里抜け
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
サスケの容態が好転しないまま数日が経過した
だがある日、ナルト達が木の葉に戻ってきた
『綱手様…、ていうと伝説の三忍の?』
「そう、サスケくんの治療もその人がしてくれてるらしいの!
しばらくすればサスケくんの意識は戻るだろうって!」
安心したように息を吐くいのに、そうなんだ、と返事をする
何故だろう、サスケが回復するのは嬉しい事のはずなのに、少し胸がざわつく
「トキ」
「あら」
『? あ、シカマル、どうかした?』
いのと一緒にいた場所は、甘栗甘の軒先の長椅子だ。そこでお団子を頬張りながら話していた
そこにシカマルとチョウジが現れた
「………サスケ、意識戻ったらしいぞ」
『!
そっか、良かった』
「……………行かなくて良いのか?」
『?』
どこか歯切れの悪いシカマルに、どうかしたの、と声をかける
だがシカマルは、浮かない表情のままだ
「どーしたのよシカマル!んな顔してー!」
「シカマル?」
『……。』
「何でもねぇ
サスケの見舞い、行ってやれよ。お前が行った方が喜ぶだろ」
じゃあな、とシカマルは背を向けて歩き出してしまう
チョウジもいのも、首を傾げて彼の背中を見送るが、私は咄嗟に彼の背中を追った
『シカマルっ!どうしたの?』
「!
………何でもねぇって」
『嘘
何年一緒にいると思ってんの、シカマルの様子が変だってことくらい、すぐ分かる』
「………。」
シカマルの手首を握り、逃げないようにする
彼は少しの間黙っていたが、やがて観念したのか、大きなため息をついた
「……サスケに何があったのか詳しくは聞いてねえけど、その場にお前がいたって事は聞いた
あのサスケが意識を失うって事は、相当な戦いがあったってことだろ
そんな危険な場所に、お前もいた」
『………。』
「………お前がサスケと何してたのかは聞かねーけど、あんまり無茶しないでくれよ
中忍試験の時だって無茶するし、木の葉崩しでも囮を買って出るし……」
『……シカマル…』
「………お前が必死になる時、必ずサスケが関わってる
お前、サスケの事が好きなのか?」
『え……』
まさかそんな事を言われるなんて思っていなくて、ぽかんと拍子抜けする
だがすぐに、ふ、と表情をゆるめた
『サスケは私と似てるから、放っておけないの』
「……悪い、変な事言って」
『ううん
それに好きってのは合ってる
私はサスケもシカマルも、チョウジもいのもナルトもサクラも、もちろんヒナタ達や先生達だって、みんな大好きだよ』
「………そっか」
ふ、とシカマルも表情をゆるめた
二人でそんな会話をしている時、サスケとナルトが、そして第七班が崩壊の一途を辿っていたなんて、知る由もなかった
そしてその夜、夢を見た
新たな悲劇の幕開けの、その夢を
***
ふと目を開けると、辺りは暗かった
上には輝く月がある事から、時間帯が夜だということが分かる
人の気配を感じてそちらを見ると、サスケとサクラがいた
サスケは大きなリュックを背負っており、どこかに出かけるようだ
何故こんな夜に、と疑問に思っていると、サスケがサクラの背後に回って彼女を眠らせた
『! サクラ?!』
サスケがサクラを近くのベンチに寝かせ、サスケはそのまま歩き出す
訳のわからないままサクラに駆け寄り、彼女の身体に触れた時、頭の中に違う映像が流れてきた
その映像の内容で、全てを理解した
サスケが、大蛇丸の手を取った
木の葉を抜けるつもりなんだと
『待ってよサスケ!!』
聞こえないとは分かっていても、彼を追いかけてその肩に触れる
その時、目の前が真っ暗になった
***
次に目を開けると、辺りは白んでいた
明け方だろうか、まだ肌寒い
「揃ったな」
聞き慣れた声に振り向くと、そこにはシカマル・チョウジ・ナルト・キバ・ネジさんがいた
そしてこの場所は、木の葉の大門だ
涙を流すサクラと、松葉杖で佇むリーさんが門の手前で私たちを見ている
「一生のお願い、サスケくんを連れ戻して…!!」
サクラのその声に理解した
これはさっきの夢の続きだと
木の葉を抜け、大蛇丸のもとに向かったサスケを連れ戻すんだと
ナルトがサクラに笑いかける、それを見た瞬間、また目の前が真っ暗になった
『………!!』
次に目を開けた時、はっと息を呑んだ
断片的で分かりにくいが、全員が血を流して倒れている
シカマルも、チョウジも、ナルトも、キバも、ネジさんも
ぐったりと動かないその様子に、私の頭の中で最悪の未来予想図が出来てしまった
全員の死
『そん……な…』
ガタガタと手が震える、心臓が痛い、呼吸が出来ない
そんな、このままではみんなが死んでしまう…?
私の大切な人が、死ぬ
『………そんな事には、させない…!』
私が守るんだ、みんなを、この最悪の悪夢から
未来を変えてやる
何をしてでも、たとえ私が死んででも、みんなは絶対に死なせはしない
『私が守ってみせる…!』
目の前の五人を見つめ、震える拳を強く握りしめた
その時、視界が闇に覆われた
***
『………っ!!』
ガバっと身体を起こす
周りを見ると、そこは私が一人暮らしをしているアパートの一室だった
『……今のは、予知夢…』
ドッドッと激しい鼓動が頭に響く
ふらつく足取りで洗面所にいき、水で顔を洗った
顔を上げ、鏡を見て目を見開く
『………眼が、緑色になってる』
普段見ている自分の眼の色は青だ、なのに今、間違いなく鏡に映っている眼は、緑色だ
これが、予知夢を見た証拠
『………誰も、死なせない
サスケだって、連れ戻してみせる』
洗面台を強く掴み、決意を固める
緑色になった自分の眼を見つめ、1つの案を考え出した
それは、空目一族に伝わる禁術をつかったものだ
『……あの術を使えば、みんなが生き残る可能性は高まるはず』
部屋に戻り、本棚を漁る
そしてその中から、数枚の札を取り出した
『術者の命と引き換えに、仲間を守る…
この術を使えば、みんなは…』
けど失敗すれば、誰かが死んでしまうかもしれない
そして私も、恐らく死ぬ
けどそれでも良い、誰かが死ぬのは耐えられない
すぅ、と眼の色が青に戻る
時間を確認しようと時計を見た時、玄関に人の気配を感じた
『……!
シカマル……』
「っ、んだよ、起きてたのか?ずいぶん早起きだな」
ガチャ、と勢い任せに玄関の扉を開くと、そこには任務服に着替えたシカマルの姿が
その姿が夢と重なり、頭がズキンと痛んだ
『…任務?』
「多分な、五代目様が俺とお前をお呼びだそうだ
急用らしいから、早く支度して出てこい」
『分かった』
任務、その内容はおそらく、サスケ奪還任務だ
外で待ってる、と背中を向けたシカマルに返事をし、急いで任務服に着替えて準備を整えた
先ほどの札も、ポーチにしまった
***
「うちはサスケが里を抜けた」
シカマルと二人で五代目様のもとに行くと、すぐにサスケが里抜けをしたと告げられた
驚くシカマルに対し、私は冷静を保っていた
「……空目トキ、だったな
驚かないのか?」
『……夢で見ました、サスケが里抜けしたところを
サクラが説得に失敗した事も、知ってます』
「……なるほど、それがお前が持つ予知夢の能力か」
興味深そうに私を見つめる綱手様をしっかりと見つめ返し、淡々と言葉を発する
隣にいるシカマルの表情は伺えない
「お前の言う通りだ、昨夜、春野サクラがうちはサスケの説得を図ったが、眠らされた
明け方、門番の中忍二人がサクラを保護し、事情を聞いて今回の事件が発覚した
そこでお前達に、任務を課す」
『………サスケ奪還任務…、ですね
敵は大蛇丸ですか』
「………そこまでお見通しか」
ふ、と小さく笑う綱手様は、そこから任務内容を説明した
上忍がほとんど里外に出払っている今、私たちが優秀だと思う下忍を集められるだけ集め、30分後に里を出発するとの事だ
「………ま、やるだけやってみますよ」
隊長はシカマル、そして副隊長は私
中忍としての初めての任務がこんな事になるとは、さすがに思わなかっただろう
『行こう』
火影室を出て走り出す
夢が現実に起こっている、ならばメンバーも分かりきっている
「おい、トキ」
『!
何?』
「サスケが里を抜けるのを夢で見た、って言ったな
それ以外には、何を見た?」
『………。』
ナルトの家に向かう途中、シカマルがそう問いかけてくる
聞いてくるだろうとは思っていたから、あらかじめ用意しておいた返事を口にした
『何も見てない
私が見たのは、サスケが里から出て行くところだけ
他は何も、分からない』
余計な事は話さない、これは家を出る前に決めたこと
死ぬ未来が待ってるなんて、誰が言えようか
しばらくの間私の顔を睨んでいたシカマルだが、やがて短く「そうか」とだけ答えた
『(ごめんねシカマル)』
あなたに嘘をつくのは心苦しいけれど、死なせたくないから
守るためには、こうするしかないの
***
「優秀な奴って言ったよな…、誘うならシノとかがいるだろ!
なんでチョウジなんだってばよ!!」
ナルトに事の説明をし、支度をさせてナルトの家から秋道家に向かう
トキには先に行くよう頼んでおいた、俺らが着く頃にはチョウジの支度は整っているだろう
「チョウジは俺やトキとチーム組んでるし、ガキの頃からの付き合いだ
作戦の進行上一番やりやすいメンバーでもある
……お、準備できてるな」
見慣れた家屋の前で立っている二人に、ふ、と笑った
***
そして最終的に決まったメンバーは、シカマル・チョウジ・ナルト・キバ・ネジさん、そして私
このメンバーでサスケ奪還任務を行う
見送りに来たサクラとナルトの会話に既視感を感じながらも、私はこれからの未来を案じていた
「忍具を確認しとく、見せてくれ」
シカマルに言われ、自分の武器を見せる
みんながお互いの武器を確認したところで、私は口を開いた
『みんなにこれを持っててほしい』
ぴ、とポーチから札を取り出し、みんなに渡す
これは何だとキバが声を上げた
『空目に伝わるおまじないみたいなもの
これを身に付けていれば、この札がみんなを守ってくれる』
キ「おまじない…、ならこの紙はお守りみたいなもんか?」
『うん、気休めかもしれないけど、持ってて』
ナ「サンキューなトキ!」
ネ「もらっておこう」
チ「ありがとう」
全員が札をポーチにしまったのを確認し、人知れず安堵する
だがすぐに、シカマルが私の前に立った
『………何?シカマル』
「……この紙は、本当にただのお守りなのか」
『そう言ってるでしょ』
「………俺に隠し事、してねぇか」
『………してない
この任務、敵は大蛇丸か、もしくはその部下……。一筋縄ではいかないのは分かってるでしょ
だから少し不安になっただけ』
「………。」
『……どうしたのシカマル、私のこと信じられないの?』
ふ、とゆるく笑うトキに違和感を覚える
五代目の前での態度、予知夢のこと、そしてこの札
俺には、トキの様子がいつもと違うように感じた
『…時間だよ、隊長』
すっと表情を戻し、真剣な面持ちになるトキ
もう30分経っていた
「………行くぞ」
違和感を拭えないまま出発する事となる
嫌な予感とでも言うべきか、胸のざわつきがおさまらなかった
第17話
サスケの里抜け
.