変わる未来
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ザザザ、と木々を掻き分けて走っていく
ナルトの背中を見失わないように
『………!』
走ってる途中、がくんと膝から崩れた
力が抜けていく
「!
トキ?!」
『……ごめん、何でもない
急ごう』
突然崩れたトキのもとに、ナルトが慌てて戻って来る
だが彼女は大丈夫だと告げ、何食わぬ顔でまた走り始めた
どくどくと鼓動が早くなる
あの札だ
私がみんなに渡した札が発動している
誰かの身体を治癒している
遠くにいる私のチャクラを吸って、仲間を助けている
『………!!
チョウジ…』
術を通して流れてくる他人のチャクラ
それは紛れもなくチョウジのものだった
つまり彼は、瀕死の重傷を負っているということ
『……死なせないから』
走り続けているトキの身体から、チャクラがどんどん吸われていく
その吸われたチャクラは、チョウジが持っている札を通して彼の治療を行う
そしてそれは、彼女のチャクラが尽きるまで止まらない
そして彼女のチャクラが底をつけば、もう戦えなくなる
その前にケリをつけなければいけない
「追いついたァ!!!」
森を抜けた先には開けた草原が広がる
その真ん中に、アイツは立っていた
「サスケは返してもらうぜ!!」
「………目障りな」
氷のように冷たい表情の男は、サスケが入った桶を地面に置き、じっとナルトたちを見つめた
だがやがて視線をトキに移し、口を開いたのだ
「嘆かわしい事だ
恩を忘れ、役目を忘れ、そんな生ぬるい温床に浸っているとは」
『………どういう意味』
「そのままの意味だ
お前の居場所はそこでは無い、空目の生き残り
お前の居場所もこの男と同様、大蛇丸様のもとだ」
『私の居場所は私が決める
私の居場所は、仲間がいる木の葉だ』
キン、とホルダーからクナイを取り出して構える
それを見た君麻呂は、はぁ、とため息をついた
「仲間がいるところがお前の居場所……、そう言うのか」
『えぇ』
「ならば、木の葉以外に仲間がいた場合はどうする?」
『………え?』
君麻呂の言葉に、一瞬言葉に詰まる
何を言っているんだと、だがトキの心はまた、どくどくと嫌に騒いだ
その時だった
桶からとてつもないチャクラを感じて見てみれば、桶から禍々しいチャクラが外に溢れ出てきていた
チャクラがはっきりと目に見える
そしてその禍々しさに、思わず顔をしかめた
「!!
サスケ!!」
桶の蓋を蹴破り、サスケが中から出てくる
ほっと息を吐くのも束の間、彼はナルトの呼びかけには応じず、自ら先へと走って行ってしまった
『な、サスケ?!』
「おい!待てよサスケ!!どこにいくんだ!!!」
ナルトがサスケを追いかけようと足を踏み出す
だがそれとほぼ同時に、鋭利なものが彼の頬をかすめた
「……!な、骨…?!」
ギチギチと肉が裂ける音がする
目の前の光景に、ただ言葉を失った
肩の骨を抜いている
そしてその抜かれた骨は、まるで針のように鋭利な武器と化していた
『………血継限界か』
「その通り
俺はかぐや一族の生き残りだ
俺の能力は自身の骨を武器にする事が出来る
そしてその骨は、どんな鋼鉄よりも固く、強い!!」
ひゅ、と風を切る音がしたと思ったら、君麻呂はもうナルトの懐に潜り込んでいた
『時遁・時空縛!!』
クナイを放り、印を結んで術を発動させる
ナルトと君麻呂の両方の時間を止めた
不自然に動きが止まった2人
骨がナルトに触れていない事に安堵し、すぐに君麻呂を蹴り飛ばした
それと同時に2人の時間は元に戻り、正常に流れ始める
「………!
君麻呂は?!」
『時遁で止めて蹴り飛ばして距離をとった』
「うぉぉ危ねえ!サンキューだってばよ、トキ!」
蹴り飛ばされた君麻呂だが、時遁が解けると同時に着地し、ほとんどダメージを与えられていない
ち、と舌打ちをする
「………なるほど、2人まとめて時間を止めて、俺だけ蹴飛ばしたか
仲間を守り、かつ間合いを取る。瞬時の判断にしては中々」
コキ、と首を鳴らし、君麻呂がトキを見据える
直感で分かった、コイツの狙いは自分だと
『ナルト、先に行って』
「!
いや、ダメだ!こいつは今までの奴とは比べもんにならねーってばよ!
俺とトキとで一気にケリを…『その間にサスケが国境を越えたら?』
!!」
ぐ、とナルトが言葉を詰まらせた
だがそれを見ずに、トキは君麻呂を睨みながら言葉を続ける
『血継限界が相手なら、同じく血継限界を持ってる私の方がうまく立ち回れる
だからコイツの相手は私がする…!』
「っ、けど!サスケはお前の言葉を…!」
『私じゃない
シカマルはああ言ってたけど、私の言葉は拒絶されるだけ、サスケには響かない
私とサスケは同じだけど、でも違う
私とサスケは違う』
「……?」
『ナルトじゃなきゃ、意味がない
だから早く行って!』
キン、と再びクナイを構えて君麻呂を睨む
ナルトは少しためらったものの、意を決したように走り出した
「先に行ってるから必ず追いついてこい!!!」
『分かってる、必ず追いつく!!』
に、と強気な笑みを見せるトキに、ナルトは力強く頷く
だがその瞬間、君麻呂はナルトとの間合いを詰めた
『お前の相手は私だ!!』
ナルトに攻撃を仕掛けようとする君麻呂
その間に入り、クナイで攻撃をいなす
邪魔された君麻呂は少し眉を寄せた
『ナルトの後は追わせない
それにお前には少し聞きたい事がある
………お前も、私に用があるんじゃないの?』
「………………あの男を先に行かせたのは、そのためか」
ナルトの姿が森に消えたのを確認し、また間合いを取って奴を睨む
ふ、と笑って奴を見れば、君麻呂は少し首を傾げた
『それもあるけどね
ナルトを先に行かせたのは、サスケを止められるのはナルトしかいないと思ってるから
そしてもう1つ』
「もう1つ?」
骨を下げ、戦闘態勢を解く君麻呂に、トキも同じようにクナイを下げた
『私はもう少しで使い物にならなくなる』
「?」
サァ、と草原に風が流れる
トキの言葉に、君麻呂は口を開いた
「確かにお前は、外傷は皆無なのにチャクラを異常に消費している
それは今も
そして空目一族は医療忍術に秀でた一族だとあの方に聞いた
つまりお前は、今何らかの医療忍術を使っているな
そしてそれは、おそらく遠距離にいる仲間の治療に使っている
その仲間の傷を癒すため、おまえのチャクラは失われているんだろう」
『………ずいぶん察しが良い事で』
「仲間の治療のために自分の身を滅ぼすのか、空目の生き残りよ
お前もたった1人の生き残りならば思うだろう、この血を途絶えさせまいと
なのに何故、あんな連中のために命を投げ捨てる」
『仲間を救う気持ちには変えられない
みんなを守れるのなら、私は自分の命なんて惜しくない』
キン、とクナイを構え直す
君麻呂はそれを見て、は、とあざ笑った
クナイを構えたものの、攻撃する素振りは見せないトキ
じっと何かを探るように君麻呂を睨み、声を上げた
『お前の目的は私でしょう、用件くらいは聞いてやる』
「………お前を大蛇丸様のもとへ連れて行く、うちはサスケと同様にだ」
『………大蛇丸の狙いは何、私は狙われる筋合いはない』
「筋合いはない、だと
笑わせる
かつての仲間だったというのに」
『は……』
君麻呂の言葉に目を見開くも、すぐにははっと笑う
何を言っているんだと
『私が大蛇丸の仲間?嘘言わないでよ
あいつは私の一族を滅ぼした、私にとっては敵よ
そんな奴と仲間なわけ…「お前の記憶は欠落している」
……!!』
は、と息を呑んだ
失われた三年間、また出てくるのか
「お前は自分の事を分かっていない
お前には役目があり、価値があり、そのために今存在しているのだと
お前のいるべき場所はそこではない、と
大蛇丸様は常々おっしゃっている」
『………役目?価値?何の事よ、私には関係ない』
「それはお前の記憶が消されているからだ
消された記憶が戻れば、自分のあるべき場所を思い出す
そして自分がなんのために存在しているのか、理解する
そして、選択する時が来る」
『………選択?』
どく、と鼓動が大きく響く
意味が分からないと思っていても、自分はその答えを知っているような気がして
まただ、混乱してくる
今の自分と、そうでない自分が混在していく
おかしくなりそうだ
トキの混乱をよそに、君麻呂はゆっくりと口を開いた
「お前はいずれ選択を迫られる
木の葉を取るか、それともー……」
そこまで君麻呂がしゃべった時、何かが近付いてくる気配を感じた
そしてすぐに現れた、鮮やかな緑
ダン!と派手に登場したその人の背中を見て、トキは目を見開いた
『リーさん…?!』
目の前に現れたその人は、今朝木の葉の大門で見送ってくれたはずのリーだった
何故ここに、と戸惑うトキを振り返り、リーはにこりと笑う
「助太刀に来ました
トキさん、ナルトくん達を追ってください!!」
ビシッと親指を立てて決めるリーに、ぽかんとするトキ
だがすぐに、この異常事態に気付いた
『(……私の夢では、リーさんはこんなところで出てきてはいない…
……となると、未来が、変わった…?)』
任務に出る直前に見たあの悪夢で、リーの姿は木の葉の大門での見送りしか出てこなかった
なのに今、戦場の真っ只中に彼は現れた
予知夢とは異なる現実が起こっているのだ
『……未来が変わってる…!』
「え?」
思わず口をついて出た言葉に、リーが首を傾げる
しまった、と口をつぐんでももう遅い
『!
リーさん!前!!』
ひゅ、と忽然と姿を現した君麻呂は、真っ直ぐにリーを狙って骨を振りかざした
だがリーはそれを楽々とかわした
「っと…、早いですね」
『奴は血継限界持ちです、自分の骨を使って攻撃を仕掛けてくる
それにあの骨、そこらへんの刀より硬いです』
「なるほど…
分かりました」
す、とトキの前に立って君麻呂と相対するリー
君麻呂は不愉快だと言わんばかりに眉をしかめたが、それも一瞬だ
「ここは僕に任せてください、あなたは自分の任務を全うしてください!」
『けど、リーさんはまだ傷が癒えていない』
「それなら大丈夫です、薬は持っていますから
さ、早く行ってください
手遅れになる前に!」
頑なな彼に戸惑うも、思案する
ここで予知夢にはないリーの登場とあらば、予知夢と現実が変わった可能性が高い
賭けてみるか
『………分かりました、ここはお任せします』
「ハナからそのつもりですよ!
ナルトくんは任せましたからね」
『分かってます
リーさんも気をつけて!』
タン、と地を踏みしめて一気に駆ける
君麻呂は攻撃してこなかった
『ナルト…、サスケ…!』
雲行きが怪しくなってきた
それはまるで、この任務の未来を示しているようで、不快だ
第19話
変わる未来
.