音隠れ四人衆
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
6人で隊列を組み、ネジさんの白眼で敵を察知して近付く
私は後方からシカマル達を見ていたのだが、その目の前で二人が敵前に引きずり出された
驚くと同時に、自分の身に何かが近付く気配
だがそれを見つける前に足を取られ、私も同じように敵前に放り出された
「トキ!」
『っ、は、大丈夫…!』
身体を打ち付け、少し呼吸が荒くなる
駆け寄って身体を起こしてくれたナルトにお礼を言い、目の前の四人組を睨んだ
額あてには音符のマーク、間違いなく大蛇丸の手の者だ
「………!
お前、その髪の色…」
敵の1人、長い髪で片目しか見えないその男は、私の髪を見て目を見開き、そして不気味に笑った
「そこの青髪のガキ……、お前空目の生き残りだな?」
その問いには答えず、ただ敵を睨みつける
男はそれすらも面白いと言わんばかりに、またニヤリと笑った
「空目のあのガキが、まさかこんなに成長してるとはなぁ…
俺たちが見た時は、絶望に打ちひしがれて虚ろな目でぼーっと突っ立ってたのによぉ
今じゃ敵意剥き出しで、そんな怖い顔しちゃって…」
『!』
男の言葉に違和感を感じた。それはシカマルも同じだったらしく、顔しかめている
『………!
まさか、あの日…』
「お、気付いたか?」
1つの可能性にたどり着き、思わず声を上げる
それに気付いた男は、ニヤニヤと楽しげに口を開いた
「そう……、ここにいる俺たち4人は大蛇丸様の命令で、あの日、お前の一族を襲ったのさ!!」
『!!!』
どくん、と心臓が大きく脈打つ
こいつらが、私の一族を滅ぼした原因だと言うのか
「いくら大蛇丸様でも、お前の一族を1人で始末出来なかった
空目一族は特殊な血継限界の持ち主…、一筋縄ではいかないからなぁ
だから、俺たちが呼ばれたんだ」
「傑作だったぜ、その青い髪が血で赤く染まる様は!!
空の一族と呼ばれる所以であるその青い髪が、青い瞳が、そして空までもが真っ赤に染まった
最高にいい景色だったぜ、思い出すだけでも興奮する!!」
「ただ1つ、心残りがあったんだよ…
全員ぶち殺してやったと思ったのに、1人取り逃がしてたんだ
しかも相手はガキ…、そんな奴に逃げられるなんてな……」
「だが!!神は俺たちに味方した!!
あの日取り逃がしたガキが!わざわざ俺たちのもとに出向いてくれるなんてなぁ!!!
楽しみだぜ、お前のその青い髪がテメェの血で真っ赤に染まるのが!!
その青い瞳から血の涙を流すのが!!!
さぁ、楽しませてくれよ!!!」
矢継ぎ早にしゃべる敵の男に対し、トキは終始無言だった
彼女に視線を向ける
「……!」
普段の穏やかな顔とは打って変わり、その瞳は虚空を写し、焦点があっていない
顔色は青く、唇は震えていた
「トキ、耳を貸すな」
ネジが後ろからそう声をかけても、トキは微動だにしなかった
『黙れ』
低く、地を這うような、心臓をえぐり出すかのような恐ろしい声だ
普段の彼女からは絶対に聞かないその声色に、長年一緒にいた俺やチョウジでさえ恐怖を覚えた
『殺してやる』
トキが別人に見えた
中忍になったばかりとは思えないほどの殺気。それは自分に向いてないと分かっていても、恐怖で足が下がる
そんな顔を、俺たちは知らない
お前は誰だ
俺の知ってるトキじゃない
***
目の前の男の口から告げられる言葉が、私の頭を殴りつけているように感じた
あの日、私の大切な人たちを殺したのは大蛇丸だけでなく、こいつらもそうだというのか
私の大切なものを奪った張本人が目の前にいる
自分の中で、黒い何かがうごめくのを感じた
『殺してやる』
自分でも、違う自分が出てきているように感じた
私の力以上の力が、表に出ている感覚
自分の知らない自分が出ている感覚
これはあの時と同じだ。アカデミーでサスケと組手をした時に、身体が勝手に動いていたことへの違和感と同じだ
”消えた三年間の私”が、目の前のこいつらへの復讐心で溢れている
どうしてくれようか、まずはあのうるさい片目男を殺して、それから次は…「トキ!!」
『………!!
シカ、マル』
ガクン、と肩が揺すられ我に帰る
はっと顔を上げてシカマルや他のメンバーをみれば、みな同じような顔をして私を見ていた
「冷静になれ、挑発に乗るな」
『………ご、め…』
今までの自分を思い出したのか、トキはひどく狼狽していた
その様子は自分が知ってるトキで、安心した
だがさっきの彼女を、俺は知らない
雰囲気も言動も、あんな殺気も、全てが俺の知ってるトキとは異なっていた
まるで、違う人格がそこにいるかのように見えたのだ
『……ごめん、もう大丈夫』
呼吸を整え、静かに告げるトキ
それに胸をなで下ろすが、敵はつまらなそうに口を尖らせた
「けっ、つまんねぇな
復讐してくると思ったのに」
『先にサスケを返してもらう
………その桶の中だな』
この場に不釣り合いな桶と、その蓋をする怪しげで、嫌な感じがする札
あれは一種の封印術だろう
「あの桶の中にサスケがいる、間違いない」
ネジさんが白眼で桶の中を睨む
その言葉に確信を持った私たちは、一気に臨戦態勢に入った
だが、敵の1人、次郎坊と呼ばれる大男の術によって岩壁の中に閉じ込められてしまった
「……チャクラを取られているようだな」
『マズイですね…、この間に連中はサスケを抱えて走り出してるはず
早くここから出て後を追わないと、国境を越える』
私の言葉にナルトが過剰に反応するが、キバがなんとかなだめた
ちらりとシカマルを見ると、座禅を組んでいる
『落ち着いて、ナルト
こっちにはシカマルがいるんだから、すぐ出れる』
ね、とチョウジに笑いかければ、チョウジも同じように笑顔を浮かべる
そして、まるでシカマルが考え始めるのを合図にしたかのように、お菓子をバリバリと食べ始めた
「チョウジ、そこの壁に全力で攻撃してくれ」
「オーケー!」
考え終わったシカマルの顔は、どこか楽しげに見えた
そんなことを思っているうちに、岩壁に大きな穴が開いた
「サスケを追うってばよ!!」
ナルトの声を背中に受けながら、ざっと周りを見渡す
次郎坊と呼ばれる大男以外はもういなかった、もちろんサスケが入れられた桶も
『……やられた』
「まだ匂いはある、今なら追えるぜ!」
キバと赤丸がすん、と鼻を鳴らす
彼らが言うなら、まだ遠くには行っていないのだろう
だが問題は、目の前の敵をどうするかだ
「僕がやる」
凛とした、意志の強い声が耳に届く
あまりに聞き慣れたその声に、どくん、と心臓が嫌な音を立てた
『チョウジ…?』
「僕がこいつを倒す、だからみんなは先に行って!」
「チョウジ……」
シカマルと私の声が寂しく響く
その時、今朝見た夢が脳裏に蘇った
みんなが血塗れになって、力無く倒れている姿
あまりに鮮明でリアルなその映像を思い出すだけで、胸が苦しくなる
やめて、今1人にしたら、あの夢の通りになってしまう
チョウジに危険が
「大丈夫だよ、トキ」
『!』
深刻な顔をする私に、彼はニコリと笑いかけた
いつものような、優しい笑顔で
「僕には丸薬がある
それに、トキからもらったお守りもあるんだよ
大丈夫、必ず後から追いつくから」
『………。』
チョウジの目は本気だった
きっと、私が何を言っても折れない
チョウジの言う丸薬は、秋道一族に伝わる秘薬だ
莫大な力を得る代わりに、払う代償も大きい
それこそ生死をさまようリスクだってある
だがチョウジは、私が渡した札を持っている
「……行くぞ、トキ」
シカマルが私の肩を押す
こく、と頷いてから、チョウジをもう一度見た
『私が必ず助けるから』
サスケも、みんなも
誰も死なせない
タンッ、と強く大地を踏みしめ、木に飛び移る
信じろ、仲間を
私の仲間は強いんだ
あの夢は、夢で終わる、現実にはならない
そう心の中で唱えても、鼓動は早まるばかり
胸のざわつきは収まることはなかった
***
一人一殺
その言葉のもとに、1人ずつ離脱していった
チョウジの次はネジさん、そしてキバも離脱していった
そして次に相対したのは、笛を操るくのいち
だがサスケの桶は、後から現れた君麻呂なる男が奪っていった
「俺が残る、お前らでサスケを追え!」
『っ、けどシカマル!』
くのいちと戦う事を躊躇うシカマルがくのいちを相手にするのはキツイ、それに中距離タイプのシカマルに、あの笛の攻撃は分が悪い
だがシカマルは、頑なに動こうとしなかった
「……おそらく、サスケは俺の言葉は聞きゃしねぇよ」
『え…?』
「どういう事だってばよ!」
多由也を睨む彼の背中に声をかけるが、こちらを向く事はなかった
「サスケが耳を貸すのは、同じ班でライバルでもあったナルトか
好きな女だけだ」
『!』
「だから、俺の言葉には耳を貸さないし、響かねえ」
そこでやっと私を見たシカマルは、どこか悲しげに見えた
「サスケとお前は似てる
だからお前の言葉なら、サスケの耳に届くはずだ」
『し、か』
「だから行け、早く!」
「っ、行くってばよトキ!」
シカマルの言葉がまるで別れの言葉のように聞こえて、ずきりと胸が軋んだ
何か返そうと口を開くも、ただ空気が出て行くだけ
しびれを切らしたナルトが私の腕を取り、無理やり走らせる
その途中でシカマルを振り返り、声を張り上げた
『待ってるから!!
必ず追いついて!!!』
精一杯の声は彼に届いただろうか
木々の茂みに消えた幼馴染の背中を思い、前を向きなおる
眩しいほどのオレンジを見据え、口を開いた
『必ず、サスケは連れ戻す』
その為なら、私は何だって出来る
第18話
音隠れ四人衆
あとがき
原作を下宿先に持ってきていないため、セリフは違ってますしはしょってます。不快な思いをされましたら申し訳ありません。
次回、というか少年篇はもう少しで終わりかと思います。
少年篇が終わりましたら、もちろん2年後篇に入ります、またお待ちください。
.