悪夢の始まり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
穏やかな陽気の下、幼い子どもが三人、大木の下で寝転んでいた
シカマル、チョウジ、そしてトキ
この三人は日頃から仲が良く、こうして一緒に遊んだり、一緒に昼寝をしたり、毎日のんびりと過ごしていた
この日もいつものように、三人で集まって昼寝をしていた
けれど、今日だけは、いつもと違ったのだ
***
『………!
シカマル?チョウジ?』
ふ、と目を覚ますと、側で一緒に寝ていたはずのシカマルとチョウジの姿が見えない
そして、あたりは不気味な暗闇になっていた
『シカマル、チョウジ、どこ?』
立ち上がり、辺りを見回しながら歩き出す
ここはどこだ、あの大木がある丘とは違う
けど、見覚えがある
ここは、そう、私がよく知る場所だ
『……空目一族の集落』
木の葉隠れの里の中心からは離れた一角にある、私が住んでる場所
今日もここから遊びに来たのに、いつも私が見てる風景とは違う
何だろう、この違和感は
胸がざわつく、落ち着かない、不安にかられる
ぎゅ、と両手を胸の前にもってきて、恐る恐る集落へと足を踏み入れた
集落を囲む壁、その中にある門をくぐったその瞬間
遠くから何かが爆発する音がした
『!!
家の方だ……!』
自分の家に向かって走り出す
だが、走り出してすぐに、暗闇だったあたりが真っ赤に包まれた
『あっつ…!
?!
火柱が……!!』
熱風とともに火柱が上がる
その火柱が上がった場所は、私の家があるあたりだ
『お母さん!お父さん!?
みんな!どこにいるの?!』
火柱が上がったのは、私の家だった
でも誰もいない、人の声がしない
お母さんの姿もお父さんの姿も見えない
「トキ!逃げなさい!」
『!!
お母さん!』
「ここは父さんたちが防ぐから!お前は早くシカクのところへ逃げるんだ!!」
『えっ?!』
バッ、と目の前に現れたお母さんとお父さん
二人はいたるところから血を流し、ボロボロになっていた
二人は私の身体を抱き上げ、走り出す
けれどそのとき、私たちの目の前に大きな蛇が現れた
「トキを頼む!!」
「!!
お父さん!後ろ!!」
『蛇が……!!』
「なっ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
何が起きているんだ
目の前に鮮やかな赤色が舞う
それは紛れもなく、父の背中から溢れ出た血だった
『お父さん!!!』
お父さんが力なくその場に倒れる
恐怖で固まる私は、すぐ目の前に迫っている大蛇から逃げることが出来ず、立ち尽くしていた
「トキ!!!」
どん!と身体が突き飛ばされる
小さな身体は簡単に飛んで、集落を囲む壁にぶつかった
『………!!
お母さんっ!!!』
身体を強く打ち付け、一瞬目の前が白くなった
けどすぐに身体を起こし、自分を突き飛ばしたお母さんの姿を探すも、もういなくなっていた
違う、いなくなった訳ではない
お母さんがいたであろう場所には、真っ赤な血溜まりが出来ていた
『あ………ぁ、あぁ……!』
何が起きてるの
私はいつもみたいに、シカマルとチョウジと一緒に遊んでただけなのに
なんで、どうして
ふと周りを見まわす
そして気づいてしまった
火柱や崩れた壁、土煙に包まれていて分からなかったが、あたりには人がいた
けど、誰も生きていない
『………みんな、しん、で、る』
力なく倒れている人々、その頭は空のような真っ青な髪
この髪色は、一族の特徴だ
つまりこれはみんな、空目一族の人
「残りはお前だけか」
『!!』
突然聞こえてきた声
恐る恐る顔を上げると、目の前には螺旋状の仮面をつけた、黒い衣を身にまとった男の姿
恐怖で固まるトキの、一族特有の真っ青な目を見て、仮面から覗く赤い目が弧を描く
「来い、お前を悪夢から救ってやろう」
ゆっくりと手を差し伸べられる
トキは真っ白な頭のまま、誘われるようにその手を掴もうと、自分の小さな手を伸ばした
「ようこそ、暁へ」
***
「トキっ!」
『!!』
「あっ、起きた!」
「! お前…、目が……」
『え……?』
仮面の男と手が触れそうになった時、聞き慣れた声で頭が急激に覚醒する
はっ、と目を開けると、晴れ渡った青空が目に入った
『………シカマル、チョウジ…』
「おい、大丈夫か?」
「トキ、ずいぶんうなされてたよ?怖い夢でも見たの?」
『ゆ、め……?
今のは、夢?』
「……顔色、悪いぞ
今日はもう帰るか?」
「今日はシカマルん家にお泊りだもんね!」
『……うん、帰ろう』
ドッドッと速い鼓動を抑えるように、大きく深呼吸をする
今のは全部夢か、そうだ、今日は三人で遊んで、そのままシカマルの家に泊まる予定なんだ
お父さんとお母さんにも、そう言って家を出たんだ
それにしても、嫌にリアルな夢だった
火柱が上がった時、身体中が熱くなった
お父さんに抱きかかえられた時のぬくもりを感じたし、お母さんに突き飛ばされた時に、確かに身体に痛みが走った
夢なのに、まるで今起きているかのようだった
『……夢、か』
「おい、本当に大丈夫か?」
「具合が悪いなら、僕がおぶっていこうか?」
『ううん、大丈夫』
「………。」
に、と小さく笑うトキの顔色はまだ青い
チョウジが気遣う言葉を投げかけても、大丈夫、の一点張りだ
一番最初に異変に気付いたのはチョウジだった
トキの様子がおかしい、と俺を起こしたのだ
何だと身体を起こし、トキを見たが、明らかに様子がおかしいのが伝わってきた
急いでトキを起こすと、彼女はぱっと目を開けた
その時、顔を覗き込んでいた俺は少しの違和感を抱いた
「(目の色が違った)」
トキの一族は、青い眼と青い髪が特徴である
それはもちろんトキにも当てはまる
けど、先ほどトキが目を開けた瞬間、普段は青い瞳が緑色に見えたのだ
ほとんど毎日顔を合わせている相手だ、見間違えるはずがない
「……トキ」
『ん?』
「目、見せろ」
「シカマル?」
『目?
良いけど、どうかしたの?』
「いいから」
前を歩くトキの肩をつかみ、自分に向けさせる
じっ、と彼女の目を見るが、いつもと同じ、吸い込まれそうなほどに真っ青な瞳だった
「……青…」
『どうしたの?』
「いや……、何でもない」
変なの、と笑うトキとチョウジは、そのまま奈良家の門をくぐって中へと入っていった
もう日が暮れる
あたりはオレンジ色に染まっていた
***
三人で夕飯を食べ、居間で遊んでいると、シカクが任務を終えて帰ってくる
『シカクさんおかえりなさーい!』
「おーう、トキとチョウジ
来てたのか」
「うん!今日はお泊りだから!」
「仲良いなー、お前らは」
よしよし、と三人の頭を順番に撫でると、シカクは一度自室に帰る
シカマルはシカクが消えた先を見つめ、少し思案してからシカクの後を追いかけた
「親父、聞きたいことがあんだけどよ」
「お?何だシカマル」
「トキの一族は青い眼が特徴なんだよな?」
「そうだぞ、トキの眼も青いだろ?
それにトキの親父だって青い眼だ
毎日見てるじゃねぇか、どうして今さらそんなこと聞くんだ?」
「……さっき、トキの眼が緑色に見えたんだ」
「!」
「気のせいじゃねえ、はっきり見たんだ
昼寝からトキが起きた時、アイツの眼が緑色だった」
「………シカマル、それは本当か?」
「?
おう」
「そうか………」
トキの眼が緑色に見えたことを言うと、親父の様子が変わった
重要な任務に出る前の親父の様子と同じだ
なんだ、緑色の眼は、何かあるのか
首を傾げる俺を見ると、親父はにこりと笑った
「シカマル、それはな、お前とトキがもう少し大人になって、立派な忍びになったら教えてやる」
「はあ?」
「だから、今は気にするな
分かったな?」
「………分かった」
何となく、逆らえない空気があった
だから俺は大人しく、分かった、と返事をすると、親父はにっこりと笑って、俺を居間に戻した
***
シカマルの家に泊まる時、決まって同じ部屋で三人で川の字で寝る
また今夜も、いつもみたいに三人で川の字に並んで眠りについた
けどその夜は、いつもとは違かった
『………!』
は、と目が覚めた
いつもは朝までぐっすり眠っているのに、今は全く眠くない
隣で寝ているシカマルとチョウジを見ると、二人は気持ちよさそうに眠っていた
幸せそうに眠る二人を見ていると、突然脳裏にある映像が流れてきた
それは昼間に見た、一族の集落で悲惨な出来事が起こる悪夢
『………行かなきゃ』
何故だかは分からないが、嫌な予感がした
今行かなきゃいけないような、そんな予感
眠っている二人を起こさないよう、慎重に布団を抜け出し、靴を履き、外に飛び出した
『家に帰らなきゃ』
誘われるように、そしてそれが定めであるかのように、トキは迷いなく足を進めた
空目一族が暮らす集落へと
これから何が始まるのか
トキの運命の歯車は、この瞬間から動き始めていた
第1話
悪夢の始まり
あとがき
以前Pixivで連載してた、特殊能力持ちのヒロインとシカマルのお話です
オリジナル要素がものすごく多いしヒロインのスペックがアホのように多いし登場キャラも多いです
厨二全開です
厨二です
厨二です
それでもOK!という心の広い方、またよろしくお願いいたします
.