気になる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
予選が終わって数日
俺はアスマとの修行の合間にチョウジの様子を見に来た
シカ「ちわー…、チョウジやっと起きたのか?」
チョ「あ、シカマル!久しぶり!」
チョウジの家の玄関を開けると、出掛けようと靴を履いているチョウジがいた
「ねぇシカマル。あの女の子知らない?」
「女?」
「予選で僕と戦った子だよ」
どき
なぜか胸が騒いだ
「あの砂の女か?アイツがどうかしたのかよ」
「うん、実はね、わざわざ家を探して薬を届けてくれたんだ」
ほら、と見せられたのは、俺がこの前もらった袋の色違い
「砂の忍ってさ、もっと嫌な人だと思ってたんだ。でもあの子、すごく優しいし、好い人だよ」
靴を履き終えたチョウジが玄関を出る。今日はもう修行はないし、なんとなく一緒に里を歩き出した
「……で?その女に礼でも言うのか?」
「うん。修行してるかもしれないけど」
「あ、そ。それより体はもう平気なのか?」
「ばっちり。あの子の薬すごく効いたよ」
久しぶりの親友との会話を楽しんでいると、通りの本屋で本を物色しているアイツを見つけた
フードからのぞく横顔は真剣そのもの。凛とした表情も綺麗だと思った
チョ「…!
いたいた!ねぇ!」
『……! あ、もう大丈夫なんですか?』
「うん、ありがとう!薬がよく効いたと思う!」
チョウジが人の好い笑顔を見せれば、砂忍の女もつられて笑った
「!」
女の腕の中には、数冊の分厚い本。全部医療系の書物のようだ
「修行の合間に勉強か?」
『! はい、木の葉は砂よりも医療が発達しているので、参考にしようと思って』
分厚い本を指差して尋ねれば、物腰の柔らかい口調で答えてくれた。いの達には出来ない芸当だな
「そうなんだ、偉いね!」
『いえ、そんな事無いです…』
チョウジと盛り上がる女、なんか……
イライラする
「チョウジ、俺帰るわ」
「え?ちょっとシカマル?」
『?』
呼び止める声を無視して、俺は歩き出した
そしてこの1ヶ月後
大蛇丸と砂の手によって、あの悪夢のような木の葉崩しが起こったのだ
木の葉崩し終焉後
砂はすぐに、今回の戦いは大蛇丸の企みである事を公表し、木の葉に降伏した
そしてその後、あの砂忍の女を見る事は無かった
しかし、思わぬ形で再会を果たす事となる
――――――――
綱「うちはサスケが里を抜けた」
あのサスケが、里を抜けたのだ
綱手様の命令により、俺は中忍に昇格して初めて隊長となり、ナルト達と共にサスケを追った
一人一殺
俺達は一人ずつ敵と戦う羽目になってしまったのだ
チョウジ、ネジ、キバが戦線を離脱し、恐らく今も戦っている
俺はナルトを先に行かせ、音忍の女と戦っていた
多「死ねぇぇぇぇ!!」
シカ「!!(やべぇな…)」
死を覚悟した
――バァァァアッ―
シカ「?!」
多「誰だ?!」
音忍の女が突風で吹き飛ばされた
テマリ「木の葉同盟国…、砂の忍だ」
本戦で戦った強気な女が現れた
テマ「……どんなもんだ?」
シカ「……。(強引な奴…)」
あたりの木を薙ぎ倒し、音忍ごと潰した
テマ「お前、怪我とかしてるか?」
シカ「あ?人差し指の骨折だけだけど……。なんでだよ?」
「そうか
あと少しでアイツが来るから、治療してもらえ」
アイツ?
そう思うと同時に、近くの木を力強く蹴る音がした
『――………!
テマリ!!』
「!!」
「瑞乃!こっちだ!」
――タン
現れたのは、あの砂の女だった
フードで隠されていた空色の髪の毛は露になっている
『!
大丈夫ですか?!』
「瑞乃、コイツは人差し指の骨折のみだ」
『分かった。手を出してください』
「……」
状況が飲み込めず、黙って手を差し出す
――ブゥゥゥン
医療忍術特有の青白い光に包まれる
『……あなたはこの小隊の隊長ですね?』
「……そうだけど」
『……なら、隊長のあなたに聞いてほしい事があります
あなたの小隊の、隊員の事についてです』
「……!!
アイツらはどうなったんだ?!」
手の治療を終えると、砂の女は俺の目を真っ直ぐ見つめた
『……落ち着いて聞いてください
まずチョウジ君。彼には目立った外傷はありませんでしたが、何らかの薬を使った形跡がありました
……かなりの劇薬です』
「…」
チョウジの使った薬は、恐らく三色の丸薬の事だろう
『チョウジ君は木の葉の医療班が保護しましたが、チャクラの消費が激し過ぎる
――………正直言って、危険です』
「!! 嘘だろ…?!」
冷や汗が頬を伝うのを感じた。親友の命が危ない、落ち着いて聞いてなんていられるか
「……瑞乃がこう言ってるんだ、間違いない」
『……次に、日向さん。彼の肩は、何かに貫かれていました』
ちょうどここら辺、と指差して示したのは、肩と腕の骨の境目らへん
『出血多量、もう少し発見が遅ければ致死量を越えていたと思われます。彼も木の葉の医療班に保護されました
次に犬塚さん、彼は…
敵との戦闘の中、自ら腹部を刺したようです
理由は彼に聞いてください』
「……。」
わなわなと手が震える
自分はほとんど怪我をしていないのに、仲間達は命懸けで戦っていた。自分の作戦が悪かったのでは無いか、違う作戦を立てていれば仲間達はそこまで怪我をしなかったのではないか――
『――…しっかりしてください!!』
「っ!!」
彼女の言葉に我に返る。顔を上げれば、吸い込まれそうな程澄んだ青い瞳が自分を見つめていた
『……自分を責めないでください。犬塚さんは、あなたの作戦は完璧だったと言ってました』
「……ちげぇ、もっといい作戦もあったはずなんだ!俺がもっと考えれば、何かいい打開策が…!
―――!」
砂の女が、俺の手を優しく包んだ
『……作戦通りに事が運べるなんて、そうありません
木の葉崩しもそうだった。命令とはいえ、私達の作戦通りにはいかなかった……』
テマ「……」
テマリも黙って言葉を聞いている
『仲間が死ななかった、それは大切な事でしょう?任務が成功したって、仲間全員が亡くなったら意味がない
あなたは、十分やりました
ここからは、私達とうずまきさんに任せてください』
ふわりと笑うその表情があまりに頼もしくて
そして綺麗で、しばらく動けなかった
テマ「……瑞乃、そろそろ…」
『……うん、我愛羅のところに向かう。テマリ達はここで木の葉の医療班を待ってて、もうすぐ来ると思うから』
「分かった。カンクロウは?」
『カンクロウは犬塚さんと一緒にいる
――じゃあ行って来る』
「気を付けろよ」
ありがと、そう言い残して、女はすぐに木を蹴って消えた
女が消えた方角を向き、しばらくぼーっと考えていた
仲間達はあの女が治療したのだろうか。チョウジは、ネジは木の葉に戻ったのか。キバは崖から落ちた後どこにいたのか
いろいろな疑問が頭を駆け巡った
そのマイナスな考えを振り払うように、頭を横に振る
すると、なぜか今度は
あの女の笑顔が脳裏に浮かんだ
最後に見せた、力強い笑顔
その表情が脳裏に焼き付いていた
テマ「……なんだお前、瑞乃に惚れたのか?」
シカ「……………Σはぁっ?!
ちょっと待て!なんでそうなるんだよ?!」
「…女の勘だ」
「はぁ?……有り得ねーよ」
「ふん…、さっきから顔真っ赤だぞ?」
「!!!//
あーーっ!!めんどくせぇっ!!」
ガシガシと頭を掻けば、この女はにやりと笑った。勝ったと言わんばかりに得意気な顔しやがって
かと思えば、表情を崩して真剣な目付きになった
テマ「……瑞乃は、これからの砂の医療を引っ張っていく
私も我愛羅もカンクロウも、瑞乃は砂隠れにとって大切な忍になると思ってる」
シカ「……。」
黙り込んだ俺を見て少し笑った
テマ「……まだお前には渡せないな」
シカ「……。」
「君たち!大丈夫か?!」
医療班が到着した
――――――
『――!!
我愛羅っ!!』
我「! 瑞乃…」
リー「!」
テマリ達と別れしばらく走っていると、開けた場所に出た
そして、その手前の木に力なく寄りかかっている我愛羅と、予選で我愛羅に手足を潰された男の子がいた
『二人とも、どこか怪我は?』
我「チャクラを使い過ぎただけだ、問題ない」
リー「僕も『大丈夫だなんて言わせませんよ、怪我見せてください。私はそのためにいます』……はい。すみません…」
切り傷ばかりだったので、彼の治療はすぐ終わった
終わるや否や
リー「ありがとうございます!
僕達はもう大丈夫なので、早くナルト君を追ってくれませんか?!」
『!』
ちらりと我愛羅を見る。相変わらずの無表情だが、目を見たら何かが伝わったような気がした
「早く行け」
そう言われたと思う
『……分かりました。二人はここを動かないでください
私はナルト君を追います!』
リー「お願いします!」
こくりと頷くと同時に、すぐさま地を蹴って走り出した
……雲行きが怪しい、急がないと
ひたすら走っていると、自分の後方に何者かの気配を感じた
殺気は無い
どうしようか迷っていたら、いつの間にかすぐ後ろにまで迫っていた
『――!』
来る
そう思い、ホルスターからクナイを取り出そうとした
カカ「ちょいストップ、俺だよ俺
忘れちゃった?」
『!! あなたは木の葉の…』
「ナルトの担当上忍だよ。それより、今からアイツのところに向かうんでしょ?
だったら俺に着いてきな、場所はこの子が分かってるから」
クナイを引き抜く直前に話し掛けられた、予選で会ったことがある忍だ
すぐ前には小さな犬、パックンって名前らしい
『……雲行きが怪しいですね』
「あぁ……―!
……降ってきたな」
ぽつぽつと雨が降り始め、すぐに本降りになった
『……なんか嫌な雨…』
「同感だ、急ごう!」
カカシさんがスピードを上げた、私も急いで走る
そして
カカ「!!
ナルト!!!!」
『!!』
パ「やばいぞカカシ!」
ナルト君は水の上に浮かんだまま動かない。明らかに危ない状態だ
『っ、私が診ます!!』
バシャバシャと水面を蹴り、彼に近付く。幸い、呼吸はしていた
『(うちは君は…、行っちゃったんだね)
…お疲れ様』
『――………すぐに木の葉に戻りましょう!移動中に治療します!』
カカ「分かった!」
――――――――
『大人しくしてください。包帯巻けません』
ナル「ごめんってばよ」
ナルト君の体にぐるぐると包帯を巻く。数日前まであったたくさんの傷は、だいぶ治ってきていた
『……はい。終わり
じゃあ私はチョウジ君達の病室に――…』
――ガラッ―
シカ「ナルト!」
ナル「! よぉシカマル!」
「よぉ、じゃねぇこの超バカ!ったくお前ら何でみんな死にかけてんだよ!
―――……!!
お前……」
『こんにちは』
病室に入るや否や、ナルトに説教をした。一気にまくし立てた後、カーテンの死角で気付かなかったが、ナルトのベッドの横であの女が立っている事に気付いた
――まだお前には渡せないな―
砂のテマリの言葉が蘇り、知らず知らずの内に視線を逸らしていた
ナル「酷いってばよシカマル!
瑞乃ちゃんは何も言わないで治療してくれたぞ!」
シカ「瑞乃?――………あぁ、あんたか…
悪いな、ナルトのバカの治療とかチョウジ達の治療までやってくれて」
『いえ、気にしないでください。私のわがままでやらせてもらってるので』
.