覚えのない再会
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
うちはイタチを目の前にし、少しの違和感を覚えた
顔は初めて見たはずなのに、私はこの人を知っているような、そんなデジャビュ
そして彼の放った言葉
『………どうして私の名を』
「あぁそう言えば、君は昔の記憶が無いんでしたねぇ
せっかく会えたというのに、残念です」
「鬼鮫、余計なことは話すな」
「失礼、久しぶりの再会が嬉しくて
貴方だってそうでしょう?」
鬼鮫と呼ばれたその男は、大きな刀を背中に担いでイタチを見る
この会話は明らかにおかしい、だって、どうして
『……私はあなた達と会ったことが、ある?』
「!
やいお前ら!トキの何を知ってるのかは知らねーけど!コイツは木の葉の一員だ!手ぇ出すんじゃねーぞ!」
ナルトが大声で叫ぶと、鬼鮫はその声に煩わしそうに顔をしかめる
そして刀を振り、に、と不気味に笑った
「ちょこまかとうるさいガキですねぇ…、生け捕りが目的なら、逃げないよう手足の一本でも切り落としますか」
「!!」
鬼鮫の目が獲物を捕らえる獣のそれと重なる
咄嗟にナルトの前に立ち、クナイを構えた
青い眼を見つめるイタチは、ゆっくりと口を開いた
「………我々の目的は九尾の人柱力
そしてトキ、お前だ」
『……狙われる理由はありません、私は一般人です』
「一般人?何を言っている
お前は生まれながらにして特別な存在……、それは分かっているだろう」
その力は、その世に2つとない代物だ
イタチがそう告げると、トキは顔をしかめた
「だが……、お前は”今”じゃない
ナルト君……、我々と共に来てもらおう」
イタチがそう言い、ナルトを見た
その時、目の前に大きなガマが現れた
「エロ仙人!!」
そう呼ばれたその人は、大きな背中で私たちのまえに立った
『……伝説の、三忍』
「ナルト、遅れてすまんのぅ
それにそこにいる青髪のべっぴんさんは、空目の子かの
二人ともそこで大人しくしておれ、ここはワシが請け負う」
自来也様はそう告げ、二人と相対する
イタチは自来也を真っ直ぐ見つめていたものの、ふと視線を逸らした
『!!』
イタチの視線を辿るように後ろを振り向くと、そこにはサスケの姿があった
声をかける間も無く、サスケはチャクラを右腕に集め、バチバチと光を放つ
雷切だ、と気付いた時にはもう飛び出していた
『サスケ!!』
イタチに真っ向から雷切で突っ込んでいったサスケは、すぐに捉えられ首を絞められる
助けに入ろうと足を踏み出すも、自来也様にパーカーのフードを掴まれて動けなかった
「足りないんだよ、憎しみが」
暗い暗いその声が耳に届く、その瞬間、頭の中で何かが弾けた
『あ…っ、うぅ……っ!』
「!
トキ?!どうしたんだってばよ?!」
ナルトの声が頭に響く、だが割れそうなほどに頭が痛くて、返事も出来なかった
遠くなる意識の中、流れるように頭の中で映像が再生される
それはうちは一族が滅んだ時の映像だった
この場面を私は知っている、一度見たことがある
私は一度、この夢を見ている
予知夢を見たことがある
そう確信すると、頭痛が嘘のように引いて行った
***
頭を押さえ、うずくまっていたトキが顔を上げる
そして彼女の眼を見て、イタチは目を見開いた
「……緑色の瞳…、空目の能力か」
『…サスケを返してください』
「眼が緑色に変化したという事は、お前は予知夢か、それに関係した何かを見たはずだ
何か思い出したか?」
『……私は昔、うちは一族が滅ぶ予知夢を見た
今見たものは、その時の記憶…
幼いサスケと、アナタがいた
アナタがうちはを滅したという、確かな記憶』
「……それ以外はなし、か」
それ以外?とナルトが首を傾げる中、自来也様が床に手をつき、口寄せした
途端、壁や床が肉壁に変わり、驚いて後ずさる
肉壁の中にサスケが埋まると、イタチは手を離した
『サスケは…?!』
「安心せぇ、妙木山の岩蝦蟇の内臓を口寄せした。サスケも無事じゃ
そして、ここに閉じ込めて逃げ出したものはおらん!」
ぐ、と自来也様が手に力を込めると、肉壁がうちはイタチと干柿鬼鮫を追い込むように狭まっていく
二人は走り出し、逃走を図った
逃げられない、と口元に笑みを浮かべていた自来也様だったが、目を見開き立ち上がる
そのままイタチ達の後を追い、廊下を曲がった
「どうなったんだってばよ?!」
ナルトと共に自来也様の後を追い廊下を曲がる
するとそこには、ぽっかりと穴が空いていた
そして、黒い炎
『…いない』
うちはイタチと干柿鬼鮫の姿は無かった
***
バシャバシャと水が跳ねる音がする
川の上を走る鬼鮫は、少し楽しげにイタチに声をかけた
「人柱力は手に入りませんでしたが…、まさかトキに会えるとは驚きましたね
一丁前に木の葉の額当てをしていましたが…、どうやら下忍になれたようですね」
「アイツの実力なら当然だろう
だが記憶がない事で、本来の力を十分に発揮できていないようだ」
「そうですね、木の葉で腑抜けてしまったのでしょうか?」
くく、と楽しげに笑う鬼鮫を一瞥するも、イタチは何も言わずに走り続ける
「それに、人柱力はもちろんのこと、イタチさんの弟くんとも親しいようですね
少なくとも、木の葉に潜入して九尾の人柱力と接触する、という任務はこなせているようですし、心配はいらなそうですね」
「……どうだかな」
「え?」
ぼそ、と小さく呟くイタチに鬼鮫が聞き返すも、それ以上は口を閉ざしたイタチ
不思議に思いながらも、それ以上聞くことはしなかった
***
壁に寄りかかり、目を閉じたままのサスケ
『……外傷は治せたけど…、これは多分違う事が原因で起きないんだと思います』
「幻術じゃな、それも強力なものじゃ
相手はあのうちはイタチ、恐らく写輪眼によるものじゃろう」
「サスケは起きるよな?!エロ仙人!」
「今すぐには起きないじゃろ
ガイ、サスケを木の葉まで運んどくれ」
自来也様がそう言うと、ガイ先生は軽々サスケを背負う
私とサスケの後を追いかけてきたガイ先生にお礼と謝罪をすると、大きな手で頭をわしわしと撫でてきた
「…さて、今さらじゃがそこのお嬢ちゃん
空目の生き残りと言うのはお前のことか?」
『!
はい、そうです
空目トキと言います』
「そうか…、色々と話は聞いておる、ナルトからも
今回の奴らの狙いは、ナルトだけでなくお前も含まれていた
その理由に心当たりはあるか?」
じ、と真剣な目で見つめられ、少し緊張する
この方は伝説の三忍と呼ばれる人なのだ
『……空目一族は時間を操る力を持つ一族、ですがごく稀に、予知夢を視る力を持った者が生まれます
それはご存知ですか』
「あぁ、知ってる
だがワシが生きてきた中で、その力を持つ空目の人間はいなかった。いわば神話のようなものだと思っていたが…」
『私にはその力があります』
「!
………なるほど、それが理由か」
ふむ、と顎に手を当て、思案する自来也様
不安げな顔をするナルトにゆるりと笑いかけると、彼も少しだけ表情を和らげた
「空目の力は強大じゃ、故に唯一の生き残りであるお前を狙う者は今後も現れる
気を付けろよ」
『分かっています』
「……お前とはまたゆっくりと話してみたいのぅ、ナルトとの修行が終わったら、茶でも飲みに行こう」
『喜んで』
ふ、と笑いかけるトキに、少し目を見開く
ナルトと同い年だという目の前の少女の笑顔は、年不相応でやけに大人びていたからだ
ナルトと自来也様は綱手様を探すために出発し、私とガイ先生はサスケを連れて木の葉に戻った
その数週間後、綱手様を連れてナルト達は木の葉に戻ってきた
第16話
覚えのない再会
.