始まり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シカ「――…ところでよ、どっちが中忍試験の係りやる上忍なんだ?」
個人的には瑞乃が良かった。テマリはめんどくせぇからな
しかし
『テマリですよ』
「……。」
『……めんどくせぇとか思ってます?』
「……分かってんだろ」
二年ぶりなのに、二人の間を流れる空気は相変わらず柔らかい。それがたまらなく嬉しくて、落ち着いた
「あれ、じゃあ瑞乃はまだ中忍なのか?
つーか、何で二人で来たんだよ?」
『私は特別上忍です
木の葉に来たのは、風影様からの任務で』
「我愛羅の?………つーか…、あんた特別上忍かよ……」
強いとは思っていたが、まさかすでに特別上忍になっているとは…。少しショックを受けた
『はい。これからしばらくの間、木の葉に滞在して医療忍術を学ぶことになったんです
それが今回の任務です』
「………え?」
任務で木の葉に滞在する?
そう思うと胸が高鳴り、またどんどん気持ちが溢れだしてくる
これからしばらくは、瑞乃が近くにいる
再会できたことに加え、その事実が分かると
純粋に嬉しかった
『あ…、シカマルさん。火影様のところまで案内してもらえますか?』
「あ?
いーぜ、もとからその仕事を頼まれてんだからよ
…火影様のところ行ってどうすんだ?」
『とにかく挨拶したいです
それと、テマリは宿の場所を知らないで勝手に行っちゃいましたから、ついでに彼女を迎えに行こうかな、と
……すみません、後でテマリを宿まで送ってやって下さい』
「……おぅ、お前はどうすんだよ?」
『私はそのまま木の葉病院に行きます
私に勉強を教えてくれる方との顔合わせがあるので』
「…了解
………なんか分からねぇことあったら聞けよ。そのために俺がいんだから」
驚いて顔を上げれば、シカマルさんはほんのり頬を染めてそっぽを向いていた
『……ありがとうございます』
「………おぅ
ほら、さっさと行かねーと入れ違いになるぞ」
『はい!』
二人並んで木の葉の大通りを歩いていると、少し楽しくなってくる。それは久しぶりに木の葉を訪れたからなのか、それとも隣にシカマルさんがいるからなのか
イノ「あれー、シカマルー?」
チョ「何してるの?」
シカ「(……めんどくせぇのが来た)」
少し嫌そうに眉を寄せていると、隣にいる瑞乃が何かを考える仕草をした
『……………あ!
チョウジ君?』
チョ「え?
……あ!瑞乃?」
イノ「瑞乃?
…………あー!!」
『いのちゃん?!
久しぶり!』
イノ「瑞乃じゃない!やだ綺麗になったわねー!!」
『いのちゃんこそ!すごく美人になったー!』
きゃー!と騒ぐ二人についていけず、チョウジと少し離れた場所で眺めていると、チョウジが嬉しそうに声を掛けた
チョ「良かったねシカマル。また瑞乃に会えて」
シカ「……そうだな。それはお前もだろ?お前ら仲良かったんだしさ」
チョ「仲良かったし好きだけど、シカマルのとは違うから
僕の好きは、シカマルとかいのとかを好きな気持ちと同じだからね」
安心しなよ、とにっこり笑うチョウジに思わず苦笑いを浮かべる
やっぱコイツにはバレバレだなー……
チョ「……瑞乃髪の毛伸びたねー」
『はい、伸ばしてみました!』
チョウジは独り言のつもりだったようだが瑞乃は聞いていたらしく、ふわりとチョウジに笑い掛けた
イノ「前は男の子並みに短かったわよねー
絶対そっちのほうが似合ってるわよ!」
『ありがとう』
イノ「伸ばしてる理由とかあんのー?」
いのが顔を近付け瑞乃に聞けば、彼女は少し困ったように微笑み、俺を見た
………?
『……この髪の毛が好きだって言ってくれた人がいて、なんとなく伸ばしてみよっかなって…』
シカ「……!!(それって俺のことじゃ……)」
俺と同じことを思ったのか、いのとチョウジは俺を見てあからさまにニヤニヤした
チョ「へ~ぇ、確かに綺麗だもんね!」
イノ「好きなのは髪の毛だけじゃな「瑞乃!早く行くぞ!」……どうしたのよシカマルー、焦っちゃってさー!」
くっそ、コイツら楽しんでやがる……!
けど、瑞乃は気付いてねぇみたいだな
シカ「ほら行くぞ。……コイツといると疲れる」
イノ「なによそれー!!私ぃ?!」
チョ「まぁまぁ…、二人ともまたね
瑞乃、しばらく木の葉にいるなら一緒に遊ぼうよ」
イノ「あっ、それ良いわね!みんな誘ってぱーっと騒ぎましょ!
どっかのめんどくさがりは抜きで!」
シカ「おいコラ
……ったく、めんどくせぇー…」
『ありがとうございます!
シカマルさん、行きましょうか?』
シカ「おぅ。じゃあなチョウジ、いの」
イノ「またねー!遊びましょー!」
チョ「ばいばーい!」
ぶんぶんと手を振り、明るい笑顔で挨拶してくれた二人
二年ぶりの再会だが、心の中に温かい気持ちが沸き上がる
あぁ…、やっぱり木の葉はいいところだ…
『……やっぱり木の葉はいいところですね』
シカ「あ?
………まぁ、悪くはねぇよな」
『好きですか?里が』
上目遣いに俺を見つめてくる瑞乃の視線がくすぐったくて顔を背けた
シカ「………まぁ、好き、だな…」
『……ふふ、ですよね
私も砂隠れが好きです』
シカ「……そっか」
あまりに穏やかな笑顔を浮かべて言う瑞乃を見て、少し胸が痛くなった
俺は木の葉の忍で、瑞乃は砂の忍
違うんだ
『……シカマルさん?』
「!
……悪ぃ。ほら、この部屋に綱手様がいる」
瑞乃を後ろにし、綱手様がいる部屋をノックする
中から凛とした返事の声が聞こえたので、そのまま扉を開く
綱「あぁシカマル、……と、お前は瑞乃か?」
『はい、お久しぶりです。テマリはさっきぶりー』
テマ「なんだ瑞乃。お前も来たのか?」
部屋にはテマリとシズネさんもいた
―――――――
綱「――…というわけだ
簡単に言うと伝達ミスだな」
シズ「簡単に言わなくても伝達ミスです……」
あっはっは、と豪快に笑う綱手様と、苦笑いを浮かべるシズネ先輩
シカ「………とにかく、瑞乃は木の葉に滞在するんですね?」
綱「あぁ。テマリは中忍試験が終われば砂に戻るが、瑞乃はこちらが用意したアパートで暮らす
そしてそのまま勉強に励む、というわけだ」
『……。(シカマルさん知らなかったんだ…)』
綱「テマリの話だと、なんでも瑞乃はその年齢で砂の医療班副班長だそうじゃないか!」
シズ「すごいですね!」
シカ「……………マジ?」
綱手様達の話に驚いて、隣の瑞乃を見下ろせば
『………マジです…』
少し辛そうに笑った
テマ「それだけじゃない
木の葉でこの任務を終え、砂に戻った暁には、
瑞乃は正式な次期医療班班長になる」
綱「……本当か?」
シズ「いくらなんでも若過ぎるのでは…」
『……。』
シズネさんが危惧するのも無理はない
テマ「……確かに、医療班の班長という里の要に就くとなると、瑞乃は若過ぎる
たが、砂には彼女以上に医療に精通した者はほとんどいない
それに、今の班長は凄腕だがもう高齢…。
あとは、瑞乃しかいないんだ
―……分かってるな?」
最後の一言は、私の方を見つめて言った
『………分かってる
大丈夫だから…』
綱「……そこまで砂が期待している人材だ。その期待に添えるよう、こちらとしても協力は惜しまない」
シズ「瑞乃さんのサポートは任せてください!」
『はい、ありがとうございます』
また、瑞乃は辛そうに笑った
その後
俺はテマリを宿に送り、瑞乃は木の葉病院で顔合わせ
というわけで、綱手様の部屋を出てそのままわかれた
――――――
テマ「………驚いたか?」
シカ「そりゃあな…、すげぇなアイツ」
宿まで送る途中、テマリは神妙な面持ちで切り出した
テマ「アイツの実力は申し分ない
だが、自信が無さすぎるし優しすぎる
……それが問題なんだよな」
シカ「……。」
あぁ…、さっきの辛そうな笑顔は自信が無いことの表れなのか
そう納得していると、テマリはまた口を開いた
テマ「お前、まだ瑞乃のこと好きか?」
シカ「はぁ?
知るかよそんなの」
テマ「そうか
話を変えるが、私が木の葉に滞在している間は瑞乃も同じ宿に滞在する
今日は顔合わせの相手が送ってくれることになってるが、私が帰ってからは、アイツのこと頼んだぞ」
シカ「へいへい」
これといった会話は無く、その後すぐに宿についた
俺はしばらくテマリと行動を共にすることになる
『木の葉病院の入り口で待ち合わせ……、だよね』
シカマルさんとテマリとわかれた後、私は勉強を教えてくれる方との顔合わせのために、久しぶりに木の葉病院を訪れた
道の先にある入り口で、誰かが立っている
『………あれ、あの子……』
近付いていくと、その誰かの特徴が見えてきた。ピンク色の髪の毛を持った女の子だ
『………サクラ?』
サク「!
えっ…、うそ瑞乃?!」
なんと、立っていたのはサクラだった
わー、サクラも綺麗になったなー
サク「瑞乃どうしたのよ?!
中忍試験の係りとかで来たの?」
『係りはテマリだけ、私は任務として来たの。ここで顔合わせがあるからその人待ち』
再会の喜びで、表情は二人とも柔らかい
だが、瑞乃の言葉を聞いたサクラは、少しだけ驚いたように目を見開いた
サク「………私も、砂の医療忍者と顔合わせよ」
『……………………あれ?
ということは………
私に勉強教えてくれる人って
サクラ?!』
サク「教えるわけじゃないけど、一緒に修行するのは私よ!!
やった!瑞乃と修行出来るなんて最高だわ!!」
『私もサクラで良かった!!』
『よろしくね、サクラ』
サク「えぇ!
――………あ!!
ってことは、砂の医療班副班長って瑞乃?!
すごいじゃない!!」
『あははー…』
そのまま少しの間立ち話に華を咲かせていたが、さすがに迷惑だからと、サクラに連れられて甘栗甘に入った
サク「――で、瑞乃。あんた好きな人とかいないの?」
『サクラ…、直球すぎない?ι』
イノ「気になるんだからしょうがないでしょー!」
『「いの(ちゃん)!」』
チョ「僕もいるよ、瑞乃さっきぶり」
サクラと二人で四人席に座っていたら、店内にいのちゃんとチョウジ君が入ってきて
いのちゃんはサクラの隣に、チョウジ君は私の隣に座った
イノ「綱手様に聞いたわよー、私も一緒に修行に混ぜてもらうからねー!」
サク「Σはぁ?!あんたみたいなぺーぺー医療忍者が瑞乃みたいなエリートと一緒に修行するなんて、おこがましいのよ!!」
イノ「なぁんですってぇぇぇぇ?!
私よりちょっと先に修行はじめたからって調子に乗るんじゃないわよー!!デコデコー!!」
サク「はぁぁぁぁぁ?!懐かしいこと言ってくれんじゃないわよ!!いのブター!!!!」
『………。(すごいな…)』
目の前でかなり激しい口論が繰り広げられているが、隣に座っているチョウジ君は気にも止めずにお菓子を頬張っている
さすがに他のお客さんの迷惑では……
『……止めなくていいんですか?』
チョ「いつものことだから、気にしない気にしない」
『二人は仲が悪いんですか?』
チョ「ううん、親友だよ」
『Σえ?!』
あんな喧嘩してるのに?!
喧嘩するほど仲がいい、というわけか?
そう一人訝しげに二人を見ていたら
シカ「おい、いのにサクラ
瑞乃が困ってるだろーが
チョウジも止めてやれよ」
チョ「あ、シカマル」
サク・イノ「「あ」」
シカマルさんが呆れた様子で入ってきた
イノ「なによー、何か用?」
サク「中忍試験の係りとかは?」
シカ「今日は終わり、さっきテマリ送ってきた」
『あっ、そうなんですか?
ありがとうございます』
シカ「おぅ。お前は?顔合わせ終わったのかよ?」
『今もしてますよ!』
シカ「は?」
どういう意味だ?
と、眉間にしわを寄せていたら、サクラが笑顔で話した
サク「顔合わせの相手、私なのよ!
これからは一緒に勉強するの」
シカ「!
へぇ…」
サクラの言葉に、瑞乃はふわりと笑った
綺麗に笑う瑞乃をぼんやり見ていた
その俺の視線に気付いたのか、瑞乃は首を傾げて俺を見上げた。その仕草は相変わらず優雅で綺麗で、少し見惚れてしまった
『……シカマルさん?』
シカ「!……あぁ、悪い
……どうする?宿まで送るか?」
見惚れていたのがバレたくなくて、少し早口で訊いてみた
すると彼女は、少し迷う素振りを見せた
『すみません、そう言ってくれるのは嬉しいですけど…、サクラに送ってもら「シカマル送ってやんなさいよ!!」……サクラ?』
私の言葉を遮るように大きな声で言うものだから、驚いて向かいのサクラを見る
サク「ごめんね瑞乃ー!この後ちょっと用事があって!
ね?いの!!」
イノ「…?
…!!(そーゆー事ね!)
えぇ、ごめんね瑞乃ー!シカマル!後は頼むわね!」
チョ「僕は暇だから一緒に「あんたも行くのよ!!」……うん」
シカ「………(あからさま過ぎるだろ…、魂胆バレバレだっつーの)」
こんな事されたら瑞乃は嫌がるのではないか、と不安に感じ彼女を見た
『………いいですか?』
シカ「…え
俺は別にかまわないけど…」
『じゃあ…、お願いします』
申し訳なさそうに小さく笑う瑞乃を見て、コイツは鈍いのかな、と思った
サクラ達の表情は、そりゃあもう気味悪いくらいニヤニヤしている
シカ「………なら、行くか」
『はい!
それじゃあ、私は失礼しますね』
サク「うん!またね!」
イノ「明日からよろしくー!」
チョ「ばいばーい!」
明るく笑う三人に軽く会釈をし、瑞乃と店を出た
―――――――
シカ「――…アイツらうるさかっただろ?」
『へ?
そんなこと無いですよ!みんな明るいですし、久しぶりに会ったのにずっと一緒にいた気分でした』
「ふーん…、ならいいけど」
ちらりと隣にいる瑞乃を見ると、本当に嬉しそうな顔をしている。お世辞じゃなさそうだな
『―……本当に、皆さんにまた会えて良かったです』
「…………俺も?」
『へ?』
「俺に会えて良かったか?」
……あほらし、なんでこんな事訊いたんだ。言ってしまったから、後戻りは出来ない
『………一番会いたかったのは、あなたです……』
「………え…」
小声だったが、はっきり聞こえた
あわてて瑞乃を見ると、彼女の頬は少し染まっていた
………なぁ、それって自惚れていいのか?
だが、そんな淡い期待は、脆くも崩れ去る
『髪の毛を褒めてくれたお礼、ずっと言いたかったんです
シカマルさんが褒めてくれたから、この髪の毛を好きになれたんです』
「……。(ダメだなこりゃ)」
もしかして、瑞乃はかなり鈍いのではないか
気持ちがバレなかった事に安堵すると同時に
どこか自分とは遠い存在だと思っていた瑞乃に親近感が湧いた
だがそれ以上に、可愛いと思った
―――――――
「ほら、ここだ。テマリはもういるから」
『はい、ありがとうございました!
では、私はこれで』
ペコリと会釈し、宿の中に消えようとする瑞乃
「…………っ瑞乃!」
夢中で声をかけた
「………また、な…
……なんかあったら、頼れよ」
自分で声を掛けたが、結局気恥ずかしくなって小声になった
『……はい
本当に、ありがとうございます』
「……!!」
――ガラガラッ―
最後にとびきりの笑顔を見せるものだから、瑞乃が宿の中に入ったあともその場に立ち尽くしてしまった
.