単独任務
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
木の葉への潜入任務
動揺を隠せないトキだったが、すぐに表情を殺し、ペインに向き直った
『九尾の人柱力は、どんな奴ですか
私にしか出来ない理由とは何ですか』
毅然とした振る舞いに、小南は思わず目を見開く
子どもながらにしてこの冷静さ、大人顔負けの察しの良さは、時として暁の面々を驚かせていた
「九尾の人柱力は、トキ、お前と同い年の少年だ
名前はうずまきナルト
生まれた時から親も兄弟もいない、天涯孤独の身」
『………天涯孤独』
ぽつ、と単語を口にし、やがて小さく笑う
小南にどうかしたのかと尋ねられると、彼女は笑顔を浮かべたまま口を開いた
『可哀想ですね、その子
私には家族も兄妹もいる、私とその子は全く違う
可哀想』
暁という家族、そしてイタチやデイダラ、小南はトキにとっては兄、もしくは姉のようなもの
彼らも同じようにトキを可愛がっている
本物の家族ではないにしろ、ひとりぼっちのナルトとは、違う
それだけは分かった
「うずまきナルトはお前と似ているが、確かに違う
お前には我々がいる
だから、単独任務は安心しろ
………受けてくれるか」
『……分かりました、木の葉に行きます』
「よし…、ならば準備を始めるぞ
お前には、暁での記憶を忘れてもらう」
『えっ?』
記憶を忘れる?
予想外の言葉にトキはペインを見上げた
「木の葉に潜入する前に、サソリの術でお前のこの三年間の記憶を封印する
そうすればお前は、空目一族が滅んだあの日の記憶で止まったままになる」
『……暁の情報が木の葉に渡らない、ため』
「そうだ、だが全て忘れる訳ではない
記憶はそのままに、お前の頭の奥底に眠らせる
お前の記憶に鍵をかけるんだ
そしてその鍵は、サソリにしか開けられない」
『………。
私が木の葉に行っても、私は暁ですか?』
小南がトキに近付き、頭を撫でる
安心させるように、優しく、ゆっくりと
その手にすがるように、トキは小南を見上げた
「もちろんよ、あなたは私たちの大切な仲間…
たとえ木の葉にいて、暁の事を忘れてしまったとしても、それに変わりはないわ」
『………なら、良いです
忘れるのは悲しいですが、それでも、暁のためになるのなら』
「……良い返事だ
任務が達成されたとみなしたら、サソリの術を解除する
記憶が戻ったらお前は速やかに木の葉を抜け、暁に戻ってこい」
『はい』
「空目一族に生き残りがいたと分かれば、木の葉は必ずお前を保護する
そうして里の中に入れたら、あとはお前の好きなように生きろ
その中でうずまきナルトと接触し、親しくなればそれで良い
時が来るまで、お前はその忍びとしての能力を木の葉のために使うと良い」
『はい』
「では準備を始める
任務についてはまだ他の連中には言っていない、一時の別れではあるが、挨拶でもしてくると良い」
ぽん、と頭に手を置き、ペインが部屋を出る
その後にトキも部屋を出て、アジト内にいる人間を探した
デ「木の葉に単独任務?」
『はい』
鬼「11歳で単独任務とは……、リーダーも思い切った事をなさる」
大「………突然ね」
角「任務の内容は人柱力への接触…
なるほど、同じ年、同じ境遇にあるからこそ、より深い情報が得られるということか」
考えたな、と角都がうなずく
周りの反応を伺うように顔を動かすと、イタチはトキを見ていなかった
だが、何か考えこむように顎に手を当てていた
「トキ」
『はい』
「………俺の弟の名前を教えておこう
最も、この後記憶を封印されるのなら意味はないが」
『!
いえ、教えてください
あの子の名前』
「………弟の名は、うちはサスケ
アイツとも、もしかしたら出会うかも知れないな」
『イタチさんの弟さんなら仲良くなりたいです』
「………そうだな、仲良くしてやってくれ」
ぽんぽん、と頭を撫でられる
妹を思うその手のぬくもりも、しばらくはお預けだ
「トキ、こっちに来い
術を始める」
『!』
イタチと話し合えるのを見計らい、サソリが声をかける
今から、トキの記憶を消す
顔がこわばるトキに、イタチはもう一度頭を撫でた
「トキ、すぐに、記憶がない事がお前を苦しめるだろう
だが俺たちはお前を待っている
だからその日まで、木の葉で好きなように過ごすと良い
たくさん友達を作って、たくさん勉強して、色んな事を経験しろ
それが全て、お前のためになる」
『………はい!』
ぎゅ、と拳を作り、凛々しい顔でそう返事をする
その返事を聞いたイタチは、ふ、と表情をゆるめた
***
挨拶を終え、サソリの後を追って洞窟の開けた場所へ来る
すでにそこにはペインと小南がいた
だがその傍らに、見覚えがない植物もあった
「来たか……
トキ、紹介しておこう
こいつはゼツ……、お前に万が一がないよう、ゼツがお前の様子を定期的に見に行く」
「よろしく~」
『ゼツさん…、はい、よろしくお願いします』
「まぁ今紹介したところで、すぐ忘れてしまうんだがな…
だがお前の任務が終われば、この記憶もお前に戻ってくる
そうしたらすぐに木の葉にゼツを向かわせる
その後のことは、ゼツを通して指示する
良いな?」
『はい』
「では始めよう
サソリ」
話している間に術の準備を終えたのか、サソリが顎でトキを呼び寄せる
サソリの傀儡の前に立つと、サソリは彼女の額に指を当てた
「心の準備は良いか?」
『………はい』
「リーダーから言われただろうが、この術はお前の記憶を消し去る訳ではない
暁の情報が漏れないよう、お前の記憶に鍵をかける
他人がお前の記憶を探ろうとしても、俺しか術を解けないから何も分からない
そして、俺が術を解く時、もしくは俺が死んだ時にお前の記憶は戻ってくる
良いか」
『サソリさんが術を解く時だけです』
あなたはそう簡単には死なないでしょう
そう告げると、サソリは目元をゆるめ、笑った
「では、術をかける
しばらくの別れだ、トキ
せいぜい生き伸びろよ」
『………また』
会う日まで、トキがそうつぶやいた次の瞬間、目の前が真っ白になる
意識が海底に沈むような、重い感覚に襲われる
トキの中の何かが沈んでいく
それがきっと、記憶なのだろう
沈む意識とともに、彼女は目を閉じた
そして、完全に意識が途切れた
次に目を開けたら、どこにいるんだろうか
どうなるんだろうか
そんな不安も、沈む意識に持って行かれた
***
ドサ、とトキの身体が地面に叩きつけられる
「!
おい、コテツ」
「あぁ…、なんだアレは
………子ども、か?」
穏やかな陽気の下、突如木の葉隠れの里の大門の前に、一人の子どもが現れた
突然現れた気配に注意しつつ、門番をしていたコテツとイズモが近寄る
トキの髪の毛を見た二人は、目を見開いた
「青い髪………、まさか、空目一族か?!」
「とりあえず木の葉病院だ!
俺はこの子を運ぶ、お前は三代目に!」
「あぁ!」
コテツがトキを抱きかかえ、病院に向かって走り出す
イズモは他の門番に事情を伝え、火影のもとに走った
「潜入成功だな」
一連の流れを見ていたうずまき状の仮面をつけた男が、赤い片目をゆるめた
第5話
単独任務
あとがき
余談ですが、トキを木の葉の大門の前にぶん投げたのは仮面の男(トビとかオビトとかめんどいからこの人称)です。気配もなく突然現れる能力ありますからね
この次の話から、木の葉での話になります
しばらく暁は出てきません
原作沿いになるかと思います
またよろしくお願いいたします!
.