気になる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そう言ってふわりと笑う彼女を見て、少し胸が騒つくのを感じた
女の勘って恐いな
少し自嘲気味に笑うと、ナルトが何かに気付いたように俺たちの顔を交互に見た
ナル「瑞乃ちゃん!コイツの名前は『シカマルさん』…あれ?知ってるのか?」
シカ「…自己紹介したか?」
『いえ、チョウジ君がよく話していたので覚えたんです
改めて、虹色瑞乃と言います』
シカ「………奈良シカマル」
よろしくお願いします、と笑い掛けられた。自分のまわりにいる女とは違い、大人っぽくおしとやかな印象を受ける
そして、可愛いと思った
――ガラッ―
サク「!」
ナル「サクラちゃん…」
シカ「!」
『…?』
ナルト君とシカマルさんの表情が強ばったような気がしたのは、気のせいだろうか
サクラと呼ばれた可愛らしい女の子も複雑な表情を浮かべている
黙って話を聞いていれば、どうやらナルト君は、うちは君を連れ戻すと彼女に約束していたらしい
サク「今度は私も一緒に!」
ナル・シカ「「!!」」
そう言って扉から出ていった彼女を見て、強い子だと思った
『……私もそろそろ行きますね』
ナル「! ありがとな!」
最後に二人に挨拶し、扉から出ていった
チョウジ君らの病室を訪れようと廊下を歩いていると、廊下の隅にあるベンチに先ほどのピンクの髪の毛の女の子がいた
サク「――!!
あの……っ」
『?
私ですか?』
彼女は私を見るなり勢いよく立ち上がり、歩み寄ってきた。何か用かな?
そう首を傾げていると、目の前の女の子は急に頭を下げた
――え?
『あの…「お願いがあるんです!!」……え?』
なんだなんだ、何が起こってる
この子、何度か見た事あるけど話した事は無いよね?
『……何でしょうか?』
おそるおそる声を掛ければ、彼女はゆっくりと顔を上げて、真剣な瞳で私を見た
サク「私サクラって言います
あなたは医療忍者ですよね?」
『はい。まだ修行の身ですけどね
それがどうかしましたか?
あ、私は瑞乃って言います』
「瑞乃さん…
お願いです、私に医療忍術を教えてください!!」
『…………はい?』
サク「私…、ナルトの足を引っ張りたくないんです!私も強くなりたい!
でも私にあるのは、人より少しチャクラコントロールが上手い事ぐらい…
だったらせめて、アイツの怪我を治せるようになりたいんです!
お願いです!私に医療忍術を教えてください!!」
『………。』
真剣な瞳
それだけ見れば、彼女が本気な事くらい分かる
だったら
『……私は、あなたに教えられる程の技術はありません』
サク「! そんな…」
『それに、木の葉は砂よりも医療が発達してます。私なんかに教わるよりも、この里のもっと優れた医療忍者に教わった方がいい
あなたはナルト君のために、私は我愛羅達のために、お互い頑張りましょう!』
私が笑顔を向けると、サクラさんも可愛らしい笑顔を見せてくれた
サク「!!
そうね…、ありがとう瑞乃さん、私頑張るわ!
うん、やっぱ年上は言う事が違うわね」
…………年上?
『私、我愛羅と同い年ですよ?』
サク「えっ?!!!じゃあ私達と同い年?!」
『あ、そうなんですね』
そんなに驚く事かな?
サク「なら私の事は呼び捨てでいいわ!敬語も止めましょ?」
『うん、よろしくサクラ。私の事も瑞乃でいいよ』
サク「よろしく瑞乃!
私、今から誰か教えてくれる人探すわ!」
『うん、頑張って
今度会う時は、私ももっと技術を磨くから』
サク「えぇ!その時は教えてね!」
『サクラもね』
ニコリと微笑み掛けてサクラが去っていった
その後ろ姿に、もう迷いはないようだ
「――お前、同い年だったのか」
『!
シカマルさん!』
急に後ろから声を掛けられ振り向くと、シカマルさんがポケットに両手を入れて気だるそうに歩いてきた
『……そんなに私老けてますか?なんかショックだなぁ…』
そう言って頬に指を添える仕草は、同い年とは思えないほど優雅で綺麗だった
シカ「…大人っぽいんだろ
俺たちはみんなガキっぽいから」
ナルトやキバを思い浮かべると、少し口角が上がる。うん、あの二人は特にガキだな
『シカマルさんも大人っぽいですよ?』
屈託の無い笑顔で言ってきた
シカ「俺が?どこが?」
『はい。なんというか、冷静なところですね
テマリやカンクロウは結構短気だから、あまり動じない我愛羅は大人っぽく見えます
それと同じ感じですね』
シカ「冷静……っていうより騒ぐのがめんどくせぇだけだよ
ほら、チョウジのところに行くんだろ?俺も今から行くから行こうぜ?」
『そうなんですか?
じゃ、行きましょうか』
並んで病院の廊下を歩く、瑞乃は歩きながらチョウジ達の今の容態を詳しく説明してくれた
キバはもう退院、ナルトとネジはもう少し入院が必要、チョウジももう少しで退院だそうだ
ただ瑞乃が説明するだけで会話とは言えないが、それでも何故か緊張してしまった
二人きりで話すのはこれが初めてだったと思う
そうこうする内にチョウジの病室に着いた
――コンコン
チョ「どうぞー!」
ノックすると、中からチョウジの元気そうな声が聞こえた。それを確認し、俺たちは病室に入る
すると
イノ・チョ「「あ―――――!!!!??」」
シカ「Σあ?!」
『??』
アス「なんだお前ら、仲良く二人で来やがって。見せつけてんのか?」
『「は?!」』
中に入るといのとアスマがいた。入るや否やいきなりワケ分かんねぇ事言ったと思ったら、いのが近寄ってきた
かなり怖い顔で
イノ「あんたちょっとコッチ来なさい!!」
シカ「はぁ?!んだよいきなり!」
ちらりと視線を逸らすと、ポカーンとした顔の瑞乃と目が合った
アス「お前が瑞乃か?チョウジが世話になって悪いな
――あ、俺はこの三人の担当上忍の猿飛アスマだ、よろしく」
『あ……よろしくお願いします
じゃ、チョウジ君、診察しますね。もう大丈夫だったら退院です』
チョ「本当?やったね!
アスマ先生!快気祝いは焼肉Qだからね?!」
アス「ハイハイ」
そう楽しそうに会話する三人を尻目に、俺はいのに引っ張られて病室を出た
――ピシャッ!!
病室の扉を乱暴に閉めるなり、いのが詰め寄ってきた
イノ「あんた一体どういう事よ?!!」
シカ「うっせーなー、ここ病院なんだぜ?静かにしろよ
てか何の話だよ?」
イノ「何の話ってあの子の事よ!あんた、いつの間に手ぇ出したの?!!」
シカ「はっ…?!
てか声でけぇよ!聞こえるだろ?!」
イノ「知らないわよそんな事!いいから全部アタシに吐きなさい!!」
シカ「何にも話す事なんかねーよ!」
やってらんねー!と、騒ぐいのを無視して病室に入った
まだ何かギャーギャー言ってるが、無視だ無視
チョ「ねぇ瑞乃、なんでいつもフード被ってるの?」
アス「確かに、それは中忍試験の時から俺も気になってた
なんでだ?」
病室のベッドに座ってるチョウジの腕を診ている瑞乃は、困ったように少し笑った
実のところ、俺も瑞乃がフードを被ってる理由が気になってた
フードをそっと握り、苦笑いを浮かべながら話し始めた
『……この髪の毛、嫌いなんです
みんなとは違う、青い髪』
ふわりと外したフードからは、晴れ渡った青空を連想させる綺麗な空色の髪の毛
奪還任務の時も見たが、やはり綺麗だと思う
『…砂でこんな髪の毛してるのは私だけ
里内を歩けば物珍しそうに見られて、任務で里外に出ればその視線はさらに強まる…
それが嫌で、フードで隠すようにしたんです』
短い髪の毛をクシャリと掴み、するすると指を通す。指は引っ掛かる事無くすり抜けた
イノ「ふーん、だからフード被ってるのねー!
綺麗な色なんだから見せればいいのにー」
『……他里の方にそんな事言われたの、初めてです』
イノ「そうなの?アタシは素直に感想言っただけよー
あ、アタシは山中いの!コイツらと同じ班よ!」
『虹色瑞乃です』
少し頬を染めながらいのと会話する瑞乃を見て、自分の表情が緩むのを感じた
イノ「――ね、シカマル!あんたはどう思うー?瑞乃の髪!」
シカ「あ?髪の毛?
―…俺は好きだぜ?空みたいな色だし、綺麗だと思う」
「「「…………。」」」
シカ「……なんだよ?」
素直な感想を言えば、アスマ達三人が固まった
シカ「??」
チョ「うん、決まりだね」
アス「あぁ、決まりだな」
イノ「えぇ、決まりね」
シカ「はぁ?」
なんだコイツら、にやにやしやがって
気持ち悪
ふと瑞乃を見れば、顔を真っ赤にしてびっくりしてる
『……ありがとうございます…
すごく、嬉しいです』
シカ「あ?別に本当の事言っただけだし」
俺がそう言えば、コイツはさらに真っ赤になり、いの達はさらにニヤニヤしやがった
イノ「……天然とはタチ悪いわ~」
チョ「シカマルそういうキャラなんだね」
アス「意外だな」
シカ「はぁ?」
三人の意味不明な発言に眉を寄せていると、瑞乃が何かを思い出したかのように口を開いた
『これでチョウジ君は退院ですし、ナルト君は綱手様が直々に診てくださるようなので、私達はもう里に戻ります』
イノ「え、もう?」
チョ「そっかぁ…」
シカ「……。」
もういなくなるのか
そう思うと胸が騒つく。もう会えないのだろうか?
『明日には里に戻ります。我愛羅達にもそう言われているので
……では、いったん戻って帰る準備をしなくちゃいけないので
また会えるといいですね』
最後にニコリと笑い、瑞乃は病室から出ていった
イノ「シカマルいーのー?瑞乃帰っちゃうわよー?」
シカ「…そりゃ砂の忍なんだから当たり前だろ」
チョ「次はいつ会えるのか分からないんだよ?」
シカ「………。」
いつ会えるのか分からない
チョウジの言葉は、なぜか俺の胸に強く響いた
なぜこんなにもあの女が気になるのか、分からない
シカ「……なんで気になるんだろーな………」
ふいに零れた俺の疑問は、強気な幼馴染みの一言で解決された
イノ「そんなの、あんたが瑞乃の事を好きだから気になるんじゃないのー?」
好きだから
――あぁ、そっか
俺はアイツに惚れたのか
多分、中忍試験の時からずっと気になってて、今回の任務で助けに来てくれた時に完全に惚れたんだ
まさか、「女なんかめんどくせー」とか言ってた俺が女に惚れるとはな
イノ「シカマル!なんかぼーっとしてるけどどーすんのよ?」
シカ「……さぁな」
アス「…シカマル、後で綱手様が来るようにおっしゃってたぞ」
シカ「マジか、了解」
どーすんのよ?
そんなの知らねぇよ
分かんねぇよ
――――翌日―――
俺は隊長だったので、砂の忍を里の門まで送るように、と綱手様から命令された
三人を門まで送る間、昨日のいの達の言葉がずっと頭の中をぐるぐると駆け巡り、瑞乃に話し掛ける事が出来なかった
話し掛けるかどうか迷ってる間に、門に着いてしまった
テマ「―――また何かあったら助けてやる
その時は言いな、泣き虫くん」
背中を向けて歩き出したかと思えば、テマリが振り返ってこう言ってきた
シカ「うっせーよ。ったく…これだから女は……」
アイツの前で泣き虫とか言うなよな
そう思い顔をしかめてテマリを睨めば、コイツはふふんと鼻で笑った
『ちょっとテマリー、女の子なんだからもう少し可愛い事言いなよ』
瑞乃がテマリをこづいた
テマ「知らん、そういうのは瑞乃の担当だろ?
ほら、後は任せたよ」
『担当って……何よそれ』
瑞乃はテマリに背中を押され、苦笑いを浮かべながら俺と視線を交えた
『……チョウジ君達によろしく伝えてください』
シカ「……おぅ」
…………なんか、緊張するな
コイツはフードを被ってるから、表情は分からない
『……あの、シカマルさんが私の髪を好きだって言ってくれて、本当に嬉しかったです』
シカ「………別に、素直な感想だよ
――!」
俺たちの会話が聞こえているのかどうか分からない距離にいるテマリ達と目が合った
テマリが何やら耳打ちし、カンクロウはニヤニヤしながら距離を取る。我愛羅は無表情だから、何を考えてるのか分からない
……余計な事を………
まぁいい、二人きりになれた
「……なぁ、やっぱフード外さないのか?」
『! ……あ…、その、え…と』
「?」
瑞乃が急にどもり始めた。なんとなく顔が赤い気がする
『――………その、私、これからはフードをしないように心がけてみようかなって思ってるんです』
「へぇ…、いんじゃねーの?綺麗な髪の毛なんだから、出し惜しみする必要ねぇだろ
――てか、注目されんのだって、みんなお前の髪が綺麗だから見惚れてるだけなんじゃね?」
『――!!』
この人は、なんて簡単に私の悩みを解決してくれたんだろう
昔からずっと大嫌いだったこの青い髪の毛が、初めて愛しく感じれた
綺麗
テマリ達にも言われた事はある
でも
シカマルさんに言われると、どうしようもなく胸がドキドキして息苦しくなる
この気持ちは何なのか、私はまだ分からない
テマ「瑞乃―――!!
そろそろ来――い!!」
カン「遅くなるじゃ――ん?」
『「!!」』
少し離れた場所から、テマリ達が瑞乃を呼んだ
もう、時間だ
『……』
「……」
名残惜しいが、帰らないわけにはいかない
『…………私、そろそろ行きますね
じゃあ……』
少し哀しそうに微笑むと、瑞乃は背中を向けようと足を動かした
「………た」
『……?』
シカマルさんが何か言ったのが聞こえて、動かしかけていた足を止めて彼を見た
すると、少し頬を染めたシカマルさんと目が合った
「…………またな」
『………!!
……はい!』
いつか
また会えるだろうか?
再会できることを願って
また
.