蛇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
アンコが死の森と呼ぶその森は、ぱっと見ただけでも不気味だった
説明を聞く中で、隣に人が立つ気配がする
『………!』
ちらりとその相手を見上げ、目が合った
その瞬間に、ぞく、と身体があわだった
本能的に、恐怖を抱いたのだ
『(……草隠れ、の忍者)』
「……アナタのその髪の毛、とても綺麗ね
まるでこの空のよう…、真っ青で、鮮やかで、とても美しいわ」
『っ……
………どうもありがとう、あなたも、綺麗な黒髪ですね』
「フフフ……、ありがとう」
男とも女とも分からないその相手に警戒しつつ、言葉を返す
そしてその忍は、アンコがナルトに向けて投げたクナイを持って、アンコ達に近寄って行った
い「……何、今の人?」
『さぁ……、髪が綺麗ですね、って』
チ「トキの髪の毛は誰が見ても綺麗だよ!」
ふん!とバリバリとポテチを食べながらチョウジが力説をする
それにありがとう、と返し、同意書を見つめた
『(……今の人、何だろう、気味が悪い
けど何か、違和感、というか)』
ぐるぐると考え込む。今の人初めて会ったはずなのに、見たことがあるような、そんな気になって
ズキン、と頭が痛くなった
「トキ、なんか顔色悪くねーか?」
『…っ、ごめん、大丈夫』
「………無理すんなよ」
ぽん、とシカマルが頭に手を乗せ、青い髪をくしゃりと撫でる
その手のぬくもりに、自然と頭痛が収まった
そして、第二の試験は幕を開けた
***
『さて、どうしようか』
シ「ナルト狙いだろ」
い「バッカ!ナルトやデコリーンはともかく、あっちにはサスケくんがいるのよ!」
チ「お腹すいたなぁ…」
門を出て、鬱蒼とした森の中を駆け抜ける
ある程度走ったところで、周りに人がいないことを確認して四人で集まった
まだ1日目で日も高い
急ぐことは無いだろう
『……じゃあ、こうしよう
今日は全員で食料と水を集める、そこにある洞窟を基点に、半径1キロ以内で
時間は二時間、全員別行動』
チ「えっ、別行動?!」
シ「ま、その方が効率は良いな」
い「……もし、敵と出くわしたら?」
『逃げる、絶対に戦わないで
自分の身を守ることを第一に』
い「分かったわ」
チ「巻物は誰が持つ?」
シ「……トキが適任だな、俺らの中で一番強い」
『分かった、責任持って預かる』
洞窟の入口を草木で隠し、四方向に分かれて走り出す
懐に巻物がある事を確認しながら、周囲に気を配って走り続けた
『………!』
タン、と木の枝に乗り、立ち止まる
胸がざわついた
『(………誰かいる
どこだ、気配が分かりにくい)』
キン、とクナイを取り出し、構える
木々のざわめきが大きく響いた
「久しぶりね、トキ…」
『!!』
突然聞こえてきた声に、ぶわっと汗が吹き出した
ドクンドクンと心臓が脈打つ音が大きく聞こえる
全く気配に気付かなかった、何だこいつ
『……さっきの、草隠れの…
私の名前をどうして知ってるの』
「当然でしょう
”三年間、ずっと一緒にいたんだから”」
『えっ…?』
少し離れた大木の枝に突然現れた草隠れの忍は、クスクスと愉快そうに笑う
クナイを持つ手をゆるめず問いかけるトキに、その相手はまた口を開いた
「そう言えばトキ、あなた三年分の記憶を消されているんだったわね
なら私のことを覚えていないのも仕方ないわ」
『………どういう事
それにあなた、その顔、”違う”んじゃないの』
「!
………へぇ、気付いたのはあなたが初めてよ
サスケくんですら気付かなかったのに」
『!!
サスケ…?!
サスケ達に何をした?!』
自分の友人の名前が目の前の得体の知れない忍から出てきた
まさかサスケ達を潰したのか、そんな不安がよぎるも、目の前の忍への警戒は緩めなかった
「フフフ…
聞きたかったら、力ずくで聞く事ね!」
『っ!!』
シュッ、と草隠れの忍が姿を消す
すぐに背後に気配を感じ、咄嗟に違う枝に飛び移った
ドゴン、と大きな音を立てて枝が崩れる
避けていなければ怪我を負っていただろう
「トキ、アナタ時遁の術は使わないの?」
『………!
(コイツ、時遁のことまで…)』
距離を保ちつつ、逃げる算段を考える
この人とまともにやり合っては駄目だ、勝てない
こいつの仲間がまだ近くにいるならば、早くシカマルたちと合流して逃げなければ、全員潰される
目の前の相手の隙をどうつくか、それを考えていると、相手はニヤリと笑った
「あぁ…、三年間の記憶と一緒に忘れちゃったのね
なら思い出させてあげるわ
私の事も、ね」
『!!
っ、来るな!!』
ブン!とクナイを投げる
だがそれはいとも容易く避けられ、気付けば目の前にそいつはいた
『!!』
ニヤリと口元が弧を描き、異常に長い舌が覗く
殺される
そう感じると同時に、首に痛みが走った
『…っ、あぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
首から身体全体にかけて痛みが走る、身体中の血が沸騰したかのように熱くなった
その場で立つ事も出来ず、膝から崩れ落ちる
目の前で火花がバチバチと散り、意識が途切れそうだ
そんな中、頭の中に流れてくる映像
それは、空目一族が滅んだ日の映像だった
自分を守って大きな蛇に食べられる父と母
その蛇の背後には、一人の男がいた
まるで蛇のような目と、男とも女とも分からない中性的な見た目
ニヤリと弧を描くその口元や雰囲気は、目の前の草隠れの忍と全く同じだった
『お、…まえ、が、家族を…!』
「そうよ
愛する娘のために身を挺して守る…、素晴らしいご両親ね」
『何で…、何で私の一族を…!!』
「何故……、そうね、それが聞きたかったらサスケくんと一緒にこの試験を通過なさい
そして私のもとへ来ると良いわ」
『!!』
ペリペリ、と顔の皮膚が剥がれる
あり得ない、そう呟くトキに、そいつはニヤリとまた笑った
「私は大蛇丸
あなたの知らないアナタを、私は知っているわ」
剥がれた皮膚の中からは、蛇のような目が覗いた
『……私の知らない、私…』
「サスケくんもアナタも、やがて私を求める…
その時にまた会いましょう、トキ
その力も、その時までにもっと磨いておいてね…」
『っ、ぐっ…あぁ…!』
大蛇丸が首につけた傷がまた熱く、ズキンズキンと激しく痛み出す
ダン、と身体を起こすことすら出来ずに倒れ込んだ
「あなたにも呪印を残したいところだけど…、きっと無意味でしょうからね
しばらくは悪夢にうなされるかも知れないけど、それはあなたには必要なもの…
頑張ってねトキ」
意味深な言葉を残し、大蛇丸がその場からいなくなる
待て、と呟いたその声は掠れ、目の前も砂嵐のように霞んでいった
***
『あぁぁぁぁぁぁっ!!』
枝と枝とを飛んで、適当な果物を手に入れる
次はどこに行こうかと考えている時に聞こえてきた、少女の叫び声
「!
トキの声…!」
聞き覚えのある声に嫌な汗が出る
何かあったのか、敵と遭遇して止むを得ずに戦闘に入った可能性もある
無事でいろよ、小さく呟き、声が聞こえた方へ急いで向かった
ガサガサと草木を掻き分け、木々の間をくぐり抜け、青色を探す
それはすぐに見つかったが、息を呑んだ
「!!
トキっ!!」
彼女は木の上でぐったりしていた
見たところ怪我はしていないようだが、身体が熱い
「熱……、じゃない…
くそっ、何があったんだ…!」
急いで彼女の身体を抱き上げ、最初の地点に向かう
洞窟に戻ると、すでにいのとチョウジが中で待機していた
い「あっ、シカマ……!
えっ、トキ?!」
チ「どうしたの?!」
シ「分かんねぇ…
意識がないし身体も熱い、とにかく寝かせよう
水あるか?」
地面にトキを寝かせ、布に水を含ませて額に乗せる
顔をしかめ、息も荒かった
「……トキ…!」
***
身体がだるい、頭が割れるように痛い
ふわふわと身体が浮くような感覚
ふっ、と目を開けると、そこは木々が鬱蒼と茂った森の中だった
『…!
サクラ…?!』
物音がしてそこを振り返ると、血まみれになったサクラが戦っていた
相手は音隠れの忍
サスケとナルトはどこにいるんだ、何で彼女が一人で戦っている?
慌てて周りを見回したが、目に入った景色に言葉を失った
『何で二人とも倒れてるの…?!
何があったの?!』
サクラの背後には、横たわるサスケとナルトの姿
彼女は二人を守っているんだ
慌てて二人に駆け寄り、手を伸ばす
だがその時、目の前がまた砂嵐が起こったかのように霞んだ
ザァ、と視界が奪われ目を閉じる
そしてまた目を開けると、森の中ではあったが、さっきとは違う場所に立っていた
『サスケ!ナルト!?
………!!』
また目の前には第7班の三人が現れる
それと一緒に、大きな蛇が目に入った
忘れる訳がない
あの蛇は、親を殺した大蛇と同じ
そして蛇の近くに立つ大蛇丸の姿
ふと、サスケの首元が目に入る
そこには不気味なアザが残っていた
そのアザがあるのは、トキが大蛇丸に噛まれた場所と同じ
『……大蛇丸の目的は、サスケと私…
目的は何…、それにサスケの様子がおかしい…』
いつものサスケでは無い事はすぐに分かった
駄目だ、サスケをあのままにしていたら危険だ
サクラもナルトも、助けないと危険すぎる
早く、早く起きろ私、このままじゃ三人が危ない
三人を助けなきゃー……
「トキ!!」
『!!』
自分の名前を叫ぶ声に、はっと目を開ける
反射的に身体を起こすが、視界が揺らいだ
シ「おい大丈夫か?!」
い「!
トキ起きた?!」
チ「トキ!!」
『……みんな…』
ズキンズキンと痛む頭を抑えつつ、周りを見る
周りを見て、ここが洞窟だと気付いた
『……!
私どのくらい寝てた?!今の時間は?!』
い「え……っと、今は2日目の朝よ
アンタずっとうなされてて……
……トキ、アンタの眼、緑色…だったっけ…?」
シ「!!
おいまさか、夢見たんじゃ…」
チ「! 大丈夫?!」
い「え?何?夢がどうしたの?何の話?」
三人が騒ぎ出すが、それに構わずトキは洞窟の外に出る
あたりは白んできていた
シ「っ、おいトキ!いきなり起きたら危ないだろーが!
それに何があったのか説明しろ!!」
『そんな事よりサスケ達を探して!!
第7班が危ないの!!お願い…!!』
い「トキ…?」
『あの蛇…、あの蛇を知ってる…!
アイツは私のお父さんとお母さんを殺した…!!
サスケ達が危ないの!お願い…!!』
シ「何言ってんだよお前は!落ち着け!」
『落ち着いてなんかいられない!
サスケ達が「あっ、サスケ」
!!』
取り乱すトキに、シカマルもいのも困惑している
だがその時、偶然チョウジがサスケの姿を見つけた
その視線の方向へトキが走り出す
シカマルの制止の声も聞かず、草むらの向こうに消えてしまった
シ「トキを追いかけるぞ!」
い「分かった、けど、トキに何があったの?
それに夢って何の話?!」
シ「……っ、その話も後だ!」
チョウジを引っ張り、シカマル達も走り出す
すでに見えなくなった青色に、不安を募らせた
***
リーも倒れ、サクラも身体を動かせない
サスケとナルトも起きる様子を見せない
音隠れの忍たちはニヤリと口元を歪めた
『サクラ!!』
「!!
トキ?!」
草むらをかき分け、トキがサクラの前に現れる
そしてクナイを取り出し、音隠れの三人と対峙した
「トキ!サスケくんとナルトが…!」
『知ってる!
そこの人連れて、サスケ達のそばにいて!
もうこれ以上、手出しはさせない…!』
ギリ、と三人を睨みつける
下忍とは思えないほどの殺気に、三人は思わず身を引いた
第十話
蛇
.