新たな任務
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―――コンコン―
「入れ」
『失礼します
――…お呼びでしょうか?風影様』
少し控えめに扉を開き、中に入ると
「早かったな…、瑞乃
…それより、いい加減に『風影様』は止めてくれないか?」
大きな机の上にたくさんの書類を積み上げ、それに忙しなく目を通している我愛羅がいた
『だって事実じゃない。里で一番偉い御方に対する敬意です』
テマ「相変わらず真面目だな…」
カン「別にいいじゃん?」
部屋にはテマリとカンクロウもいた
二人はよく居るので気にせず我愛羅に話し掛けると、普段は無表情な彼の表情がほんの少し曇った
我「……命令だ。風影様は止めろ」
『……我愛羅、それ職権濫用だよ?』
クスクスと小さく笑うと、一緒にいた三人も笑った
風影になった我愛羅は、もちろん毎日多忙を極めている
テマリとカンクロウも上忍となり、今は日々任務に明け暮れている
私はと言うと――
テマ「瑞乃、今日も病院にいたのか?」
『うん、班長の代わりに色々やってたの』
カン「さすが、若くして砂の医療班副班長になっただけあるな」
そう、私は医療忍者としての技術を買われ、この二年の間に砂隠れの里の医療班の副班長となった
『―……最近班長の体調が優れないみたいなんだよね…。もうかなりの高齢だし、大丈夫かな…』
瑞乃の上司である医療班の班長はかなりの高齢で、すでに忍を引退し医療班として病院勤務をしている
しかしここ数週間、班長は体調不良のため病院を休みがちになってきた
我「………今日呼んだのは、その班長の事だ」
『………え?
班長に何かあったの?』
我「いや、そうではない。ただ、昨夜班長が俺のところに来た
彼は医療班を引退したいそうだ」
『うそ……。どうして?』
もしかして、何か重い病気にかかったのでは?
マイナスな考えが頭をよぎり、思わず顔をしかめてしまった
そんな私の思いが伝わったのか、我愛羅は一瞬だけ目元を和らげて優しく話してくれた
我「お前が心配してるような事ではない
自分はもう十分に働けない、だから引退させてほしい
との事だ」
『……』
自分が危惧していた事とは違い、ひとまず安心する。しかし
『………医療班の班長はどうなるの?』
テマ・カン「「……」」
我「……」
班長がいない班
それが気になる
誰かリーダーがいなければ、班はうまく機能しない
我愛羅はどうするつもりなのか
我「……班長がな、自分の後任として推薦したい者がいるそうだ」
『!
班長が推薦するなら、その人が新しい班長になるのね?
よかった、とりあえず安心した』
あの班長が自分の後任を任せたい人なんだ、きっと技術も人望もある素晴らしい人なんだろう
ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間
目の前で座っている我愛羅から、とんでもない発言を聞かされた
我「彼が推薦した者は
――………お前だ、瑞乃」
『…………………えぇぇぇ?!!!!』
テマ「凄いことだぞ瑞乃!!その若さで医療班班長に推薦されたんだ!」
カン「そうだぞ!お前はこれからの砂の医療を引っ張っていく人間なんだっていつも言ってるだろ?
それが現実になったんだ!!
もっと喜べよ!」
『いやいやいや、ちょっと待ってよ!私なんかが班長だなんてそんな……、もっと他にも医療忍者はいるじゃない』
まだ医療技術が進歩していない砂だが、昔よりかは進歩したし、医療忍者を志す者も増えてきた
その全部を、私が引っ張っていく?
そんなの無理だよ…
少し俯いて抗議を述べれば、我愛羅はゆっくりと諭すように声をかけた
我「医療班やその他の医療忍者にも意見を募った
全員、お前が班長になることに賛成の意を述べた
大丈夫だ瑞乃。お前の実力は俺たちが一番知っているし、保証する
だから、自分に自信を持て」
『………。』
そんな事いきなり言われたって、困る
みんなが自分を信頼してくれているのは嬉しいが、まだ経験も少ない自分が
人の上に立っていいのか?
もっと自分より優れた人もいるんじゃないか?
頭をよぎるのは、暗い思いばかりだ
なかなか口を開かない私に、またも彼は優しく話しかけてくれた
我「……お前は自分に自信が無さ過ぎる
この里では、お前は特別上忍だ。そして医療班の副班長でもある
その若さでそんな大役を任されて、もう一年は経っている
今まで大きなミスはない。それは凄いことなんだぞ」
『……』
我愛羅は本当に変わったと思う
昔とは比べものにならないくらい優しくなり、他人を思いやるようになり、砂隠れを愛するようになった
きっと、ナルト君との出会いがあなたを変えたんだ
あの時出会ったチョウジ君やシカマルさんなら、今の私をどう思うだろうか?
我「…………やはり、すぐには答えられないか」
『…………ごめんなさい…』
我「かまわない。班長にはもうしばらく頑張ってもらうように頼んである
瑞乃はきっと渋るだろうから、と言ったら、分かっていると言われた」
『あはは………ι』
ここまで言われたら、もう苦笑いしか浮かばない
だがこれで、ひとまず班長になる話は伸びる
その間、高齢の班長に迷惑をかけるのも気が引けた
心の中で高齢の班長に謝罪の念を抱いていると、少しトーンの低い我愛羅の声がした
我「………だがな、いずれお前は医療班の班長となって砂の医療を引っ張っていく
それだけは肝に銘じておけ」
『………はい』
みんなの期待に応えなければ、そうは思っていても、やはり自信がない
どうしたものかと思案していると、テマリが我愛羅に耳打ちをした。そういえば、今さらではあるが、なぜ二人はここにいるのだろう?
テマ「瑞乃、もう少しで木の葉で中忍試験が行われる。それは知っているな?」
『え?……そりゃ知ってるけど…、それがどうかしたの?』
カン「今回、テマリは中忍試験の係りをやることになったんだとよ」
『へー…、そうなんだ。じゃあそのうち木の葉に行くんだね』
テマ「まぁな、そこでなんだが――」
そこまで言うと、テマリはちらりと我愛羅を見た。続きを促しているようだ
我「瑞乃、お前に木の葉での長期任務を言い渡す」
『え??
木の葉で任務?どういうこと?』
我「瑞乃、お前よく『砂には薬草が少ない』とか砂の医療について色々言ってたよな?」
『へ?
まぁ薬草が少ないのは事実だし、まだまだ医療知識も不十分だと思ってるから…
それで我愛羅にしょっちゅう愚痴言ってたけど…
ねぇ、それが任務に関係あるの?』
カン「大有りじゃん?」
我「あぁ…、今回の任務は
木の葉で医療を学び、それを砂に伝えることだ」
『!!
うそ?!
あの医療技術が世界トップクラスの木の葉で勉強するの?!』
中忍試験で木の葉を訪れて、改めて木の葉の医療の進歩に驚いた
砂とは比べものにならないくらい多く存在する医療関係の書物、豊富な薬草やその知識、整った医療体制
いつか、砂も木の葉のようにならないかと願った
自分がその先駆者となるのか
そう思うと、様々な感情が交差した
新たな知識を得られることへの期待、実際に木の葉の医療に触れられることへの喜び、そんな大役を任されることへの不安
一瞬で思考は飛び、ただただ驚いていた
我「いつもお前が危惧していたように、砂の医療はまだまだ未発達だ。そこで、砂の医療忍者の誰かを木の葉で勉強させたらどうだというテマリの提案を採用することにした」
『……そんな大役…、本当に私でいいの?』
カン「さっそくネガティブ発動じゃん…」
テマ「お前なー…」
我「あぁ…。それにコレは班長の提案でもある
瑞乃が木の葉で医療を学ぶことで、お前に少しでも自信がついてくれれば……と言っていたぞ」
テマ「瑞乃、お前どれだけ班長を心配させれば気が済むんだ?」
やれやれとテマリが肩をすくめ、カンクロウは苦笑いを浮かべた
『……ごめんなさい』
我「――まぁいい
瑞乃、これは長期の単独任務だ。色々と不安になることもあるだろうが、頑張ってくれ」
『はい!』
テマ「すでに火影に話は通してある、あちらさんも快くオーケーしてくれたぞ
しかも、長期で滞在するなら宿よりアパートの方がいい、と言ってすでに手配してくれた」
『本当に?!やっぱりすごいな木の葉は……
………火影様とかも含めて』
五十代だという綱手様。あれが一番すごい
みな思った事は同じだったのか、それぞれが苦笑いを浮かべた
パンパンとテマリが軽く手を叩く
テマ「じゃあ瑞乃、お前は私と一緒に木の葉に向かう
私は中忍試験での仕事が終わったら帰るが、お前はそのまま残る。いいな?」
『うん、分かった』
力強く頷き、その日は解散になった
出発は明後日
私は急いで任務に必要なものをまとめた
.