「誰かと修行してたの?」
『そんなとこかな』
女子に囲まれ、ニコニコと穏やかに笑うトキ
だがその様子に、シカマルは眉を寄せた
そしてトキは、突然の転入にも関わらずアカデミーでサスケに次ぐ成績を収め
アカデミーを卒業した
「トキ」
『サスケ
これから説明会、行くんでしょ
一緒に行く?』
「あぁ」
真新しい額当てを手に部屋を出る、それとほぼ同じタイミングでサスケも部屋から出てきた
『これからは三人一組で任務を行うんだよね、誰となるかな』
「さぁな」
『サスケと同じ班になりたい女の子、たくさんいるみたいだよ』
「……はぁ、足手まといはごめんだ
トキが同じ班なら楽なんだがな」
『そう?
私は誰でも良いかな、サスケでもシカマルでもチョウジでも
ナルトやキバ達でも良いかな
女の子はサクラ、いの、ヒナタあたりだったら嬉しい』
「……お前、口を開けばシカマルシカマルって、いつも言ってるな」
『幼馴染だからね、何かと頼りにしてる』
「ふぅん……」
トキの青い髪が風になびく
太陽の光に照らされ、青い髪は綺麗に輝く
その髪と、穏やかに笑うトキの横顔に、サスケは目を奪われた
『ま、サスケの事も頼りにしてるよ
同じ班でも、違っても、よろしく』
「……あぁ」
***
サスケと共に会場に入り、空いてる席を探す
「トキー!ここ空いてるわよー!
来なさーい!」
『あ、いの、ありがとう
じゃあね、サスケ』
「あぁ」
サスケはナルトと同じ机に腰掛ける
揉めそうだな、なんて見ていると、案の定喧嘩を始めた
『シカマル、チョウジも、ここに座ってたんだ』
シ「おー」
チ「サスケと来たの?」
『来る途中で会ったから、そのまま一緒に来た』
い「いいなぁトキは、サスケくんと一番仲が良いもの」
『そうかな』
ガヤガヤと騒がしい教室にイルカが入ってくる
すぐにチーム分けを発表し始めた
サスケ、ナルト、サクラが同じ班という発表に、隣に座るいのの悔しそうな声が聞こえてくる
まぁまぁ、となだめていると、第十班の発表になった
「第十班は人数の都合上、四人一組とする
山中いの、奈良シカマル、秋道チョウジ、そして空目トキ
以上の四人が第十班だ!」
その発表に、思わず隣の席にいるいの、前の席に座ってるシカマル、チョウジを見た
い「やったー!トキが一緒で良かったわ!
……シカマルとチョウジだけだったら頼りなくて嫌だもの」
シ「うるせーな、こっちだっていのだけだったらうるさくて敵わねーよ」
『喧嘩しないでよ、これからもよろしくね、三人とも』
チ「うん、よろしく!」
いえーい、とチョウジとハイタッチをかわす
これからは四人で任務を行うんだ
第8話
彼女の力
長かった前置きもこれで終わりです、長かったですね本当すみません( ;´Д`)
また前置きを置いたら中忍試験に入ります!
.