似た者同士
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ぱち、と目を開けると、目の前には真っ白い壁
あぁまたか、と自分で笑ってしまった
『……青い、花?』
ちら、と首だけ動かすと、ベッドサイドの棚に青い花が生けてあった
『……いのかな』
「お、起きたな」
『!
アスマ先生』
ガラガラと病室の扉が開き、アスマ先生が入ってくる
***
『シカマルは本戦に進めたんですね、そっか…
みんなは今どうしてますか?』
「さっきまでシカマルとチョウジとで本戦に向けて修行してたんだ
で、いのは店番があるんだと
シカマルとお前がいなきゃ、任務は出来ないからな
本戦までは休暇みたいなもんだ」
他にも本戦に勝ち残ったメンバーを聞き、顔をほころばせる
私の意識が戻ったことを医者に告げ、身体の調子が良い事が分かると、無事退院となった
首のアザは無くなっていた
***
賑やかな木の葉の街を歩きながら細かな事情を先生から聞き、自分も話す
その中で出てきたキーワードのいくつかに、先生は顔をしかめた
「……空目を滅ぼしたのは大蛇丸、か
中忍試験に紛れ込んだのも、目的はトキとサスケに接触するため……
それとお前の、消えた三年間の記憶…
てんこ盛りだな」
『……そうですね』
「悪かった、中忍試験に推薦すべきでは無かったな
俺の采配ミスだ」
『そんな事ないですよ
色々あったけど、手に入れたものもある』
空目の血継限界の力と、医療忍術
自分には力がある
『その力が狙われる原因だとしても、この力があれば戦える
みんなを守れる
だから、私は嬉しいです』
「……そう言ってもらえると嬉しいよ」
『先生のおかげです
大蛇丸とかいう人が私に何の用があるかは知りませんが、私は私です。普通の人間です
私の人生は、私が決める』
「……その人生のプランはあるのか?」
にこ、と優しく笑いながらアスマ先生が問いかける
それに同じように笑顔を返した時、道の先に見慣れたシルエットが見えた
チ「あ!トキ!!」
い「えっ、どこ?!」
シ「やーっと起きたのかよ」
三人が私たちに気付いてこっちに駆け寄ってくる
それを見つめながら、アスマ先生を見上げた
『私の人生のプランは、この第十班のみんなと一緒にいること
木の葉の忍者として、里のために生きることです』
そう答えると同時に、いのが私に飛びついてきた
いて、と呟く私にいのが笑う。すぐにシカマルとチョウジも合流した
そんな私たちを見て、アスマ先生は嬉しそうに笑った
***
い「ったくもー!ビックリしたのよ?!
試合終わったらぶっ倒れるし、帰ってこないし!
予選終わったら入院してるっていうし!!
心配かけさせんじゃないわよ!!」
『本当ごめん
あ、でもお花ありがとう、すごく綺麗だった』
い「あったりまえでしょ私が選んだのよ!!
ていうか意識取り戻したその日に退院して平気なわけ?!」
シ「怒るのか心配するのかどっちかにしろよ…」
チ「心配したのは僕たちもだからね、トキ」
『うん、ご心配おかけしました
もう大丈夫だよ』
ア「トキが強いのはお前らが一番知ってるだろー?」
ガハハ、と豪快に笑うアスマにまたいのが怒る
それを見てトキがなだめるが、その顔は嬉しそうだった
***
本戦に備え、修行をする事になった
アスマ先生の下でシカマルと合同でやるのかと思っていたし、シカマルもそう思っていたらしい
けど私とシカマルの前に現れたのは、予想外の人だった
『……私がサスケと一緒に修行?
ナルトは良いの?』
「アイツは違う奴と修行してる
カカシがお前を呼んで来いだとよ
って事でコイツもらってくぞ」
「………どーぞ」
シカマルとチョウジと一緒に演習場にいたが、私はサスケに呼ばれて彼のあとに着いて行く
何故私なのか、なんて考えながら歩いた
***
里の演習場とも離れ、人がそう来ない断崖絶壁
岩肌は荒々しく、立ち入り禁止区域も近い場所
そこにその人はいた
「お、来たね」
「おい、トキを呼んだ理由はなんだ」
「まーまー、そう睨まないでよ
空目トキだね、俺ははたけカカシ、第7班の担当だ
よろしく」
『………よろしくお願いします』
まだ不思議ではあるが、ぺこ、と頭を下げる
それを見てすぐに、サスケがカカシ先生に突っかかった
「おい」
「はいはい、トキを呼んだ理由でしょ?今から話すから、そう焦るなよ
トキも聞いててね」
『あ……、はい』
ニコ、と柔らかく笑うカカシ先生は、すぐに笑顔を引っ込め、真剣な眼差しになった
「お前ら二人は大蛇丸に目を付けられてる。サスケもトキも、奴に呪印を付けられた
ま、トキのは一時的なモノだったみたいだけどね。今は跡が無くなってる」
「それがどうした」
「サスケの呪印はチャクラを練ると反応する、そしてお前の身体を乗っとろうとする。今は俺が封印したから弱まったけどな
けどもし力が暴走したら、悪いが俺じゃ止められない
その時はトキのチカラが必要になる」
『私の?』
「君の時遁があれば、呪印の力を抑えられる……
正確に言えば、”巻き戻せる”」
「……どういう意味だ?」
「時遁で呪印の力を巻き戻すんだよ、元の状態まで」
なるほど、とつぶやく私にサスケは顔を険しくさせる
まだ納得していないようだ
「他にも理由はあるぞ
血継限界同士で修行した方が内容が濃密になる
それにサスケ、お前時遁の力をまだ知らないだろ?」
「……トキが使ってるところは見た事がない」
『その時サスケは気を失ってたからね』
「サスケのレベルアップに適任だと思ってさ
それに君たち、アカデミーの首席とその次だったんでしょ?
レベルは拮抗してる方が良い、お互いのためにね」
「………フン」
「二人は仲良いって聞いてるし、何かとちょうど良いからさ
トキ、それで、修行の相手になってもらって良いかな」
『もちろん
サスケ相手なら私の修行にもなりますから』
ニコ、とサスケに笑いかける
彼はやっと納得したのか、いつもの涼しげな表情になった
「じゃ、早速始めようか」
本戦まで、残りはあと一カ月
***
カカシ先生の下でのサスケとの修行は厳しく、精神的にも体力的にも大変だった
家にも帰らず、ほとんど毎日を外で過ごし、強くなるために必死になった
本戦まであと少し、そんな時、先生から休息を取るように言われた
「お前らずっと頑張ってたし、さすがにちゃんとした休息を取らないとね
サスケもトキも、一度家に帰りな」
「………俺は良い」
「お前は良くてもトキは良くないでしょ
十班のみんなに会いに行くなり何なり、したい事をすると良いよ」
『………じゃ、お言葉に甘えて』
「ほら、サスケも一緒に行ってきな」
「………。」
ムス、とした顔のサスケだが、大人しく歩き出す
その横に並び、一度修行場を後にした
***
「……シカマルに会いに行くんじゃないのか?」
『ううん、本戦までは会わないでいようと思ってる。いのもチョウジにも、ね
だから今日は空目の石碑に花を添えに行きたくて』
「…俺も行く」
『………つまんないよ?』
「いい」
静かにそう言うサスケに、少し笑う
そのまま山中花店で青い花束を購入し、石碑に向かう
いのはいなかった
***
里の繁華街を外れ、静かな森を抜けた先に開けた場所がある
その場所には大きな石碑があるだけだ
「………ここか」
『うん、ここが空目一族が住んでた場所
今は石碑しかないけどね
……みんな、会いに来たよ』
トキが優しい声で笑いかけ、石碑の前に青い花束を置く
トキの髪と同じ、空のように真っ青な、綺麗な花束だ
花を置き、石碑を見上げ、トキが黙り込む
なんとなく、声をかけない方が良いと思った
『あそこ』
「?」
『あそこに私のお父さんとお母さんの名前もある』
「………大蛇丸に殺されたんだよな」
『そう…、私をかばってね
優しくて強くて、一族のみんなから信頼されてるカッコ良い人だったの、二人とも』
す、と静かに両手を合わせ、目を閉じる
また来るね、とつぶやいて
『………!』
目を開けてサスケを見ると、サスケも私の隣で同じように手を合わせて目を閉じていた
『……ありがと、サスケ』
「……別に、お前のマネをしただけだ」
立ち上がり、サスケはじっと石碑に並ぶ名前を見つめる
彼は今、何を思っているのだろうか
同じ境遇で、お互い生き残り、何かと共通点のある彼
少しのあいだサスケの横顔を見つめていると、サスケが私を見た
「俺とお前は似てる」
『………そうだね』
「俺の事を本当の意味で理解してくれるのは、お前だけだと思ってる
復讐の事だって、お前なら理解してくれると思ってる」
『………それ、は』
復讐、その言葉に思わず言い淀む。それに気付いたサスケは、ふ、と小さく笑った
「お前の心にもし復讐したいって気持ちがあるのなら、俺は手伝ってやる
お前が殺せないのなら、俺が大蛇丸を『やめて』
………。」
『……復讐は、何も生まない
そんな事したって誰も喜ばない』
「俺は俺のために復讐をする、他人は関係ない」
『それでも……、サスケにそんな事して欲しくない
前にも言ったでしょ、私は止めるって
私だって、私とサスケは似てるって思ってる
だからこそ通じるものがあるし、お互いに理解し合えるって思ってる
けど復讐だけは……、それだけは、ごめん
私は賛同できない
サスケはそっちに行っちゃいけない』
「………お前の頼みでも、それは了承できない」
『サスケ……』
サァっと風が吹き抜ける
空目一族の石碑に置かれた花束が、優しく揺れた
「俺にとってイタチは憎む相手だ、必ず殺す」
『………。』
「けどそれ以上に、俺にとってお前は特別なんだ」
『え?』
サスケの眼が私を射抜く
その瞳には私が映っていた
「………俺も、お前が復讐してやるなんて言ったら、止めるのかもな」
『サスケ?』
「お前が手を汚すのは見たくない
だったら俺が、お前の憎しみも引き受けてやる」
する、とサスケに手を取られる
つながれた二人分の手を見て、サスケは真剣な面持ちだ
第13話
似た者同士
.