波乱の本選
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一ヶ月後
中忍試験、第三の試験が開始された
ナ「おいシカマル!トキもいねーじゃねぇかよ!
アイツの試合はサスケの後のはずだろ?!」
シ「うるせーな俺も会ってねぇんだから知らねーんだよ!!」
本来は俺より前に行われるはずだったサスケの試合は一度後回しにされ、俺の試合が先に行われた
会場に来てる観客はうちはの生き残りであるサスケと、空目の生き残りであるトキの試合を目的としてる連中が多いらしく、しきりにその二つの一族の名が飛び交う
だが二人は未だに試合会場に現れていない
ナ「ったくもー!!早く来やがれぇぇぇぇぇ!!!」
シ「うるせー騒ぐな!!」
自分の試合が終わり、次はサスケの試合のはず
けどサスケは現れない
「うちはを出せー!!」
「空目はまだかー!!」
試験官がその声に顔をしかめ、ナルトは地団駄を踏む
だがその時、ひらりと一枚の木の葉が舞い落ちた
「いやー、お待たせしてすみません」
木の葉を巻き上げ、三人の影が現れる
その中の一人と目が合うと、彼女は目を見開いた
『シカマルっ!』
「トキ「おっせーぞサスケぇ!!!」」
会場の真ん中に現れたのは、カカシ先生にサスケ、そしてトキの三人だ
突然の登場に周囲が騒めく
『試合…!シカマルの試合終わったの?!どうなった?!』
「あ?
あー、負けた」
『負け……、そっか
またシカマルの試合見れなかった』
「いんだよ俺の試合は
会場見てみろよ、みんなお前とサスケの試合が目的みてーだぞ」
ほら、と観客を指で示す
歓声のほとんどが、うちはと空目の名を叫んでいた
「ま、俺は前座みたいなもんだ
それよりお前、この観客の期待に応えられるくらいになったのかよ?」
『!』
シカマルがに、と笑う
それに同じように笑いかえした
『もちろん
一ヶ月の成果、見せてあげる』
一ヶ月前より少し伸びた青い髪が風になびく
その笑顔は頼もしく見えた
***
サスケの試合は今から行われるらしい
その次にトキの試合を行うとの事だ
ナルトとシカマルが先に歩き出す
その背中を見て、一度サスケに向き直った
『サスケ』
「なんだ」
『呪印の力は使わないで
試合中じゃ私は止められない』
「……分かってる
そう何度も世話にならねぇよ」
修業中も何度も時遁の力で呪印の暴走を止めた。止めたからこそ、その力の危険性を知っている
トキの不安げな目を見ると、サスケは呆れた顔をする
「お前、俺のこと信じられねーのかよ」
『そんな事ない』
「なら安心して見てろ
俺は俺の力で勝つ」
ぐ、と拳を握り締め、サスケが強気に笑う
期待してる、そう笑いかけ、ナルトとシカマルを追って会場を出た
***
タタタ、と二人の後を追って会場の中を走る
階段の途中で二人は立ち止まっていた
『シカマル、ナルト?
………!』
階段を登ろうと足をかける。だがその時、ぞくりと背筋が凍った
砂漠の我愛羅が、階段から降りてきたのだ
『(……血の、におい)』
本能的にやばいと思った
この男は危険だと
「………空目トキ」
『!!』
階段を降りてきた我愛羅の目が、私を捉える
目を合わせただけで分かる
『(……この人、普通じゃない)』
ドクドクと心臓が騒ぎ出す、冷や汗が流れる、身体がまるで、金縛りにあったかのように動かない
呼吸の仕方すら分からなくなるほどの圧倒的な存在感だ
「トキっ」
「トキ!おい!」
『っ!』
「大丈夫か?!」
ガクン、と身体が揺れる。それで我にかえった
シカマルが肩を揺らし、心配そうに顔を覗き込んでいる
「…!
手、震えてるぞ」
『………あの人、何
普通じゃないよ』
シカマルに指摘され、自分の手が小刻みに震えているのに気付く
ぎゅ、と握り締め、二人の顔を見た
『………サスケが危ない』
「カカシ先生の所に行くってばよ!!」
「あっ、おい待てよ!」
シカマルの制止を無視して走り出す
この試合を止めないと
「おい!いきなり何なんだよ!」
『…サスケと修行してる時に我愛羅が私たちのところに来たの
サスケは俺の獲物だって言ってた
アイツ、サスケを殺す気なんじゃ…!』
「「!!」」
二人の顔が強張る
すぐに観客席に着き、カカシ先生を探した
***
カ「ま、見てなさいよ」
ナ「けど!」
カ「トキだって知ってるだろ?サスケがどんなに強くなったのか」
『知ってるけど!それでもあの人は、何か、違う…!』
い「トキー、どうしたのよそんなに怖い顔してー…」
試合を見に来てたサクラ、いの、チョウジが首を傾げる
うまく説明出来ないけど、でも、嫌な予感がする
その時、殻に籠った我愛羅にサスケの攻撃が当たった
「……?
羽根…?」
ひらりひらりと、いくつもの羽根が舞い降りる
一見幻想的なその景色に、一瞬意識が飛びそうになった
『(……幻術?!)
解!』
印を組んで幻術返しをする。近くにいたサクラも術を返していたが、いの達は眠っていた
「! トキ!アンタも幻術返し出来たのね!」
『!!
サクラ伏せて!!』
「えっ?」
ヒュ、と二人の影がサクラに襲いかかる
間に合わない、そう思った時、大きな音がした
「サクラ、トキ
少しの間伏せていろ」
カカシ先生がサクラに襲いかかってきた忍者を吹っ飛ばす
相手は音隠れの忍だった
『………!!』
ぞく、と背筋が凍るような寒気
誰かに見られている視線
弾かれるように物見やぐらを見上げると、そこでは三代目と誰かが結界の中にいた
三代目の首にクナイを当てているのは、あの蛇のような眼
『………!
大蛇丸……!!』
「トキ!お前の相手は大蛇丸じゃないよ!」
ぐ、と走り出そうとするトキの腕をカカシが掴む
悔しそうに唇を噛む彼女に、カカシはニコリと笑いかけた
「トキ、サクラと一緒にナルトとシカマルを起こすんだ」
『えっ?』
サクラと顔を見合わせる
カカシ先生にA級任務だと言い渡され、何をするんだと尋ねる
「サスケを追いかけろ!」
『!』
ば、と試合会場を見る
我愛羅もサスケも、姿を消していた
***
「解!」
敵に見つからないよう身体を低くしながらサクラがナルト達に近付く
サクラがナルトの幻術を解く中、私はシカマルのもとに向かった
『シカマル、起きてるのは分かってるよ』
「………。」
『起きて、出番だよ』
「……はー、くそ」
嫌そうにシカマルが身体を起こす、それを見てほっと息を吐いた
『本当に寝てるのかと思った』
「このまま寝ていたいけどな」
『諦めて
行こう』
ガイ先生が会場の壁を壊し、穴を作る
すでにナルトとサクラは外に飛び出ていた
後を追うように走り出すと、シカマルも嫌々ながらに後を追ってきた
***
パックンの鼻を頼りにサスケ達の後を追う
『……誰かに尾けられてる』
「空目のガキも気付いたか
敵は8……、いや9人だ」
追跡者はおそらく音隠れの忍者、それも中忍以上だろう
追いつかれれば
「全滅だぜ…!」
シカマルの自嘲気味な声に、ナルトとサクラが顔を強張らせる
待ち伏せするかという案も出るが
「こっちはバカに、大した取り柄のないくノ一に、犬一匹…、それと逃げ腰No. 1の俺と、しょっちゅうぶっ倒れる奴が一人
この状況で俺たちに出来るのはたった一つ…」
『誰かが囮になって敵を足止めすること……』
「……そしてその囮になった奴は間違いなく、死ぬ」
「「!」」
命の危険
中忍以上の敵を9人相手にすれば、下忍なんてひとたまりもない
だが誰かが囮にならなければ、全滅する
「さて……、誰がやる?
犬さんはサスケを追うのに必要だ
とすると…」
『そんなの決まってるよ』
「「「!」」」
タン、と足を止め、トキが三人とパックンを見据える
『私がやる』
サクラとナルトが驚きと不安を織り交ぜた表情で私を見る
それには気付かないふりをした
『私はまだ試合してないし、シカマルやナルトに比べてスタミナもチャクラも問題ない』
サ「なら私だって…!」
『私はサクラより強い』
ピシャリと冷たく言い放つ、それにサクラがびくりと肩を揺らした
『それに時遁は相手の動きを縛ることも出来る
敵の足止めをし、なおかつ生き残れる可能性が高いのは私だよ』
くる、と背中を向け、クナイを取り出す
後ろからナルト達の戸惑う気配がした
『早く行って!
追いつかれる前に!』
鋭く告げ、敵がいるであろう方向に走り出す
そのすぐ後で、ナルト達が反対方向に走り出すのが分かった
***
ナルト達と距離を置き、わざと分かりやすいように足跡を残して、全く違う方に走った
そしてすぐに聞こえる、空気を切り裂く音
キィン、とクナイで弾き落とせば、その隙に間合いを詰められる
『!!』
目の前に現れる音隠れの忍
目元がニヤリと歪められ、気付いたら木に身体を打ち付けていた
『っ…は……』
ずる、と身体が落ちる
何とか態勢を整え、敵を睨んだ
『(……8人、てことはもう一人はどっかに隠れてるのか…)』
痛む身体をかばいつつ、頭の中で算段を立てる
その時、敵の一人が口を開いた
「その髪の毛の色……、お前が空目の生き残りか」
「まだガキじゃねーか、なのに一人で足止めとは…
お前の一族は、今日ここで滅びることになるぞ」
『……それはどうかな』
ば、と素早く印を組む
そしてチャクラを練り上げ、声を上げた
『時遁、時空縛!』
森の中を裂くように彼女の声が響く
術をかけられた8人は、自分の身体の変化に目を見開いた
「身体が…、動かない…?!」
「時遁の術か…!くそ、お前のようなガキが使えるとは!」
『(……これで、動けないはず)』
時遁の術で敵の身体の時間を止める
その力はじわじわと身体を侵食していき、やがて言葉を発することも出来なくなるはずだ
『……!
(誰か来る!)』
キン、とクナイをかまえ、気配がする方を睨む
九人目が助けに来たか、それとも違う敵か
どんどんと近付いてくるその気配の主に気付き、ほ、と息を吐いた
だがそれと同時に、顔をしかめた
『シカマル、何で来たの』
ザ、と木の陰から姿を現したその相手に問いかけると、シカマルも顔をしかめた
「いくらお前でも、9人相手にするのは危険だからだろーが
まだ一人、どっかにいるぞ」
『………今から探すところだよ』
時遁の術が効いてきたのか、8人の敵はまるで氷のようにその場に固まっている
それを見たシカマルは驚きつつも、に、と笑った
手裏剣を取り出し、八人の急所を目掛けて思い切り投げる
だがそれは全部、何者かによって弾かれた
『シカマル!』
「分かってる!」
手裏剣を弾いた相手がどこから投げたのか、その場所を特定しシカマルの名を呼ぶ
するとすぐにシカマルが影真似の術を発動させた
『………!!
え、…、嘘でしょ…!』
ぐ、と大きな力が押し返してくる感覚
それに気付いて拘束していたはずの8人を見る
時間が経てば経つほど身体の拘束は強まるはずだ、なのに何故か、拘束が中途半端に止まっている
音忍の一人がトキを見て、不気味に笑った
「くくく……、時遁と言えど、扱うのがガキで幸いだったな
お前のような小娘のチャクラでは、八人も拘束するには無理がある!」
『!!
っくそ…!』
ぐ、と印を組み直し、術の力を強める
だがまだ子どものトキのチャクラ量では、大人8人全員の動きを拘束するには限界があった
「! トキ!」
トキの異変に気付いたシカマルが叫ぶ
その一瞬をついて、9人目が動き出した
『!!
シカマル逃げて!!』
叫んだ瞬間、シカマルの背後に影が現れた
だがその影には見覚えがあった
「やっと追いついた」
タバコをふかしながら、片腕に九人目の音忍を引っさげ、その人が現れる
声をかける間もなく、その人は一瞬で音忍を全員倒してしまった
「アスマ…」
『アスマ先生…!』
「よくやったなトキ、シカマル」
に、といつもの笑顔を浮かべる先生に、シカマルがその場で脱力して座り込んだ
シカマルはチャクラもスタミナも、ほとんどないようだ
それを見たアスマ先生はタバコの煙を吐き出し、落ち着いた声で告げた
「シカマル、お前はここでリタイアだ」
「!」
「トキ、お前はどうする」
『………私は…』
先生の言葉に、一度シカマルを見る
シカマルはもう戦える状態じゃない
けど私は
『………サスケを追います』
「!
おいトキ!」
『シカマルは休んでて』
行ってくる
短くそう告げ、一気に駆け出した
目指すはサスケがいる場所だ
第14話
波乱の本戦
.